片山は次のように述べています。「AIは単なるITイニシアティブではなく、全社的イニシアティブです。AIの使い方を考えるときは、人間とマシンの関係から始めることが重要です。成功に導くには、経営幹部全員が関与する必要があります。まずは、組織としてどこでAIを活用したいか、あるいは活用したくないか、ここから議論を始めてください」
AI-Readyになる
前出のアロンは次のように述べています。「AIが人間とマシンの関係を変革し続けている中で、CIOはこの変化の本質を積極的に形あるものにしていかなければなりません。人間とマシンがやりとりするこの新たな時代には、多くの予期せぬ結果が待ち受けています」
「テクノロジに関する意思決定は、もはやテクノロジだけの問題ではなく、テクノロジ、経済、社会、そして倫理にまで及ぶ意思決定となっています。CIOをはじめとするITリーダーは、組織内でAIに関する意思決定を舵取りする上で、『灯台となる原則』、換言すれば、道を照らし、どのような人間とマシンの関係を許容するか、許容しないかを示すAIのビジョンが必要です」(アロン)
しかし、灯台となる原則やAIの明確なビジョンを持つ組織はほぼ存在しません。Gartnerが2023年6月に606人のCIOとテクノロジ・リーダーを対象に実施した調査によると、AIビジョン・ステートメントを策定している組織はわずか9%でした (日本の割合は7%)。また、世界のCIO/テクノロジ・リーダーの36%は、AIビジョン・ステートメントを策定する予定がないと回答しています。
今後1年以内にジェネレーティブAIの迅速かつ安全な導入を促進するために、組織は次の3項目に取り組む必要があります。
- AI-Readyの原則を策定する:灯台となる原則は、組織の価値観と一致している必要があります。組織の価値観は、人間とマシンがどのように関わり合うかという未知の問題を舵取りするための指針でなければなりません。
- データをAI-Readyにする: データをAI-Readyにするには、5つの基準を満たさなければなりません。つまり、灯台となる原則によって、データは「安全である」「強化されている」「公平である」「正確である」「統制されている」の5つの基準を満たしている必要があります。データがAI-Readyでなければ、組織はAI-Readyではありません。
- AI-Readyのセキュリティを実装する:AIがプラスの目的で使われると同時に、別の誰かがAIを悪用しています。これがAIの影の側面です。CIOは、新たな攻撃経路に備える必要があります。そして、経営幹部チームと連携して、公開されているジェネレーティブAIソリューションについて、許容される使用方法に関するポリシーを策定する必要があります。
アロンは次のように述べています。「AI活用型ビジネスの時代に、事前の計画策定を怠れば、意図せぬ結果が生じることになります。CIOには、あらゆるものが目新しく不透明に見えるときでも、前途を照らす手段が必要です。CIOがこのディスラプションを安全に活用するためには、CEOや他のCレベル幹部と連携して、エブリデイAIやゲーム・チェンジングAIを利用する目的を明確にし、AI-Readyになるための原則/データ/セキュリティを確立しなければなりません」
Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート「We Shape AI, AI Shapes Us: 2023 IT Symposium/Xpo Keynote Insights」で詳細をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products
本日より3日間 (11月13日~15日) にわたって開催しているGartner IT Symposium/Xpo (会場:グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール) では、「可能性を解き放て」をテーマに、主要な15のトピック領域における最新のテクノロジ、戦略、そしてリーダーシップに関する知見を提供し、CIOとリーダーシップ・チームにとっての最重要課題を取り上げます。コンファレンスのニュースと最新情報は、X (旧Twitter) でご覧いただけます (#GartnerSYM)。
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