2024年8月27日

Gartner、企業のITリーダーは、テクノロジがもたらすワークプレースの刷新に今すぐ挑むべきとの見解を発表

「ガートナー デジタル・ワークプレース サミット」(8月27~28日) において、未来の働き方の実現に向けて押さえておくべき3つのアプローチを解説

 

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、企業のITリーダーは、ワークプレースの刷新に今すぐ挑むべきとの見解を発表しました。

ディレクター アナリストのオータム スタニシュ (Autumn Stanish) は、次のように述べています。「デジタル・ワークプレース・リーダーは往々にして、野望ではなく生き残ることに重点を置いています。日々直面する課題を解決するだけの受け身的なアプローチでは、いつまでたっても問題の対応に追われるだけです」

デジタル・ワークプレースの新しい世界では、従業員はテクノロジストになります。Gartnerの2024年Digital Worker Survey (デジタル・ワーカー調査) によると、既にツールを使用するユーザーの割合よりも、自らがツールをカスタマイズし、構築するビルダーの割合の方が多くなっています。バイス プレジデント アナリストのトリ ポールマン (Tori Paulman) は、次のように述べています。「現在は、IT部門が従業員のテクノロジに関する問題を解決していますが、将来は、従業員がテクノロジを活用して、自分達のビジネス上の問題を解決するようになります。そして、デジタル・ワークプレース・リーダーは、未来の働き方をデザインする設計リーダーになります。これは達成可能な野望です」

本日から開催しているガートナー デジタル・ワークプレース サミットのオープニング基調講演において、ポールマンとスタニシュは、Gartnerのデジタル・ワークプレース成熟度モデルの5つのレベルを基に、達成可能な野望 (目標) を掲げて未来の働き方を実現するための現実的なアプローチを解説しました。

新しい世界を思い描く:現状を把握し、目指すべき未来を思い描く

Gartnerのデジタル・ワークプレース成熟度モデルの5つのレベルは、以下の3つの領域に分けられます。

・インフラストラクチャの近代化:業務を継続させ、テクノロジのライフサイクルと変化に対応する
・新しい働き方:ビジネス成果を高めるために、従業員の能力を高め、テクノロジでより多くを実現できるよう支援する
・ビジネス・トランスフォーメーション:ビジネス部門と連携してテクノロジを共創する

企業の多くは、「インフラストラクチャの近代化」を目的としたデジタル・ワークプレースの取り組みを推進しています。一方で、「インフラストラクチャの近代化」の段階で止まってしまい、「新しい働き方」「ビジネス・トランスフォーメーション」の野望を掲げていても、ほとんどの場合はそれらの実現までに至っていません。

スタニシュは次のように述べています。「デジタル・ワークプレース・プログラムは、テクノロジ問題の対応に追われて、未来の働き方の実現以前の受け身的なサポートを繰り返す悪循環に陥っています。この悪循環をひっくり返すには、より高い野望を掲げて、未来を描き、そこに向けた取り組みを行う必要があります」

現在、すべての経営者がAI、特に生成AIに関心を寄せており、CEOの半数以上は、テクノロジ・リーダーが生成AIへの取り組みを主導することを期待しています。しかし一方で、日本のテクノロジ・リーダーの64%は新しいテクノロジはビジネス部門が主導すべきだと考えていることが明らかになっています。

また、現在、多くの企業が、日常型AI (日常の仕事を手助けしてくれる生成AI) を導入しており、 従業員の生産性を20%向上すると見込んでいます。特に日本企業は、グローバル企業に比べて従業員の日常型AIの活用は進んでいるものの、実際に仕事で頻繁に生成AIを活用する従業員は半数以下となっています。

ポールマンは次のように述べています。「日常型AIをより高度に活用する従業員には、より高度なリスクがつきまといます。AIリスクを管理するには情報管理や従業員への教育の施策が必要です」

一方、AIの価値を高めて従業員の生産性向上を実現するには、ビジネス部門の積極的な関与が求められます。従業員の生産性向上はビジネス・リーダーの重点課題であるため、デジタル・ワークプレース・リーダーには、その支援が求められています。

協力者を確立する:社内のパートナー・ネットワークを確立し、新しい働き方を実現する

デジタル・ワークプレースの取り組みには、人事や施設責任者、ビジネス部門リーダーなどの中核となる協力者や従業員の協力が必須となります。彼らから現状の仕事や働き方の現状を学び、新しい働き方を後押ししてもらうためにも、協力関係を築く事が重要です。

Gartnerの調査によると、CEOと取締役会は、戦略的優先課題のトップ3に「最終利益の拡大」、「適切なテクノロジへの投資」、「従業員の生産性向上」を挙げており、この目標を達成するために日常型AIへの投資や投資対効果を重視しています。2028年までに、デジタル・ワークプレース・リーダーを擁する組織は、リーダーのいない組織と比べて、生成AIなどの先進テクノロジを半分の時間で導入するとGartnerはみています。

デジタル・ワークプレースにおける日常型AIの取り組みでは、評価の指標として、ROI (投資収益率) とROE (従業員収益率) の両方を考える必要があります。ROIでは処理の迅速化、効率性の向上、アウトプットの増加など、ROEでは、定着率の向上、業務達成までの時間の短縮、キャリア・アップなどの指標により、AIの価値を評価することができます。

デジタル・ワークプレース・リーダーは、先進テクノロジを導入して新しい働き方を実現することで、CEOやビジネス・リーダーが求めるビジネス成長と従業員の生産性向上に貢献できます。

野望を達成する:IT部門以外に権限を渡すことで、企業のビジネス成果を実現する

デジタル・ワークプレース・リーダーにとっての実際の目標は、非IT部門との信頼と関係の構築です。成熟したデジタル・ワークプレース・リーダーは、IT部門以外にも権限を移譲しています。非IT部門のパートナーシップに持続的なコミットメントを実証することで、経営幹部、ビジネス・パートナーや従業員に、デジタル・ワークプレースの取り組みを集団的な成果の一部として賞賛されるようになります。結果的に、ビジネス成果にインパクトをもたらします。

デジタル・ワークプレース・リーダーは、従業員と仕事をテクノロジでつなぐ役割を担います。デジタル・ワークプレースの構築はデジタル・ワークプレースの取り組みの半分に過ぎず、残りの半分は、従業員のデジタル・デクステリティ (デジタル・スキルや活用力) によってのみ達成されます。

一方、Gartnerの最新の調査によると、個人のデジタル・スキルがおおむね活用されていると考えている従業員の割合は、2024年現在はわずか35%でした (2022年の52%から減少)。これは、個人のデジタル・スキルがあってもそれが仕事に効果的に使われていないことを示しています。調査からは、自分のスキルを活用できている従業員は、仕事をより効果的に進められ、より自律的に働くことが可能であり、よりキャリア・アップや新規プロジェクトなどの機会に恵まれやすい傾向にあることが明らかになっています。

日本でGartnerが実施した別の調査では、「AIスキルの向上はキャリア・アップにとって重要である」と捉えている割合は71%に上り、日本の従業員は、AIスキルを成長機会と捉えていることが明らかになりました。しかしながら、「現在、AIをフル活用できるスキルを持っている」と回答している従業員は37%にとどまっています。同調査では、日本の多くの従業員が仕事に必要な情報やデータを探すのに苦労していること明らかになっています。

ポールマンは次のように述べています。「デジタル・ワークプレース・リーダーは、従業員にAIツールを提供するだけでなく、AI活用を推進する役割を担い、ビジネス成果を達成できるリーダーになる必要があります。そして従業員のAIスキルを向上させるために、より実践的な教育の機会を提供することが重要です」

AIのスキルが向上するにつれて、人間とAIの関係は変化します。現在は、人がAIの上司のような関係性ですが、人間がAIから学ぶように、AIも人間から学びます。デジタル・ワークプレース・リーダーには、人間とAIの関係の変化を推進し、AIの自律性を高めて、従業員の生産性向上も高める役割が求められます。それには、新しい世界における自身の成長への野望を定義することが重要です。

日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

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ガートナー デジタル・ワークプレース サミットについて

8月27~28日に八芳園本館にて開催中のガートナー デジタル・ワークプレース サミットでは、「今ここにある未来の働き方」をテーマに、これからの企業の命運を左右するワークスタイルやワークプレースについて、CIOやデジタル・ワークプレースの責任者およびリーダーが組織内で真のインパクトをもたらすために必要なインサイト、戦略、フレームワークを解説しています。コンファレンスのニュースと最新情報は、Xでご覧いただけます (#GartnerDW)。

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