生成AIは、かつてないほどの生産性向上とビジネス・トランスフォーメーションの機会をもたらす可能性があるテクノロジです。しかし、生成AIへの新たな投資による価値を測定するには、生成AIのさまざまな活動の全体にわたって、見込まれるコストと価値実現をシミュレーションし、ビジネスケースを作成する必要があります。以下のような項目を目的とした場合に、ROIを測定するポイントをご紹介します。
- 短期間で実現できる成果
- 差別化を生むユースケース
- 革新的なイニシアティブ
2023年9月24日
要旨
生成AIは、かつてないほどの生産性向上とビジネス・トランスフォーメーションの機会をもたらす可能性があるテクノロジです。しかし、生成AIへの新たな投資による価値を測定するには、生成AIのさまざまな活動の全体にわたって、見込まれるコストと価値実現をシミュレーションし、ビジネスケースを作成する必要があります。以下のような項目を目的とした場合に、ROIを測定するポイントをご紹介します。
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早期の成果は、Microsoft 365 CopilotやGoogle Workspaceといった生産性アシスタント・ツールを活用することで得られる可能性が高い
こうしたツールの活用については、開始/試験的導入/購入が容易であるものの、通常はタスクごとに行われる。そのため、特定期間における個別のタスクや、個別のプロセスに関連するタスク全体の両方において、短縮された時間を測定して評価する
生産性向上だけでは、時間の経過とともに差別化をもたらす要素が弱まっていくかもしれないが、こうした能力を他のビジネス・プロセスに統合することで企業の競争力維持に役立つ可能性がある
価値実現までの期間:短期 (1年未満)
詳細を見る (英語): What Generative AI Means for Business
差別化をもたらすこうしたイニシアティブでは、短期間で成果を挙げる場合よりも、競争優位性を守ることができるが、予測不可能なコストやリスクが大幅に増加する
効果的な基盤プロセスの再設計/スキル向上/リスク・マネジメントを想定すると、直接/間接的な財務上のメリット (売り上げ創出の可能性を含む) は、全体的にコストを相殺できる
価値実現までの期間:中期 (1~2年)
2025年までに、企業による生成AI導入環境の90%は、コストが価値を上回るために成長が減速する
出典: Gartner
生成AIにおいて進行中のイノベーションは、モデルと手法を改良し、導入コストを下げつつある。しかし低コストのオプションが登場するまで、イノベーション導入企業は、先行者利益を得る代わりに、数値化しづらく厳しい財務上の成果と、高いコスト/複雑さ/リスクを受け入れなければならない場合がある
投資についての意思決定の基準では、戦略的メリットを優先すべきであるが、戦略上のメリットは、タスク/プロセス別で即座に特定可能な財務上のメリットよりも、財務的に数値化するのが難しい可能性がある
価値実現までの期間:長期 (2年超)
2028年までに、大規模AIモデルをゼロから構築した企業の50%以上は、コスト、複雑性、展開における技術的負債を理由に、取り組みを放棄する
出典: Gartner
「ビジネス・リーダーは、短期間で実現できる成果、差別化をもたらすユースケース、革新的なイニシアティブで構成される、生成AIのポートフォリオを作成する必要があります。ロス・リーダー (採算を度外視した目玉商品) を利用したROIのイニシアティブと、導入当初は財務的に直接数値化しづらいものの、生成AIによって実現される変革によるメリットと競争優位性をもたらすイニシアティブの両方を組み合わせることを推奨します」
重要な3つのポイント
見込まれるインパクト、コスト、複雑さによって、生成AIを利用して短期間で実現できる成果をランク付け/優先順位付けする。その際、大半はコスト削減と生産性向上を通じて資金が提供されることに留意する
特定のビジネス・プロセスを改善するためにユースケースを差別化する場合は、コスト増の可能性を評価し、財務上のメリットと戦略的な成果の両方を把握する
革新的な生成AIイニシアティブでは、経営幹部と取締役がより大きなリスクを許容し、投資判断において戦略的/競争的/市場レベルの影響を重視する必要がある