スーパーアプリとは何か? 特徴、実用的な メリットや活用するにあたっての潜在的な問題点

2022年12月3日更新

まだ登場したばかりであり、成熟の余地のあるテクノロジ「スーパーアプリ」はガートナーによる2023年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドのひとつです。
今後、実用的なメリットや、より豊かなエクスペリエンスをもたらすことが期待されています。
スーパーアプリの特徴、実用的なメリットや活用するにあたっての潜在的な問題点を解説します。

ポイント

  • スーパーアプリは、より魅力的で強力なエクスペリエンスをユーザーにもたらす可能性がある。
  • ミニアプリ (ミニプログラムとも呼ばれる) を通じてパーソナライズされたアプリ・エクスペリエンスを実現するためのプラットフォームとして構築される。

  • 競争優位性を獲得するために、さまざまな業界でスーパーアプリが採用されている。

スーパーアプリとは何か?

スーパーアプリとは、スイス・アーミー・ナイフのように、特定の目的を果たすツールを複数含むものです。ユーザーは、必要に応じて任意のツール (ミニアプリ) を追加/削除できます。メッセージング・サービスや決済サービスなど、よく利用される多数のアプリ・サービスを提供するプラットフォーム上で稼働します。スーパーアプリのユーザーは、任意のミニアプリ (1つのタスクの実行に特化したアプリ) を選択してインストールし、スーパーアプリのパーソナライズされたユーザー・エクスペリエンス (UX) を作り出すことができます。

ガートナーのアナリストでディスティングイッシュト バイス プレジデントのジェーソン・ウォン (Jason Wong) は、次のように述べています。「スーパーアプリは、単なるコンポジット (複合型) モバイル・アプリやWebポータルではありません。モジュール型のミニアプリを提供するためのプラットフォームであり、ユーザーはパーソナライズされたアプリ体験を得られます。ソフトウェア・エンジニアリング・リーダーは、自社のコンポーザブル・ビジネス戦略の文脈でスーパーアプリの位置付けを確認すべきです」

スーパーアプリの概念は拡大しており、ワークフロー、コラボレーション、メッセージング・プラットフォームなどのエンタプライズ・モバイル/デスクトップ・エクスペリエンスまで含まれるようになっています。最終的にスーパーアプリは、チャットボット、モノのインターネット (IoT) テクノロジ、そしてメタバースのようなイマーシブ・エクスペリエンスもサポートするようになるでしょう。

スーパーアプリの特徴

複数の社内開発チームや外部パートナーが、モジュール形式のミニアプリ (ミニプログラム) を構築し、スーパーアプリにデプロイすることで、このエコシステムを通じて、ユーザーに個別のサービスを提供できます。また、こうしたプロバイダーのエコシステムは、アプリ内から幅広いサービスへのアクセスを容易にし、スーパーアプリの価値を高めます。

ソフトウェア・エンジニアリング・リーダーがスーパーアプリを構築する際に役立つツールやプラットフォームは、さまざまなテクノロジ・ベンダーから提供されています。

以下に例を示します。

  • サービスとしてのプラットフォーム (PaaS) ベンダー:クラウド・プラットフォーム・ソリューションを提供する

  • フロントエンド・フレームワーク:Webアプリやモバイル・アプリにミニアプリをデプロイ可能にする

  • マルチエクスペリエンス (MX) 開発プラットフォーム

  • ローコード・アプリケーション・プラットフォーム (LCAP)

  • 開発サービス・プロバイダー

ユーザーは、必要に応じて任意のミニアプリをスーパーアプリ内で選択することで、スーパーアプリ・エクスペリエンスをカスタマイズできます。鍵はデータ共有であり、シングル・サインオン (SSO) などのシンプルなユーザー認証、ユーザーの設定やアプリの使用状況の追跡などが共有対象になります。

スーパーアプリの用途およびメリット

スーパーアプリは、金融サービスのように、複数のモバイル・アプリのサービス/機能を1つのアプリに集約して顧客に提供するために構築されることが多くあります。また、ソフトウェア・エンジニアリング・リーダーは、従業員により魅力的なエクスペリエンスを提供するために、スーパーアプリを構築することが可能です。

こうしたスーパーアプリは、規模の経済を実現し、大規模なユーザー基盤や複数のミニアプリ・チームから成るネットワーク効果を活用する上で役立ちます。スーパーアプリの最も重要な点は、ミニアプリやサービスをまとめた独自のツールボックスをユーザーが起動できるようにして、UXを改善できることです。

スーパーアプリのデメリットとなる潜在的な要因

  • テクノロジの実装よりも、ビジネス・エコシステムの構築が大きな課題になる場合がある。
  • アプリとのインタラクションは、ユーザーごとに好みが異なる。このため、スーパーアプリの設計を対象ユーザーに合わせることや、スーパーアプリに公開するミニアプリの一貫性を保つことが、スーパーアプリの採用や維持に影響を及ぼす可能性がある。

【海外発の Gartner Articles】
本資料は、ガートナーが海外で発信している記事を一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含め Gartner が英文で発表した記事に関する情報は、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/

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