ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下ガートナー) は、国内企業のITソーシングに関する最新の調査結果を発表しました。
パンデミックにより、開発作業のリモート化や自動化への機運が高まる
2020年4月の政府による緊急事態宣言の発動以降、経済活動が抑制される中、アウトソーシング (外部委託) を実施する企業でもその見直しが行われました。ガートナーが2020年4月に国内企業のITリーダー向けに実施した調査において、委託中の開発や運用保守への影響を尋ねたところ、開発プロジェクトでは「一部工程における工期遅延」や「開発中システムの納期遅延」があったと回答した企業がいずれも40%を超えました。実際に、大規模な開発では、パートナー企業やオフショアのリソースを活用する場合もあり、当該領域のロックダウン等により工期/納期が遅延した例も見られました。
企業の中には、リモートでの開発実施によりスケジュールの遅延を抑える動きも進みつつあります。本調査で企業の対策を尋ねた結果では、内部/外部ともに、「一部作業のリモートへの切り替え、自動化、作業の縮退などの代替策の導入」を進めている企業は54.0%に上りました (図1参照)。「既存の外部委託取引における作業体制/作業環境の棚卸し」など、リモート化や自動化が可能な作業を特定するための活動に取り組む企業も40%近くに達しています。
一方で「委託先ITベンダー側の事業継続計画 (BCP) ガイドラインの確認」「委託先ITベンダーのリスク・マネジメント規範の策定」「委託取引契約書中の『不可抗力』『免責事項』のパンデミック適用可能性の検討」に関しては、本調査の実施時点では、検討中や未対応の回答が多く見られました。アナリストでプリンシパルの中尾 晃政は次のように述べています。「国内では、依然として新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の再拡大の懸念が払拭されていません。企業は、COVID-19への対策のみならず、今後は中長期的な視点で、BCPやリスク・マネジメントなど、アウトソーシングの継続性や安定性を高める施策をベンダーとの契約更新や選定で評価していくべきでしょう」