ガートナーのアナリストでバイス プレジデントの鈴木 雅喜は次のように述べています。
「ビジネス向けブロックチェーンの活用に際し、企業の目の前には技術的な課題とビジネスへの応用に伴う課題の両方が残っています。一方で、ブロックチェーンに関する大きな成功事例や、ブロックチェーンの特性をビジネスに生かす成功の方程式はいまだ明らかになっていません。ブロックチェーンの普及には今しばらく時間がかかる見込みです。ブロックチェーンを担当するリーダーとチームは、技術の正確な理解に努めながらも、経営層に対しては、ビジネス上のインパクトとリスク、将来への期待などに焦点を当てた分かりやすい説明をすべきです」
ガートナーが2019年2月に日本で実施した最新のユーザー調査の結果、「ブロックチェーンを理解している」経営層の割合はわずか16.7%であり、2018年2月の27.8%から大きく減少したことが分かりました。これは、変化し続けるブロックチェーン技術の動きに経営層が追い付けずにいることを意味しています。
一方、同じ調査において、企業の65%がブロックチェーンの将来に大きな期待を寄せている現状が明らかになりました。回答者の多くが、ブロックチェーンはいずれインターネットの出現に匹敵するインパクトをもたらす、あるいは、UberやAirbnbが市場を席巻したようにビジネスを変革するとみています (図2参照)。この結果は、インターネットが情報の流通を押し広げたのと同じく、ブロックチェーンが信頼性のある取引を可能とするネットワークをインターネット上で形成し、自律的に動作するサービスが世界中に拡大していく可能性を示唆しています。