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2022年11月1日

Gartner、2023年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドを発表

「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」 (10月31日~11月2日) において、業界のトレンドを明らかに

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、2023年に企業や組織にとって重要なインパクトを持つ10の「戦略的テクノロジのトップ・トレンド」を発表しました (グローバルでは2022年10月17日に発表しています)。

昨日より東京で開催中の「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」において、アナリストでバイス プレジデントの池田 武史がトレンドを解説しました。

「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」において、アナリストの池田武史が「戦略的テクノロジのトップ・トレンド」について解説しました。

池田は次のように述べています。「経済や社会の混乱が続く時期に組織を強化し、変化にしっかり対応し順応するため、CIOやITエグゼクティブはデジタル・トランスフォーメーションを加速させながら、コスト削減だけでなく新たな形態のオペレーショナル・エクセレンスを模索しなければなりません。Gartnerの2023年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドにおける中心テーマは、最適化 (Optimize)、拡張 (Scale)、開拓 (Pioneer) の3つです。組織はテクノロジを活用してレジリエンス、オペレーション、信頼を『最適化する』ことで、コストを削減します。また、ソリューションの垂直統合/プロダクト・デリバリの迅速化/ワイヤレス・テクノロジを『拡張する』ことで、成長を加速します。さらに、新たな形態のエンゲージメント、高度な自動化/新たな市場機会へのチャレンジを先駆者のように『開拓する』ことで、デジタル・トランスフォーメーションの変革を実現します」

「しかし、2023年、新しいテクノロジを今の目的のためだけにデリバリするだけでは十分とは言えません。これから企業には、持続可能性という大きなテーマを踏まえた戦略が求められます。すなわち、このテーマは、環境/社会/ガバナンス (ESG) に対する期待や規制の影響を受け、持続可能なテクノロジを適用するという共通の責任へと発展します。今後のテクノロジ投資では常に、未来の世代を念頭に置きながら、その効果と環境へのインパクトを相殺できるように行う必要があります。このことは、企業が『サステナビリティ・バイ・デフォルト』を目指す必要性が増してきているということ、さらにその際に、持続可能なテクノロジが必須になる、ということを意味します」

2023年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドは、次のとおりです (図1参照)。

図1. 2023年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド

出典:Gartner (2022年11月)

最適化する:

デジタル免疫システム

現在、デジタル・プロダクトの責任を担うチームの76%が、売り上げ創出の責任も担うようになっています。CIOは、リスクを軽減し、顧客満足度を高めながら、そうした高いビジネス価値を提供するために、チームで採用できるプラクティスやアプローチを模索しています。そのような取り組みを後押しして貢献するのが、デジタル免疫システムです。

デジタル免疫システムは、オブザーバビリティ (可観測性)、AI拡張型テスト、自動修復、カオス・エンジニアリング、サイト・リライアビリティ・エンジニアリング (SRE)、アプリのサプライチェーン・セキュリティを組み合わせ、システムのレジリエンスを最適化するものです。2025年までに、デジタル免疫システムに投資する組織では、ダウンタイムを最大80%削減し、これによって直接的に売り上げを拡大させるとGartnerでは仮説を立てています。

オブザーバビリティの応用

オブザーバビリティの応用とは、ソフトウェア・エンジニアリングで注目されているオブザーバビリティをビジネスの最適化に応用することです。昨今のデジタル化されたビジネスの中で観測可能なデータには、ログ、トレース、API呼び出し、ユーザーのページ滞在時間、ダウンロード、ファイル転送の状況などがありますが、こうしたデータは、デジタル化されたアーティファクト (生成されたデータ) と呼べるものになります。高度なオーケストレーション/統合のアプローチをビジネス・プロセス全体に適用し、データをプロセスにフィードバックすることで、オペレーションを最適化し、組織の意思決定を加速できます。

オブザーバビリティの応用によって、企業は、ユーザーの行動データに基づき、適切なタイミングで適切なデータの戦略的重要性を高め、迅速な行動につなげることができるようになります。これらを戦略的に用いることで、企業は、競争優位を獲得できます。すなわち、これは、企業にとって、データ・ドリブンな意思決定の最も強力な源泉となります。

AI TRiSM (AIの信頼性/リスク/セキュリティ管理)

多くの組織では、AIのリスクに対して十分な管理が出来ている状況ではありません。米国、英国、ドイツで実施したGartnerの調査では、AIのプライバシー侵害やセキュリティ・インシデントを経験したことのある組織の割合が41%に上ることが明らかになりました。その一方で、AIのリスク、プライバシー、セキュリティを積極的に管理している組織は、AIプロジェクトの成果を向上させていることも分かりました。そうした組織は、積極的に管理していない組織と比べ、より多くのAIプロジェクトを概念実証から実稼働に移行し、より多くのビジネス価値を達成しています。

これからの企業は、AI TRiSM (AI Trust, Risk and Security Management: AIの信頼性/リスク/セキュリティ管理) の観点で、AIの確実性、信頼性、セキュリティ、データ保護といった新しい能力を獲得する必要があります。その際、さまざまなビジネス部門から参加して、協力し合いながら継続的にAI活動全般を最適化する施策を実行することが求められるようになります。

拡張する:

インダストリ・クラウド・プラットフォーム

インダストリ・クラウド・プラットフォームは、SaaS、サービスとしてのプラットフォーム (PaaS)、サービスとしてのインフラストラクチャ (IaaS) を組み合わせ、業種別に特化した利用しやすい機能群を提供することで、業界固有のビジネス・ユースケースをサポートします。企業は、差別化された独自のデジタル・ビジネス・イニシアティブを組み立てるための構成要素として、インダストリ・クラウド・プラットフォームパッケージを利用することで、アジリティ、イノベーション、市場投入までの期間短縮を実現しながら、ロックインを回避するようになります。

2027年までに、企業の50%以上は、ビジネス・イニシアティブを加速させるためにインダストリ・クラウド・プラットフォームを使用するとGartnerでは予測しています。

プラットフォーム・エンジニアリング

プラットフォーム・エンジニアリングとは、ソフトウェアのデリバリとライフサイクル管理を目的としたセルフサービス型の企業内開発者プラットフォームの構築と運用に関する専門分野です。プラットフォーム・エンジニアリングの目標は、複雑なインフラストラクチャを自動化し、開発者のエクスペリエンスを最適化することで、プロダクト・チームによる顧客価値のデリバリを加速させることです。

2026年までに、ソフトウェア・エンジニアリング組織の80%がプラットフォーム・エンジニアリング・チームを結成し、そのうち75%がセルフサービス開発者ポータルを取り入れるとGartnerでは予測しています。

ワイヤレスの高付加価値化

ワイヤレスにはさまざまなテクノロジがあり特定のテクノロジが支配的になることはありません。企業は、オフィスでのWi-Fiサービスからモバイルやデバイス向けの4G/5Gのサービス、低消費電力のLPWA、さらにはRFIDやNFCなどの近距離無線接続に至るまで、あらゆる環境に対応するために、ワイヤレス・ソリューションを幅広く利用するようになるでしょう。2025年までに、企業の60%は、5つ以上のワイヤレス・テクノロジを同時に使用するようになるとGartnerではみています。

これによってネットワークは純粋に接続を提供するだけの段階を超え、組み込まれた分析機能を使って知見を提供し、場合によってはネットワークから直接エネルギーを取得するようになります。これは、ネットワークがビジネス価値の高いサービスの提供を行うようになることを意味します。

開拓する:

スーパーアプリ

スーパーアプリは、1つのアプリケーション内でアプリ、プラットフォーム、エコシステムの機能を組み合わせたものです。独自の機能を持つだけでなく、サードパーティ向けに、独自のミニアプリを開発/公開するためのプラットフォームも提供します。2027年までに、世界の人口の50%以上は、日常的に複数のスーパーアプリを頻繁に利用するようになるとGartnerでは予測しています。

スーパーアプリの実例は、モバイル・アプリが大部分を占めています。その特徴は、顧客や従業員が利用する複数のアプリを集約し、代替できるものに進化する点にあります。重要なことは、特定用途のアプリの提供が、その利用者やそこでつながるデバイスから成る新たなエコシステムを形成することで、新たなビジネス機会へと発展させることです。

アダプティブAI

アダプティブAIとは、開発当初には予測/利用できなかった実世界の環境の変化に迅速に対応するため、継続的にモデルを再トレーニングし、新しいデータに基づいて実行時や開発環境内で学習することを目的とした進化するAIとして変化に適用させるアプローチです。これまでのAIでは限界のあった変化への対応や限定的な学習機会を、自ら学ぶAIに進化させることで、より高度な自動化を目指します。このため、アダプティブAIは、外部環境の急激な変化や企業目標の変化に最適化された対応が要求されるオペレーションに適しています。

メタバース

Gartnerは、メタバースを仮想的に拡張された物理的現実とデジタル化された現実の融合によって創り出される集合的な仮想共有空間と定義しています。メタバースは、継続的なイマーシブ・エクスペリエンス (没入感) を提供します。メタバースは、デバイスに依存するものでも、単一ベンダーが所有するものでもありません。それは、デジタル通貨やNFT (非代替性トークン) によって実現される、独立した1つの仮想経済圏を形成する可能性があります。2027年までに、世界の大企業の40%以上は、Web3、ARクラウド、デジタル・ツインを組み合わせ、売り上げ拡大を目的としたメタバース・ベースのプロジェクトで使用するとGartnerではみています。

持続可能なテクノロジ

持続可能なテクノロジは、環境、社会、ガバナンスの持続可能性をサポートするテクノロジのフレームワークであり、2023年の戦略的テクノロジ・トレンド全体に関連します。最近実施したGartnerの調査では、CEOは、「利益」と「売り上げ」に次いで「環境と社会の変化」が投資家の優先課題トップ3であると回答しています。つまり、経営幹部は、サステナビリティ (持続可能性) の目標を達成するために、ESGの要求に対応する革新的なテクノロジへの投資を拡大する必要があります。そのために企業には、持続可能なテクノロジの新しい枠組みが必要となります。それらには、企業自身が利用するITのエネルギーや資源の利用の効率化、トレーサビリティ/アナリティクス/再生可能エネルギー/AIなどのテクノロジによる企業のビジネスに関わるサステナビリティの向上、企業の顧客が環境やソーシャル・サステナビリティを向上するためのITソリューションの提供、などがあります。

池田は次のように述べています。「こうしたテクノロジ・トレンドのすべてをすぐに導入すべきといったプレッシャーを感じる必要はありません。しかし、何一つチャレンジしないことはこれからの時代に取り残される条件を満たしてしまうことに他なりません。自社のビジネスに関し、どのトレンドを優先して取り組むべきか、そうした戦略を示し経営の一端を担うことがCIOの役割です」

2023年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドでは、今後5~10年の間に顕著な破壊と機会をもたらすトレンドにスポットライトを当てています。Gartnerのサービスをご利用のお客様は、スペシャルレポート「Top Strategic Technology Trends for 2023」で詳細をご覧いただけます。

日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。
https://www.gartner.co.jp/ja/products

Gartnerは10月31日~11月2日に「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」(会場:グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール) を開催しています。CIOとITエグゼクティブは、組織を次のレベルへと引き上げるために押さえておくべき将来の方向性、成功に向けた戦略、重要な実行策などの知見を得られます。コンファレンスのニュースや最新情報はTwitterでご覧いただけます (#GartnerSYM)。

日本のITエグゼクティブ向けのニュースや最新情報は、GartnerのTwitterFacebookでも案内しています。最新のプレスリリースや記事、ウェビナー情報については、こちらりご参照ください。

Gartnerについて

Gartner, Inc. (NYSE: IT) は、お客様のミッション・クリティカルな課題について、より優れた意思決定と大きな成果へと導く実行可能かつ客観的な知見を提供します。詳細については下記Webサイトでご覧いただけます。

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gartner.co.jp (ガートナージャパン)

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