2024年11月11日

Gartner、「日本におけるITオペレーションのハイプ・サイクル:2024年」を発表―デジタル・トランスフォーメーションの実現には、レガシーITオペレーションの近代化が喫緊の課題である

ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション & クラウド戦略コンファレンス (12月3~5日) において、アナリストがITオペレーションに関する最新トレンドを解説

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、「日本におけるITオペレーションのハイプ・サイクル:2024年」において、日本企業がデジタル・トランスフォーメーションを実現するためには、レガシーITオペレーションの近代化が喫緊の課題であるとの見解を発表しました。

シニア ディレクター アナリストの米田 英央は次のように述べています。「ITオペレーションを推進するインフラストラクチャ/オペレーション (I&O) のリーダーは、レガシーITオペレーションの変革に寄与する必要があります。自らITオペレーションの未来を見据え、ITオペレーションの変革の計画から実現に向けた効率的なアクションを取ることが必須です」

日本企業のI&O部門は、ビジネス・スピードの向上や競争の激化によって、レガシーITオペレーションの見直しを求める圧力にさらされています。それは人的ミスの低減だけでなく、属人化の排除や内製化、アウトソーシングを含む運用コストの削減/最適化にも波及しています。このような背景の下、クラウド・ネイティブの技術やDevOpsアプローチの採用による高度な自動化の実現、監視から可観測性への移行、チーム体制の転換や役割の再定義などを通じた、サービス・デリバリのボトルネックにならない運用トランスフォーメーションが求められています。ITインフラの変革が進む中、新興テクノロジを活用するためには、人に依存しがちなオペレーションの近代化も避けては通れない課題であることが浮き彫りになっています。

こうしたトレンドを受けて、「日本におけるITオペレーションのハイプ・サイクル:2024年」では、プラットフォーム・エンジニアリングを新たに取り上げています。また、サイト・リライアビリティ・エンジニアリング、可観測性、インフラ自動化、AIOps (AI for IT Operations) プラットフォーム、DEM (デジタル・エクスペリエンス監視) を「過度な期待」のピーク期に位置付けています (図1参照)。

図1. 日本におけるITオペレーションのハイプ・サイクル:2024年
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出典:Gartner (2024年11月)

ディレクター アナリストの青山 浩子は、次のように述べています。「本ハイプ・サイクルで『過度な期待』のピーク期に位置付けられているテクノロジのうち、可観測性とインフラ自動化については今後急速に幻滅期に向かい、プレーヤー側の変化 (買収など) も発生しやすいと考えられるため、注視する必要があります。I&Oリーダーは、AIや高度な自動化などの新しいテクノロジによるIT部門への影響だけでなく、それによって引き起こされるビジネス上の変化までを正しく理解して、変革の一歩を踏み出すべきです」

可観測性
可観測性 (オブザーバビリティ) とは、出力データやメトリクスを基にソフトウェアやシステムの内部状態を理解し、その挙動と事象、結果を説明可能にするためのソフトウェアやシステムの特性を指し、クラウド・ネイティブでは必須要件となっています。大量のコンテナ、Kubernetes環境、複雑なマルチクラウド環境を時流に則した形でモニタリングし、必要なアクションをスマートに実践するためには、可観測性の考え方とアプローチが不可欠です。スケーラブルかつ変化対応型のインフラ・プラットフォームを運営するには、従来の監視の考え方とアプローチでは対応できないためです。2024年現在、日本は英語圏と比較するとまだ初期のステージにありますが、可観測性採用の具体的な事例も増えつつあります。

インフラ自動化
インフラ自動化は、オンプレミスやクラウド環境またはそれらをまたいで自動的な (インフラによる) サービス・デリバリを実現するテクノロジです。インフラ自動化によって、DevOpsチームとI&Oチームは、インフラ・サービスの作成/構成/運用/廃止までのライフサイクルを管理することができます。主にデータセンターやクラウドで利用され、スケーラブルであり、インフラの展開/管理スピードやその品質などを改善し、インフラ利用者が必要な時に必要なものを使えるようにします。

プラットフォーム・エンジニアリング
プラットフォーム・エンジニアリングは、ソフトウェアのデリバリとライフサイクル管理を実現するセルフサービス型の社内開発者プラットフォーム (IDP) を構築・運用するための一連の規律 (考え方やアプローチ) です。従来型のI&Oチームの構造や手法のままでは、ビジネス状況の変化のスピードに即応できず、I&Oリーダーは、アジャイルなインフラストラクチャ・プラットフォームをサービスとして提供するために、これまでの運用・開発分離のアプローチや展開手法の再考を迫られています。

プラットフォーム・エンジニアリングにより、アプリケーション・チームやインフラ・チームがソフトウェアの価値をより迅速に提供できるようになることが期待されます。これによって、基盤となるインフラストラクチャの構築とメンテナンスの負担が軽減され、顧客価値実現と学習に時間を費やすチームの能力が向上します。IDPを使用すると、コンプライアンスと管理の一貫性が高まり、ソフトウェアの提供に使用されるツールの無秩序で爆発的な増加が抑えられます。プラットフォーム・エンジニアリングによって開発者のエクスペリエンスも向上し、従業員のフラストレーションや離職が軽減されることも期待されています。

本ハイプ・サイクルで取り上げたテクノロジやメソドロジの3割が成熟するまでに5~10年以上かかる見込みです。これは内製化やスキル強化、および組織の変革に時間がかかるとみられるためです。ITオペレーションの変革には、クラウド・ネイティブな運用アプローチや手法、スキルの獲得が欠かせませんが、これらの成熟度はユーザー企業自身の成熟度によって左右されます。

Gartnerのハイプ・サイクルは、イノベーションが過度にもてはやされる期間を経て幻滅期を迎え、最終的には市場や分野でその重要性や役割が理解されるという段階を踏まえて進化する共通のパターンを描いたものです。イノベーションの成熟度と採用度、それらが実際のビジネス問題の解決や新たな機会の活用にどのように関連するかを図示しています。個々のイノベーションの中には、特定のテクノロジもあれば、方法論と戦略、運用と利用のモデル、管理技法と標準、コンピテンシ、機能などの広義なトレンドや概念もあります。Gartnerは、企業が1,500を超えるイノベーションの成熟度と可能性を追跡できるよう、毎年、さまざまな領域で100以上ものハイプ・サイクルを発行しています。

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート「日本におけるITオペレーションのハイプ・サイクル:2024年」で詳細をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

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ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション & クラウド戦略コンファレンスについて

Gartnerは2024年度の「ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション & クラウド戦略コンファレンス」を3日間に拡大し、来る12月3~5日にウェスティンホテル東京にて開催します。2024年度は、「次世代のI&O:未来への航路を切り拓く:“Available”, “Intelligent”, “Resilient”」をテーマに、インフラストラクチャおよびオペレーションを率いるI&Oリーダーとイノベーションを担当するITリーダーに向けて押さえておくべきトップ・トレンド、ベスト・プラクティス、知見やガイダンスを提供します。コンファレンスのニュースと最新情報は、Xでご覧いただけます (#GartnerIO)。

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