米国コネチカット州スタンフォード発 - 2020年2月5日-ガートナーは本日、2019年の主要電子機器メーカーの半導体消費に関する調査結果を発表しました。2019年は世界の半導体消費全体の8.6%を占めたAppleが半導体購入企業のトップになり、Samsung Electronicsが8%で第2位につけました。
2019年の主要電子機器メーカーの半導体消費は、メモリ価格下落の影響もあり減少しました。Appleは、Apple WatchやAirPodsなどのウェアラブル製品の好調な売り上げにより、Samsung Electronicsに代わってトップに立ちました。Huaweiは、米中貿易戦争にもかかわらずビジネスが好調に推移し、2018年に続き第3位を堅持しました。
アナリストでシニア プリンシパルの山地 正恒は次のように述べています。「2019年の上位5社は2018年と同じ顔ぶれでしたが、いずれの企業においても半導体消費が減少しました。主な要因はメモリ価格の大幅な下落です。2018年は、多くの電子機器メーカーにとってメモリ価格の高騰が大きな負担となり、上位5社のメモリチップの消費は半導体消費全体の45%を占めていました。2019年にはこうした状況が改善し、その割合は36%に減少しました。その結果、主要メーカー各社は浮いた予算を活用し、より高性能なプロセッサやメモリを搭載して自社製品のパフォーマンスを向上させました」
世界の不確実な状況や景気後退も、2019年の半導体購入企業に大きな影響を及ぼしています。2019年には、米中貿易戦争、英国のEU離脱、日本と韓国の貿易紛争、香港民主化デモを含む政治的な摩擦の拡大により、世界経済が低迷しました。前出の山地は次のように述べています。「世界経済の環境悪化が、さまざまな電子機器の需要を引き下げる要因となりました。2019年の電子機器全体の売り上げは、2018年から0.2%減の47億ドルと推定しています」
Appleは、過去3年間トップの座を維持していたSamsung Electronicsを抑えて首位に立ちました。2018年の上位10社中9社は2019年も上位10社に残り、2019年はKingston Technologyに代わってHon Haiがランクインしました (表1参照)。電子機器メーカー上位10社の半導体消費は、2018年の39.9%から、2019年は39.5%に減少しました。
表1. 世界の電子機器メーカー上位10社の2019年半導体消費
(速報値、デザインTAMベース) (単位:百万ドル)
2018年 ランク |
2019年 ランク |
メーカー名 |
2018年 |
2019年 |
2019年 シェア (%) |
成長率 (%) 2018~2019年 |
2 |
1 |
Apple |
41,390 |
36,130 |
8.6 |
-12.7 |
1 |
2 |
Samsung Electronics |
42,512 |
33,405 |
8.0 |
-21.4 |
3 |
3 |
Huawei |
21,181 |
20,804 |
5.0 |
-1.8 |
4 |
4 |
Dell |
19,131 |
16,257 |
3.9 |
-15.0 |
5 |
5 |
Lenovo |
17,670 |
16,053 |
3.8 |
-9.2 |
6 |
6 |
BBK Electronics |
13,871 |
12,654 |
3.0 |
-8.8 |
7 |
7 |
HP Inc. |
11,460 |
10,428 |
2.5 |
-9.0 |
10 |
8 |
Xiaomi |
6,921 |
7,016 |
1.7 |
1.4 |
9 |
9 |
Hewlett Packard Enterprise |
7,281 |
6,215 |
1.5 |
-14.6 |
11 |
10 |
Hon Hai |
6,583 |
6,116 |
1.5 |
-7.1 |
その他 |
286,630 |
253,224 |
60.5 |
-11.7 |
||
合計 |
474,631 |
418,302 |
100.0 |
-11.9 |
TAM = Total Available Market (総市場規模)
出典:ガートナー (2020年2月)
2019年のAppleの半導体消費は前年比で12.7%減少しましたが、ウェアラブル市場においては、Apple WatchとAirPodsの売り上げが好調でした。スマートフォンでは、新型iPhone (iPhone 11 Pro) への3眼カメラ搭載によって半導体消費が拡大したことから、「Appleが新型iPhoneシリーズで大幅な値上げをせずに付加価値を提供できたのは、メモリ価格下落の影響によるところが大きいでしょう」と山地は述べています。
Samsung Electronicsは2019年の半導体消費が21.4%減少し、第2位に後退しました。山地は次のように述べています。「Samsungの結果は、メモリ価格の大幅な下落だけが原因というわけではなく、主要な電子機器市場での苦戦も要因といえます。特にスマートフォン市場と半導体ドライブ (SSD) 市場での苦戦が影響しています」
Huaweiは、米中貿易戦争の影響にもかかわらず第3位を維持しました。Huaweiの2019年の半導体消費は、スマートフォンの売り上げが好調であったこともあり、わずか1.8%の減少にとどまりました。一方、Xiaomiは、2019年は第8位にランクを上げました。Xiaomiは上位10社の中で唯一半導体消費が増加し、対前年比1.4%増となりました。
ガートナーのサービスをご利用のお客様は、ガートナー・レポート「Market Share Analysis: Top 10 Semiconductor Chip Buyers, Worldwide, 2019 (Preliminary)」で詳細をご覧いただけます。
ガートナーのサービスについては、こちらをご参照ください。
https://www.gartner.com/jp/products
【海外発プレスリリース】
本資料は、ガートナーが海外で発信したプレスリリースを一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含めガートナーが英文で発表したリリースは、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/en/newsroom/