2020年は大半の期間、CEOは新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) によって緊急事態となったビジネス・オペレーションに自社のエネルギーとリソースを集中させてきました。既存のオペレーションやサプライチェーンを活用することで、すぐに必要とされている消耗品やサービスを提供できた企業もあります。衣料品メーカーはマスクや個人防護具 (PPE) を提供し、化学薬品会社は手指消毒剤を製造し、運送業者は船や飛行機の経路を変更して人工呼吸器を届けました。しかし今、CEOはその先を見据えています。
2021年7月15日
2020年は大半の期間、CEOは新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) によって緊急事態となったビジネス・オペレーションに自社のエネルギーとリソースを集中させてきました。既存のオペレーションやサプライチェーンを活用することで、すぐに必要とされている消耗品やサービスを提供できた企業もあります。衣料品メーカーはマスクや個人防護具 (PPE) を提供し、化学薬品会社は手指消毒剤を製造し、運送業者は船や飛行機の経路を変更して人工呼吸器を届けました。しかし今、CEOはその先を見据えています。
ガートナーのアナリストで、ディスティングイッシュト バイス プレジデントのクリスティン・モイヤー (Kristin Moyer) は、次のように述べています。「CEOは、大規模なワクチン接種プログラムによって2021年半ばには多くの地域でウイルスの感染拡大が食い止められ、景気拡大につながると考えています。大多数のCEOは、短期間でのV字回復を予想しており、この機会を生かそうと既に動き始めています」
ガートナーの2021年CEOサーベイでは、30カ国以上の465人のビジネス・リーダーから回答を得ました。10年以上にわたって毎年実施されているCEOサーベイは、ビジネス・リーダーのビジネスに対する姿勢や最優先課題を調査するものです。
企業の多くは2020年に深刻なディスラプション (破壊) に直面しましたが、成長を重視する姿勢は例年と変わりません。ただし、以下のような変更点が見られます。
CEOの60%は、企業の売り上げが2021年末までに2019年の水準に戻ると予想しており、他の30%のCEOは2022年までに回復すると考えています。売り上げの回復にはもっと時間がかかると予想しているCEOはわずか10%でした。
回答者の半数以上が「成長」をビジネスの優先課題の上位3項目に選んでいるのも、こうした前向きな見方を裏付けています。しかし、単純に既存ビジネスからの売上増加を見込んでいるCEOは、2020年よりも減少しています。
CEOは今、成長機会の源泉として新規市場に着目しています。ただし、「新規市場」の意味はセグメント化や隣接分野に注力することであり、大規模な地理的飛躍は重要視されていません。実際、北米、欧州、アジアの企業の大多数のリーダーは、自社がある地域を主要なビジネス・チャンスの源泉として挙げています。
パンデミックの影響により、CEOはこれまでと違う新たな領域を重視して他の領域を断念することを迫られました。最も急上昇した優先課題は「従業員」であり、前年比で24%増加し、2021年は回答したCEOの24%が優先事項のトップ3に選びました。これは、2020年がどれほど人材に打撃を与え、2021年に組織が目標を達成する上で有能な人材が果たす役割がいかに重要かをCEOが認識していることの表れです。
一方で、2020年と比べて順位が最も下がった優先課題の1つは、「コスト管理」です。コスト管理を優先課題として挙げたCEOの割合が14%から11%へと減少し、回答者数が前年比で17%減った結果、7位に後退しました。
リソースを見る (英語):The Future of Work Reinvented
この減少は、パンデミックの際に経費を削減するために、容易に達成可能なコスト削減を2020年にすでに行った結果と考えられます。一部の企業は、予想される循環的な景気減速に対応するために、2018年後半の時点でコスト削減を開始していました。しかし、コスト管理が議題から完全に外れたわけではなく、CEOがCOOとCFOに注力するよう求めている最優先課題であることに変わりはありません。
詳細を見る (英語):Strategic Cost Optimization
「デジタル能力」は、投資を増やすと回答したCEOの割合が2020年よりも高くなった唯一の領域でした。「IT」「人材育成/組織文化開発」「プロダクト機能強化」といった、通常はCEOから高い支持を得られる領域については、投資の意向を示すCEOの割合は減少しています。
興味深いことに、投資意欲が最も落ち込んだ領域には、当然と思われる項目と想定外の項目が入り混じっています。具体的には、「固定資産」と「資本設備」の両方が急落しました。これは、ハイブリッド型ワーク・モデルが施設の必要性に影響を与えていることを示す兆候です。
「法務/コンプライアンス/リスク・マネジメント」「人材採用」「マーケティング」でも大幅な減少が見られましたが、ガートナーのアナリストは、企業が緊急事態への備えが不十分であったり、必要な人材採用にためらいがあったりすることを示す危険な兆候ではないと考えています。
【海外発の Gartner Articles】
本資料は、ガートナーが海外で発信している記事を一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含め Gartner が英文で発表した記事に関する情報は、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/
ガートナーのサービスをご利用のお客様*にお勧めのレポート (英語):2021 Gartner CEO Survey: The Year of Rebuilding by Mark Raskino, Stephen Smith, Kristin Moyer
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