次世代ワイヤレスの高付加価値とは何か?

2022年12月4日

「ワイヤレスの高付加価値化」はガートナーによる2023年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドのひとつです。「ワイヤレスの高付加価値化」とは、デジタル・サービスを新しいコンテキストや顧客へと拡張することによって、ビジネス機会を拡大していくことです。

ポイント

  • ワイヤレスの高付加価値化は、企業ネットワークに対する責任が変化する中で、アプリケーションおよび組織の変革によって推進される。

  • ワイヤレスの高付加価値化は、重要なビジネス成果に必要なデータを提供するテクノロジと機能を取り入れることで、デジタル・トランスフォーメーションを加速させる。

  • ワイヤレスの高付加価値化によるユーザーにとってのメリットは、リスク削減、コスト最適化、接続のコンプライアンス、開発者や顧客への価値提案の強化などが挙げられる。

次世代のワイヤレス・テクノロジは、新しいサービスの提供、既存サービスの改善、設備投資費の削減をさまざまな方法で実現します。ガートナーではこれを「ワイヤレスの高付加価値化」と呼んでいます。

単一のインフラストラクチャ上で、それぞれ異なるワイヤレス・テクノロジ (あるいはソリューション全体) が連携することで、次のようなメリットが得られます。

  • 位置特定、エネルギー・ハーベスティング (環境発電)/バッテリ不要のオペレーション、センシングなど、多様な新しいコンテキストを展開できる
  •  インフラストラクチャ・オペレーションの自動化とセルフサービス機能により、開発者エクスペリエンスと生産性を向上できる
  • 一体的なネットワーク接続とセキュリティにより、オペレーショナル・テクノロジ (OT)、情報テクノロジ (IT)、ビジネス部門 (LOB) のオペレーションの移行パスを提供できる
  • コスト効率、信頼性、拡張性に優れた技術基盤により、設備投資費を削減できる

ガートナーのアナリストでバイス プレジデントのティム・ジマーマン (Tim Zimmerman)は、次のように述べています。「180億ものエッジ/IoTデバイスが、企業のインフラストラクチャに接続されつつあります。ワイヤレスの高付加価値化とは、この機会を捉え、新しいサービスやイノベーションへとさらに機会を広げていくことを意味します」

ガートナーの予測では、2025年までに企業のワイヤレス・エンドポイントの50%において、通信以外の機能を提供するネットワーク・サービスが利用されるようになります。これは現在の15%未満からの大幅な上昇です。

ジマーマンは次のように続けます。「ワイヤレスはマルチテクノロジの媒体というだけではなく、環境のセンシングや、電力が存在しない場所での電力供給、資産の検出、被災者の位置特定などに使用できるようになります。またワイヤレスによって、従業員をモニタリングして環境の安全性を高めたり、重要な資産の移動を最適化したりすることもできます」

ワイヤレスの未来

「ワイヤレスの高付加価値化」先進テクノロジのトレンドであり、帯域幅や距離、消費電力といった面での、ワイヤレスの継続的な進化を生かすユースケースが増加しています。

テクノロジは主に2つの方向に進化しています。1つ目は、ワイヤレスの基本的な通信能力は引き続き向上し、これまでよりもはるかに幅広いタスクをこなせるようになるというものです。2つ目は、ワイヤレスは単なる接続にとどまらず、以下の分野でデジタル・イノベーションの基盤として機能できるようになるというものです。

  •  位置追跡:大半の主流のワイヤレス・テクノロジは、接続されたエンドポイントの位置を検知できます。
  • レーダー・センシング:多くのワイヤレス・ネットワーク・システムには、レーダーのようなサービスを導入できます。ネットワークと通信を行っているエンドポイントを用いて、位置を特定します。
  • 付加価値サービス:Wi-Fiや携帯通信などのテクノロジでは、車両間通信、ブロードキャスト、マルチキャスト、メディア固有の機能など、付加価値サービスが拡大しており、新しいワイヤレスのユースケースが登場しています。
  • ユビキタス (遍在性):特に携帯通信の展開や低軌道 (LEO) 衛星の新しいコンステレーションによって、まだネットワークにつながっていない地域にインターネットやIoT接続が広がり、ユビキタスが向上します。
  • 超低消費電力のワイヤレス・システム:ワイヤレス・エネルギー・ハーベスティングと、BluetoothやNFCなどのプロトコルを使用することで、バッテリ不要のオペレーションが可能になります。これにより、新しいタイプのタグ付けや追跡が実現します。

こうしたイノベーション分野の登場は、ワイヤレスが通信テクノロジから、広範なデジタル・イノベーション・プラットフォームへと姿を変えつつあることを意味します。テクノロジ担当幹部は、デジタル・ビジネスをサポートするために用いられる、ワイヤレスの幅広い利用、プロトコル、機能に備える必要があります。

「ワイヤレスの高付加価値化」の未来

ワイヤレスは、新しいサービスやイノベーションの入り口です。組織はさまざまなコンテキストに対応し、複数のワイヤレス・テクノロジを活用して、接続性、信頼性、サービスを提供する必要があります。5G、Wi-Fi、Bluetoothなどの主なワイヤレス・テクノロジのロードマップには、センシング、位置追跡、エネルギー・ハーベスティングなどの新しい機能が含まれています。

次世代ワイヤレスの機能は、ビジネス・ディスラプション (ビジネスの破壊的な影響) の機会を広げ、接続にとどまらない新しいデジタル・サービスを、新しいコンテキストや顧客に幅広くもたらします。こうしたサービスには、センシング、アプリケーション・サービス、電力供給、統合処理などが含まれます。複数のワイヤレス・テクノロジが統合されることで、コスト効率、信頼性、拡張性に優れた技術基盤が実現し、設備投資費を削減できます。

【海外発の Gartner Articles】
本資料は、ガートナーが海外で発信している記事を一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含め Gartner が英文で発表した記事に関する情報は、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/smarterwithgartner/

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