生成AIによるクラウドERPの進化は、業務効率の向上、コスト削減、迅速な意思決定に期待が寄せられています。本記事では、CIOやITリーダーを対象に、自社のERPソリューションの成熟度・要件および将来の戦略と比較するのに役立つ20の実用的なユースケースをご紹介し、どのようにガートナーの知見を企業のビジネス戦略にご活用いただけるかをご説明します。
ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)には、並々ならぬネガティブな見方がつきまとっています。ガートナーの調査によると、最近実施されたERPイニシアティブの70%以上が、2027年までに当初のビジネス・ユースケースの目標を達成できず、そのうち25%は、重大なリスクに直面する可能性があります。
ERPイニシアティブをビジネス戦略の目標と一致させることが、成功の鍵となります。ガートナーのリサーチノートをダウンロードすると、以下の知見を得られます。
ERPイニシアティブがもたらす将来のビジネス価値を、組織内のステークホルダーに明確かつ魅力的に伝える
ERPソリューションによるイノベーションを活用し、現状に疑問を投げかける意欲のあるステークホルダーを集め、初期段階から期待を高め、推進する
エンドユーザーの「自分たちにとってのメリットは何か?」という疑問に答え、従業員の体験向上に取り組む姿勢をを示すことで、ERPイニシアティブに対する全社的な支持を得る
生成AIは、クラウドERPソリューション内のさまざまな業務プロセスを自動化し、効率化を促進します。例えば、請求書処理、財務照合、現金回収、チャットボットを活用したユーザーサポートなどが含まれます。これにより、業務コスト削減、人的エラーの低減、意思決定の迅速化が可能になります。
ガートナーのリサーチノートでは、20のユースケースが提示されています(図「クラウドERP向け生成AIのユースケース比較」参照)。各ユースケースには、2024年5月時点での実現可能性、および⼀般的な企業が1年で実現し得る価値に基づいてスコアが付けられています*。
*これは⼀般的な評価であり、企業は自社の成熟度・要件と比較しながら検証する必要があります。
前図「クラウドERP向け生成AIユースケース比較」に取り上げられている20のユースケースは、特に財務管理、受注から入金まで(O2C)、ソーシング/調達、製造/サプライチェーン、従業員管理の業務に適用できます。これら以外にも、あらゆる業務に等しく適用可能なものや、ERPシステム自体のサポートに使用されるものがあります。
この比較チャートは、20のユースケースをビジネス価値と実現可能性の観点で整理し、戦略的議論やベンダー選定の意思決定に役立ちます。
ガートナーが提示するクラウドERP向けた生成AIのユースケースは、次の3つのカテゴリに分類されます。ここでは、各カテゴリに配置されているユースケースの例も提示します*。
1. 有望(実現可能性・価値ともに高い)
2. 計算されたリスク(価値は高いが実現には課題あり)
3. わずかな利益(実現可能性はあるが、価値は限定的となる可能性あり)
*図に示す20すべてのユースケースについての価値や実現可能性の詳細は、リサーチノート「クラウドERP向け⽣成AIのユースケース⽐較」よりご確認いただけます。本リサーチノートに関する詳しい情報は、こちらからお問い合わせください。
まずは、自社のERPの成熟度や戦略的目標に照らし合わせ、導入すべきユースケースを選定する必要があります*。
ガートナーでは、各ユースケースを選定する判断基準については、「価値」と「実現可能性」とに次元を分け、それぞれ以下の観点より、各ユースケースの概要を説明しています。
1. 価値
2. 実現可能性
*ガートナーのツールキット「Toolkit: Discover and Prioritize Your Best AI Use Cases With a Gartner Prism」を活用すれば、自社のニーズに合わせてカスタマイズも可能ですので、ご興味ありましたらお問い合わせください。
生成AI対応の各ユースケースが財務管理、受注・入金管理、ソーシング/調達、製造/サプライチェーン、従業員管理などの業務にどのように適用できるかを可視化することで、優先順位付けに役立ちます。
一般的に、複数の関連業務へのパイプラインが長く示されるユースケースほど、総合的なビジネス価値は高くなります。また、パイプラインで可視化することで、有益な議論の発端となる重要なステークホルダーをピンポイントで特定するマップとしてもお役立ていただけます。
ガートナーでは、この可視化された「クラウドERP向け生成AIユースケースのパイプライン」をリサーチノート「クラウドERP向け生成AIのユースケース比較」の中でご紹介していますので、ご関心ある方は是非お問い合わせください。
生成AIの台頭は、ERP戦略に生成AIを取り入れる適切なタイミングについて、多くの疑問をもたらしています。以下のポイントを考慮し、性急な意思決定による期待外れの結果を回避する必要があります。
本記事でご紹介した20の生成AIユースケースは、ERP内の生成AIユースケースすべてを網羅しているわけではありません。新たなユースケースが急速に発展する可能性もありますので、CIOやITリーダーの皆さまは意思決定の情報源として、ERPに関するガートナーの知見をご活用ください。
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