中尾は次のように述べています。「関連するスキルを有する人材不足を主な背景として、多くの企業では、上流工程においても社外のリソースを活用せざるを得ない状況であるとみられます。上流工程では、社外リソースを活用することで、外部から新しいアイデアや先端技術などの知見を得られる一方で、社外のスキルに依存してしまい、知見やノウハウが社内に蓄積されないといったリスクがある点に予め留意する必要があります。また、従来よりも、社内リソースとの連携スピードや柔軟性を求められるため、社外のリソースを活用する際は、連携体制の実現性や、ベンダー依存のリスクへの対応策なども併せて検討しておくことが重要です」
なお、本調査では、今後のソーシング方針のほか、デジタル・トランスフォーメーションにおける社外のリソースの選択肢についても調査しました。今後のソーシングの方針は、それぞれの企業の課題や現状のソーシング施策によって異なることがうかがえます。内製化を進める傾向を示した企業では、社外リソースを補完的に活用しつつも、今後は、社内リソースの育成や強化を目指そうとする様子が見受けられます。
中尾は次のように述べています。「こうした企業は、社内リソースを増やし、定着させるために、中核を担う人材の育成/獲得の方針を明確にするとともに、人材が継続的に活躍できる環境の整備など、自走するための具体的な施策を検討する必要があります」
一方、社外のリソースでは、新しいビジネス・アイデアや、新しい技術のノウハウを提供できるベンダーを積極的に開拓している企業の動きもうかがえました。テック・ベンチャーやスタートアップ、異業種/競合する企業、大学や各種研究機関との連携など、多彩なソーシングのオプションの活用も視野に入れている企業も一定数見受けられます。とはいえ、多くの企業にとっては、これまで馴染みのない取り組みであると考えられます。
中尾は次のように補足しています。「社外のリソースを活用する際は、期待する成果が得られないリスクや、選定時の評価、あるいは、委託後のパートナーとの関係性やパフォーマンス管理など、管理、監督体制の対策が必要です。デジタル時代のソーシング戦略では、社内、社外のリソース両面で、それぞれの能力を最大限引き出していくための施策が、これまで以上に重要となっています」
Gartnerのサービスをご利用のお客様は、リサーチノート「デジタル時代のソーシング戦略:サーベイ結果から見えてきた考慮すべきポイント」で詳細をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products
調査手法
本Web調査は、2022年4月に実施し、ITユーザー企業で、ITシステムの構築/導入/保守/運用およびサービス委託先の選定に関与している担当者のみを対象にしました。有効回答企業数:400社。なお、調査では、デジタル・トランスフォーメーションを「デジタル技術を用いた既存のビジネスモデルの最適化や新たなビジネスモデルの構築」と定義し、実施しました。
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