アナリストでシニア ディレクターの片山 治利は次のように述べています。「日本企業では人材確保・育成の施策として外注への依存率が高く、外部からの採用によってIT部門の人員を増やそうという意志が全般的にさほど強くない傾向が浮かび上がっています。従業員数の多い大企業は、外部から採用する割合が比較的大きい傾向 (40%半ば) にある一方、人材の積極的な確保・育成に取り組んでいない企業も一定数あり、既に取り組んでいる企業とそうでない企業の間では、今後のデジタル・ビジネス時代への適応力に差が付いてくるとみられます」
今回の調査では、ビジネスの阻害要因となっているアプリケーションの有無についても尋ねました。その結果、全体の51%の回答者が、阻害要因となっているアプリケーションが自社にあると回答しています。さらに、阻害要因となっているアプリケーションがあると答えた企業に対し、そのように感じる理由を尋ねたところ、「必要なタイミングですぐに変更できない (51%)」「ブラックボックス化 (49%)」「技術者不足 (38%)」の3項目が上位に挙げられました。
前出の片山は次のように述べています。
「これからアプリケーションの刷新に取り組む企業は、既存のアプリケーションがビジネスを阻害している要因を克服すべきです。阻害要因のトップに挙げられた『必要なタイミングですぐに変更ができない』については、アプリケーションの構造 (アーキテクチャ) に問題がある場合があり、アーキテクチャの見直しによって変更を容易にする必要があります。『ブラックボックス化』を解消するには、ドキュメント類の整備とともに、設計ツールや開発ツールの採用が有効です。『技術者不足』については、刷新後に必要となる人員やスキルを特定し、アプリケーションを内製/外製する場合の両面から人材確保の方針を検討する必要があります。人材の不足については、今後もIT技術者の獲得がますます困難になると予想されるため、早急に自社の課題克服に着手し、積極的な対応を進めていくことが求められます」
ガートナーのサービスをご利用のお客様は、ガートナー・レポート「日本におけるアプリケーション開発に関する実態調査:人員/スキル確保が急務」(APP-20-09) で関連する内容をご覧いただけます。
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調査手法
本調査は、2019年5月に、全国の従業員数20人以上のITユーザー企業の情報システム部門の責任者を対象に実施しました。有効回答企業数は715社でした。