ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、ビジネス成長を加速させるために、ITリーダーはテクノロジを活用して変化に迅速に対応できるコンポーザブル・アプリケーションへの変革を推進することが重要との見解を発表しました。
本日からバーチャルで開催しているガートナー アプリケーション・イノベーション&ビジネス・ソリューション サミット 2022のオープニング基調講演において、アナリストが継続的な変化をテクノロジで創造し、未来をテクノロジで描き成長を果たすための指針を解説しました。
デジタル人材の確保と開発の民主化が鍵
Gartnerが2021年に実施したサーベイでは、CEOの最優先課題には「ビジネス成長」、CIOの最優先課題には「変化対応」が挙げられています (※)。アナリストでシニア ディレクターの飯島 公彦は次のように述べています。「テクノロジはビジネス自体を実現するものであり、もはや効率だけを求めるものではありません。ITリーダーは、ビジネスの成長と変化対応を実現するために主体的に関わっていく必要があります」
(※) 「2022年のCEO/上級経営陣向けサーベイ」および「2022年のCIO/テクノロジ・エグゼクティブ・サーベイ」
これらの課題に対して重要となるのがデジタル人材の確保です。Gartnerは、デジタル人材に必要となる3つの能力を特定しています。3つの能力とは、「新しい発想でビジネスをデザインする能力」「新しいビジネスにあうようにテクノロジをデザインする能力」「ビジネスとITをつなぐ橋渡し能力」です。特に橋渡し能力は、チームの構成を変え、チームとして発揮できる能力を拡張する上で不可欠です。
飯島は次のように述べています。「デジタル人材をいかに企業に引き付け、いかにとどめておくか、また、社内に招き入れた、もしくは既にいる人材をどう進化させるかが企業においての重要な課題になっています。一方で、『望む人材を確保できない』ことが最新テクノロジの適用における最大の障壁となっています」
こうしたデジタル人材不足の課題への対策として、Gartnerはビジネス・テクノロジストとフュージョン・チーム (多分野混成チーム) の展開を推奨しています。ビジネス・ユーザーであるビジネス・テクノロジストがテクノロジを使ってビジネス・アイデアを実現する、いわゆる「開発の民主化」の時代の到来です。飯島は次のように述べています。「ITのプロ、特にソフトウェア・エンジニアリング・リーダーは、ビジネスとITをつなぐフュージョン・チームをリードし、ビジネス・テクノロジストとともに、テクノロジを戦略的に活用していく必要があります」
ソフトウェア・エンジニアリング・リーダーが重視すべき3つの戦略的テクノロジ
Gartnerは、成長を推進するためにソフトウェア・エンジニア/ITリーダーが特に重視すべき戦略的テクノロジとして、ハイパーオートメーション、トータル・エクスペリエンス、コンポーザブル・アプリケーションの3つを挙げています。
バイス プレジデントでチーフ・オブ・リサーチのマーク・オニール (Mark O’Neill) は、次のように述べています。「ハイパーオートメーションは、ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA)、人工知能 (AI)/機械学習 (ML)、自然言語処理、ローコードなどの多様なテクノロジを活用して、業務プロセス、インタラクションや意思決定に関する可能な限りの自動化と拡張を推進します。これにより、ビジネス変化への臨機応変でスピーディな対応が可能となり、従業員や顧客の満足度の向上に加えて、コスト削減に関して大きな効果が期待できます」
トータル・エクスペリエンス (TX) は、カスタマー・エクスペリエンス (CX)、従業員エクスペリエンス (EX)、マルチエクスペリエンス (MX)、ユーザ・エクスペリエンス (UX) の4つのエクスペリエンスを相互に連携させてトータルで管理するビジネス戦略です。トータル・エクスペリエンスの目的は、顧客や従業員の信頼、満足、ロイヤリティ、アドボカシ (推奨) を高めることです。
オニールは次のように述べています。「トータル・エクスペリエンスには、デジタルのみではなく、非デジタルなエクスペリエンスも含まれます。顧客や従業員が、トータル・エクスペリエンスで相互に連携している企業は、より大きなビジネス成果をもたらし、成長を加速できます。トータル・エクスペリエンスの施策により、企業はビジネス変革を実現するとともに、サイロ化したエクスペリエンスを統合することでコスト削減にもつながります」
企業のデジタル化への取り組みの際に障壁となる、スキル、従来のアプリケーションへのロックイン、スピード感の課題を解決するコンポーザブル・アプリケーションは、アプリケーションをモジュール化することで、アプリケーション全体を変更せずに部分的に変更できるため効率的であり適応力にも優れています。コンポーザブル・アプリケーションを展開する際には、ビジネスの思考 (マインドセット) もコンポーザブルな考え方 (コンポーザブル・シンキング) に変革していく必要があります。
日本企業のアプリケーションの近代化と自動化の取り組みは道半ばの状況
日本のアプリケーションの近代化と自動化の状況について、Gartnerが2021年11月に実施したユーザー調査の結果を踏まえ、飯島は次のように解説しています。「自動化の取り組みには、さまざまなテクノロジが活用されていますが、総じてアプリケーションには手を加えないアプローチをとる日本企業が多い状況が見てとれます。一方、近代化に関しては、あくまでも定型的な処理に対して取り組みが進んでいる状況が見られ、変化への対応を考慮したものにはなっていません。アプリケーションによりビジネス成長を支え、変化対応を実現させるには、変革を加速させる必要があります」
飯島は、次のようにまとめています。「テクノロジの役割が、ビジネスそのものの実現に変化、シフトしている中、ITリーダーは、主体的に、自らの役割を変化させることが必要です。その役割とは、ビジネスの現場を知り、テクノロジでビジネスを実現することです。また、デジタル人材の育成をリードし、フュージョン・チームをリードして、ビジネス価値の実現を中心に据えたアジャイル・プロセスの確立を全社へ浸透させることです」
Gartnerは本日と明日17日にバーチャル (オンライン) でガートナー アプリケーション・イノベーション&ビジネス・ソリューション サミット 2022を開催しています。本サミットでは、継続的な変化に迅速に対応しつつビジネスに貢献するアプリケーションの実現について、各種トレンド、コンセプト、テクノロジの最新情報を提供します。コンファレンスのニュースと最新情報は、Twitterでご覧いただけます (#GartnerAPPS)。
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