メタバースでビジネス・チャンスをつかむために取り組むべきことは何か?

2022年7月30日

ビジネス・チャンスとなる新たな価値交換の仕組みを生み出すために、実際にメタバースを試してみましょう。

ポイント

  • メタバースは、新しいデジタル・ビジネス資産と価値交換モデルを用いて、経済的なチャンスをもたらす。
  • 企業はメタバースを活用して、人間とマシンの両方のカスタマー・エクスペリエンスを強化できる。
  • メタバースは、エグゼクティブ・リーダーにとってデジタル・トランスフォーメーション戦略の拡大に役立つが、成功させるためには、経済面や財務/ビジネスモデルの重要な要素を理解する必要がある。

メタバースは、新しい種類のデジタル・ビジネス資産 (DBA) と価値交換モデルを用いて、経済的なチャンスをもたらします。デジタル・トランスフォーメーション戦略を確かなものにするためには、仮想世界におけるプロダクト開発、ブランド戦略、顧客エンゲージメント、財務フローなどを検討する必要があります。

今すぐダウンロード (英語):2021-2023 Emerging Technology Roadmap

すでにメタバースを実際に試している企業は、人間とマシンのどちらの顧客ともつながり、関わり合い、動機付けをして、新しい価値交換、収益源、市場を生み出しています。ガートナーでは、完全なメタバースは、デバイスに依存することも、単一ベンダーに所有されることもないと予測しています。そこには仮想経済が存在し、デジタル・ビジネス資産 (DBA)を用いながら、交流やコミュニケーション、遊び、議論、学習、ビジネスが可能になると考えています。

メタバースでビジネス・チャンスをつかむために、エグゼクティブ・リーダーが考慮すべき要素

メタバースは、経済や顧客エンゲージメントを向上させる可能性を秘めていますが、メタバースでビジネス・チャンスをつかむには、以下の点を考慮する必要があります。

  • テクノロジが幅広い変革をもたらすプログラマブル・エコノミー*でどのように市場が形成されるのか。
  • ビジネスモデルと財務モデルがどのように実行に移されるのか。
  • デジタル・ビジネス資産 (DBA)がどのように顧客エンゲージメントに組み込まれるのか。

*プログラマブル・エコノミーとは、次のようにガートナーでは定義しています:"プログラマブル・エコノミーとは、分散した (いわゆる「胴元」がいない) 非中央集権型のデジタル・リソースから成る大規模な基盤として用いる、本質的に「インテリジェントな」経済システムである。このシステムは、商品やサービスの生産と消費をサポートし、イノベーション、起業、人/マシンによる価値交換 (金銭的および非金銭的) の多様なシナリオを実現する。”

上に取り上げた要素について、メタバースのビジネスモデルの例を使用しながら説明しましょう。

ゲームをしている顧客は、従来のブランド企業が恐らくまだターゲットにしておらず、現時点では、まだ対応できていないような経済的な商品/サービスや価値提案を求めています。こうした顧客の需要が後押しする形で、Web 2.0の利用者は、ブロックチェーン・テクノロジによって実現するデジタル・ビジネス資産 (DBA)を用いて、Web3.0 (Web 3) の機能を利用するようになります。

メタバースの環境では、どのような通信プロトコルが利用されることになるのかはまだ分からないですが、現在のデジタル・インタラクション (Webサイトやアプリケーション) を完全に置き換えることにはならないでしょう。しかし、新しいタイプのインタラクションやビジネスモデルが登場する可能性は高いと考えられます。

メタバースは、戦略的ビジネス・イノベーションに影響を及ぼすテクノロジです。新しいプロダクトの開発やデジタル・トランスフォーメーションを支える上で要不可欠なのは、先進テクノロジを特定して検証し、追跡することです。メタバースは発展の初期段階にありますが、アナログからデジタルへの移行がそうであったように、メタバースへの移行も相当な規模になるはずです。

メタバースでビジネス・チャンスをつかむために、エグゼクティブ・リーダーが起こすべき4つのアクション

  1. さまざまなエコシステムでの価値の流れを示すマップを作成することで、Web 2.0とWeb 3.0 (Web3) の世界の違いを評価する。
  2. エコシステム間で持ち運び可能なデジタル・ビジネス資産 (DBA)の発行、使用、支払い、保管、交換を計画する。
  3. プロダクトのプロモーションに関連する企業活動を広告のリーチや頻度 (および人口動態別のコスト) の観点から検証し、それをプログラマブル・エコノミーとメタバースのコンテキストで調達/測定する方法を検討する。
  4.  人工知能 (AI)、ブロックチェーン、顧客、ユーザーに加え、特に、3Dエクスペリエンス、アバターの作成と行動、さらにはデータの取得と分析の能力を身に付ける。

プログラマブル・デジタル・テクノロジを通じて、マシンによる経済活動の促進、強化、変革がますます進むことになるでしょう。マシン・カスタマー  (顧客としてのマシン) は、既存参加者の消費を促すものとして、あるいは企業や人間の代わりに価値交換や交渉を行うためにデジタル・ビジネス資産 (DBA)で使用される自律型マシンとして、メタバースで当たり前のように存在するものになることが考えられます。

企業がメタバースを効果的に利用することで、人間の顧客やマシン・カスタマーとうまくつながり、関わり合い、動機付けをして、新しい価値交換、収益源、市場を生み出すことができるようになります。

【海外発の Gartner Articles】
本資料は、ガートナーが海外で発信している記事を一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含め Gartner が英文で発表した記事に関する情報は、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/

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