2025年4月10日

Gartner、2027年までに、企業は汎用の大規模言語モデルの3倍の頻度で、小規模かつタスク特化型のAIモデルを使用するようになるとの見解を発表

文脈に即した信頼性の高い、かつコスト効率の良いソリューションへのニーズが、小規模なタスク特化型AIモデルへのシフトを促進

 

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、2027年までに企業が小規模でタスクに特化したAIモデルを導入するようになり、その使用量は汎用の大規模言語モデル (LLM) の少なくとも3倍に達するとの見解を発表しました (グローバルでは2025年4月9日に発表しています)。

汎用LLMは強力な言語処理能力を提供しますが、特定のビジネス領域における文脈を必要とするタスクでは、応答の正確性が低下する傾向にあります。

バイス プレジデント アナリストのスミット・アガルワル (Sumit Agarwal) は次のように述べています。「ビジネス・ワークフローにおけるタスクの多様性と、より高い正確性へのニーズが、特定の機能やドメイン・データに特化して微調整 (ファインチューニング) されたモデルへの移行を促しています。こうした小規模でタスク特化型のモデルは、応答が迅速で、計算リソースも少なくて済むため、運用や保守のコストを抑えることができます」

企業は、ファインチューニングの手法を用いることで、特定のタスク向けにLLMをカスタマイズした特化型モデルを構築できます。また、検索拡張生成 (RAG) を用いることでLLMに自社データを組み合わせ、自社のビジネスに必要なテキストを生成できます。このプロセスでは、自社のデータが差別化要素となるため、データの準備、品質管理、バージョン管理、そしてファインチューニング要件に沿った構造化が必要となります。

「企業が自社の独自データや、専門的なプロセスから得られるインサイトの価値を認識するようになるにつれ、こうしたモデルを収益化し、顧客や競合他社を含む幅広い層にリソースとして提供する動きが広がるでしょう。これは、従来の保守的なアプローチから、データと知識のより開かれた協働的な活用への転換を意味します」(アガルワル)

自社独自のモデルを商用化することで、企業は新たな収益源を創出すると同時に、より相互接続されたエコシステムの形成を促進できます。

小規模・タスク特化型AIモデルの導入に向けた推奨事項

小規模でタスクに特化したAIモデルを導入しようとする企業は、以下のポイントを検討する必要があります:

  • 文脈に即したモデルの試行:ビジネスの文脈が重要な領域や、LLMが応答品質や速度が期待を下回っている領域で、小規模かつ文脈特化型のモデルを導入する。
  • 複合的アプローチの採用:単一のモデルによるオーケストレーションでは不十分なユースケースを特定し、複数のモデルやワークフローを組み合わせた複合アプローチを採用する。
  • データとスキルの強化:ファインチューニングに必要なデータを収集・整備・構造化するためのデータ準備作業に注力する。同時に、AI/データ・アーキテクト、データ・サイエンティスト、AI/データ・エンジニア、リスク/コンプライアンス・チーム、調達チーム、ビジネス領域の専門家 (SME) など、テクノロジおよびビジネス機能に関わる人材のスキルアップに投資する。

ディスティングイッシュト バイス プレジデントの亦賀 忠明は次のように補足しています。「日本では、多くの企業が既にRAGにチャレンジしていますが精度に関する課題を抱えています。しかし、こうした状況を乗り越え、さらに自社のAI能力を強化するために、今後、小規模かつタスク特化型のAIモデルやそれをベースにしたAIエージェントやエージェント型AIへの取り組みを強めていくでしょう。そのために、AIに関わる人材のスキル、マインドセット、スタイルを含むケイパビリティを高める動きが拡大していくと見ています。時代はもはや人々がAIを使うのが当たり前の『AI共生時代』に入りました。よって、すべての企業は、このような時代への対応力を獲得、強化する必要があります」

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート“Predicts 2025: AI-Powered Analytics Will Revolutionize Decision Making.” (英語) で詳細をご覧いただけます。
特定のAIイニシアティブで使用するためにデータを準備する方法については、無料のeBook「AI 時代に備えるデータ戦略:データ管理とガバナンスのための実践的アプローチ」をご覧ください。
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