2025年3月10日
2025年3月10日
ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、2025年のデータ/アナリティクス (D&A) のトップ・トレンドを発表しました。これらのトレンドは、組織的および人的課題を含む幅広いチャレンジを生み出しています (グローバルでは2025年3月5日に発表しています)。
バイス プレジデント アナリストのガレス・ハーシェル (Gareth Herschel) は次のように述べています。「D&Aは専門知識を有する限られた人のものから、より一般的なものへと進化しつつあります。同時に、D&Aリーダーは、限られたリソースで多くのことを行うのではなく、多くのリソースでさらに多くのことを行うように求められています。それは利害関係者からの期待が高まっているためであり、D&Aリーダーにとっては、より一層のチャレンジとなるでしょう。これにより、彼らが直面するプレッシャーや期待、要求に応えるための特定のトレンドが存在します」
ITリーダーは、以下のトレンドを自社のD&A戦略に反映させるように取り組むべきです。
データ・プロダクト
データ・プロダクトが、その消費者であるユーザーに受け入れられるようにするために、D&Aリーダーはビジネスにとって重要なユースケースに注力し、データ提供の課題を軽減するためにプロダクトを相関させ、スケールさせる必要があります。再利用可能でコンポーザブルな最小限の機能で実用に足るデータ・プロダクトの提供を優先することが重要です。また、データ・プロダクトの成果を測定するために、開発チームとユーザーの間で主要パフォーマンス指標 (KPI) について合意することが不可欠です。
メタデータ管理ソリューション
効果的なメタデータ管理は、テクニカル・メタデータから始まり、そのコンテキストを強化するためにビジネス・メタデータを含めるように拡張されていきます。さまざまな種類のメタデータを組み込むことで、組織はデータ・カタログ、データ・リネージ (来歴)、AIドリブンなユースケースが実現可能になります。メタデータの探索や管理の自動化と分析を促進するツールを選択することが重要です。
マルチモーダル・データ・ファブリック
堅牢なメタデータ管理の実践には、データ・パイプライン全体でメタデータをキャプチャし、分析することが必要です。データ・ファブリックによる自動化や洞察の取得は、データのオーケストレーションに対するユーザー要求を満たし、DataOps※によって運用を改善させ、データ・プロダクトの実現に貢献します。
※DataOps:組織内のデータ管理者とデータ利用者の間で行われる、データ・フローに関するコミュニケーション、統合、自動化、オブザーバビリティ (可観測性)、運用の改善に焦点を当てた協調的なデータ管理のアプローチ
シンセティック (合成) データ
AIイニシアティブを進展させるためには、データが欠落している、または取得が困難な領域を特定することが重要です。シンセティック・データは、機密データの代替となり、データのプライバシーを確保するだけでなく、データのバリエーションを増やすことによってAIイニシアティブを促進します。
エージェンティック・アナリティクス
AIエージェントを用いたデータ分析は、組織に革新的なビジネス成果をもたらします。自然言語によってデータから洞察を獲得し、その洞察をまた自然言語で表現する、新たなユースケースを試行し、デジタル・ワークプレース・アプリケーションとの統合についてのベンダーのロードマップを評価することが推奨されます。AIガバナンスを確立することでエラーやハルシネーションを最小限に抑え、AI-Readyのデータ原則に則って取り組みを評価することが重要です。
AIエージェント
AIエージェントの価値を引き出すためには、大規模言語モデル (LLM) にのみ依存するのではなく、他の分析およびAI手法も組み合わせて考えることが必要です。D&Aリーダーは、AIエージェントがアプリケーション間でデータをシームレスにアクセスし、共有できるようにする必要があります。
小規模言語モデル
特定の領域内において、より正確で文脈に適した出力を得るために、大規模言語モデルではなく小規模言語モデルを検討することが推奨されます。それには、拡張生成や領域特化型モデルの微調整に必要なデータを提供することが求められます。小規模言語モデルは、特にオンプレミスで運用する場合において、機密データの取り扱いや計算リソースとコストの削減に役立ちます。
コンポジットAI
複数のAI技術や手法を組み合わせることで、AIの影響力や信頼性を向上させることができます。D&Aチームは、生成AIやLLMに、データ・サイエンス、機械学習、ナレッジ・グラフ、最適化などの手法を組み合わせた包括的なAIソリューションを提供する必要があります。
意思決定インテリジェンス・プラットフォーム
データ・ドリブンから意思決定中心のビジョンへの移行が重要です。モデル化による価値が高く見込まれる意思決定を優先し、意思決定インテリジェンス (DI) のプラクティスを適用して、DIプラットフォームを構築することが推奨されるステップですが、意思決定の自動化における倫理、法的、コンプライアンスの側面に対処する必要があります。
上記トレンドについて、シニア ディレクター アナリストの一志 達也は次のように述べています。「日本ではまだ、データ基盤やガバナンスの整備に明け暮れている組織が目に付きますが、世界は既にデータによる価値をAI活用に求め、その実現に焦点を合わせていることがよく分かります。とはいえ、データ品質の管理や統制を疎かにして良いわけではなく、網羅的に取り組まなければなりません。D&Aリーダーは、トレンドに目を奪われて振り回されないよう注意し、自社の現状を鑑みた現実的な次のステップを見つけるために、トレンドを踏まえたビジョンを掲げて組織や取り組みをリードする必要があります」
D&Aリーダーは、Gartner CDAO Effectiveness Diagnosticを使うことで、自身の有効性を評価する方法を詳しく把握できます。これは、CDAOがリーダーとしての有効性を理解し、自身の強みと改善点を確認できる専用のアセスメント・ツールです。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products
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Gartnerは来る5月20~22日に「ガートナー データ&アナリティクス サミット」(会場:グランドニッコー東京 台場) を開催します。2025年度は、「好奇心をくすぐり、成果獲得へと導け」をテーマに、D&Aリーダーが押さえておくべき最新トレンド、ベスト・プラクティス、重要課題の解決に向けた知見やガイダンスを提供します。コンファレンスのニュースと最新情報は、Xでご覧いただけます (#GartnerDA)。
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