Newsroom

プレスリリース

2024年2月9日

Gartner、2024年にテクノロジ・プロバイダーに影響を及ぼすトップ・トレンドを発表

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、2024年にテクノロジ・プロバイダーに影響を及ぼすトップ・トレンドを発表しました (グローバルでは2024年2月5日に発表しています)。

マネージング バイス プレジデントのエリック・ハンター (Eric Hunter) は次のように述べています。「ジェネレーティブAI (生成AI) は、ほぼすべてのテクノロジ・プロバイダーのテクノロジとプロダクトのアジェンダに影響を及ぼしています。生成AIは、その成長戦略やプロダクト戦略から、従業員が日常的に使用するツールに至るまで、テクノロジ・プロバイダーのビジネスを再形成します。また、生成AI以外にも、企業の成長を阻む新たな摩擦、マーケティング/セールスにおける新たなアプローチ、顧客企業との新たな関係性など、テクノロジ/サービス・プロバイダーが知っておくべき重要な影響要因があります」

これらの課題の直接的、長期的な影響から、プロダクト・リーダーは短期的な機会と長期的な優位性、景気回復や不況下における戦略のバランスを取る必要があります。Gartnerの2024年のテクノロジ・プロバイダーにおけるトップ・トレンドは、それらの相対関係を示しています (図1参照)。

図1. 2024年のテクノロジ・プロバイダーにおけるトップ・トレンド (2024 Gartner Tech Provider Top Trends)

注釈:各トレンドのバブル・サイズは、あるトレンドが及ぼす破壊的なインパクトを、他のトップ・トレンドとの相対的な比較で示しています
出典:Gartner (2024年2月)

ハイテク企業における効率的な成長

過去10年間におけるIT支出の大幅な伸びは、ハイテク企業に恩恵をもたらしました。その恩恵を享受するために、ハイテク企業はコストを十分に評価することなく成長を追求するようになりました。これは「費用がいくらかかっても成長する」戦略であり、ハイテク企業は、安定した成長が続くという仮説の上に、プロダクト、組織、雇用計画を立てました。

しかし、マクロ経済情勢が、バイヤー (購買者) に不確実性をもたらし、資本コストの増大が投資家の焦点を利益成長へとシフトさせる中、ハイテク・プロバイダーは効率的成長を重視する傾向に変わってきているとGartnerのアナリストはみています。この効率的成長戦略は、現在の利益率と将来の収益機会を強化しながら成長することを重視しています。

企業のIT部門とプロバイダーの新しい関係

ビジネスにおけるテクノロジの需要の高まりによって、企業のIT部門はより多くの領域を、より深いレベル、より速いペースで、カバーすることが求められていますが、それにより、IT部門のキャパシティとケイパビリティ要件と現状との間に大きなギャップが生じています。このため、テクノロジ・プロバイダーのプロダクト・リーダーは、IT部門だけでなくビジネス部門におけるプロバイダーとしての役割の拡大、ビジネス成果にフォーカスしたプロバイダーと企業の関係、企業全体の戦略的アライアンスなど、新たな関係と収益機会を創出する傾向にあります。

サステナブル・ビジネスの拡大

サステナビリティ (持続可能性) への取り組みとESG (環境、社会、ガバナンス) による影響の管理においては、これまで内部リスクの軽減とコンプライアンスの確保に重点が置かれてきました。プロダクト・リーダーは、サステナビリティ目標を達成するために、ダブル・マテリアリティの考え方と組織全体での先端技術の活用を取り入れて、進化する必要があります。

AIの安全性

責任あるAIとAIの安全性は新しい概念ではありませんが、生成AIテクノロジの急速な発展は、コンテンツの出所やハルシネーション (捏造された回答) のような増大する問題への対処法を巡る議論に拍車をかけています。プロダクト・リーダーは、モデルの透明性、トレーサビリティ、解釈可能性、説明可能性などのAIの安全性の原理原則を組み込んだソリューションを構築する必要があります。規制やコンプライアンスの問題に先んじて取り組むことは、この活気ある生成AI市場で信頼を築き、競争力を維持するために極めて重要です。

購買者による悲観論の高まり

過去3年間にわたって、テクノロジ・プロバイダーは、時代遅れのGo-to-Market (GTM) モデルが新しい購買者の行動と合わずに、営業成績に悪影響を及ぼすことが増えていることを見てきています。この原因となっている購買者の悲観論を察知し、それに対応するためにセールス/マーケティングのアプローチを適応させなければ、テクノロジ・プロバイダーは、自社のGTM業務が社内外の観点からも衰退していくのを目の当たりにすることになるでしょう。

業界特化型の生成AIモデル

汎用モデルは、幅広い生成AIアプリケーションでうまく機能する一方で、ドメイン固有のデータを必要とする多くの企業ユースケースでは実用的でないケースもあります。テクノロジ・プロバイダーは、利用可能なリソースをより効率的に使用して、特定のユーザー要件に適合させることができる業界特化型のモデルを探求する必要があります。これを怠ると、モデルの活用においてコストと複雑さが増すことになります。

パーソナライズされたマーケットプレース・エクスペリエンス

デジタル・マーケットプレースが専門的でニッチなニーズにも対応できるようになると、ソリューションの調達、導入、統合において購買者が向き合わなければならない複雑さが大きく軽減されます。そのようなパーソナライズされたデジタル・マーケットプレースを活用しないと、ターゲット顧客にとって見つけにくいサービスになってしまうでしょう。Gartnerは、2025年までに、サプライヤー/バイヤー間のB2Bセールス・インタラクションの80%がデジタル・チャネルで行われるようになると予測しています。

インダストリ・クラウドによる成長

サービス・プロバイダー、ハイパースケーラー、サードバーティの独立系ソフトウェア・ベンダー(ISV)、SaaSプロバイダーは、プロバイダーの成長を促進する顧客成果を実現するために、業界固有のソリューションに目を向けています。2027年までに、テクノロジ・プロバイダー企業の50%以上は、ビジネス・イニシアティブを加速させるためにインダストリ・クラウド・プラットフォームを使用するようになるとGartnerは予測しています (2023年は5%未満)。

プロダクト・レッド・グロース (PLG) と価値実現を融合させたハイブリッドGTM

プロダクト・レッド・グロース (PLG) は、プロダクト・ユーザーに価値を示すことに重点を置き、Go-to-Market (GTM) チームが見込み客の発見に利用できるシグナルを作成します。しかし、PLG GTM戦略を採用しているほとんどの企業は、多くの場合、100%セルフサーブ型のGTMアプローチは不十分であることに気づき始めています。案件をコンバージョンするには、どこかで売り手が関与する必要があるためです。ビジネス価値と成果の正当化が求められているバイヤーのニーズにこたえるために、バリュー・マネジメントと実現に向けたイニシアティブとPLGを融合させたハイブリッドGTMが重要になるでしょう。

高精度なマーケティング/セールス

生成AI、デジタル・コマース、メタバースなど、急速に進化するテクノロジの進歩は、テクノロジ・プロバイダーのマーケティング/セールス手法を変えつつあります。新しい技術を活用した高精度のアプローチを採用できないテクノロジ・プロバイダーは、既存顧客内でのプレゼンスの低下や成長の鈍化により、全体的な取引の質が低下することが予想されます。

上記トレンドについて、バイス プレジデント アナリストの桂島 航は次のように述べています。「テクノロジ/サービス・プロバイダーのビジネスは、生成AIなどのデジタル・テクノロジと、共創などによる顧客企業との新しい関係性により、破壊的な変化の時期を迎えています。この変化の時代に対応するためには、業界特化型の生成AI、インダストリ・クラウドなどの新しいサービス形態や、PLG (プロダクト・レッド・グロース) などの新しい成長戦略を活用して、自社のポートフォリオとビジネス戦略を進化させていくことが必要になります。従来型ビジネスの依存度が概して高い日本のテクノロジ/サービス・プロバイダーは、これらの新しいトレンドを速やかに理解し、新しい市場機会を創造する手段として活用すべきです」

Gartnerのサービスをご利用のお客様は、スペシャルレポート「2024 Tech Provider Top Trend」で詳細をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

Gartner Tech Growth & Innovation Conferenceについて

米国で3月20~21日に開催する「Gartner Tech Growth & Innovation Conference」では、テクノロジ/サービス・プロバイダーが成長を加速し、プロダクト・イノベーションを推進し、先進テクノロジを活用するために指針となるさらなる分析や知見を提供します。コンファレンスのニュースと最新情報は、Xでご覧いただけます (#GartnerTGI)。

Gartner for High Tech Leadersについて

Gartner for High Tech Leadersは、ミッション・クリティカルな優先事項を達成し、成功する組織を構築するために、役割に基づいたベストプラクティス、業界に関する洞察、新たなトレンドや市場の変化に関する戦略的見解を、ハイテク業界のリーダーとそのチームに提供します。詳細については以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.co.jp/ja/industries/high-tech

日本のITエグゼクティブ向けのニュースや最新情報は、GartnerのXFacebookでも案内しています。最新のプレスリリースや記事、ウェビナー情報については、ニュースルームよりご参照ください。

Gartnerについて

Gartner, Inc. (NYSE: IT) は、お客様のミッション・クリティカルな課題について、より優れた意思決定と大きな成果へと導く実行可能かつ客観的な知見を提供します。詳細については下記Webサイトでご覧いただけます。

gartner.com

gartner.co.jp (ガートナージャパン)

報道関係各位からのお問い合わせ先