リモートワークでマイクロマネジメントを行わないために気をつけること

2022年7月17日

マイクロマネジメント (過度なコントロールや管理) を行っていないかどうかを確認するための5つのポイントについて説明します。また、マイクロマネジメントを回避するために、取り入れるべきアクションについても解説します。

ポイント

  • リモートワークは多くの従業員にとってニュー・ノーマル (新たな常態) となっているが、オンサイト勤務時と同じ生産性を維持できるのかと不安に思うリーダーもいる。
  • リモートワークではコントロールが欠如すると考えるリーダーの多くがマイクロマネジメントに陥りやすい。しかし、これによって、従業員のエンゲージメント/モチベーション/生産性が低下する。
  • 自分がマイクロマネジメントに陥っていないか確認し、マイクロマネジメントに該当する場合は、以下で紹介するリーダーシップ手法を使って自らの行動を改め、より生産的で、信頼関係を築くための行動を取り入れる必要がある。

リモートワークが多くの従業員にとって当たり前になる中、従業員に対するマイクロマネジメントの罠に陥るリーダーもいます。マイクロマネジメントは、結果的に従業員のエンゲージメント、モチベーション、生産性、さらには信頼を低下させることになります。ただし、悲観する必要はありません。次に説明するアクションを起こすことで回避することができます。

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ガートナーのアナリストでバイス プレジデントのダニエル サンチェス・レイナ (Daniel Sanchez-Reina) は、次のように述べています。「マイクロマネジメント行う『マイクロマネージャー』は通常、本人が自覚しているかどうかに関係なく、物理的なオフィス環境から離れた場所で働く従業員を信頼できないのではないかという懸念を抱いています。信頼されていないと感じた従業員は、自信を失い、士気が低下します。マイクロマネージャーは、創造性と成長を阻害します。自らの行動と、チームに設定した規範の両方についてアクションを起こし、取り組む必要があります」

マイクロマネジメントがチームに及ぼす影響

自分がマイクロマネージャーかどうかを判断するための5つの質問

リモートワーク環境で自分がマイクロマネジメントに陥りやすいかどうか分からない場合、以下のように自問してみましょう。

  1.  従業員の生産性について、懸念や疑問を伝えたり、抱いたりすることが多いか?
  2.  常に介入しようとし、進捗状況を逐一報告してほしいと考えているか?
  3.  誰かに依頼した事項が実際に行われたかを確認するために、システムの記録をのぞき見しているか?
  4. 意思決定や権限を独占し、自分がイニシアティブを取り続けようとしているか?
  5. 従業員の仕事を遂行する能力を信用できないために、タスクを委譲することが難しいと感じているか?

上記の質問のいずれかに「はい」と答えた人は、マイクロマネージャーになる可能性があります。

マイクロマネジメントを回避するためのアクション

リモートワーカーの監督の一線を越えてマイクロマネジメントに陥らないようにするために、以下の2種類のアクションを起こす必要があります。

  • 自分の視点に立ったアクション:マイクロマネジメントに流されないように、リーダーが単独で取り組むべきアクション。
  • 相手の視点に立ったアクション:信頼関係を築き、適切なタイミング/方法で関わることができるように、リーダーがチーム・メンバーに対して取り組むべきアクション。

エグゼクティブ・リーダーもマイクロマネジメントに陥っていると感じた場合は、マネージャー向けのこれらのアクセションは、エグゼクティブ・リーダー向けとも捉えることができます。

自分の視点に立ったアクション:問題となる言動を自制する方法

自分の視点に立ったアクションに関しては、マイクロマネジメントを阻止するための新しいアプローチを取り入れます。以下に例を挙げます。

  • 自身の問題点を明確にするための主要な問いについて熟考してみる。例えば、「現在、監督に費やしている時間が本当にビジネスに付加価値がもたらしているのか」「その時間をもっと戦略的な活動に充てることはできないか」「自分が注力する方向を変えることで、何を実現できるか」といったことを自問自答する。こうした問いについて定期的に熟考する時間を設けるべきである。
  • 完璧さについて、10を最高とする10段階の基準を設定する (完璧さとは、プロジェクトやプロダクトの機能の充実度などを指す)。それぞれの活動について、10を得るための労力を費やす価値があるか、それとも8で十分かを協議する。活動の完璧さが8に達したら、10に到達するために必要な労力について検討する。必要な時間と労力、資金を費やす価値があるかを判断する。
  • 「自分のやり方が唯一の方法というわけではない」と何度も自分に言い聞かせる。80/20ルールを適用し、80%のケースは従業員に任せ、各自のやり方で活動に取り組ませる。20%のケースは、リーダーのやり方で行うよう指導する。

相手の視点に立ったアクション:リーダーの懸念に対処する方法

相手の視点に立ったアクションについては、まず、リモートワーカーの指導に関する黄金律「信頼が基本」に従います。チーム・メンバーが自律的に課題に取り組めるようにし、チェックポイント (統制ミーティング) の数を減らします。「自分がチームに関与することでどのようなメリットを得られるかではなく、チームにどのようなメリットを提供できるか」を考えます。

イニシアティブの段階 (実施前、実施中、実施後)の方針を策定し、自分がマイクロマネジメントに陥らないようにします。以下に例を挙げます。

  • チーム・メンバーに権限を委譲する。チーム・メンバー全員が自分に期待されていることの範囲とその達成による影響を理解し、特に企業目標を達成するために、自分たちの活動の重要性を明確に示すようにする。仕事の遂行に必要なリソースを確保でき、必要なものは何でも入手できることをメンバーに周知する。
  • 成果を重視する。チームが仕事の遂行に費やす時間や、仕事を遂行する方法に執着し、時間を無駄にしないようにする。重要なのは、チームが合意された時間内に成果を達成することである。
  • 柔軟性を高める。創造力や生産性が最も高まる時間、場所、方法で働くことができる機会を提供する。
  • 最悪の事態に備える。これによって、人は信頼されていると感じ、自信を持って問題に対処できるようになる。
  • 非難しない。非難は従業員の自尊心を一瞬で打ち砕き、従業員との信頼関係が損なわれる。失敗から得られる教訓を重視する。次回は何を改善すべきかをチームに考えさせる。

マイクロマネジメントは、創造性と成長を阻害します。忘れてならないのは、リモートワーカーに対してマイクロマネジメントをしないよう協調して取り組むマネージャーおよびエグゼクティブ・リーダーは、最終的にチームとして大きな成功を収めることができるということです。

【海外発の Gartner Articles】
本資料は、ガートナーが海外で発信している記事を一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含め Gartner が英文で発表した記事に関する情報は、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/

 

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