バイス プレジデント アナリストの藤原 恒夫は、次のように述べています。「日本のCIOは、既にデジタル・デリバリにより企業のパフォーマンスの最適化に取り組んでいますが、目的を持ってデジタル・デリバリを民主化することで、より良い成果を達成できます」
CIOは、「フランチャイズ化」を通じてビジネス・チームにデジタル機能をデリバリできるよう権限を付与し、能力を身に付けさせている
最も高い成功を収めているCIOは、デジタル化を成功させるためにCレベル幹部と共同でデジタル・デリバリのオーナーシップを持っています。また、ビジネス・チームに対し、安全で健全なデジタル機能をデリバリできるよう権限を付与し、能力を身に付けさせている一方で、デジタル・デリバリを「フランチャイズ化」しています。
本調査結果を基に、GartnerはCIOを以下の3つの異なるプロファイルに分類しています。これらは、CIOがどのようにデジタル・デリバリを加速させ、その規模を拡大するかを示します。
- オペレーター:調査したCIOの55%は、オペレーター的なマインドセットを持っています。CIOはIT部門によるデジタル・デリバリの責任を担い、デジタル・イニシアティブのスポンサーであるビジネス部門のCレベル幹部と連携しています。
- 探索者:調査したCIOの33%は、探索者に該当します。これらのCIOは、主なデジタル・デリバリはIT部門が担うものの、ビジネス部門もデジタル・デリバリのオーナーシップを共有すべきであると考えています。デジタル・ビジネス部門のCレベル幹部や人材をデジタル・デリバリ活動に関与させ始めています。
- フランチャイズ提供者:調査したCIOの12%は、フランチャイズ提供者に分類されます。これらのCIOは、Cレベル幹部はデジタル・デリバリを担う対等のパートナーであるべきと考えており、Cレベル幹部と共同でデジタル・イニシアティブを主導し、実装し、統制します。デリバリの実装は、多分野にわたるフュージョン (融合) チームで協働します。
「フランチャイズ提供者」に該当するCIOは、「オペレーター」や「探索者」に該当するCIOよりも、デジタル・デリバリに対してより優れた成果をもたらす傾向にあります。具体的には、フランチャイズ・モデルを採用しているCIOの場合、全社的なデジタル・イニシアティブの63%が成果目標を達成しているか、上回っています。オペレーターにとどまっているCIOでは、デジタル・イニシアティブの成功率が43%にすぎません。さらに、フランチャイズ提供者は、経営幹部のリーダーシップ開発やデジタル・ビジネス戦略など、全般的なIT管理の取り組みにおいても極めて優れたパフォーマンスを発揮しています
藤原は次のように述べています。「現在進行中のデジタル・デリバリの民主化は、イノベーション、俊敏性、そしてデジタル・ビジネスからの早期配当を促進するための取り組みと言えます。CEOから組織のさまざまな成果をオーケストレートするよう期待されているCIOは、Cレベル幹部が主導するデジタル・イニシアティブを統合し、足並みをそろえる必要があります。CIOとCレベル幹部が共同でデジタル・デリバリのオーナーシップを持つことは、部門だけでなく、組織全体の成果を達成する上で極めて重要な要素です」
CIOとCレベル幹部は、フランチャイズ化の設計において、テクノロジ・ガバナンスの責任も共有します。フランチャイズ提供者に分類されるCIOの半数近く (47%) は、コンプライアンスとリスクに対する責任をビジネス部門と共有すべきと考えています。オペレーターに分類されるCIOでは、わずか19%です。
「共同ガバナンスのマインドセットを発達させているフランチャイズ提供者は、他のCレベル幹部と連携して、サイバーセキュリティやデータ・プライバシーの管理に取り組んでいます。これら2つの領域は、従来CIOが監視していたものです。Cレベル幹部も、ガバナンス基準策定の主な実装責任を担っているのはCIOであるものの、その基準を遵守するための説明責任については共有する必要があると認識しています」(藤原)
2024年CIO/テクノロジ・エグゼクティブ・サーベイについては、eBook「2024 CIO and Technology Executive Agenda: Franchise Digital Delivery」(英語) でご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products
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