生成AIの民主化とは? 生成AIの民主化がもたらすビジネス価値とリスクについて

2024年3月3日

要旨

生成AIの民主化は、生産性、効率性、革新性を高める

生成AI (GenAI) は、幅広いタスクを自動化することで生産性を高め、コストを削減し、新たな成長機会を提供する可能性をもたらします。生成AIは、高度な技術的スキルをユーザーに要求せず、広く利用可能であることから、幅広い役割やビジネス機能にわたって情報やスキルへの公正なアクセスを実現します。このため、この10年で最も破壊的なトレンドの1つと言えます。

2026年までに、企業の80%以上は生成AIのAPIやモデルを使用して、生成AIに対応したアプリケーションを本番環境に展開するようになる (2023年の5%未満から増加)

出典:ガートナー

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生成AIの民主化がもたらすメリットとリスク

  • メリット:従業員の生産性、マルチドメイン・アプリケーション、情報とスキルの民主化、イノベーション
  • リスク:機密データの損失、ハルシネーション (誤答)、ブラックボックス、著作権の問題、誤用や意図しない結果が生じる可能性

生成AIによる知識とスキルの民主化の例

  • 迅速なアイデア創出や、新プロダクトの市場投入までの時間短縮:情報へのアクセスを民主化することで、コンテキストに応じた検索を可能にし、情報検索を会話型に変え、顧客と従業員の両方のエクスペリエンスに影響を与える
  • 効率化とビジネス生産性の向上:電子メールの作成、コーディング、大規模なドキュメントの要約など、手作業や繰り返しの多い作業を加速する
  • ハイパーパーソナライゼーション:組織のデータと生成AIモデルを組み合わせ、特定のオーディエンスに合わせてパーソナライズされたコンテンツや情報を作成する

生成AIを導入することで組織の生産性を大幅に向上できる

  • 大規模言語モデル (LLM):従業員は会話形式で知識にアクセスできるようになる
  • 生成AIが可能にする「ローコード/ノーコード」のアプローチ:プロダクト開発でビジネス・テクノロジストや市民開発者によるシンプルなカスタマイズや創造が推進される
  • 生成AIのモデル、ツール、アプリケーション:パブリック・クラウドのアプリケーション・プログラミング・インタフェース (API) として利用されるようになってきている。これにより、開発者は独自のモデルを構築/運用せずに、アプリケーションを容易に構築できる
  • オープンソースのモデル:企業は柔軟な展開オプションを利用し、セキュリティとプライバシーの管理を強化し、自社のユースケースに合わせてモデルをさらにカスタマイズできる

生成AIの民主化がもたらす価値を生かし、リスクを軽減するために、ITリーダーが取るべきアクション

  • 生成AIのユースケースの優先順位を示すマトリクス図を作成し、ユースケース全体での試験運用、展開、本稼働のタイムフレームを概説する
  • 技術とビジネスの両方の評価指標を用いて生成AIのビジネス価値定量化し、一貫した方法で早期に測定する

  • 従業員のトレーニングとウェルビーイングを優先するチェンジ・マネジメントのアプローチを採用して、従業員が自信を持って安全に生成AIツールを使用できるようにしながら、定型タスクを自動化する

  • 責任ある方法で民主化を可能にするためのガバナンスを実装するーコンテンツの正確性、真正性、ガードレールを確保し、経営幹部に情報を提供しながら、生成AIの利用による予期せぬ結果を防止する

アナリストによる本リサーチについてのコメント

Arun Chandrasekaran,
Gartner Distinguished VP Analyst

「生成AIは、職場の民主化を促進し、従業員に知識とスキルを与えて潜在力を発揮させます。ITリーダーは、生成AIの顕著なリスクを軽減する一方で、生産性を向上させ、コストを削減し、成長機会を創出するために、生成AIの価値を生かす必要があります」

重要な3つのポイント

1

企業は、仕事の本質を変革する可能性を持つ生成AIによって、成長を促進し、より迅速に成功を実現できるようになる


2

ITリーダーは、生成AIの変革の能力を認識すると同時に、リスクを軽減するためのポリシーを策定する必要がある


3

生成AIは、定型タスクの自動化から、複雑な問題に対する創造的な解決策の提供まで、さまざまな用途に利用できる

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Arun Chandrasekaran
ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリスト

人工知能やクラウド・コンピューティングをはじめとする先進テクノロジと最新トレンドに注力しています。アドバイザーとして、取締役、CEO、CIO、CTOなどの経営幹部/ITリーダーとその直属の従業員から厚い信頼が寄せられています。数千人ものCIOやCTOにアドバイスを提供し、AI、クラウド、イノベーションに関する数百のワークショップをGlobal 2000企業で実施してきた経験を有しています。

また、スタートアップのエコシステムも注視し、ベンチャー・キャピタルやテクノロジ企業のCEOに助言を提供しています。先進テクノロジのトレンドを分析し、戦略テクノロジのトップ・トレンドのリサーチを毎年作成しているコア・チームのメンバーです。

さらに、先進テクノロジのハイプ・サイクルのリーダーも努めています。リサーチで注力している領域は、生成AIやAI基盤モデルといった新たなAIのトレンド、パブリック・クラウド、クラウド・ネイティブ・アーキテクチャなどです。

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