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2021年6月7日

ガートナー、日本企業のカスタマー・エクスペリエンスへの取り組みに関する調査結果を発表

「ガートナー アプリケーション・イノベーション&ビジネス・ソリューション サミット 2021」 (6月21~22日) において、アナリストが最新トレンドや指針を解説

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下ガートナー) は、日本企業のカスタマー・エクスペリエンス (CX) に関する調査結果を発表しました。それにより、日本ではCXプロジェクトの進捗が遅れている状況が明らかになりました。

ここ数年、ビジネス上の差別化要素としてCXへの注力の重要性が叫ばれています。競争の激化、顧客の多様化と高度化、デジタル・テクノロジの高度化が主な要因にあると考えられますが、顧客はもはや品質の良さや価格の安さ以上の付加価値 (=CX) を求めるようになっています。さらに、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の影響により、多くの企業が顧客応対を非対面で行わざるを得なくなったことが、顧客応対業務におけるデジタル・テクノロジの普及にいっそう拍車を掛ける結果となっています。

国内企業においてもCXへの関心はいっそう高まっています。しかしながら、国内企業におけるCXプロジェクトは総じて進捗が芳しくない状況にあります。ガートナーが、2020年11月に実施した調査において国内のユーザー企業にCXの取り組み状況について尋ねたところ、「必要だが未検討/進捗が遅い」と回答した割合が3割を超えていることが明らかになりました。「必要だが未検討/進捗が遅い」と回答した割合に「必要なし」「知らない/分からない」と回答した割合も含めると、全体の8割弱を占めています。2018~2020年の調査結果を比較すると、何らかの取り組みを進めている割合 (「進行中・稼働済み」「検討中」) は増えているものの、COVID-19によるビジネスへの影響があったにもかかわらず、CXプロジェクトの進捗が遅いことが浮き彫りになりました (図1参照)。

図1. 日本におけるCXプロジェクトの状況 (2018年~2020年)

出典:Gartner (2021年6月)

アナリストでシニア ディレクターの川辺 謙介は次のように述べています。「日本におけるCXプロジェクトの過去3年の状況を振り返ってみると、若干ではありますが確かに増加傾向にあります。しかしながら依然として、『必要だが未検討/進捗が遅い』や『知らない/分からない』と回答する企業も相当数残っています。CXの取り組みはビジネス上の差別化に目的があるため、これを積極的に進めている企業と、そうでない企業との間には大きな差が広がっていくことが懸念されます」

本調査では、CXに取り組んでいると回答した企業に、CXの推進責任者についても尋ねました。その結果、CXの取り組みを主体的に進めている役員としては、「営業担当役員」が31.7%と最も多く、次いで「役員やリーダーはいない」(20.4%)、「役員でない特定のリーダー」(14.0%) となりました。これを2019年の調査結果と比較すると、上位3項目の順位は同じであるものの、それらを合計した割合が2020年は減っています。一方、「社長/経営者自身」(2019年の10.6%から2020年は13.4%) と「CMO」(2019年の5.8%から2020年は11.3%) の割合は前回調査時よりも増えています (図2参照)。

図2. 日本におけるCXの推進責任者

出典:Gartner (2021年6月)

川辺は次のように述べています。「CXプロジェクトには多くの部門が関係しますので、明確かつ強力なリーダーシップが求められます。仮にそのようなリーダーが不在のまま、各部門から集まるプロジェクト・メンバーがCXの目的を理解せず、適切な行動を取らないような状況では、組織間の隙間を埋めることができないままとなり、プロジェクトが思うように進みません。CXを担うアプリケーション・リーダーには、関係者の誰もがCXの取り組みを『自分事』として積極的に取り組めるよう、適切なアプリケーションを導入し活用を推進することが求められます」

変化の激しい状況下で厳しい競争を勝ち抜くには、顧客から信頼され、選ばれるような企業になる必要があります。そのためには、顧客をビジネスの中心に据え、デジタル・テクノロジを活用して個々の顧客接点において適切なエクスペリエンスを適切なタイミングで提供する必要があります。その際、組織間で情報が分断されたり役割が曖昧なまま顧客を待たせたりして、信頼を失う結果になるような事態は許されません。川辺は次のように補足しています。「だからこそ、そのような隙間を埋めCXを推進する強力なリーダーシップが必要であり、CXに取り組む個々の担当者には、ほかの誰かがやる仕事ではなく、自分が取り組むものとしてCXを捉える認識が求められるわけです」

ガートナーは来る6月21~22日に、ガートナー アプリケーション・イノベーション&ビジネス・ソリューション サミット 2021をバーチャル (オンライン) で開催します。本サミットでは、企業の成長への貢献が期待されるアプリケーション・リーダーやソフトウェア・エンジニアの方に、変化への適応力の高いアプリケーションを構築し、自社を靭 (しな) やかな企業へと変革するためのヒントをお届けします。本プレスリリースに関連した内容については、前出の川辺が「CXを成功させるためにアプリケーション・リーダーは何をすべきか」(6月22日、13:05~13:35) と題した講演で解説します。CXや他のエクスペリエンスについては、その他の講演も予定しています。コンファレンスのニュースや最新情報は、ガートナーのTwitter (#GartnerAPPS) でもご覧いただけます。

ガートナーのサービスをご利用のお客様は、レポート「CXに貢献するアプリケーションを選定・実装する際の最重要3項目」で関連する内容をご覧いただけます。
ガートナーのサービスについては、こちらをご参照ください。https://www.gartner.co.jp/ja/products

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