ChatGPT (チャットジーピーティー, Chat Generative Pretrained Transformer) とは、2022年11月にOpenAIが発表した、チャットボット型の生成AI言語ツールですが、それ以外のことは何も聞いていないように感じられているのではないでしょうか。
2023年5月1日
ChatGPT (チャットジーピーティー, Chat Generative Pretrained Transformer) とは、2022年11月にOpenAIが発表した、チャットボット型の生成AI言語ツールですが、それ以外のことは何も聞いていないように感じられているのではないでしょうか。
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しかし、ChatGPTを始めとする会話型AI (人工知能) 全般が大きな話題になっている中、「生成AIとはそもそも何か」「人間のため、および企業のユースケースにおいて、生成AIは何ができるのか」など、数多くの疑問が残っています。本記事では、お客様やベンダーから最も頻繁に寄せられる質問に、ガートナーのエキスパートがお答えします。
【質問1への回答】
ChatGPTをはじめとするファウンデーション・モデルは、ハイパーオートメーションやAIに関する数多くのイノベーションの1つであり、自動化、人/マシンの増強、ビジネス/ITプロセスの自律的な実行のために設計されるソリューションに組み込まれます。またそうしたモデルは、さまざまな業務に含まれる活動/タスクに取って代わったり、活動/タスクを再調整/再定義したりするためにも使用されます。
Webinarを視聴 (英語):Enterprise Impact of ChatGPT and Generative AI
【質問2への回答】
ChatGPTには以下のような機能があります。
さらに、ChatGPTテクノロジは主に以下の4つの方法で導入でき、そのうち2つが現時点で実現されています。
そのまま:プロンプトを入力し、Webベースのインタフェース経由で結果を受け取ります。現在はこれが最も一般的なアプローチです。
APIなしでのプロンプト・エンジニアリング:プロンプト・エンジニアリングとは、ChatGPTなどのサービスを、ワークフローの一部としてほかのテクノロジと併用することを指します。このワークフローは手動で作成することも、スクリーン・スクレイピングやロボティック・プロセス・オートメーション (RPA) テクノロジを用いて作成することも可能です。
APIを使用したプロンプト・エンジニアリング:このモデルはまだ利用できませんが、2023年半ばには登場する見込みです。ChatGPTでAPIラッパーを有効にするソリューションは存在しますが、本番ビルドや拡張に使用することはお勧めしません。ChatGPTの開発企業であるOpenAIは、こうしたソリューションをサポートしていません。
カスタム・ビルド:特別な実装のために、中核的なGPT2/GPT3などのファウンデーション・モデルのカスタム・ビルドを構築することは可能ですが、ChatGPTで提供されている会話型のやりとりや、プロンプト・フィルタリングは使用できなくなります。
【質問3への回答】
何とも言えません。新たに生じる職務もあれば、定義が見直される職務もあるでしょう。従業員の規模が実際にどのように変化するかは、業界、場所、企業規模、提供している製品などによって大幅に異なるものと思われます。しかし明らかなことは、ChatGPTやハイパーオートメーションなどのAIイノベーション・ツールが集中的に使用されるのは、大量かつ反復的なタスクに対してであり、効率化、生産性の向上、品質管理の改善のための利用に重点が置かれるでしょう。
詳細を見る:人工知能 (AI) とは?
*以下に挙げる制約は、2023年4月5日時点の情報
【質問4への回答】
情報源を示すことができない。信頼性は情報源に左右されるが、情報源そのもの、あるいはChatGPTでの組み合わせ方法が誤っていたり、矛盾していたりする可能性がある
画像を生成することができない (ただし将来的には、視覚的な生成AIモデルと組み合わせて使用できるようになると思われる)
現時点でサポートされているAPIはない
ユーザーが自社のナレッジ・ベースでChatGPTをトレーニングすることができない
複雑なタスクを実行しているように見えるが、単に予測を行っているだけであり、基盤となる概念についての知識はない
データ・プライバシーは保証されない
最近の部分的な改善にもかかわらず、計算に関しては信頼性がない
【質問5への回答】
現時点ではプライバシーや機密保持に関して明確な保証がないため、既に一般公開されているものを除き、個人情報や企業/顧客の情報は入力しないことをお勧めします。ChatGPTを使用するすべての従業員に対し、入力する情報の取り扱いは、一般公開サイトやソーシャル・プラットフォームと同様にするよう指示すべきです。さらに、入力した情報が、モデルのさらなるトレーニングに使用される可能性がある点にも注意が必要です。
それでもガートナーは、ChatGPTを禁止するのではなく、ChatGPTに関する企業ポリシーを策定することをお勧めしています。企業のナレッジ・ワーカーは既にChatGPTを使用している可能性が高いため、全面的に禁止してしまうと、隠れてChatGPTが使用されることになりかねず、組織にとっても誤ったコンプライアンス意識が生じるにすぎません。利用状況をモニタリングしてイノベーションを促すのが賢明なアプローチですが、ChatGPTの利用は、社内の業務を補強する目的で、適切に認定されたデータのみを用いて行うべきです。顧客やパートナーと共に、規制のない状態で利用すべきではありません。
【質問6への回答】
ガートナー社のバイスプレジデント兼特別アナリストであるバーン・エリオット氏は、「ChatGPTは、ベータ版から初期の試用・試験段階に入るでしょう」と述べています。「その間に、採用が進み、使用のためのベストプラクティスが成熟し、ビジネスワークフローやアプリケーションへの導入が進むと予想されます。しかし、プライバシーに関する懸念、情報の誤用、偏見など、さまざまな問題に対して否定的な反応が出る可能性もあります。これは、テクノロジーが期待に満ちたピークから幻滅期の谷に向かうときによくあることです。
【質問7への回答】
ほかの新しい生成AIのユースケースも模索する。GPT言語にフォーカスしたユースケース以外も検討しましょう。
慎重な実験的試みを奨励する。業務プロセスに関して、既存の枠にとらわれない思考を奨励します。ただしその前に、ChatGPTの利用に関するガイドを定義し、リスク、課題、ベスト・プラクティスを確実に理解し、生成されるテキストはすべて人間が見直すようにします。
CIOおよびCEOに直属のタスク・フォースを設ける。存続を脅かすほどの脅威や重要な機会を探求し、発見に向けたロードマップを策定し、必要なスキル、サービス、投資の規模を見極めます。
Bern Elliotは、ガートナー・リサーチのバイスプレジデント兼ディスティングイッシュト・アナリストです。現在は人工知能(AI)全般を担当し、自然言語処理(NLP)、機械翻訳、顧客エンゲージメント/サービスにも重点を置いています。
【海外発の Gartner Articles】
本資料は、ガートナーが海外で発信している記事を一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含め Gartner が英文で発表した記事に関する情報は、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/
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