ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下Gartner) は、2022年のデータ/アナリティクス (D&A) に関するトップ・トレンドを発表しました (グローバルでは2022年3月29日に発表しています)。12のトップ・トレンドは「ダイナミズムとダイバーシティの活性化」「人材と意思決定の強化」「信頼確保の制度化」の3つのカテゴリに分類されます。
D&Aのリーダーは、これらのトレンドの持つ意味を理解し、戦略に反映させて、具体的な取り組みとして進めることが重要です。それによって、混乱や不確実性に迅速に適応し、スキルや人材の不足に対処し、信頼性を担保しながらD&Aを組織に浸透させ、組織が期待する価値の実現を目指すべきです。
アナリストでディスティングイッシュト バイス プレジデントのリタ・サラム (Rita Sallam) は、次のように述べています。「D&Aに関する2022年のトップ・トレンドに反映されている、ビジネス、市場、テクノロジのダイナミクスは、変化を予測し、不確実性を好機に変える上で役立ちます。これらの責任を担うのが、D&Aのリーダーです」
日本でD&Aの分野を担当するアナリストでシニア ディレクターの一志 達也は次のように述べています。「2022年のトップ・トレンドは一見すると、2021年と比べて大きく変わったように見えますが、これまでの流れを汲みながら、より実践的でビジネス成果を高めるための方法や姿勢を強く表現しています。多くの日本企業において、これらは実態とかけ離れた絵空事のように感じられるかもしれませんが、その実現に向けて戦略的かつ計画的に取り組まれなければ、世界との差は広がるばかりです。D&Aは、もはや単一のテクノロジやツールを導入すれば目的を達成できるものではないことに加えて、第三者のサービスに頼っていては成果の獲得が難しくなっています。D&Aに関わるリーダーは、これまでの常識を捨てて、新たな組織体制とリーダーシップのもとに、大胆で革新的な取り組みを推進することが求められています」
2022年のD&Aのトップ・トレンドは、次のとおりです。
ダイナミズムとダイバーシティの活性化:
適応性の高い人工知能 (AI) システムの台頭によって、不確実で不安定な市場環境においても、成長とイノベーションを推進しやすくなりました。AIのためのデータ管理、自動化されたアクティブ・メタデータの活用、あらゆるデータの共有から生まれるイノベーションは、いずれもデータ・ファブリックを基盤とし、データとアナリティクスの価値を最大限に引き出します。
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミックをはじめとする近年の大規模な世界的事象により、公共と民間のデジタル・ビジネスの俊敏性と回復力を向上させるために、データ共有の必要性が一気に高まりました。世界では、政府の効率性を高め、公共的な価値を生み出す重要な優先事項として、データ共有を強調しています。同様に、市場の成長を促す目的で、産業界におけるデータ共有も推奨しています。これが「あらゆるデータの共有」がトレンドである理由です。
2026年までに、社内外のデータ・エコシステムに自動化された信頼基準が適用されることで、外部のデータ仲介者の大半は市場から排除され、データ共有のリスクが半減するとGartnerはみています。
このカテゴリに含まれる2022年のトレンドは、適応性の高いAIシステム、データ・セントリックAI、メタデータ駆動型のデータ・ファブリック、あらゆるデータの共有です。
人材と意思決定の強化:
D&Aリーダーは、意思決定者にとって意義のある洞察を生み出すために、文脈や背景といった関係情報で補強された、コンテキスト・ドリブンなアナリティクスを提供する必要があります。ビジネス部門のユーザーは、ノーコード/ローコードのテクノロジを用いて、モジュール型で提供されるD&Aの豊富な機能コンポーネントを組み合わせ、独自のアナリティクス・アプリケーションを構築します。これには、データ・リテラシーを優先して、D&A人材の不足に対処する戦略の導入も含まれます。
2025年末まで、大多数の最高データ責任者 (CDO) は、データ・ドリブンなビジネスの戦略的目標を達成するために必要な人材のデータ・リテラシーを向上できないままとなるでしょう。Gartnerの調査によると、D&Aの人的な要素を優先して取り組む組織は、テクノロジに偏重する組織よりも成功を収める割合が高いことが明らかになっています。人材に焦点を当てることで、プラットフォーム/データセット/ツールを単に提供することではなく、より幅広いデータ・リテラシーやデジタル学習が促進されます。
このカテゴリに含まれる2022年のトレンドは、コンテキストで補強された分析、ビジネス・コンポーズドD&A、意思決定に重点を置いたD&A、スキルとリテラシーの不足です。
信頼確保の制度化:
D&Aから最大の価値を引き出すことが可能なのは、AIのリスクを管理し、分散システム/エッジ環境/先進エコシステムにわたるコネクテッド・ガバナンスを実現できる場合のみです。
AIは普及しつつありますが、多くの組織では、自社のAIモデルが何をしているのかの解釈や説明ができず、結果として信頼性と透明性の欠如を招いています。組織は、急速に進むAIイノベーションのリスク管理に備えておらず、セキュリティを含むモデルのガバナンスに手を抜く傾向にあることから、誤ったビジネス上の意思決定を下したり、最悪の場合は生死に影響を与えたりするなど、AIモデルの誤作動による悪影響が増大しています。
AIに関する規制が世界的に広がる中、信頼性、透明性、消費者保護を確保する監査可能な特定のプラクティスが義務付けられつつあります。2026年までに、信頼できる目的志向のAIを開発する組織では、AIイノベーションの75%以上で成功を収めるが、開発しない組織では40%にとどまるとGartnerでは予測しています。
このカテゴリに含まれる2022年のトレンドは、コネクテッド・ガバナンス、AIのリスク管理、ベンダーと地域のエコシステム、エッジへの展開です。
Gartnerのサービスをご利用のお客様は、「Top Trends in Data and Analytics, 2022」で詳細をご覧いただけます。2022年のトレンドに関する詳細な分析については、無料ウェビナー「The Gartner Top Trends in Data & Analytics for 2022」でご確認いただけます。
2022年におけるD&Aリーダーの優先課題については、「2022年のリーダーシップ・ビジョン:データ&アナリティクス」をご覧いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらよりご参照ください。
https://www.gartner.co.jp/ja/products
ガートナー データ&アナリティクス サミット
ガートナーは、データ&アナリティクスのリーダー向けに最新のリサーチからの分析やアドバイスを紹介する「ガートナー データ&アナリティクス サミット 2022」を、英国、ロンドン (5月9~11日)、米国、フロリダ州オーランド (8月22~24日) 、東京 (9月14~16日)、インド、ムンバイ (9月19~20日)、豪州、シドニー (11月7~8日)、にて開催します。コンファレンスのニュースと最新情報は、Twitterでご覧いただけます (#GartnerDA)。
日本のITエグゼクティブ向けのニュースや最新情報は、GartnerのTwitterやFacebookでも案内しています。最新のプレスリリースや記事、ウェビナー情報については、こちらよりご参照ください。