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2018年8月22日

ガートナー、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2018年」を発表 - 人とマシンの境界を曖昧にする5つの先進テクノロジ・トレンドが明らかに

2,000を超えるテクノロジから重要な知見を抽出

米国コネチカット州スタンフォード発 - 2018年8月20日 —ガートナーは本日、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2018年」を発表しました。本ハイプ・サイクルで取り上げた注目すべき35の先進テクノロジは、人とマシンの境界を曖昧にする5つの先進テクノロジ・トレンドを形成するものです。企業は近い将来、生き残りをかけて「遍在性 (ユビキタス)」「常時利用性」「ビジネス・エコシステムとのつながり」に対応することになりますが、その上で、人工知能 (AI) などの先進テクノロジは極めて重要な役割を果たします。 

ガートナーのリサーチ バイス プレジデント、マイク・ウォーカー (Mike J. Walker) は次のように述べています。「ビジネスとテクノロジのリーダーは、テクノロジ・イノベーションの急加速に今後も直面するでしょう。テクノロジ・イノベーションは、従業員との関わり方、パートナーとの連携方法、顧客向け製品/サービスの開発方法に大きな影響を及ぼします。CIOとテクノロジ・リーダーは、自社のビジネスに大きく影響し、戦略的意義のある新たなビジネス機会を見極めるべく、絶えず市場を調査するとともに、先進テクノロジの評価と試験導入を実施すべきです」 

ハイプ・サイクルのうち最も歴史の古い「先進テクノロジのハイプ・サイクル」は、ビジネス戦略担当者や最高イノベーション責任者、研究開発リーダー、起業家、グローバル市場の開発担当者、先進テクノロジ・チームなどが先進テクノロジのポートフォリオを策定する際に考慮すべきテクノロジとトレンドを、業種横断的な視点から解説するものです。 

「先進テクノロジのハイプ・サイクル」は数あるハイプ・サイクルの中でも独特のものであり、2018年版では2,000を超えるテクノロジを分析した上で知見を抽出し、35の先進テクノロジおよび5つのトレンドとして簡潔にまとめ、提示しています。本ハイプ・サイクルでは、今後5~10年にわたり、高度な競争優位性をもたらす可能性が高い一連のテクノロジにとりわけ注目しています (図1参照)。 

図1. 先進テクノロジのハイプ・サイクル:2018年

出典:ガートナー (2018年8月)

5つの先進テクノロジ・トレンド

1  AIの民主化
AIテクノロジは今後10年間で、ほぼどこにでも存在するようになるでしょう。AIテクノロジを早期に採用した企業は、新たな状況に適応し、未知の問題を解消できるようになります。また、AIテクノロジが一般に利用されるようになり、「AIの民主化」が起こります。クラウド・コンピューティングや「作り手」のコミュニティ、オープンソースといった動向やトレンドが発展し、最終的にAIは誰もが使えるものになるでしょう。

このトレンドは、以下のテクノロジによって実現されます:AI PaaS (サービスとしてのAIプラットフォーム)、汎用AI、自律走行 (レベル4/5)、自律モバイル・ロボット、会話型AIプラットフォーム、ディープ・ニューラル・ネット (ディープ・ラーニング)、空飛ぶ自律走行車、スマート・ロボット、仮想アシスタント 

前出のウォーカーは、次のように述べています。「ハイプ・サイクルにおいてAIの民主化に該当するテクノロジは、黎明期から生産性の安定期に達するまでの5つの期間のうち、3つにわたって位置付けられています。その中には、ディープ・ニューラル・ネット (ディープ・ラーニング) や仮想アシスタントなど、今後2~5年で主流の採用に達すると考えられるものもあります。そのほか、スマート・ロボットやAI PaaSといった先進テクノロジも『過度な期待』のピーク期に向かって駆け足で進んでおり、まもなく頂点を越えるでしょう」

2  エコシステムのデジタル化
先進テクノロジは、それを実現する基盤の革新を必要とします。この基盤が、十分な量のデータ、高度なコンピューティング・パワー、ユビキタスに対応したエコシステムを提供します。コンパートメント化 (区分) された技術インフラを、エコシステムに対応したプラットフォームへ革新させることで、人とテクノロジを橋渡しするまったく新しいビジネスモデルの基盤を形成するの です。

このトレンドは、以下のテクノロジによって実現されます:ブロックチェーン、ブロックチェーンによるデータ・セキュリティ、デジタル・ツイン、IoT (モノのインターネット) プラットフォーム、ナレッジ・グラフ

ウォーカーはさらに、こうも説明しています。「エコシステムのデジタル化に関連するテクノロジは、ハイプ・サイクル上を速いスピードで進んでいます。ブロックチェーンとIoTプラットフォームは既に『過度な期待』のピーク期を越えており、今後5~10年で成熟するとガートナーは予測しています。これらのすぐ後に、デジタル・ツインとナレッジ・グラフが続くとみられます」

3  DIY (自己流) バイオハッキング
あと10年もすれば、人類は「トランスヒューマン」時代に突入するでしょう。生活スタイル、関心事、健康上のニーズに応じて、バイオハッキング (遺伝子実験) が可能になります。バイオハッキングは、「テクノロジの強化」「ニュートリゲノミクス (栄養ゲノム学)」「実験生物学」「グラインダーによるバイオハッキング (人体への電子機器の埋め込み)」という4つのカテゴリに分類されます。一方で、このようなバイオハッキングの用途に対し、社会の受け入れ態勢はどの程度整っているか、またどのような倫理的問題が生じるかについては、いまだに疑問が残っています。

このトレンドは、以下のテクノロジによって実現されます:バイオチップ、バイオ技術 (培養組織/人工生体組織)、ブレイン・コンピュータ・インタフェース、拡張現実 (AR)、複合現実 (MR)、スマート・ファブリック

DIYバイオハッキングに関する先進テクノロジも、ハイプ・サイクル上を急速に進んでいます。複合現実 (MR) は幻滅期に位置付けられ、拡張現実 (AR) は幻滅期のほぼ底に達しました。先行していたこれらのテクノロジの後をバイオチップが追いかけています。バイオチップはちょうど「過度な期待」のピーク期に入ったところであり、これから5~10年で生産性の安定期へと進んでいくでしょう。 

4  透過的なイマーシブ・スペース
テクノロジは今後もさらにPeople Centric (人中心) の原則にのっとったものとなり、人、ビジネス、モノが透過的に関係するレベルに至ると思われます。テクノロジの適用範囲が広がり、われわれが活動する生活空間やワークスペースがスマート化されます。

このトレンドは、以下のテクノロジによって実現されます:4Dプリンティング、コネクテッド・ホーム、エッジAI、自己修復システム・テクノロジ、シリコン負極電池、スマート・ダスト、スマート・ワークスペース、立体ホログラフィック・ディスプレイ 

ウォーカーはまた、続けて語っています。「透過的なイマーシブ・スペースに該当する先進テクノロジは、ほとんどが『過度な期待』のピーク期に向かっています。シリコン負極電池はピークを越えたところです。スマート・ワークスペースは大きく前進し、近いうちにピークに達しそうです」

5  ユビキタスなインフラストラクチャ
インフラストラクチャはもはや組織の「お荷物」でも、目標の達成を阻むものでもありません。クラウド・コンピューティングとそれに類する多くのテクノロジが登場し大衆化したことで、時間を問わずに利用可能な、制限のないインフラストラクチャ・コンピューティング環境が実現したからです。

このトレンドは、以下のテクノロジによって実現されます:5G、カーボン・ナノチューブ、ディープ・ニューラル・ネットワーク向けASIC、ニューロモルフィック・ハードウェア、量子コンピューティング

ユビキタスなインフラストラクチャを支えるテクノロジは「過度な期待」のピークに達しつつあり、ハイプ・サイクル上を急速に進んでいます。特に5Gとディープ・ニューラル・ネットワーク向けASICは、今後2~5年間で生産性の安定期に達すると見込まれます。

CIOをはじめとするITリーダーが一堂に会する世界で最も重要なイベント『Gartner Symposium/ITxpo』では、先進テクノロジに関してさらなる分析を紹介いたします。ITリーダーは、本イベントに参加することにより、ビジネス課題の解決と業務の効率化を目的としたIT活用法についての知見を得られます。イベントのニュースと最新情報は、ツイッターでご覧いただけます (#GartnerSYM)。

『Gartner Symposium/ITxpo』の開催日時と場所は以下のとおりです。 

2018年9月17~19日:南アフリカ、ケープタウン 
2018年10月14~18日:米国、フロリダ州オーランド
2018年10月22~25日:ブラジル、サンパウロ
2018年10月29日~11月1日:豪州、ゴールドコースト
2018年11月4~8日:スペイン、バルセロナ
2018年11月12~14日:日本、東京
2018年11月13~16日:インド、ゴア
2019年6月3~6日:カナダ、トロント

【海外発プレスリリース】
本資料は、ガートナーが海外で発表したプレスリリースを一部編集して、和訳したものです。本資料の原文を含めガートナーが英文で発表したリリースは、以下よりご覧いただけます。
https://www.gartner.com/en/newsroom/

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