- ITリーダーは、ステークホルダーの (意図や予測ではなく) 実際の行動に対して高度なオーケストレーションを適用して利用することで、競争優位性を向上できる
- ビジネスとITの意思決定を改善および加速させ、一貫性と効果を高めることが、成功の鍵となる
- オブザーバビリティは、予測や予想ではなく、真の意味で証拠に基づく意思決定の源泉となる
2023年1月16日
未来は予測するものではなく、準備するものです。例えば、スピード違反回数に基づく予測から、自動車保険料が算出されるのではなく、ドライバーの実際の運転行動に基づいて、適切に自動車保険料が決定される状況を想像してみてください。
Tesla社は、「観測可能な」リアルタイムの運転行動のみに基づき、保険を提供しています。Tesla車両は、センサを使用して運転行動を「観察」して測定することで、毎月の安全性スコアを算出しています。平均的なドライバーは保険料を20~40%節約でき、最高レベルのスコアを保持するドライバーであれば40~60%節約できると推定されています。
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ガートナーのアナリストでディスティングイッシュト バイス プレジデントのデイヴィッド・グルームブリッジ (David Groombridge) は、Gartner IT Symposium/Xpo™で次のように述べています。「オブザーバビリティの応用は、ステークホルダーの意図ではなく確認された行動に基づくものであり、創造力ではなく明確さを重視します。『何を決定したのか』や『計画とは違う形で実施されたのか』を把握していなかったとしても、実際の成果をデータで確認できます。そうしたデータが捕捉されたコンテキストを含めて、AIで分析および提案を行うことで、企業がより迅速かつ正確に将来の意思決定を下すためのフィードバック・ループを形成できます」
オブザーバビリティの体系的な応用により、組織は対応スピードを高め、リアルタイムにビジネス・オペレーションを最適化できます。
2026年までに、オブザーバビリティの応用を成功させる組織の70%は、意思決定の遅れを短縮し、対象となるビジネス・プロセス/ITプロセスの競争優位性を実現すると、ガートナーは予想しています。
アナリストでディスティングイッシュト バイス プレジデントのフランシス・カラモウジ (Frances Karamouzis) は、次のように述べています。「オブザーバビリティのビジネス価値は、表面に現れた情報を利用して、その背後に隠れているものを理解することです。観測可能なデータは、意図や義務、約束といったものではなく、確認されたステークホルダーの行動から得られるものであり、真の意味で証拠に基づく意思決定の源泉となるため、高い価値があります」
オブザーバビリティの応用によって、組織はデータ・アーティファクト (データによる成果物) を競争優位性のために利用できるようになります。戦略的に計画し、実行を成功させることにより、オブザーバビリティの応用はデータ・ドリブンな意思決定の最も強力なアプローチとなります。
オブザーバビリティ能力の構築は、以下のような多くの職務領域で急速に進んでいます。
オブザーバビリティとは、単一のテクノロジや、定義された市場ではありません。ビジネスの多くの機能と階層にわたるものであり、ツールを適用することによって、生成された観測可能なデータの価値が高まります。ユーザーが結果を活用できるものとしては、意思決定インテリジェンスとアナリティクス・ソリューションが最も一般的です。
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オブザーバビリティ:システムで生成される外部データに基づいて、そのシステムの内部で何が起こっているかを理解する能力。オブザーバビリティのためには、複数のソースからの実用的なデータを適切に接続/最適化/拡張してコンテキストに対応させる必要がある
観測可能なデータ:観察して直接測定できるすべての可変要素。企業の場合には、1つまたは複数の既存ITシステムからもたらされることが多い
オブザーバビリティの応用では、以下の3つの要素が重要となります。
機会の民主化:どの組織にも、デジタル化された成果物という形で、観測可能なデータが膨大に存在する。そのようなデータを、特に組織全体で強力な能力に変えることが課題となる
同時進行する複数のデータ・レイヤ:インフラストラクチャ・オペレーション、ミドルウェア、アプリケーション、データ、機能ワークフロー、ビジネス・プロセスといった、組織内のさまざまなレイヤに存在する。各レイヤのビジネス/ITのオーナーは、既にオブザーバビリティの多様な要素を模索していることも多いが、これらのレイヤをまとめることで価値を大幅に高めることができる
実装:並列する複数のレイヤからの要求が重なるため、実装は長期にわたる複雑で困難な取り組みになりかねない。しかし、論理的な段階に分割することも可能であり、そのためには組織全体にわたる強力な包括的な戦略プラン/青写真が必要となる
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オブザーバビリティの応用を役立てることで、組織はほぼリアルタイムでの対応が可能になります。対応の速さは、顧客満足度やロイヤリティの向上につながります。ステークホルダーの行動から組織の対応までのフィードバック・ループを短縮することで、顧客のポジティブ/ネガティブなアクションや不決断 (または情報不足) に基づいて、先を見越してビジネスの意思決定を計画できます。例えば、顧客の行動と報酬のメカニズムにポジティブなフィードバック・ループがあれば、顧客ロイヤルティを向上させる重要な差別化要因になり得ます。同様に、実際の顧客行動をリスクの尺度として用いることで、理論的な顧客モデルを使用する場合よりもリスクを低減できます。
David Groombridgeは、ガートナー リサーチ&アドバイザリのIT Leaders and Technical Professionalsチームのアナリストで、ディスティングイッシュト バイス プレジデントです。ITソーシング・サイクルのすべての段階について分析を行っており、特にアウトソーシングによるデジタル・ワークプレース・サービス、ハイブリッド・インフラストラクチャ・サービス、SAPシステムのホスティングにおけるソーシングのベスト・プラクティスに注力しています。また、ベンダーの選定、契約の価格設定/構造/条件、商談などについて、顧客企業に指針を提供しています。
Frances Karamouzisは、ガートナー リサーチ&アドバイザリ グループのアナリストで、ディスティングイッシュト バイス プレジデントです。AI、ハイパーオートメーション (ロボティック・プロセス・オートメーション [RPA] やディシジョン・モデリングを含む) のほか、成果を高めるためのビジネス/ITサービスを専門としています。戦略的プランニング、評価、ビジネスケース、サービス・デリバリ能力、破壊的なインパクトをもたらすトレンドといった分野のリサーチに注力しています。
【海外発の Gartner Articles】
本資料は、ガートナーが海外で発信している記事を一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含め Gartner が英文で発表した記事に関する情報は、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/
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