2025年2月26日

Gartner、オンプレミスに関する最新の展望を発表:2026年末まで、日本企業の半数は、従来型の仮想化基盤の近代化に失敗する

従来の常識や既成概念から脱却し、AI/生成AIを活用したプラットフォーム戦略へと転換することが企業の喫緊のチャレンジである

 

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、オンプレミスに関する最新の展望を発表しました。Gartnerは、2026年末まで、日本企業の半数は、従来型の仮想化基盤の近代化に失敗するとみています。

ベンダーによるメインフレームのサポート終了や主要な仮想基盤におけるライセンス変更、それに伴うソリューション提案内容の多様化により、既存環境の見直しが進められ、レガシー・マイグレーションの議論が活発になっています。Gartnerにも特にサーバ仮想化基盤の維持や移行と代替製品に関する問い合わせが多数寄せられています。

多くのユーザー企業ではこれまで、サーバ仮想化の選択肢を検討することがほとんどありませんでした。そのため、そうした企業では、近代化のための代替ソリューションの選択肢として挙げられるコンテナ/Kubernetesやハイパーコンバージド・インフラストラクチャ (HCI)、クラウド・サービス上でのVM (仮想マシン) インスタンスを含むコンピューティングの抽象化技術とそのトレンドについての理解に遅れが見られ、合理的な判断に時間がかかっています。

Gartnerは、オンプレミスの仮想化基盤の移行先としてクラウド・サービスを選択したとしても、単なる「リフト」だけとなり、「最適化」「シフト」には至らず、コストも減らないどころか増えるとみています。また、既存の仮想化基盤だけにフォーカスし、代替テクノロジを採用したとしても、そのオペレーションの変更が追い付かず、スキルやケイパビリティが不足しているため重大インシデントに見舞われる恐れがあると注意喚起しています。

ディレクター アナリストの青山 浩子は次のように述べています。「オンプレミスの仮想化基盤の近代化を狙うには、そのアプリケーションの近代化およびワークロードの再配置までを視野に入れて検討することが重要です。併せて、技術的にレガシー化/老朽化しているものは削減・廃止を検討すべきです」

Gartnerは、2028年末まで、日本のIT部門の70%は、オンプレミス・インフラの老朽化対応について予算を超過し、経営層から厳しく追及されるという仮説も立てています。

「いつもどおり、従来どおりであるから安心・安全」「これまでは特に問題が起きていない」「ITシステムの標準化によって複雑さを避ける」「現在、手に負える範囲にとどめる」といった前例にならった説明や「(旧来の) 常識的な」対応では、近代化を進めるためのITインフラ投資を正当化することはできなくなっています。

従来型のITインフラはこれまでは成熟した「枯れたテクノロジ」を用いた基盤であったため、インフラストラクチャとオペレーション (I&O) 部門にとってはコスト低減が第一のミッションでした。一方、AIや生成AIの実装はインフラ・レイヤにまで及んでいます。AI/生成AIへの投資マインドが高まっており、経営層は、レガシー・インフラの維持や保守に数十億円の固定費をかけるよりも、新たなビジネスを支える新興テクノロジへの投資を増やしたいと考えています。

ベンダーの競争の場と戦略上のフォーカス変化にも目を向ける必要があります。レガシー・マイグレーションのソリューションは高額、かつ改修期間の長期化が見込まれます。一方、Gartnerの2025年CIO/テクノロジ・エグゼクティブ・サーベイからは、レガシー・インフラや旧来のスタイルのオンプレミス環境で長きにわたって使い続けてきたデータセンター・テクノロジに対しては、日本企業のCIOの50%が2025年に投資を減らす意向を示していることが明らかになっています。

青山は次のように述べています。「I&Oリーダーは、今後、老朽化対策をIT部門だけで進めるのではなく、新興テクノロジへの投資も含めて、経営層やビジネス部門と対話しながら行うことが重要です。断捨離を行い、IT投資とコスト最適化のプロセスをサービス運営の視点に立って標準化することが求められます」

オンプレミスにまつわる従来の常識や既成概念から脱却し、オンプレミスかクラウドかに関係なくAI/生成AIを活用したプラットフォーム戦略へと転換することがI&Oリーダーには求められています。レガシー・インフラに関する負の遺産を戦略的にどう解消し次世代のインフラへと進化させていくかは、喫緊の課題です。「戦力外通告」を待たず、ITインフラの近代化にどう取り組んでいくかが今後の企業の存続に関わるとGartnerはみています。

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート「2025年の展望:オンプレミスの将来」で詳細をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

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