AI TRiSM (AI Trust, Risk, Security Management:AIの信頼性/リスク/セキュリティ・マネジメント)
AI TRiSM (AIの信頼性/リスク/セキュリティ・マネジメント) は、コンプライアンスを容易に達成するためのテクノロジです。進化の著しいAIを、速やかに浸透させ、より多くの場面で採用していくためにも、このAI TRiSMの必要性がより緊急かつ明白になっています。AI TRiSMのような「ガードレール」がなければ、AIモデルは急速に悪影響を及ぼし、制御不能に陥り、期待していた効果を得ることができなくなります。
2026年までに、AIの信頼性/リスク/セキュリティ・マネジメントのコントロールを適用する企業は、誤った情報や不正な情報を最大80%排除し、意思決定の精度を高めるようになるとGartnerではみています。
CTEM (Continuous Threat Exposure Management:継続的な脅威エクスポージャ管理)
継続的な脅威エクスポージャ管理 (CTEM) とは、企業のデジタルおよび物理資産のアクセシビリティ、脅威エクスポージャ、悪用可能性を継続的かつ一貫して評価できるようにするための、実践的かつ包括的なアプローチです。CTEMの評価と修復の範囲を、インフラストラクチャのコンポーネントではなく攻撃シナリオやビジネス・プロジェクトに連携させることで、脆弱性だけでなく、パッチが適用できない脅威も明らかになります。
2026年までに、継続的な脅威エクスポージャ管理プログラムに基づいてセキュリティ投資の優先順位を設定している組織は、セキュリティ侵害を3分の2減らせるようになるとGartnerではみています。
持続可能なテクノロジ
持続可能なテクノロジは、長期的な生態系バランスや人権を支えるESG (環境、社会、ガバナンス) の成果を実現するデジタル・ソリューションのフレームワークです。AI、暗号通貨、モノのインターネット (IoT)、クラウド・コンピューティングといったテクノロジが利用されることで、関連するエネルギー消費や環境への影響についての懸念が高まっています。このために、ITの利用を効率化し、循環的かつ持続可能にすることがより重要になっています。
2027年までに、CIOの25%は、持続可能なテクノロジの影響に連動する報酬を受け取るようになるとGartnerではみています。
プラットフォーム・エンジニアリング
テクノロジが多様化、複雑化しライフサイクルも早くなっていく中で、開発者の負担は大きくなり、また、企業や組織にとっては十分な人材を確保すること自体が大きなチャレンジとなっています。プラットフォーム・エンジニアリングは、ソフトウェアのデリバリとライフサイクル管理を目的としたセルフサービス型の企業内開発者プラットフォームの構築と運用に関する取り組みです。
各プラットフォームは、専任のプロダクト・チームによって構築・維持されるレイヤであり、ツールやプロセスと連動することで迅速で柔軟なサービスの提供を支えられるよう設計されます。プラットフォーム・エンジニアリングの目標は、生産性とユーザー・エクスペリエンスを最適化し、ビジネス価値の実現を加速させることです。
AI拡張型開発
AI拡張型開発とは、ソフトウェア・エンジニアによるアプリケーションの設計、コーディング、テストを支援するために、ジェネレーティブAIや機械学習などのAIテクノロジを利用する開発です。AI支援型ソフトウェア・エンジニアリングは、開発者の生産性を高め、ビジネス運営向けソフトウェアに対する需要の高まりに開発チームが対応できるよう支援します。
このようにAIを組み込んだ開発ツールによって、ソフトウェア・エンジニアはコーディングに要する時間を短縮し、魅力的なビジネス・アプリケーションの設計や構成といった戦略的意義がより大きい活動に振り分ける時間を増やすことができます。
インダストリ・クラウド・プラットフォーム
インダストリ・クラウド・プラットフォームは、コンポーザビリティを生かして、企業が提供するプロダクト全体でSaaS/PaaS/IaaSの基盤サービスを組み合わせることによって、業界別の具体的な要件に対処します。通常、インダストリ・クラウド・プラットフォームには、業界別のデータ・ファブリック、ビジネス・ケイパビリティ・パッケージのライブラリ、コンポジション・ツール、その他のプラットフォームのイノベーションが含まれます。
インダストリ・クラウド・プラットフォームは、業界固有のカスタマイズ機能を提供するクラウドの提案であり、各組織のニーズに合わせてさらにカスタマイズできます。
2027年までに、企業の70%以上は、ビジネス・イニシアティブを加速させるためにインダストリ・クラウド・プラットフォームを使用するようになるとGartnerではみています。これは2023年の15%未満からの増加になります。
インテリジェント・アプリケーション
インテリジェント・アプリケーションは、インテリジェンス 、すなわち適切かつ自律的に応答するための、学習で得られた適応力を持つアプリケーションです。このインテリジェンスは、多くのユースケースで、作業の拡張や自動化を向上させるために活用できます。
アプリケーションの基礎的なケイパビリティとなるインテリジェンスは、機械学習、ベクトル・ストア、コネクテッド・データなど、AIベースの多様なサービスで構成されます。その結果、インテリジェント・アプリケーションは、ユーザーに対して動的に適応するエクスペリエンスを提供します。
2026年までに、独立系ソフトウェア・ベンダー (ISV) の80%以上が、エンタープライズ・アプリケーションにジェネレーティブAI機能を組み込むことになり、2023年の1%未満から増加するとGartnerではみています。
ジェネレーティブAIの民主化
大規模な事前学習型モデル、クラウド・コンピューティング、オープンソースを統合させることによって、ジェネレーティブAIの民主化が進みつつあり、世界中の従業員がこうしたモデルにアクセスできるようになっています。
2026年までに、80%以上の企業は、ジェネレーティブAIのAPIとモデルを使用し、本番環境でジェネレーティブAI対応のアプリケーションを展開するようになるとGartnerではみています。
ジェネレーティブAI対応アプリケーションは、ビジネス・ユーザーによる社内外の膨大な情報源へのアクセスと利用を技術的に可能にします。つまり、ジェネレーティブAIの導入が急速に進むことで、企業内の知識とスキルが大きく民主化されます。大規模な言語モデルを活用することで、豊富なセマンティクス (データの持つ意味) の理解に基づく会話形式で、従業員と知識を結び付けることができます。このトレンドが進行するとジェネレーティブAIの倫理面への配慮もさらに重要なテーマになっていきます。
拡張コネクテッド・ワークフォース
拡張コネクテッド・ワークフォース (Augmented-Connected Workforce) は、従業員から得られる価値を最適化するための戦略です。人材活用の加速と規模の拡大が必要とされている状況がこのトレンドを牽引しています。拡張コネクテッド・ワークフォースは、インテリジェント・アプリケーションとワークフォース・アナリティクスを使用して、従業員のエクスペリエンス、ウェルビーイング、自己の能力開発をサポートするための日常的なコンテキストとガイダンスを提供します。同時に拡張コネクテッド・ワークフォースは、主要なステークホルダーにとってのビジネス成果やプラスの影響を高めます。
2027年末まで、CIOの25%は、拡張コネクテッド・ワークフォースのイニシアティブを利用して、重要な職務のコンピテンシ獲得に要する時間を50%短縮するとGartnerではみています。
マシン・カスタマー
マシン・カスタマー (「顧客ボット」とも呼ばれる) とは、支払いと引き換えにモノやサービスを自律的に交渉・購入できる、人間以外の経済主体です。
2028年までに、顧客として行動する可能性のあるコネクテッド・プロダクトが150億個存在するようになり、さらに数年間で数十億個増加すると予想されます。
この成長トレンドは、2030年までに数兆ドル規模の収益の源泉となり、最終的にはデジタル・コマースの到来以上に重要な影響をもたらすものになります。こうしたアルゴリズムやデバイスを促進する機会、あるいは新たな顧客ボットを生み出す機会を含めて、戦略的に検討する必要があります。
2024年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドでは、今後3年間にCIOなどのITリーダーにとって顕著な破壊と機会をもたらすトレンドにスポットライトを当てています。Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート「Top Strategic Technology Trends for 2024」で詳細をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products
開催中のGartner IT Symposium/Xpo (11月13日~15日) では、「可能性を解き放て」をテーマに、主要な15のトピック領域における最新のテクノロジ、戦略、そしてリーダーシップに関する知見を提供し、CIOとリーダーシップ・チームにとっての最重要課題を取り上げています。コンファレンスのニュースと最新情報は、X (旧Twitter) でご覧いただけます (#GartnerSYM)。
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