デジタル投資を成功に導くCIOの役割とは? 企業価値を高める4つの重要施策

現代のCIOは、かつてない重圧に直面しています。限られた予算の中で、経営陣からの期待に応えながら、デジタル施策を成功に導かなければなりません。ガートナーの本記事では、デジタル投資の成功率を大きく高める実践的な方法論と、それを実現するためのCIOの役割の進化について解説します。

2024年12月14日

2025年のCIOとテクノロジ・エグゼクティブのアジェンダ

ビジネス環境が急速に変化する中、CIOの役割は大きな転換点を迎えています。世界最大規模のCIOおよび経営幹部を対象としたガートナーによる調査から、デジタル時代における重要な洞察が明らかになりました。従来のような「IT部門の責任者」という枠を超えて、CIOには全社的なデジタル変革のリーダーとしての役割が期待されています。

本調査から導き出された重要な示唆から、以下の3つの領域についての洞察を得ることが可能です。

  1. CIOの優先課題の明確化
  2. 部門を超えた影響力の構築
  3. CIOとしてのキャリア発展の指針

本eBookは、現代のCIOが直面する課題に対する実践的な解決策を提供する行動指針です。デジタル変革の時代において、確かな羅針盤となる知見の数々を、ぜひダウンロードしてご確認ください。

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ビジネス成果を実現するために 革新的なリーダーとして重要な4つのアクションについて解説

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企業や組織のDXにおける取り組みについて、現在の成功率はどのくらいか?

2025年のガートナー調査*によると、企業のデジタル施策の成功率は全体で48%にとどまっています。しかし、注目すべき点として「デジタル・ヴァンガード」と呼ばれる先進的なリーダーたちは、71%という高い成功率を達成しています。この大きな差は、デジタル・トランスフォーメーション (DX) の目標達成を目指す企業や組織にとって効果的な戦略の重要性を示しています。

*Gartnerの2025年CIO/テクノロジ・エグゼクティブ・サーベイ:本調査では、世界各地のシニアITリーダーが、戦略的なビジネス/テクノロジ/マネジメント目標について、どのように優先順位を設定しているかを追跡しています。IT部門を主導する、合計4,200人を超えるCIO/テクノロジ・エグゼクティブが調査に回答。調査回答者は、88カ国のさまざまな地域、売り上げ規模、業種 (公的機関および民間企業) を網羅しています。

企業や組織の先進的なリーダーとして頭角を現す「デジタル・ヴァンガード」とは、具体的にどのような特徴を持つリーダーか?

デジタル・ヴァンガードの最大の特徴は、ITとビジネス部門が共同でデジタル施策を推進する点にあります。従来型の「IT部門が開発し、ビジネス部門が支援する」という役割分担ではなく、双方が同じ責任と権限を持って取り組んでいます。具体的には、デジタル・ヴァンガードのCxOは、ビジネス部門スタッフの35%をIT関連業務に携わらせ(通常は21%)、CIOとの打ち合わせ頻度も通常と比べ4倍高いことが分かっています。

デジタル・ヴァンガード:デジタル投資において、継続的に優れた成果を創出しているトップリーダー層を指します。これらのリーダーは、他のリーダーと比較して、デジタル施策における目標達成率、あるいは目標超過達成率が1.5~2倍高いことが特徴です。

出典: Gartner

デジタル・ヴァンガードとしてCIOが成功する鍵とは?

デジタル・ヴァンガードとなるCxOの背後には例外なく、彼らを導き、支援する、デジタル・ヴァンガードのCIOが存在します。こうしたCIOは、デジタル化における自らの成功が、CxOの成功と固く結び付いており、いずれか一方だけ成功することは不可能であるという点を理解しています。

デジタル・ヴァンガードとなるCIOは、自らと共にCxOがデジタル施策を主導できるよう、またビジネス部門スタッフがIT部門と共にデジタル・ソリューションを構築できるように導く必要があります。

デジタル・ヴァンガードのCIOが成功する鍵は、以下の4つの取り組みにあります:

  1. 使いやすく魅力的なプラットフォームの提供:IT部門以外のスタッフでも活用できるプラットフォーム基盤を整備する
  2. アーキテクチャの理解促進:全社的な視点でのシステム設計 (エンタープライズ・アーキテクチャ)、ベンダー管理、コスト管理、サイバーセキュリティの重要性を伝える
  3. ビジネス部門とのイノベーション共創:現場のニーズに基づいた革新的なソリューションを共に作り出す
  4. 人材育成の範囲拡大:IT部門に限らず、全社的な技術力向上を支援し、人材育成の取り組みを、企業全体のビジネス・リーダー/テクノロジストへと拡張する

テクノロジ人材育成の取り組みについて、具体的な成功事例とは?

世界的な肥料メーカーであるCF Industries社*の事例が参考になります。同社のCIOは、ビジネス部門のリーダーがすでに持っているスキルを活かしながら、デジタル・プロダクト・マネージャーとしての能力を育成しました。

既存のビジネス・スキルの延長線上に新しい役割を位置づけることで、ビジネス部門のリーダーたちの積極的な参加を促し、B2Bポータルの利用率と更新頻度の大幅な向上を実現しています。

*CF Industries Holdings, Inc. (NYSE: CF) のWebサイト (英語):www.cfindustries.com

デジタル・ヴァンガードとしてのアプローチがもたらすメリットとは?

デジタル・ヴァンガードとして活動するCIOは、投資効果の向上だけでなく、より高い職務満足度と将来への期待を持ち合わせています。また、経営陣との強固な関係構築や、全社的なイノベーションを目的とした組織文化の醸成にも成功しています。

重要なのは、このアプローチがIT戦略のみならず、企業や組織全体の成長戦略として機能している点です。

ガートナーからCIOの皆様へのメッセージ

DXの成功には、従来のIT部門の枠を超えた全社的な取り組みが不可欠です。デジタル・ヴァンガードとしての実践は、CIO自らの役割を「技術の管理者」から「企業や組織全体のオーケストレーター*」へと進化させ、より大きな価値創造を可能にします。

*デジタル化の機会を啓発する「エバンジェリスト」の役目を超え、他のCレベルの経営幹部と連携してテクノロジ・デリバリを全社レベルで協奏させる役割

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