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2020年5月11日

ガートナー、新型コロナウイルス感染症パンデミックの中、財務面で生き残りを図るためにCIOが取るべき8つのアクションを発表

米国コネチカット州スタンフォード発、2020年4月29日 - ガートナーは、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の及ぼす財務的な影響の多くをIT部門が実感することになるだろうとの見解を発表しました。CIOは、感染症のパンデミックの中で、IT部門のキャッシュフローを保護または「隔離」するために、8つのアクションを取るべきです。

アナリストでシニア ディレクターのクリス・ガンリー (Chris Ganly) は次のように述べています。「経営幹部が2020年に優先すべきは『成長』ではなく『生き残り』です。生き残れるかどうかは、テクノロジを使って革新性を保ちながらキャッシュフローと収益を維持できるか否かで決まります。行動を起こさなければ、企業はこの混乱の中を生き残れないかもしれません。また、生き残れたとしてもその後の回復は遅れるでしょう」

CIOが取るべき8つのアクションは、以下です。

重要度の低い支出を保留する

CIOは、ITの現時点の支出 (現時点で支払っている、あるいは支払うことが決まっている支出) のどの領域を延期、排除、変更できるかを直ちに規定すべきです。その際は、まだ発生していない (確約されていない) 支出のほか、本質的に重要度の低い裁量的な変動支出に注目すべきです。

支出増加を見越す

主にオフィス内での業務を中心とする多くの企業や業界では、デスクトップPCや固定のオフィス・ネットワーク/インフラストラクチャを使用しています。オフィス型からリモート・ワーク型の働き方に切り替えるために、ノートPC/モニタ/モバイル・デバイスの取得やこれらへの資金獲得、増やしたソフトウェア/VPN/ハードウェアへのコスト、利用量ベースの通信コスト (音声とデータの両方) という形で支出が増加する可能性があります。

前出のガンリーは、次のように述べています。「CIOはコスト増を見越して計画を立てる必要があります。多くの組織では、IT予算におけるコスト増を実感することになるでしょう。CIOは、本件についてビジネス部門のリーダーやCFOと話し合い、コスト増に対処できること、そしてそれと同時に可能な領域に対しては支出削減できることを確認する必要があります。例えば、オフィスや作業場所が一部または完全に空く場合、そうした場所の光熱費、通信/アクセス、インフラストラクチャ、サービスを停止したり支払いを延期したりできるか、といったことを確認します。CIOは、ITのコスト・ベースとコスト・カテゴリを慎重に点検して、どのコストが増え、どのコストが削減可能かの両方を想定するとともに、取るべきアクションを検討すべきです」

現時点の支出の割合を減らす

CIOは、ビジネス部門と連携して要件ごとの優先順位を見直し、IT部門が捻出できる支出のレベルを設定する必要があります。支出とアクションについては、以下の3つに分類すべきです。

  • 可能/必須:停止、延期、遅滞が可能 (したがって必須) なベンダー/サプライヤーおよび支払いを特定します。このときCIOは、組織が将来、支払いができなくなる可能性のある「後払い」取引にも警戒すべきです。
  • 可能性あり/必要: 停止、延期、遅滞できる可能性があるベンダー/サプライヤーおよび支払いを特定し、具体的な支出削減アクションと、そのアクションを実行するために必要な、関連のあるリスク低減措置を見つけ出します。
  • 不可能/禁止: 自社のビジネスにとって必要不可欠であるため、今回停止、延期、遅滞すべきではない支払いおよびベンダーを特定します。こうした取引先のパフォーマンスと財務的健全性を積極的に監視し、危険な状態にあるベンダーに対しては緊急対応計画を検討します。

既存の全投資を評価する

CIOは今すぐ、仕掛中の全プロジェクトのレビューを行い、「最重要ではないプロジェクト」と「最重要プロジェクト」の2つに分けるべきです。「最重要ではないプロジェクト」については即座に中断する一方、直近のキャッシュフローや組織として生存し続けていくために必要となる「最重要プロジェクト」については、削減可能な要素を判断するためにレビューすべきです。このとき、期をまたぐような大規模プロジェクトは後者に入ることが多くなるでしょう。また中断できそうなプロジェクトであっても、多くの部分を外部に委託している場合は、対象に入れることに慎重になるべきです。

新規支出をすべて延期する

CIOは、プロジェクト/人員/資産/アップグレードに対してまだ支払いが始まっていないものはすべて延期またはキャンセルし、当該支出に関連して留保していたあらゆるサードパーティ・リソース/サービス/インフラストラクチャ費用も解除すべきです。ただし、延期することでパンデミック収束後のビジネスに大きな影響が及ぶ可能性のある新規プロジェクトをここで見極める必要があります。そういったプロジェクトに対しては、できる限り投資を継続すべきです。

既存の全支出を再評価する

CIOは、自らの裁量権があるプロジェクト・ポートフォリオはもちろんのこと、現在提供中のサービス・ポートフォリオについても、サービス・レベルを下げる機会の特定に取り組むべきです。

前出のガンリーは、次のように述べています。「CIOは、クラウド・サービス、音声/データ通信など、組織全体のすべての変動的な運営支出 (OPEX) において現在の利用量レベルを精査すべきです。サービスを完全に廃止するか、供給の制限/管理および契約条項の再交渉 (必要な場合) を行うことで全社的なサービス利用量を減らす制御のアクションを取るかどうかを、サービスごとに判断します」

利用量削減に向けて交渉する

CIOは、ビジネス部門のリーダーと連携して、業務に対して行う主要な変更を決めるべきです。ビジネス部門にはサービスやアプリケーションを解約するよう交渉し、ビジネス部門のユーザーには利用量を減らすか作業方法を変えるよう促します。こうしたことは、ビジネス部門の変動的な運営支出、場合によっては固定費を減らす対策となります。

代替の財務アプローチを探る

CIOはCFOと連携して、国や地方自治体レベルで利用可能な、政府または業界による補助金を調査すべきです。

なお、アナリストでシニア ディレクターの片山 博之は、日本の状況を踏まえて次のように述べています。「COVID-19の影響でIT計画の見直しを余儀なくされる企業が多いことと思います。これまでリモート・ワークの導入に本腰を入れてこなかった日本企業にとっては、追加投資が不可欠になっています。一方で、2020年度に計画していた投資案件に対して再度優先順位付けを行い、より厳しい基準の下で、中止あるいは延期すべきものを決めなければなりません。ただし、パンデミック収束後の将来のビジネスで後れを取ることのないよう、継続して投資すべき案件もここで同時に見極めておく必要があります。さらに、既存のシステムへの支出に対しては、ビジネス部門と協業しながら、価値、リスク、コストのそれぞれを評価することで、一部の外部委託サービスの停止、あるいは支出額を引き下げるにとどめず、システムそのものの廃棄をも視野に入れ、思い切ったコスト削減を実行すべきです。IT部門にとっては、全社的なシステム資産の棚卸しができる機会と考えてもよいでしょう」

ガートナーのサービスをご利用のお客様は、ガートナー・レポート「8 Actions CIOs Must Take During COVID-19 for Financial Survival.」で詳細をご覧いただけます。ガートナーのコスト最適化フレームワークを活用して、ビジネス成果ごとにコスト・イニシアティブを優先順位付けする方法の詳細は、Gartner Cost Optimization Framework でご覧いただけます。

また、前出の片山は、来る5月19日 (火)、「ITコスト・カットと価値の高いIT投資案件を残すベストプラクティス」と題したウェビナーを実施します。本ウェビナーでは、ITコスト削減のためのプロセスや、削減してもよい領域と削減すべきではない領域を見分ける上で有効なフレームワークについて解説します。

新型コロナウイルスの急速な感染拡大と世界的な影響による事業の停滞・中断に備える組織の態勢づくりについては、ガートナーの特設サイト「Gartner coronavirus resource center」で詳細をご覧いただけます。こちらでは、無料のレポートやウェビナーをご案内しており、ガートナーのお客様以外でも閲覧可能です。

ガートナーのサービスについては、こちらをご参照ください。
https://www.gartner.com/jp/products


【海外発プレスリリース】
本資料は、ガートナーが海外で発信したプレスリリースを一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含めガートナーが英文で発表したリリースは、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/en/newsroom/

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