2024年8月1日

Gartner、日本企業のIT人材に関する調査結果を発表

日本企業は量的にも質的にもIT人材不足に陥っている

 

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、 日本企業のIT人材に関する調査結果を発表しました。

IT関連人材の不足が叫ばれて久しい中、デジタルやAIへの対応などによるIT人材の需要が増加傾向にあるのに対し、少子高齢化や人口減少などによって供給される人材は減少傾向にあります。そのため、IT人材の不足は、将来ますます深刻化すると予測されます。

Gartnerは2024年4月に、年間売上高500億円以上の日本企業でITやデジタルの戦略策定に携わっている役職者を対象としたITマネジメント調査を実施しました。調査において人材や組織の課題に関して選択式で自社に当てはまるものを複数回答で尋ねたところ、「質的な人材不足」を1位に選んだ回答者は14.5%、3位までに選んだ回答者の合計は31.9%と、どの選択肢よりも多い回答が得られました。さらに、どのような人材がどの程度不足しているかを尋ねましたが、選択肢に挙げた13種類の人材のいずれにおいても、不足している状況が明らかになりました (図1参照)。

図1. 人材不足の状況
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出典:Gartner (2024年8月)

今回の調査では、4割前後の日本企業において、選択肢に挙げた13種類の人材のいずれもが大いに不足しており、多少の不足まで含めるといずれも8割を超えています。シニア ディレクター アナリストの一志 達也は次のように述べています。「デジタル・トランスフォーメーション (DX) やクラウドAIといった比較的新しい技術に対応する人材だけでなく、基幹系システムなど旧来のITに対応する人材でさえ不足しています。多岐にわたる質的な人材不足を補うには、多様な能力を持つ相当数の人材を獲得する必要があります」

採用強化だけでなく既存人材のエンゲージメント向上のための施策が重要

現在取り組んでいる人材不足への対応策を複数回答可で尋ねたところ、中途採用の積極化が第1位で47.3%、次にインターン制度の活用 (31.8%) で、新卒採用における条件の改善は第4位とはいえ30.8%に上りました。また、アルムナイ採用 (退職者の再雇用) にも回答者の23.8%が取り組んでいました。

そのほかの対応策としては、働き方改革の促進 (31.0%) や福利厚生の充実 (23.5%)、柔軟な報酬体系の導入 (19.3%) など、採用だけでなく既存人材のエンゲージメント向上による離職防止に役立つと考えられる回答が並びました。

一方、人材の定着率やエンゲージメント向上のための施策について選択肢を示し、それぞれの採用状況を尋ねたところ、フレキシブルな勤務時間 (59.1%) やリモートワーク (58.8%) を既に採用している割合は半数を超えていました。副業を解禁している企業も35.5%あり、日本企業における働き方の自由度は、近年相当高くなっていることがうかがえます。さらに、週休3日制を21.1%が採用しており、12カ月以内に採用予定という回答の割合も18.8%あり、今回の調査結果に限れば、1年後には日本企業の約4割が週休3日制を採用していることになります (図2参照)。

図2. 定着率やエンゲージメント向上の施策

出典:Gartner (2024年8月)

一志は次のように述べています。「IT人材には専門性の高い技術的なスキルに加えて、理解力やコミュニケーション力などのソフト・スキルも求められます。さらに、データ分析やAIなどの台頭でITの多様化も進んでいます。そうした人材を惹きつけるために、企業は自社のブランディングに取り組む必要がありますが、『まだそうした認識がない』、『何をして良いのかわからない』という昔ながらの日本企業も多く見られます。新卒一括採用の一部をIT人材にするのでは、先進的な企業に追いつけないばかりか、ますます取り残されることになります。IT部門は独自のキャリアパスや処遇を整備し、IT専門人材に向けたブランディングで自社の魅力を伝え、必要な能力を備えた人材を獲得する努力が必要です」

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート「日本企業のITが直面する問題の調査報告:全方位的な人材難」で関連する内容をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

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