前出のイェンガーは次のように述べています。「過去12~18カ月間にデジタル・ビジネスに膨大な投資を行ってきた企業は今、少し立ち止まり、戦略の検証と投資収益率 (ROI) の確認を行っています。取締役会が現在注力しているのは、テクノロジの統合のほか、テクノロジがビジネス全体に浸透してビジネス成果を推進する、より永続的で体系的なデジタル経済アーキテクチャの構築です」
今回の調査では、回答した取締役の64%は、企業の経済構造をよりデジタル経済中心のアーキテクチャに転換しようとしていることが明らかになりました。これはつまり、デジタル投資を吸収するために、予算配分やガバナンスへのアプローチを変えつつあるということです。例えば、取締役の40%は、デジタル・ビジネス関連予算をテクノロジ/IT予算に集約するのではなく、ビジネス部門に移管しています。また、取締役の3分の1は、デジタル投資のROIを評価するための指標を変更しています」
取締役会の焦点は、ITの範囲を超えたテクノロジの役割へと移りつつありますが、取締役会のデジタル・イニシアティブにおける重要なパートナーとしてCIOが認識されていることに変わりはありません。取締役の34%は、IT/デジタル/テクノロジ小委員会 (いずれかの名称) を正式に設置しており、そのうちの大多数 (94%) はCIO/CTOが当該小委員会の正式メンバーであると回答しています。
取締役会の優先課題は、人材に関連する課題と社会問題
人材 (従業員の定着、トレーニング、採用など) に関連する課題を、取締役の52%が最優先すべき戦略的ビジネス課題として挙げており、2021年の調査と比較して86%増加しています。
イェンガーは次のように述べています。「人材に関連する懸案事項は、テクノロジ・トランスフォーメーションと密接に結び付いています。企業がデジタル・ビジネス・イニシアティブを加速させる中で、ITスキル不足といった問題や、デジタルに対応したアジャイル人材の育成の必要性、組織文化の変革が非常に重視されるようになっています」
ESG (環境、社会、ガバナンス)、健康、持続可能性は、取締役会の優先課題の上位3項目に入り、昨年から100%増加しました。今回の調査から、取締役会の30%は、自社が主要な社会問題または政治問題に公式に関与していると考えており、半数近く (45%) の取締役会が「DEI:ダイバーシティ (多様性)、エクイティ (公平性)、インクルージョン (包摂性)」をすべての会議で、または四半期ごとに議題にしていることが明らかになりました。
詳細については、「Roadmap to Renewal: Insights from the 2022 Board of Directors Survey」と題した無料のウェビナーでご確認いただけます。
日本で提供しているサービスについては、こちらをご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products
Gartnerは来る11月16~18日に、「Gartner IT Symposium/Xpo 2021」をバーチャル (オンライン) で開催します。Gartner IT Symposium/Xpo 2021では、CIOがどのように逆境に対処するか、また事業を継続していくためのデジタル・ビジネス戦略立案ツール/テクニックをどのように見つけていくかについて、さらなる分析を紹介します。ITエグゼクティブは、本コンファレンスに参加することにより、ビジネス課題の解決とオペレーションの効率化を目的としたIT活用法についての知見を得られます。
本プレスリリースに関連した内容は、前出のイェンガーが「Gartnerの2022年取締役向けサーベイ-再生へのロードマップ」(11月18日、11:35~12:05) と題した講演で発表します。コンファレンスのニュースや最新情報は、Twitter (#GartnerSYM) でもご覧いただけます。
【海外発プレスリリース】
本資料は、Gartnerが海外で発信したプレスリリースを一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含めGartnerが英文で発表したリリースは、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/en/newsroom/