米国コネチカット州スタンフォード発、2020年10月20日 — 先進企業は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミック下でもデジタル・イノベーションを加速させ、先進テクノロジを活用しようとしていることが、ガートナーの調査から明らかになりました。この調査は、世界のCIOを対象に毎年実施しているものです。2021年はデジタルを巡る競争の年となり、パンデミックの中でも取り組みを精力的に進める企業が機運を維持できるでしょう。
アナリストでディスティングイッシュト バイス プレジデントのアンディ・ラウゼル・ジョーンズ (Andy Rowsell-Jones) は、次のように述べています。「CIOが考えるべきことやなすべきことの本質は何も変わっていませんが、環境が大きく変化しました。COVID-19のパンデミックに起因するリモートワークの拡大に大きく貢献できたことは、西暦2000年問題以来、CIOが成し遂げた最大の成果の1つと言えるでしょう。今日のCIOは、CEOの注目を集め、テクノロジの近代化の必要性を上級ビジネス・リーダーに説き、デジタル・ビジネスへの取り組みの加速を取締役会に促しています。千載一遇の機会が訪れているかもしれない今、CIOはこれを確実につかみ取る必要があります」
ガートナーの2021年CIOアジェンダ・サーベイでは、世界74カ国のあらゆる主要業種に属する1,877人のCIOから回答を得ました。回答したCIOが所属する企業の売上高/公的機関の予算総額はおよそ4兆7,000億米ドル、IT支出総額は850億米ドルに達します。
CIOサーベイから、CIOが機会をつかむための4つの方法が判明
ガートナーの2021年CIOアジェンダ・サーベイは、CIOがデジタル・ビジネスの加速と長期的な俊敏性の獲得の両方に成功するための4つの方法を明らかにしました。すなわち、「戦法を変える」「増幅力を解き放つ」「足かせを減らす」「リソースの投入先を変える」の4つです。
戦法を変える
デジタルなやりとりに対する顧客の期待が高まる中、CIOは、企業がそうした状況に備えていくのを支援できます。サーベイに回答したCIOの76%が、2020年に新規デジタル・プロダクト/サービスへの需要が拡大すると回答しました。2021年については、この割合がさらに増えます (83%)。
前出のラウゼル・ジョーンズは次のように述べています。「CIOにとって重大な分岐点がやってきます。かつてのビジネスの進め方に戻ることはありません」
CIOサーベイから、「先進企業」(備考1参照) が「平均的企業」よりも積極的に取り組んでいる、顧客向けのデジタル化領域が2つ浮かび上がりました。1つは新規デジタル・プロダクト/サービスの導入の加速、もう1つは顧客アプローチ/市民エンゲージメントのためのデジタル・チャネルの活用です。先進企業10社のうち9社がデジタル・チャネルを追求しているほか、その約4分の3がデジタル・プロダクトの導入スピードを上げています。
顧客へのアプローチにおいてデジタル・チャネルの活用を増やした場合、企業が「遅れた企業」ではなく先進企業になる可能性は3.5倍高くなります。ラウゼル・ジョーンズは次のように述べています。「最も先進的な企業は、デジタル・ビジネスに総力を挙げて取り組んでおり、それを可能にする能力の開発を進めています」
増幅力を解き放つ
CIOサーベイでは、パンデミックの結果として企業のITリーダーシップにどのような変化があったかを尋ねました。CIOの約70%が、ビジネス部門に助言するため特定のビジネス・プロセスに関する知識を深めたと答え、同じく約70%が、ITの価値の測定および明確化の取り組みを強化したと回答しました。
前出のラウゼル・ジョーンズは次のように述べています。「COVID-19のパンデミックへの対応は、PCの配備をはじめ単純作業のように見えますが、CIOにとっては重大な機会でした。CIOは、ITのリーダーシップをデジタル・ビジネスの加速に改めて集中させ、企業のコア・テクノロジを再構築することができました。パンデミック渦中のどこかの時点で、すべてのCIOに能力を発揮するチャンスがあったのです」
足かせを減らす
CIOサーベイから、CIOが「足かせ」 (例えばサプライチェーンのパフォーマンス低下) を体系的に把握し排除することでデジタル化を加速させられることが分かりました。多くのCIOがパンデミック中に売上高が減少したと回答しましたが、その回答率は、先進企業では29%にとどまったのに対し、平均的企業では45%、遅れた企業では62%でした。
こうした中でも、企業が強気の姿勢を見せた領域も複数ありました。CIOは、新規ビジネス・イニシアティブ、買収、コストの競争力、従業員の生産性の各領域でパフォーマンスが向上したと回答しています (図1参照)。