アナリストでバイス プレジデントのメリッサ・デイヴィス (Melissa Davis) は次のように述べています。「デジタル・ビジネス・トランスフォーメーションに引き続き重点を置く企業は、変化を加速させる必要があり、先進テクノロジを巡るハイプ (過熱状態) に惑わされるべきではありません」
また、アナリストでバイス プレジデントのフィリップ・ドーソン (Philip Dawson) は次のように述べています。「本ハイプ・サイクルでは、企業が追跡すべき重要な先進トレンドのほか、特に注視すべきテクノロジを、『信頼』『成長』『変化』というテーマを設定することによって包括的に把握できるようにしています」
先進テクノロジのトレンドにおける3つのテーマ
信頼を構築する:信頼 (トラスト) にはセキュリティと信頼性 (リライアビリティ) が求められます。信頼は、ITがビジネス価値を提供するための回復力のあるコア/基盤として、イノベーションの構築にも拡張できます。この基盤は、設計済みで再現性があり信頼できる、実証されたスケーラブルな作業プラクティスとイノベーションによって構成されなくてはなりません。
例えば、現在、デジタルおよびクラウド・テクノロジ/サービスの市場を支配しているのは、米国とアジアのプロバイダーです。その結果、多くの欧州企業がこれらの地域にデータを保管しているため、政治的な不安に加え、データ・コントロールの維持と現地規制の遵守に関する懸念が生じています。各国は、ソブリン・クラウドを用いてデジタル/データ・ソブランティ (主権) を確保することにより、データ保護コントロール、データ・レジデンシ要件、保護主義、インテリジェンス収集を法的に適用できるようになります。
注目すべきテクノロジは、ソブリン・クラウド、NFT、機械可読法 (機械で読める法律)、分散型アイデンティティ、分散型金融 (DeFi)、準同型暗号、アクティブ・メタデータ管理、データ・ファブリック、サービスとしてのリアルタイム・インシデント・センター、従業員コミュニケーション・アプリケーションです。
成長を加速する:信頼できるコア・ビジネスが確立されると、回復と成長が可能になります。企業は、テクノロジ・リスクとビジネス・リスク許容度のバランスを取り、短期的な目標を達成できるようにする必要があります。イノベーション主導のコア・ビジネスのスケーラビリティが高まると、成長が加速し、デリバリと価値が拡大します。
例えば、ジェネレーティブAIは、製薬業界で創薬のコストと時間を削減するために使用されている先進テクノロジです。Gartnerは、2025年までに、新薬や新材料の30%以上がジェネレーティブAI手法を用いて体系的に発見されるという仮説を立てています。ジェネレーティブAIは、多くの分野で設計を拡張・加速するだけではなく、ジェネレーティブAIがなければ人間が見逃していたかもしれない新たな設計を「発明」する可能性も秘めています。
注視すべきテクノロジは、マルチエクスペリエンス、インダストリ・クラウド、AI主導のイノベーション、量子機械学習 (ML)、ジェネレーティブAI、デジタル・ヒューマンです。
変化を形作る:変化とは従来、破壊的なものであり、カオス (混沌) につながりがちですが、企業はイノベーションによって変化を形作り、カオスに秩序をもたらすことができます。そのために必要なのは、変化のニーズを予測し、それに合わせて自動的に調整できる技量です。
例えば、コンポーザブル・ビジネス・アプリケーションは、変化し続けるオペレーションのビジネス環境により適したアプリケーション・エクスペリエンスを実現します。コンポーザブル・アプリケーション・テクノロジを基盤とし、コンポーザブル・シンキングを用いて構築されるコンポーザブル・ビジネスによって、企業はビジネス機会を認識して活用し、予期せぬディスラプションに対応することが可能になります。また、変化する顧客ニーズを顧客が望む時に満たすことで、顧客のロイヤリティを維持できるようになります。
新たな変化を形作ろうとしている企業が検討すべきテクノロジは、コンポーザブル・アプリケーション、コンポーザブル・ネットワーク、AI拡張型設計、AI拡張型ソフトウェア・エンジニアリング、物理学に基づくAI、インフルエンス・エンジニアリング、デジタル・プラットフォーム・コンダクター・ツール、データ指向ネットワーキング、自己統合型アプリケーションです。
「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2021年」は、幅広いイノベーション、テクノロジ、ビジネス・トレンド、主要業種をカバーしている90以上のGartnerハイプ・サイクルの1つです。「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2021年」については、「The Gartner Hype Cycle for Emerging Technologies, 2021」と題した無料のウェビナーでも詳しく解説します。
日本で提供しているサービスについては、こちらをご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products
CIOをはじめとするITエグゼクティブにとって世界で最も重要なコンファレンスである「Gartner IT Symposium/Xpo 2021」では、先進テクノロジのトレンドについてのさらなる分析を紹介します。コンファレンスのニュースや最新情報はTwitterでご覧いただけます (#GartnerSYM)。
「Gartner IT Symposium/Xpo」(バーチャル開催) の開催日時と地域は以下のとおりです。
10月18~21日:北米・中南米
10月25~27日:アジア太平洋 (APAC)
11月8~11日:欧州・中東・アフリカ (EMEA)
11月16~18日:日本
11月30日~12月2日:インド
日本でのニュースや最新情報はTwitterでもご覧いただけます。
Gartner ITプラクティスについて
Gartner ITプラクティスは、CIOをはじめとするITリーダー向けに、組織がデジタル・トランスフォーメーションの推進を通じてビジネス成長をリードするための知見やツールを提供しています。詳細については、https://www.gartner.com/en/information-technology をご参照ください。Gartner ITプラクティスのニュースや最新情報は、TwitterやLinkedInでもご覧いただけます (#GartnerIT)。
【海外発プレスリリース】
本資料は、Gartnerが海外で発信したプレスリリースを一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含めGartnerが英文で発表したリリースは、以下よりご覧いただけます。https://www.gartner.com/en/newsroom/