ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、デジタル・トランスフォーメーションを真の意味で成功させるには業務改革の取り組みから始めることが重要であるとの見解を発表しました。
Gartnerの調査では、世界の経営者が最大の関心を寄せているのは自らのビジネスをいかに成長させるかであることが明らかになっています。自社のビジネス成長を実現するには、競争力のあるビジネス価値をタイムリーに顧客に提供してビジネス価値を認めてもらい、顧客に選んでもらう必要があります。
シニア ディレクター アナリストの川辺 謙介は次のように述べています。「企業の資源は有限です。不確実性が高まり続ける将来に備える上では、安易な増強ではなく、ビジネス価値を生み出す過程の見直し、言い換えると、さまざまな業務をサポートするアプリケーションの見直しや刷新に取り組むことが重要です」
デジタル・トランスフォーメーションの実現を目指して、推進に当たる役員や組織を持つ企業が増加しています。一方で、競争力のあるビジネス価値を創出する抜本的な「トランスフォーメーション」に成功すると考える企業の割合は依然として少ない状況です。Gartnerは、その主要な原因として、以前からの属人的な業務の継続や縦割り型組織による連携の不足にあるとみています。日本企業の多くが取り組む「デジタル・トランスフォーメーション」は、老朽化したシステムの刷新、人手不足解消のための自動化ソリューションの導入といった形で推進されることが多く、最終的に顧客へ価値を提供するためというよりは、目前の課題解決に主眼が置かれる形で進み、結果として現行業務をデジタルで再現するだけにとどまる傾向にあります。
川辺は次のように述べています。「デジタル・テクノロジを活用した業務改革による競争力強化のポイントには、業務間あるいはシステム間のインテグレーション、顧客応対チャネルの拡大、顧客情報の収集と活用、顧客へ価値を提供するに至るまでの時間短縮、『エクスペリエンス』『共感』『信頼』といった新たに生み出される付加価値の可視化による意思決定支援などが挙げられます。業務改革の取り組みに際し、対象市場 (顧客や競合状況) の変化やテクノロジの進展を十分に考慮せずに、顕在化した業務上あるいはシステム上の課題のみに着目し、短期間かつ低コストで対処しようとすると、急場をしのぐ現行業務の再現に終始することとなります。その結果、将来を見据えた戦略的で計画的なデジタル・トランスフォーメーションが遠のいてしまいます」
変化に敏感で必要な対処を着実に施してきた企業では、デジタル・テクノロジを適切に活用し、CX (カスタマー・エクスペリエンス) のように可視化・定量化の難しいものを含めて、効果的なビジネス価値の創出と顧客への提供を行うようになるでしょう。一方、業界における何らかの変化や、突然訪れる大きな変化に対処しきれず、競合他社から後れを取った企業は、現行業務の再現では不十分で、さらなる投資が必要であると気づいた時点で、既に追随不可能とも言えるほどの大差がついていることになります。その結果、市場への投入スピード、顧客への影響力といった観点から、競争力を失う結果となってしまうでしょう。
2027年にかけて、現行業務を再現するだけのIT投資の90%は、迫り来る変化に対応できず、市場競争力を失う主因となるとGartnerはみています。
川辺は次のように述べています。「企業は、社内業務の改善が最終的に顧客へ価値を提供するという観点から、業務改革によってもたらされるビジネス成果、すなわち顧客にどのような価値がもたらされるかについて再確認することが重要です。また、顧客へ価値を提供するまでの時間を短縮するために、エンド・ツー・エンドでプロセス全体を見渡し、ボトルネックとなっている箇所を見極めるとともに、煩雑な業務を強いられている従業員のエンゲージメント・レベルの向上に努めることで、業務効率の改善や労働生産性の向上のみならず、顧客へも好影響を及ぼす点を重視すべきです」
Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート「2024年の展望:デジタル・トランスフォーメーションは業務改革から始まる」で詳細をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products
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