仕事に革命を起こす
アナリストでバイス プレジデント 兼 ガートナー フェローの藤原 恒夫は次のように述べています。「従業員の採用、定着、高いパフォーマンス実現におけるITの重要性は、IT部門だけでなく企業全体でかつてないほど高まっています。しかし、Gartnerが最近実施した調査によると、必要なテクノロジを利用できると回答した従業員は31%にとどまっています。これは、ITエグゼクティブにとっては違いを生み出す絶好の機会となります。仕事に革命を起こし、新技術を活用して従業員を支援する組織が『選ばれる雇用主』になります」
Gartnerは、組織が「選ばれる雇用主」となるよう支援し、企業の持続可能なパフォーマンスを実現するために、ITエグゼクティブが注力すべき3つの「戦力の増強」を挙げています。
- 仕事から摩擦をなくす:摩擦は、仕事が無駄に困難なときに発生します。摩擦点が多い組織ほど、従業員のパフォーマンスと定着率が低くなります。摩擦を排除し、デジタル・スキルに投資する組織は、将来のパフォーマンスを維持するために必要な熱意ある労働力を生み出すことができます。
- AIオーグメンテーションへ積極的に投資する:持続可能なパフォーマンスを創出するために、組織は生産性ではなく仕事のインパクトを重視すべきです。従業員には、力を発揮し、仕事のインパクトを高めるためのテクノロジが必要です。AIを活用して、到達範囲、領域、能力を拡大することにより、仕事のインパクトを高めることができます。
- 注目度の高い新技術を実験的に導入する:厳しい経済状況の下でもイノベーションに取り組む組織は、競合との差別化を確保します。テクノロジは組織文化の新たな震源地であり、イノベーションが必要な領域の1つがイントラバースです。イントラバースは、新しいメタバース・テクノロジを取り入れたバーチャル・オフィスであり、従業員は没入型の会議 (イマーシブ・ミーティング) に参加して、コラボレーション、交流、イノベーションを行えます。Gartnerは、没入型会議技術 (イマーシブ・ミーティング・テクノロジ) がGartnerのハイプ・サイクルで「生産の安定期」に到達するまでに5~10年を要すると予測しています。ハイプ・サイクル曲線の早い段階でテクノロジを積極的に導入する組織は、競合他社に先駆けて優秀な人材を引き付けることになるでしょう。
責任ある投資
アナリストでシニア ディレクターの一志 達也は次のように述べています。「責任ある投資は、持続可能な成長と利益を達成する『一挙両得』の戦略です。財務と持続可能性の両方の成果をもたらします。Gartnerでは、持続可能性とは環境/社会/ガバナンス (ESG) に対応するものであると考えています。責任ある投資をすることは、企業にとって大切な人々のために重要です。それによって、従業員は違いを生み出す機会を獲得し、顧客は自身の価値に一致するソリューションを入手し、投資家はより魅力的な投資先を得ることができます」
Gartnerは、財務上の成果と持続可能性に関する成果の両方を生み出す3つの「戦力の増強」を挙げています。
- インテリジェント・コネクテッド・インフラストラクチャ (ICI) へ投資する:ICIは、港湾、橋、道路、空港を制御する航空管制システムのようなものです。ICIでは、AI、IoT、クラウド、アナリティクス、エッジ・コンピューティングを組み合わせてデータを共有します。これまでただ鎮座していただけの社会基盤は、ICIによって、言わばデータに基づく「声」を得られます。ICIへの投資は、それによって都市や企業の成長が促進され、市民生活が改善されることから、「戦力の増強」の1つになります。
- デジタルを活用してエネルギー使用量を削減する:企業全体のエネルギー使用量を削減するため、エネルギーの管理と最適化を行うシステム「EMOS」を導入することで、ほぼリアルタイムにデータ駆動のプロアクティブな意思決定を下せます。エネルギー使用量を削減し、コストを削減するだけでなく温室効果ガスの排出量も削減することから、「戦力の増強」の1つになります。
- オートノマス・ソーシングを活用する:AI、機械学習 (ML)、自然言語処理 (NLP) を活用するオートノマス・ソーシングにより、組織はより幅広いサプライヤーにアクセスできるようになります。オートノマス・ソーシングは、効率化を高めると同時にサプライヤーのサステナビリティを改善することから、「戦力の増強」の1つと言えます。
レジリエントなサイバーセキュリティ
アナリストでディレクターの矢野 薫は次のように述べています。「2022年にGartnerが取締役を対象に行った調査では、取締役の88%がセキュリティを技術的リスクではなく、ビジネス・リスクとして捉えていることが明らかになりました。これは、組織がセキュリティにおけるレジリエンスを重視し、セキュリティを新しいタイプの投資として捉え直す必要があることを意味しています。企業ブランドを保護するという点を重視することで、組織は『選ばれる雇用主』になり、また『顧客に選ばれるサプライヤー』になります。業務の遂行を保護することが、持続可能な成長を支えます」
Gartnerは、企業の長期的な競争優位を実現する3つの「戦力の増強」を挙げています。
- アタック・サーフェスを管理する:プロセス・ガバナンス/管理テクノロジである外部アタック・サーフェス・マネジメント (EASM:External Attack Surface Management) を使用して、脆弱性のある資産を特定します。また、ソフトウェア・コンポジション分析を導入して、ソフトウェアのサプライチェーン全体の脆弱性を可視化します。さらに、脅威インテリジェンスを利用して、脆弱性を優先順位付けして修正します。
- ビジネス成果を守る:最も重要なビジネス成果を支えるテクノロジは他のテクノロジよりも優先度は高くなります。組織はセキュリティにおいてもビジネス成果のアプローチをとることにより、製造、販売、顧客エンゲージメントなど、持続可能な成長を支えるシステムを優先させることが可能となります。
- ビジネス成果を基にした評価 (ODM:Outcome Driven Metrics) とセキュリティ・レベルの策定 (PLA:Protection Level Agreement) を行う:PLAは、どの程度のセキュリティが必要か、どの程度の支出が必要かといったビジネスの意思決定を支援します。Gartnerは、企業が同業他社とのベンチマーク評価を実施すべき16種類のセキュリティ項目を定めています。これにより、成果に基づく優先順位付けと投資のロードマップが実現します。組織は、ツールの導入ではなくビジネスに直結するものに対しセキュリティの投資をすべきです。
本日より3日間(10月31日~11月2日) にわたって開催している「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」(会場:グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール) では、CIOとITエグゼクティブに向けて、組織を次のレベルへと引き上げるために押さえておくべき将来の方向性、成功に向けた戦略、重要な実行策などの知見を提供しています。コンファレンスのニュースや最新情報はTwitterでご覧いただけます (#GartnerSYM)。
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