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SAMPLE RESEARCH

サンプル・リサーチ

2015年以降の戦略的展望トップ10:デジタル・ビジネスが推進する「巨大な変化」

インフラストラクチャ (INF) /INF-14-188
Research Note
D. Plummer, L. Fiering, K. Dulaney, M. McGuire, C. Rold, A. Drobik, A. Sarner, W. Maurer, F. Karamouzis, J. Lopez, R. Handler, E. Perkins, A. Frank, E. Olding, A. McIntyre, J. Short, K. Welch, M. Shanler, R. Jivan, J. Sorofman, B. Taylor, J. Polk
掲載日:2015年9月14日/発行日:2014年12月29日

本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2015年10月28(水)〜30日(金)に開催する 「Gartner Symposium/ITxpo 2015」のページを是非ご覧ください。(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます)


デジタル化とデジタル・ビジネスを起爆剤として生じる変化は、人間とマシンの関係に影響し、カスタマー・エクスペリエンスの改善に寄与する。ITリーダーは、ガートナーの展望をプランニングの際の仮説事項として利用し、それに基づいて自社の戦略計画を策定する必要がある。


要約


主要な所見

  • ソフトウェア設計担当者は、企業と個人向けのコンピューティング・ベースのソリューショ ンに、人間中心型の設計をさらに盛り込むようになっている。人間の活動範囲を広げる上で、マシンがより積極的な役割を果たすようになりつつある。
  • デジタル化された「モノ」が経済的意思決定をアシストする。
  • カスタマー・エクスペリエンスの刷新が、デジタル化の優先事項となっている。

推奨事項

  • ガートナーの予測を、戦略的プランニングの策定における仮説事項として利用する。
  • 予測が現実に近づいているか、遠ざかっているかを示す短期予測を評価する。
  • 長期予測を、短期予測よりも実現可能性の低いものとして位置付ける。


目次


戦略的プランニングの仮説事項

2018年までに、デジタル・ビジネスに必要なビジネス・プロセス・ワーカーの数は従来のモデルの50% で済む一方、主要なデジタル・ビジネス業務は500%増える。

2017年までに、コンピュータ・アルゴリズムによって考案された、重要で破壊的なデジタル・ビジネスが登場する。

2018年までに、業務運用の総合保有コスト (TCO) は、スマート・マシンと工業化されたサービスによって30%削減される。

2020年までに、ワイヤレス健康モニタリング・テクノロジの普及によって、先進国における平均寿命が0.5歳延びる。

2016年末までに、オンライン・ショッピングでは20億ドル以上の購入活動がモバイル・デジタシスタントによって実行されるようになる。

2017年までに、米国内の顧客によるモバイルを利用した購入行動によって、米国のモバイル・コマースの売り上げはデジタル・コマースの売り上げ全体の50%に達する。

2017年までに、デジタル・ビジネスモデルを成功に導いている企業の70%が、顧客ニーズの変化に合わせてシフトできるようにデザインされた、意図的に不安定なプロセスに依存するようになる。

2017年までに、消費者製品への投資の50%が、カスタマー・エクスペリエンスのイノベーションに向けられる。

2017年までに、耐久消費財を扱うE-Tailer (オンライン販売のみの小売企業) の20%近くが、3Dプリティング(3DP) を使用してパーソナライズした製品を提供するようになる。

2020年までに、ターゲット・メッセージングと屋内測位システム (IPS) を組み合わせて活用する小売企業の売り上げは、5%増加する。

分析

要旨

ガートナーが2015年以降について提示する予測のトップ10では、デジタル・ビジネスの登場によって人間とマシンの旧来の関係に生じている変化を精査している。この変化をごく簡単に特徴付けると、「日常生活においてマシンが担う役割の再検討を迫るもの」となる。現在は、コンピューティング・マシンの利用により、エクスペリエンスが人間の営みを超えて多様化する一方である。また、マシンが人間にさらに近づき、人間との関係をいっそうパーソナルなものにしている。つまり、これらのトレンドを考え合わせると、マシンが人間の同僚となり、おそらくは共依存関係を結ぶに至る近未来を予測することが可能になる。

2014年時点の予測のトップ10を、人間とマシンの協力関係と成長という考え方を包含する以下の3つのカテゴリに分類する。



  • 人間の活動範囲を広げる上で、マシンがより積極的な役割を果たすようになっている。
  • デジタル化された「モノ」が、アシスト型経済的意思決定を行う。
  • カスタマー・エクスペリエンスの刷新が、デジタル化の優先事項となっている。

人間の活動範囲を広げる上で、マシンがより積極的な役割を果たすようになっている

ガートナーが、人間の活動範囲を広げる上でマシンがより積極的な役割を果たすようになりつつあると主張する理由は、マシンがかつてないほど密接に接続されており、周囲の状況を感知し、スマート化しているために、人間の業務を補完(さらには代行)し、業務コストを削減する能力が高まっているからである。ガートナーの予測では、一部の業務内容が反復プロセスからビジネス上の判断に移行している状況を精査している。この状況が生じている大きな原因は、ルーチン業務を自動化する目的で作られるマシンが増加していることである。また、マシンをスマート化することで対応を改善できる工業化の動きと、プロセスのルーチン化による業務コスト削減にも注目している。

これらの概念は、コンピューティング・マシンの発明以来、人間が期待してきた事項にかなったものである。しかし、現在、マシンは高い能力を持つようになっているため、人間のサポートの有無にかかわらず、企業の命運と人間の生活の両方に影響するようになっている。わずか10年前には、人間が発案したビジネスに異を唱えるようなビジネスモデルをコンピュータが作成できるという着想が支持を得るのは困難であった。しかし2014年時点のガートナーの予測の1つは、まさしくこれに該当する。 この予測では、コンピュータが企業の運営と企業が行うインタラクションに関する知識を蓄積することによってスマート化しているため、多くの場合で既存のビジネス・シナリオよりも適確に機能する可能性のあるシナリオを作成できるという着想を精査する。(すべてではないにせよ)ほとんどをマシンが発案した破壊的なビジネスが、自社にとって次の課題になる事態を想像されたい。

一方、ウェアラブル・デバイスの急成長を受けて、ワイヤレス健康モニタリングが疾病予防カテゴリの1つとして急拡大している。そのためウェアラブル医療デバイスは、健康モニタリングを誰もが当たり前に行う活動として定着させることによって、人間の寿命を延ばすための重要な要素の1つと見なされるほどにまで成長している。

マシンは現在も従来の役割を担い、役割を完全に果たそうとしている。その一方で人間は、これまでは最も知的レベルの高い人間のみが担当してきた活動にマシンを従事させることに対して、以前ほど不安を感じなくなっている。かつて、ビジネスのイノベーションと患者の診察は、専門職の人間が行うものであった。しかし現在では、こうした活動がマシンによって試みられるという新たなレベルにまで拡張している。

デジタル化された「モノ」が経済的意思決定をアシストする

意思決定におけるコンピューティング・マシンの利用は、経済的な選択に関する分野にまで拡大し、その一貫性が高まっている。そのため、人間は自ら行う経済的意思決定のうち、何件をデジタル・テ クノロジでサポートし、その後自動化するかについて考え始めている。

ガートナーは2014年時点の予測の1つとして、商品やサービスの入手先を特定し、在庫を確認し、購入する作業を支援するデジタル・アシスタントで人間の購入活動をサポートする取り組みを取り上げている。既に今ではオンライン・ショッピングに不慣れな人はほとんどいないが、日々スマート化する モバイル・デジタル・アシスタントの利用は現在でも目新しい概念である。影響を受ける購入活動の範囲が (数十億ドル規模と) 大きくなるため、2010年代中盤には、この概念がオンライン・ショッピングに不可欠となる可能性がある。事実、モバイル・デバイスを通じた顧客エンゲージメントは、大半の人が当然のものとして期待する現実となっているため、モバイル・コマースは無視できないほど巨大な規模に成長する見込みである。

カスタマー・エクスペリエンスの刷新がデジタル化の優先事項となっている

次に、カスタマー・エクスペリエンスを取り上げる。これをマシンとモノの議論と一緒にするのは若干無理があるように思えるかもしれない。しかしカスタマー・エクスペリエンスは、人間の営みを強化するためにデジタル・マシンの利用がさらに拡大している状況を浮き彫りにするには他の何よりも 役に立つ。カスタマー・エクスペリエンスは、おそらく現在の企業が活用できる最も影響力の大きいイノベーション分野である。パーソナル・デジタル・テクノロジの急速な台頭を受けて、顧客はますますテクノロジを通じたインタラクションに精通し、そうしたインタラクションに対する要求水準が 高くなっている。カスタマー・エクスペリエンスが十分に良好であり、近いうちに変更する必要はないと想定できる企業は、もはや存在しない。個人向け3DPから、ドローン (無人航空機) によるピザや消費財の配達に至るまで、驚くべきイノベーションが登場しつつある。現実に即したデジタル・ビジ ネスでは、カスタマー・エクスペリエンスのイノベーションが次のフロンティアと見なされており、消費財に対する投資の半分はカスタマー・エクスペリエンスの改善に向けられる可能性が高い。

製品の使いやすさを宣伝する広告や、高い顧客満足度を称賛するテクノロジが浸透する状況を、誰が無視できようか。今や顧客はすべての力を持っており、そうした力に効果的に対応すると膨大なメリットがもたらされる。ただしそれを実現するために、一部の企業は、これまで明らかでなかったリスクを負う必要に迫られる。

ガートナーの見解によると、不安定なビジネス・プロセスを採用する事例が増加している。不安定なビジネス・プロセスとは、実行状況がめまぐるしく変化するため、毎回同じ作業を実行する際には利用できないビジネス・プロセスである。これらを「非同期プロセス」や「アドホック・プロセス」と 呼ぶ者もいるが、名前はどうあれ、固定的でなく、かつ極めて俊敏性が高いプロセスであると考えられる。注意すべきは、こうした不安定性が意図的なものとなることである。

意図的に不安定なプロセスは、優先事項や要件の変化に合わせて、おそらくは予測不能な仕組みで動的かつ俊敏に変化するように設計される。これらのプロセスがデジタル化された環境内で機能する際に直面する変化 (「Digital Business Technologies Are Changing the Nature of Change」参照)は、累積的(連続的かつ流動的)なものになる可能性が高く、その過程でプロセスを進化させる。安定的なプロセスとは異なり、不安定なプロセスは既知のステップの反復に依存しないが、状況に合わせて変化することが不可欠である。こうしたプロセスが本来的に備えている不安定性は、多様な不測の (滅多に発生しない) 破壊的混乱に対応する能力を高めるために利用されている。不安定な航空機プラットフォームが格好のメタファ (隠喩) である (備考1参照)。

この「意図的に不安定なプロセス」の優れた用途としては、屋内測位システム (IPS) が考えられる。ビルや複合施設内の人やモノの場所に関する情報をさらに収集すると、顧客に関するイノベーションをより強化する道が開ける。ショッピング・モール内で、ある店舗に入店した回数に応じて値引きサービスを受けられる場合について想像されたい。顧客が店舗内の商品を撮影して、その画像を仮想ショッピング・カート(複数回にわたり、複数店舗で当該商品にたどり着いたルートをマップ上に表示するもの)に掲載して共有できるとする。これらのエクスペリエンスは間もなく実現する見込みであり、人間が最も得意とする作業、すなわち商品を購入する活動を強化することになるのは確実である。

これら3つのカテゴリが、デジタル・ビジネスの理想型をサポートするのは偶然ではない。デジタル・ビジネスとは、デジタル資産やデジタル能力を利用しながら、仮想環境と物理環境の境界を曖昧にするビジネスを指す。この考え方では、マシンが人間のエクスペリエンスに近づくことが暗黙のうちに 期待されている。この理由は、デジタル・インタラクションを促進すべく、利用する物理環境と物理リソースを増加させているからにほかならない。居場所、アイデンティティ、動きなど、人間のコンテキストの多くは、今や、人間のエクスペリエンスの満足度を高めるデジタル・プロセスに挿入可能 な信頼できるデータセットとなっている。また、マシンは3DPテクノロジを通じて、人間が周囲の環境を変化させる活動を支援する。3DPは、仮想表現を物理環境内で再構成することによって、事実上無限の利用シナリオをサポートする。

時代は、人間がコンピュータの動作に合わせて行動する世界から、コンピュータが人間の行動に合わせて動作する世界に向けて移行しつつある。この移行は、21世紀におけるコンピューティング・テクノロジ/マシンの設計と利用の双方においてスローガンとしなければならない。マシンは、人間の要求に受け身で応えるモノから脱皮して、問題解決と有意義なインタラクションに事前対応するようになる。人間は、プログラマーの指示やハードウェア設計者の気まぐれに振り回されることがなくなり、ソフトウェアとハードウェアが自らのニーズの変化に応じて自己適応することを期待するようになる。

ガートナーは2013年に「デジタル・ビジネス、スマート・マシン、モノのインターネット(IoT)がコンピュータの本質を変化させる時代は、さほど遠くない」と述べた。2014年には、ガートナーはこの主張の強みをさらに積極的に指摘する。

展望の選定

ガートナーの展望リサーチにおける選定プロセスには、重要な展望を定義する基準群の評価を含めている。検討した基準には、関連性、影響力、ターゲット層への訴求力などがある。2014年中に、全リサーチ分野にわたる最有力展望のうち、160件以上が検討された。

ガートナーが重要な展望を発表する目的は、読者にアクションを促し、来るべき変化から損害を被るのではなく、そうした変化を利用できるようにすることである。明瞭度と簡潔性も有力な展望に必須の性質である。Wall Street Journalの平均的な読者であれば、各展望を注視して、自身の関心分野に及ぶ影響を追跡できるはずである。

以下に示す重要な展望は、特定の業種に該当するものではなく、テクノロジ全般に関するものである。業種別の重要な展望については、別のリサーチノートで解説している(「2014年の業種別重要展望:根本的な変革を求める圧力の加速的な高まりが継続する」ITM-14-04、2014年2月20日付参照)。これらの展望を読み進めると、ガートナーが発表する重要な展望はトピックごとに継続して提供されているリサーチを直接の情報源としていることが明らかになる。例えば、変化によりもたらされる機会を模索している企業への影響と推奨事項などである。ITプロフェッショナルは、コスト・コントロール、収益性、ビジネス変革イニシアティブのサポートを強化すべく、これらの機会に関する展望を検討すべきである。

戦略的プランニングの仮説事項

2018年までに、デジタル・ビジネスに必要なビジネス・プロセス・ワーカーの数は従来のモデルの50%で済む一方、主要なデジタル・ビジネス業務は500%増える。

分析:Ruby Jivan、Frances Karamouzis、Alexander Drobik、Robert Handler、William Maurer

主要な所見

  • 時間、場所、チャネルを選ばず、より良い製品とサービスをこれまでよりも早く低価格で入手するという消費者ニーズが、デジタル・ビジネス革命を前進させている。デジタル・テクノロジの可用性とジェネレーションZのIoTに対するこだわりにより、消費者の期待事項が変化しており、俊敏なサービス・エクスペリエンスへのニーズが高まっている。
  • デジタル・ビジネス革命を受けて、顧客チャネルを活用して市場の破壊に対処するデジタル・テクノロジ(IoTとモビリティ)の活用を目的とする企業投資が大幅に拡大している。ビジネス・プロセスのデジタル化を最終目標とする競争では、ビジネス部門とIT部門の双方で従来と異なる専門性の高いスキルとコンピテンシが必要となるが、こうしたスキルとコンピテンシは市場でなかなか見つからない。例えばデータ・サイエンス分野では、14万〜19万人のデータ・サイエンティストと、知見を利用して意思決定を推進するためのスキルを備えた150万人のマネージャーが不足している。
  • 消費者は、ビジネスの効率化と時間管理の最適化のための手段としてインターネットとモバイル・サービスを活用したいと考えている。そのため、あらゆる産業が、エンド・ツー・エンドのプロセスの簡素化、自動化、インテリジェント化、手作業による介入の最小化、消費者によるセルフサービスの促進を通して、カスタマー・エクスペリエンスの改善とジェネレーションZのニーズの充足を目指している。
  • 企業間(B2B)プロセスについても、冗長な手作業による介入の件数を減らすことによって、コストの削減を目指す合理化が引き続き行われている。これを加速しているのが、プロセスのインテリジェント性と予測性を高めるIoT関連の新たなテクノロジである。この新たなテクノロジは、有能なスタッフが実行するプロセスさえもスピードアップと自動化を可能にする。 また、クラウド・コンピューティングへの移行により、企業が管理しスタッフを配置する従来のビジネス・プロセスに代わる一群の新たなサービスが生まれている。
  • 全世界(特に先進国)の教育制度では、カリキュラムを変更して将来のデジタル・テクノロジ市場に対応するために必要となる専門的なビジネス/IT能力のニーズに効果的に対処する活動が遅々として進んでいない。大卒者は依然として従来型の情報通信技術(ICT)とコンピューティング・スキルを学んでいるが、これらのスキルは急速に陳腐化しつつあり、間もなく不要になる。米国ジョージタウン大学の研究員の研究成果によると、最近では高等教育機関の卒業率が伸び悩んでおり、2020年までには必要な教育とトレーニングを受けた労働者が500万人不足する。
  • 多くのCEOがITを最優先事項に引き上げており、半数以上はIT投資の拡大を計画しているが、CEOは成長を阻む最大の要因は人材であると正しく認識している。

市場への影響:

ソーシャル・メディアとモバイル・テクノロジの急速な進化を受けて、消費者(特にオンデマンドのスピーディかつ柔軟なサービスが当たり前の環境で育ったジェネレーションZ)の行動が変化している。クラウド・サービスとIoTは、消費者ニーズと期待されているエクスペリエンスに対応すべく、かつてないペースで急拡大している。例えば、ガートナーの予測によると、2020年までにIoTのインストール・ベースは全世界で260億台を超え(Ciscoが最近発表したプレスリリースも、この予測を裏付けている)、2015年には全世界のネットワーク対応デバイスの数は150億に達する(2010年の70億から増加)。したがって、製品をインテリジェント化したり、スマート・オブジェクトを社内システムに接続したりする必要性と無縁でいられる企業はほとんどなくなる。人、企業、モノを結ぶこれらのインターネット接続ポイントからは、大量のデータが生成される。分析を通じてデータを支配する者は、市場をかく乱して勝利を収めることで、膨大な利益を手にすることができる。

こうした行動のトレンドとそれを裏付けるテクノロジにより、人々の日常生活が大きく変化する。例えば、冷蔵庫が食料品を発注し、ロボットが注文された商品を取りまとめ、ドローンが商品を自宅まで届けることによって、店員や配達ドライバーの必要性がなくなる。この新しいデジタル・ビジネス環境によって企業が雇用する人々の層とビジネス・プロセスが大きく変化し、すべての業種を通じて消費者と製品/サービスの供給者の両方に対して高いコンピテンシが求められるようになる。

スピードアップの必要性と、「オンデマンド」の期待事項、ユーザー・エクスペリエンスに起因する大量の活動に対して、スタッフ増員で対処することはできない。消費者の大きな期待を達成するためには、自動化、ロボット、テクノロジ(センサ)をプロセス内に組み込む必要がある。したがって企業は、デジタル・テクノロジの可用性を受けて、近い将来にスタッフの半数をエンド・ツー・エンドのプロセスの管理に割り当てる必要に迫られる。新たなテクノロジのコンピテンシに関する役割は5倍に増加するが、そこに必要となるのは、大きく異なるIT関連の知識、スキル、コンピテンシのほか、従来のIT部門が欠いていることの多いIT以外のスキル(ビジョン形成、戦略思考、コラボレーション、促進作業、組織変更管理など) である。

開発者、システム・エンジニア、ソフトウェア・テスターといった従来のIT部門の役割は、機械学習、コグニティブ・テクノロジ、ロボット工学(「スマート・マシン」と総称)を利用することで自動化される。従業員は、スマート・マシン・テクノロジと共同作業を行う方法を学び、ロボットをプログラムするスキルを習得する必要に迫られる。これらのスキルは入手不能であるばかりか、卒業生に将来への備えを促す教育機関でも教えてはいない。例えば欧州では、要求されるスキルと入手可能なスキルのミスマッチにより、2020年までに9万人のITプロフェッショナルが不足すると予想されている。この事態を受けて欧州委員会は、2013年3月に、欧州におけるデジタル・スキル不足と数十万人分のICT関連空きポストに対処すべく、複数の利害関係国の提携を指揮している。

人口統計データによると、理工系の学生数が減少しており、科学、技術、工学、数学(STEM)分野の卒業生の不足が明らかになっている。目下のところ、即効性のある対策も、短期間で奏功する措置も皆無である。例えば、米国オバマ大統領の科学技術諮問委員会が2012年に公表したレポートによると、今後10年間にSTEMを専攻する卒業生を100万人増やすことが必要になる。英国では、王立工学アカデミーが2013年に、単にニーズを満たすだけでも2020年まで毎年STEM専攻学生を10万人卒業させる必要があると報告している。一方、ドイツでは数学、情報科学、自然科学、技術(MINT)を専攻した労働者が約21万人不足していると言われている。

したがって、従来のIT関連の役職およびスキル・レベルが低〜中のプロセスを担当する役職の多くは、自動化と人工知能(AI)ロボット工学により不要になるが、高度なデジタル・ビジネス環境をサポートするスキルの高いテクノロジ・ワーカーは5倍に増える。2013年末にかけて実施された調査によると、英国では2017年までに75万人の有能なデジタル・ワーカーが必要になる。この需要に対処できない場合、英国が負担するコストは年間20億ポンドにも達する恐れがある。

短期予測:

  • 2015年末までに、欧米諸国の大半ではデータサイエンティストをはじめとするデジタル・テクノロジ関連の役職の空きが50%増加する。
  • 2016年までに、スキル・レベルが中程度のプロセス・ワーカーの失業率が、これまでよりも20%高まる。
  • 2016年までに、ビジネス・プロセスにおけるクラウド・サービス(サービスとしてのソフトウェア[SaaS]を含む)の利用が現時点の予測を30%超えて加速する。

推奨事項:

  • 新たなデジタル・テクノロジ、プロセス、環境(コラボレーション性が高く、高度な曖昧性を備えており、常に変化する)をサポートするために、社内で必要になるスキルの評価に着手する。トレーニング対象となり得る従業員を特定する。必要なスキルを備えた社員を新規採用するための予算を確保する。有能なスタッフを革新的なテクノロジ・プロジェクトに関与させる仕組みを通して、スタッフにトレーニングを施す。
  • 社内でデジタル・ビジネスの機会をレビューするチームを編成する。自社の市場分野で必要になる重要なスキル、テクノロジ、インフラストラクチャと社内のデジタル・プロセスを特定する。社内の抵抗(不可避の活動を先送りし、ビジネス機会を逃すもの)の悪影響が新興プロジェクトに及ばないようにする。
  • テクノロジの移行は諸刃の剣であることを念頭に置き、必要に応じてイノベーション・プロジェクトにサービス・プロバイダーを利用し、新規テクノロジの開発/管理方法を学ぶために有能なリソースを配置する。
  • AIプログラマー、プロセス自動化インテグレーター、データ・サイエンティスト、IoTエンジニアといったIT分野の新たなポストを埋めるために、新たな採用プラクティスを開発する。 採用担当者は、候補者不足に備えるために、求人対象を国外にまで拡大するか、またはテクノロジ関連リサーチを行っている博士号取得者(おそらくは生物学や生態学といった、関連性は薄いが生体データの分析が一般化している分野を専攻している者) から採用する。
  • サービス業界でさほどスキルを要さない業務に従事する者(銀行の窓口担当者、食料雑貨店員、配送ドライバーなど)は、従業員としての身分を維持するために、まだデジタル化されていない他のサービス・スキル(配管工、電気関連エンジニア、機械工など)を再トレーニングにより習得することを検討しなければならない。政府は、財界や教育機関と共同で今後5〜10年間に必要になる役職、スキル、コンピテンシを定義し、次世代従業員に対応できるよう準備するためのロードマップの作成に着手する。

関連リサーチ:

「Solution Path: Prepare for the Changing IT Career」

「Smart Machines Mean Big Impacts: Benefits, Risks and Massive Disruption」

「Maverick* Research: Surviving the Rise of 'Smart Machines,' the Loss of 'Dream Jobs' and '90% Unemployment'」

「Exploit the Rise of Smart Nonindustrial Robots for Work and Home」

『Rio Tinto Rolls Out Ambitious, Autonomous, Mine of the Future』(http://www.arisplex.com/analysis/rio-tinto-rollsambitious-autonomous-mine-future/ ) (Arisplex) および 『Rio Replacing Train Drivers Paid Like U.S. Surgeons』(http://www.bloomberg.com/news/2013-10-02/rio-replacing-train-drivers-paid-like-u-s-surgeons.html ) (Bloomberg)

『Robot Pets Help Elderly Japanese Cope in Tsunami Aftermath』(Techcitement) および『An Interactive Robot in a Nursing Home: Preliminary Remarks』( http://web.media.mit.edu/~coryk/papers/Paro_AndroidScience05.pdf ) (MIT)

戦略的プランニングの仮説事項:

2017年までに、コンピュータ・アルゴリズムによって考案された、 重要で破壊的なデジタル・ビジネスが登場する。

分析:Andrew Frank

主要な所見:

ビッグ・データと分散コンピューティングの進化により、AIに対する関心と投資が再び高まっている。例えば、Googleは最近、英国のAI関連新興ベンダーであるDeepMindを5億ドル以上で買収している。IBM Watsonは、米国のクイズ番組「Jeopardy!」で人間に勝ったことによって世間一般におけるAIの認知度を引き上げ、現在では市況、ライフ・イベント、顧客の経歴、購入可能な商品に基づいて金融商品に関するアドバイスを提示している。Path IntelligenceやQlikviewといった革新的な新興ベンダーは、AIベースのビジネス・インテリジェンス(BI)を各種セクタに提供している。2013年の英国オックスフォード大学の予測によると、AIは近い将来、米国内のすべての雇用の半数弱を奪う可能性がある(http://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf )。

エージェント・ベースのコンピュータ経済学リサーチは、経済プロセスと市場をシミュレートするために、相互に影響するエージェントの動的システムをモデル化しようとするAIの一分野である。ある企業 (Growth Science) は、Clayton Christensen教授の破壊的イノベーション理論(http://www.claytonchristensen.com/key-concepts/)にヒントを得たアルゴリズムを採用して新興企業の成否を予測するビジネスモデル・シミュレーションを利用している。もう1つの例は、コンピュータ企業分析(http://www.fastcolabs.com/3021903/this-prediction-algorithm-can-tell-if-your-startup-will-fail ) というプログラムを追求しているCenter for Global Enterprise(http://thecge.net/)である。これは、新興企業、製品と提携の発表、投資データに関する情報源の分析を通して、複雑なビジネス・エコシステムを記述しようとするものである。

こうしたAIアプリケーションの需要を拡大している要因は、将来のデジタル・ビジネスをめぐる機会とハイプの強力な組み合わせである。人や企業と並ぶ形でインターネット内にモノが登場したことで、物理環境とデジタル環境の境界が曖昧化しているため、有望な新興市場のビジネスモデルを特色とする破壊的な新興企業を育む肥沃な土壌が形成されている。これは、アイデアばかりでなくネットワーク効果(参加者が増えるごとに価値が高まる環境)とタイミングも成功の鍵となる環境である。今では、コンピュータ経済学をゲーム理論や物理環境のビッグ・データと組み合わせることで、破壊的なビジネスモデル(資金を投じるに値する十分に健全なもの)を発見し、旧来のバリュー・ネットワークを破壊する新テクノロジを活用することが可能になっている。

根拠:

データ(オープン・データと商品としてのデータの両方)の入手可能性が最近爆発的に拡大しており、先日発表されたある推定によると、全世界のデータの90%は過去2年間に生成されたものである(http://www.sciencedaily.com/releases/2013/05/130522085217.htm)。そのため、現実世界のデータをほぼ無制限かつリアルタイムに分析モデルに取り込むことができる。

世界最速のスーパーコンピュータの演算能力は、ムーアの法則に従って10年間に40万倍以上に向上している(1993年時点の131ギガフロップから2013年時点の54.9ペタフロップ)(http://en.wikipedia.org/wiki/TOP500)。また、こうしたリソースをユーザー企業内にオンプレミス展開する必要があった時代と比較すると、クラウド・コンピューティングによってリソースの利用可能性がはるかに向上している。

例えば、配車サービスのUberや宿泊サービスのAirbnbといったグローバル市場を構築した企業に見られるように、世界の経済環境の機は熟し、デジタルによる破壊が起き、既存の交通機関やホテルのビジネスを脅かしている。これらの企業によってネットワーク効果が実証され、自然の流れとしてこれらの企業による寡占化が進むことになる。実際、このような動きの前には非常に複雑な規制や市場ダイナミクスが立ちはだかり、これらの企業がコンピュータによる分析を受け入れる素地へとつながっていく。一方、このようなモデルの資産創出面における成功(創業5年未満の企業に対する数百億〜数千億ドルに上る査定評価 ) は、資本投資にとって抗し難い魅力となる。

短期予測:

  • 2016年まで、AI関連製品の新規発表ペースが急加速する。2015年を通じ、最も高い価値を持つ新規株式公開(IPO)は、デジタル市場と物理的ロジスティクスを組み合わせることで、純粋に物理的な従来のビジネス・エコシステムに挑戦するような企業に関連したものとなる。
  • 2017年までに、ベンチャー・キャピタル投資ファンドの80%以上は投資機会のモデル化と評価に応用AIを利用するようになる。

推奨事項:

  • マーケティング・リーダー:注力対象を、既存製品の販売促進と販売から、テクノロジが推進する市場変化の検知/予測に移行し、十分に計画された破壊的な課題のペースと強度を高める活動で指揮を執り、対応する戦略を立案する。コンピュータでは対応できない人間のストーリー作成能力に注目し、新製品のブランドの位置付けを短期間に確立するスキルを習得する。
  • ビジネス・リーダー:破壊を予期して対応シナリオを分析するために、データとアナリティクスを受け入れる。急成長する新たなビジネスのアイデアや、スピンオフを生み出して拡張するインフラストラクチャと投資を実現する方法を検討する。破壊的なシナリオとそれらを評価するツールを調査するために、マーケティング・リーダーとテクノロジ・リーダーを含めたタスク・フォースを編成する。
  • ITリーダー:ビジネス破壊の検知と分析を、ビッグ・データに関する投資、およびプログラムの調達と評価に関する目標リストの最上位に昇格させる。現行と将来のAIシステムの影響と制限を、ビジネス・リーダーとマーケティング・リーダーに理解させる。
  • 投資家と起業家:新たなビジネス機会を特定して設計するAIの潜在能力を、投資計画の重要な要因として位置付ける。

戦略的プランニングの仮説事項: 2018年までに、業務運用の総合保有コスト (TCO) は、スマート・マ シンと工業化されたサービスによって30%削減される。

分析:Frances Karamouzis、Ruby Jivan

主要な所見:

  • 時と場所、チャネルを選ばず、より迅速に、より安く、より質の高い製品やサービスを求める消費者のニーズは、デジタル・ビジネス革命を促進する要因になっている。このデジタル革命はスピードに左右される。絶対的なこだわりはスピードにあり、これがコストに代わってサービス購入時の最重要評価基準となっている。消費者は、ビジネス取引に関する対応(情報、コンテキスト、知見)のスピードを人間の身体能力を超えるデジタル・トランザクションと同等レベルに引き上げることを求めている。
  • ビジネスに関する意思決定が行われる場と、そうした意思決定の推進要因は、企業から消費者に移行している。ビジネスとITのコンシューマライゼーションは、ガートナーが数年前から取り上げているトピックである。コンシューマライゼーションの最も重要な発現は、最適な消費者に「スマートに」ターゲットを定め、顧客を理解するインテリジェントなビジネス・オペレーションを開発して大きく改善する企業ニーズである(「ビジネス・ユーザー向けITセルフサービスを設計する」INF-14-63、2014年5月9日付参照)。
  • ビジネス・プロセスおよび企業のバリューチェーン全体は、テクノロジが支える労働主導の 環境から、人が支えるデジタル主導のモデルへとシフトする。デジタルな成果を解釈し、それに基づいて今後の進路などについて判断するという重要な役割は、依然として人が担う必要があり、スマート・マシンが取って代わることはない。このように、スマート・マシンは労働力に取って代わるものではなく、独善性と非効率性を排除し、ビジネスのスピードを飛躍的に高める役割を果たす。
  • 消費者は、ビジネスの効率化と時間管理の最適化のための手段としてインターネットとモバイル・サービスを活用したいと考えている。そのため、あらゆる産業が、エンド・ツー・エンドのプロセスの簡素化、自動化、インテリジェント化、手作業による介入の最小化、消費者によるセルフサービスの促進を通して、カスタマー・エクスペリエンスの質を高めようとしている。
  • スマート・マシンは、既に現実のものになっている。SFでもなければ10年以上先の話でもない。スマート・マシンに関するテクノロジとサービスは、現在、商用市場で利用可能である(ケーススタディについては、「スマート・マシンによるデジタル・ビジネス・イノベーション」INF-14-180、2014年12月10日付を参照されたい)。スマート・マシンには重要な特徴が存在する。すなわち、高度な複雑性と不確実性に対処し、学習内容を根拠に仮説を立て、検証し、確率論に基づいて結論を再検討することができる。さらに、多くの人が予測する以上に、タスクごとのコンテキストを理解する能力を高めている。

市場への影響:

  • 任意の業界における現在のリーダーが、その地位を維持できるとは限らない。リーダーは、破壊を実現する可能性のある企業を特定して先手を打つ必要がある。今後5年間に「ドル箱」の製品/サービスから利益を確保するには、物理資産や知的財産だけでは不十分である。
  • 意外な新参者(企業)が急増して新たな製品とサービスを市場にリリースし、「マインドシェア」と市場シェアを短期間に握る。
  • 利用する際の「敷居」が低くなる。例えば、レンタカーをHertzから1日単位で借りるビジネスモデルと、Zipcarから1時間単位で借りるビジネスモデルを比較されたい。古いビジネスモデルでは、レンタカーを借りるトランザクションを完了するのに少なくとも1人(場合によっては3人も)の人間と接触するのが常である。一方、Zipcarでは人間と対面することがない。自動車エンジンの始動を含め、すべてがデジタル的に完了する。若年層の一部の消費者にとっては銀行との商取引も同様で、実際に銀行支店まで足を運んでいたのは、数年前のことである。

これらすべてを念頭に、TCOの削減を実現するスマート・マシンを利用したビジネス・オペレーションの変化をいくつか例示する。米国で上位5社に数えられるあるメディア企業は、顧客サービス業務の1つにスマート・マシン・テクノロジを導入している。導入後3カ月で実現したビジネス・オペレーションの変化として、顧客が抱えている問題の平均解決時間が18.2分から4.5分に短縮したこと挙げられる。この問題に関する平均応対時間は、当初55秒であったが(スタッフの人数は76人)、2秒に短縮されている(スマート・マシン・テクノロジを導入し、32人のスタッフで応対)。ガートナーは、金融サービス業界の資産管理や石油/ガス業界をはじめ、さまざまなビジネス・プロセスにわたって同様の ケーススタディを数多くリサーチノートにまとめている。

さらに重要なことに、スマート・マシン導入のメリットはデジタルのペースで実現し、この種の取引の商用条件もデジタルのペースで変化する。前掲の例では、3カ月で実現しており、この企業は、事前に一切コストを負担する必要がなかった。なぜなら、このモデルは成果ベースであるため、成果が出るまでは支払いが発生しないからである。この状況は、製品とサービスの購入方法に大きく影響する。 買い手の期待事項と最低レベルはいずれ、投入量(作業時間数、原材料やパーツのコスト)ベースで「作業の対価を支払う」ものから、「成果に応じて支払う」もの (成果主導型の評価基準) へと変化する。

つまり、ガートナーの予測によると、今後4年以内にスマート・マシンと工業化されたサービスの活用を通じてTCOを少なくとも3分の1低下させるビジネス・オペレーションのタイプが多数生まれる。

短期予測:

  • 2015年までに、40社以上のベンダーがスマート・マシンと工業化されたサービスを利用する商用利用可能なマネージド・サービスを提供するようになる。
  • 2016年までに、本市場では業績連動型マネージド・サービスの契約額が200億ドルを超える(スマート・マシンと工業化されたサービスを利用)。

推奨事項:

  • 積極的に、2つの重要事項について自問する。すなわち、「自社は業界の新たな破壊要因をいかに創出するか」「自社はビジネスの破壊要因に(デジタルのスピードで) どう対応するか」を問う。
  • ソーシング・チーム、エンタプライズ・アーキテクト、デジタル・ビジネス担当チームが共同して、ビジネスの運営・拡張・変革という3つの重要なレイヤに対処する。これを実行するボリューム・レベルとスピードは、それぞれのレイヤで異なるであろう。ビジネス運営レイヤでは、ボリュームと正確性 (スケジュール、予算、範囲の厳守) に対処する。ビジネス拡張/変革レイヤでは、段階的イノベーションと大規模な変更 (変革をもたらす変更) に対処する。 その際は、正確性とスケジュール/予算/範囲の厳守ではなく、初期の失敗をベースとする。
  • テクノロジを、ビジネス戦略を実行可能にするユースケースに適合させる。スマート・マシンは、多くの業界を革新する。これらは新興テクノロジ (深層ニューラル・ネットワークや自然言語処理など)を利用しているが、30年前に開発されたエキスパート・システムなどの手法も盛り込むことができる。
  • 先駆的な「準スマート・マシン」テクノロジと「ファントム・ロボットによるビジネス・プロセス自動化」を利用して、従業員が完全なスマート・マシンを受け入れることができるような文化を醸成しておく。
  • スマート性を獲得しつつあるテクノロジを敬遠しない。新しいことへの挑戦を、テクノロジが完成するまで先送りしない。Rio Tintoの場合、新興テクノロジの導入を先送りしていたら、年間1億ドルの運用コスト削減という機会を逸していたであろう(「スマート・マシンによるデジタル・ビジネス・イノベーション」INF-14-180、2014年12月10日付参照)。他社が成功を収めるユースケースを作成するのを待っている間に、自社はどれだけの損失を許容できるか検討する。

関連リサーチ:

「Diligently Evaluate Outcome-Based Managed Services Versus Capacity-Driven Staff Augmentation」

「Enhance Your IT Agility and Grow the Business by Optimizing the Three Layers of Adaptive Sourcing Strategy」

「Bimodal IT and Adaptive Sourcing Are Critical to Digital Business Success」

「Riding the Wave of Industrialized Low-Cost IT Services」

「Synergies Arise at the Intersection of Smart Machines, the Internet of Things and Digital Business」

「スマート・マシンによるデジタル・ビジネス・イノベーション」(INF-14-180、2014年12月10日付) 「Smart Machines Mean Big Impacts: Benefits, Risks and Massive Disruption」

『Rio Tinto Rolls Out Ambitious, Autonomous, Mine of the Future』( http://www.arisplex.com/analysis/rio-tinto-rollsambitious- autonomous-mine-future/ ) (Arisplex) および 『Rio Replacing Train Drivers Paid Like U.S. Surgeons』 ( http://www.bloomberg.com/news/2013-10-02/rio-replacing-train-drivers-paid-like-u-s-surgeons.html ) (Bloomberg)

『Robot Pets Help Elderly Japanese Cope in Tsunami Aftermath』(http://techcitement.com/author/algren/page/10/ #.VHgiOdKUcms ) (Techcitement)および『An Interactive Robot in a Nursing Home: Preliminary Remarks』(http://web.media.mit.edu/~coryk/papers/Paro_AndroidScience05.pdf ) (MIT)

戦略的プランニングの仮説事項:2020年までに、ワイヤレス健康モニタリング・テクノロジの普及によって、先進国における平均寿命が0.5歳延びる。

分析:Ken Dulaney、Angela McIntyre

市場への影響:

人間の平均寿命が延長される背景には、中核となる3つの重要な時代を構成するテクノロジがある。すなわち、生物学(1500年前後から1930年:ワクチン接種と衛生状態の改善を含む)、機械工学(1931〜2013年:矯正手術と人工的強化/ペースメーカーなどを含む置換テクノロジ)、ゲノムエレクトロニクス(2015年以降)である。ゲノムエレクトロニクス時代の特徴は、力の結節 (Nexus of Forces)が医療とライフスタイルのコンポーネントと統合するに従い、ゲノム療法のイノベーションが同時進行で実現することである。これらは、疾病の予防、患者への介入、患者のモニタリングにわたる全領域において機能する。エレクトロニクス分野のイノベーションは、モバイル、インターネット接続、クラウド対応のほか、広範な情報、センサ・データ、ソーシャル・コンテキスト情報源とのリンクという特徴を備えたものになる。

現在開発中のソリューションからは、健康に関するデータを統合するインフラストラクチャが実現する。Qualcomm、Apple (HealthKit)、Google (Google Fit)、Samsung(SAMI)、Nike、Intelなどの資金調達イニシアティブで、基礎的なイノベーションを実現するフィットネス追跡ソリューション(FitBitやJawboneなど)を拡張する。予防分野では、安価な接続デバイスとパーソナライズされたアナリティクスを組み合わせるソリューションで2つの主要な死因である循環器疾患とに対抗できる可能性がある。

これらの健康モニタリング・ソリューションを個人ごとに設定したインセンティブと併用すると、疾病の根本原因である不健康な状態や行動(特に肥満と運動不足)を改善できる。保険会社と企業の健康増進プログラムの後押しにより、医療コスト削減のための健康状態追跡デバイスを従業員が利用するようになってきている。医療チームと救急チームにアラートを発信することで、心臓発作などの重篤な状態に陥っている人を早急に救命し、死亡事例の増加を阻止できる。ただし、予防や延命の影響と比較すると、寿命に対する影響はごく小さいものにとどまるとガートナーは予測している。

2020年時点で、先進国における死亡事例の30%を健康モニタリング・ソリューションで先送りできるようになる。国連の予測によると、先進国の国民の平均寿命は2020年末までに79歳に延びるが、健康モニタリング・ソリューションを利用すると、平均寿命を79.5歳に引き上げることができる。2000年以降、高齢者人口が4倍に増加しているため、医療ニーズが高まっている。2010年から2015年にかけて60歳に達する全世界の人の余命は、20年と見込まれる。医師が実務に就くまでの養成期間には12年を要すると考えられるため、医療業界は一層の効率改善を余儀なくされている。疾病の予防や先送りを通じてニーズをコントロールすることが必須であり、その過程においてエレクトロニクスが担う役割は今後も重要になる。

ウェアラブル・モニタには、非常に大きな可能性がある。現在は簡単なリストバンドで脈拍数や体温、その他さまざまな環境要因に関するデータを収集することができるが、無線式の心臓モニタリング・パッチ、スマート・シャツ、またアクセサリに内蔵されたセンサなどによって、より高い精度、広い選択肢、快適性が着用者にもたらされる。このようなワイヤレスによるデータ伝送はシンプルで、大規模なクラウド・ベースの情報リポジトリと関連付けることによって、制限されている行動を確認したり、ソーシャル・ネットワークと関連付けることによって、実例に基づくアドバイスを受けたりすることが可能になる。このようなリモート・モニタリング・デバイスからのデータは、患者から医師へ継続的なアクセスを提供するとガートナーは考えている。例えば、糖尿病患者の血糖値を自動モニタリングして、継続的に調整する。データ・セキュリティが重要になるが、データ管理とプライバシーも同様であるため、新たな規制とベスト・プラクティスが登場する。ガートナーの予測によると、健康モニタリング市場の規模は2020年までに400億ドルを超え、平均寿命が0.5年延びる。

短期予測:

  • 2017年までに、スマートフォンの活用によって糖尿病のケアに伴う費用が10%減少する。糖尿病の管理にスマートフォンを利用する動きは既に力強いものになっている。コストは利用動機となるため、極めて重要な要因である。コストが低下すると、モニタリング/ケアの利用が拡大し、再発率も低下するため、余命が延びる。
  • 2018年までに、2億人が心拍数を測定するウェアラブル・デバイスを利用するようになる。
  • 2016年までに、企業の健康増進プログラムの30%で従業員の生体データを収集するようになる。

推奨事項:

数十億人の世界人口の健康に関する本予測の影響は大規模なものであるため、以下の推奨事項を検討する。

  • 医療デバイス・ベンダーは、健康モニタリング・テクノロジ分野に関与する活動を倍増させる。
  • 医療従事者は、健康モニタリングの導入を拡大するプロトコルの成果を評価する。
  • 企業は、健康モニタリングがコストに及ぼす影響を医療保険会社と議論する。

戦略的プランニングの仮説事項:2016年末までに、オンライン・ショッピングでは20億ドル以上の購入活動がモバイル・デジタル・アシスタントによって実行されるようになる。

分析:Adam Sarner

主要な所見:

Google Now、Siri、Cortanaといった有望なモバイル・デジタル・アシスタント・テクノロジが、既にユーザーの嗜好と明示的コンテキスト(口頭による質問や命令、時間、場所など)を利用している。これらは、ニーズやウォンツの評価、情報の収集と評価、自律購入活動を伴わない購入プロセスに関するすべての要素をつないでいる。

2015年末までに、例えば氏名や住所、クレジットカード情報の入力といった戦術的にありふれたプロセスは、モバイル・デジタル・アシスタントによって実行されるようになる。食料雑貨品の補充 (ペーパー・タオルを3週間ごとに購入し、製氷器のフィルタを手配するなど)のような一定の固定されたイベントが一般的になり、この種のアシスタントに対する信頼性が高まって、より活用が進む。2016年までに、新学期用のバックパック(スーパーヒーローをあしらった在庫品)の購入や連続するイベントのスケジューリング(記念日にふさわしい、評判の良いデート向きの映画、ディナー、自動車の送迎など)といった、より複雑な購入の意思決定も簡単に実行できるようになる。モバイル・アシスタントによる自主的な購入額は年間20億ドルに達する見込みである。これは、モバイル・ユーザーの約2.5%がモバイル・アシスタントを信頼して年間50ドルを使用した場合の合計額に相当する。デジタル・アシスタントはさまざまなプラットフォームで提供されるが、最もアクセス性に優れ、デジタル・アシスタント向けのデバイスとして普及することが見込まれるのはモバイル・プラットフォームであり、2016年末までにキラー・アプリケーションとなる。

現時点で、全世界で30億人弱がオンライン活動を行っているため、推進要因は明確である。デジタル 情報の爆発的な採用拡大と情報フロー、ライフ・イベントを簡単にする選択肢の増加、意思決定領域 の拡大によって、自動サポートが一定のレベルまで採用される。ユーザーが定義してフィルタリング した嗜好/ユーザー/サイコグラフィックス情報を利用し、購入せずにはいられない人間の性質に よって強化されたモバイル・デジタル・アシスタント (かなりの予算が付いたもの) は、人間の意思決 定行動を肩代わりし、人間に代わって購入するようになる。こうした購入活動は、戦術的なものから 戦略的なものまでに至る。

購入に関する意思決定を行う際に精査すべき情報が増加するため、デジタル・アシスタントはこうし た作業を実行する最高のツールとなる。情報を人間よりもうまく組み合わせ、収集し、整理した上で 処理できるデジタル・アシスタントを利用して意思決定を行う場合、人間は戦略的ライフ・イベント に集中できるようになり、デジタル・アシスタントが補佐的な仕事 (旅行代理店の店員、フィナンシャ ル・アドバイザー、看護師、弁護士、下請業者、付添人など) を代行するようになる。

企業は、これらの重要な意思決定者に影響力を及ぼし、マーケティングを実施し、売り込む方法を再 考する必要がある。ソーシャル・ネットワーク上で「いいね!」を求めたり、ポップアップ広告を表 示したり、電子メールの一斉送信キャンペーンを立案したりする、といった現行手法ではモバイル・ デジタル・アシスタントを説得できない。

短期予測:

  • 2015年末までに、例えば氏名や住所、クレジットカード情報の入力といった戦術的にありふれたプロセスは、モバイル・デジタル・アシスタントによって実行されるようになる(こうした作業を繰り返したいと考える人間はいない)。
  • 2016年までに、モバイル・ユーザーの2.5%がモバイル・アシスタントを信頼して年間50ドルの使用を代行させる。

戦略的プランニングの仮説事項:2017年までに、米国内の顧客によるモバイルを利用した購入行動に よって、米国のモバイル・コマースの売り上げはデジタル・コマースの売り上げ全体の50%に達する。

分析:Jennifer Polk、Michael McGuire

消費者とビジネス・ユーザーは、スマートフォンとタブレットの高機能化とそれに伴って登場した高品質で強力なアプリケーションによって、事実上購入プロセスのあらゆる段階で企業、コンテンツ、ショッピング環境とのシームレスなインタラクションが可能になる。製品とサービスの購入活動は、スマートフォンから開始できる。顧客はモバイル検索を利用して選択肢を洗い出し、次にタブレットを利用してYouTubeのハウツー動画を閲覧し、モバイル・アプリケーションからブランドのFacebook ページと第三者によるレビュー・サイトにざっと目を通してその商品/サービスを既に購入した顧客からのフィードバックを確認し、最終的に企業のモバイル対応Webサイトかモバイル・アプリケーション上で注文する (実店舗でモバイル・ペイメントを利用することもできる)。

ガートナーの定義によると、デジタル・コマースとはインターネット、モバイル・ネットワーク、商取引用インフラストラクチャを利用して商品とサービスを売買する活動を指す。モバイル・コマースとは、モバイル・ネットワークと商取引用インフラストラクチャを介してインターネットにアクセスするモバイル・デバイスを利用して、商品(物理的な商品とデジタル商品)とサービス(サービスの予約と事前決済)を売買する活動である。モバイル・コマースでは、Apple Payなどのベンダー独自のモバイル・ペイメント機能は必須ではない。例えば、モバイル・アプリケーションに決済情報 (クレジットカードやデビットカードの口座情報など)を保存すると、購入するたびにこうした情報を再入力することなくアプリケーション内で決済を完了できる。モバイル対応Webサイトでは、決済情報 (クレジット カードやデビットカードの口座情報など)を手作業で入力することもできる。

Appleから発売されたiPhone 6とiPhone 6 PlusではApple Payが利用可能であるため、モバイル・ペイメントをめぐる競合圧力と市場ニーズが高まる。約22万社の小売企業が既にApplePayへの対応準備を整えている。他のモバイル・デバイス・メーカー、テクノロジ・ベンダー、クレジットカード会社(Visaなど)、さらにはWal-Martをはじめとする大手小売企業は、独自のモバイル・ペイメント・ソリューションを立ち上げるか、Google Walletなどの既存の近距離無線通信(NFC)ソリューションをサポートする計画を表明している。

モバイル・ペイメントの採用とモバイル・コマースの推進に関しては、セクタごとにペースが異なる。その主な理由は顧客ニーズである。例えば大規模小売企業は、他の業種 (旅行など) ほど迅速に行動す る必要がない。価値提案とカスタマー・エクスペリエンスに関しては店舗内エクスペリエンスが依然として重要であるため、デジタル・コマースとモバイル・コマースが総売り上げに占める割合が比較 的小さいからである。ただし、クレジットカードに関する新たな標準が定められたのを受けて、詐欺行為に対する責任内容が変更される。こうした変更は2015年に発効するが、それ以降はクレジット カード取引の安全性を高める目的でPOSシステムの更新が小売業者に義務付けられる。これにより、 POS更新時にモバイル・ペイメントに対応する道が開ける。

消費者、マーケティング担当幹部、デジタル・コマースに関する意思決定者を対象にガートナーが実 施した調査は、モバイルから開始する取引の拡大とモバイル・コマースが秘める可能性を裏付けるも のである。また、小売りを含む主要業種ではモバイル・コマースの成長率が異なる可能性が高いこと が明らかになっている。

  • ガートナーが最近実施した、さまざまな職能にわたるデジタル・コマース関連の意思決定者を対象とした調査 (「The Evolving Role of Marketing in Digital Commerce」参照)によると、デジタル・コマースが総売り上げに占める割合は30%であり、モバイル・コマースがデジタル・コマースの売り上げに占める割合は22%である。
  • 小売企業の回答もこの平均レベルであり、デジタル・コマースの売り上げの22%はモバイル・コマースによるものである。モバイル・コマースの割合が平均を超えていた業種が3つ存在する。すなわち、ハイテク業界と金融サービス業界の企業ではデジタル・コマースの24%がモバイル・コマースによるものであり、メディア業界の企業では23%がモバイル・コマースである。
  • ガートナーが消費者を対象に実施した調査によると、全世界のタブレット・ユーザーの26%とスマートフォン・ユーザーの20%がデバイスを利用して製品やサービスを購入している(この調査は2013年8月に実施したものであり、先進8カ国[米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、日本、中国、ブラジル] の2万1,514人が回答している)。
  • モバイル・コマースは、2017年末までに重要な販売チャネルとなり、小売企業向けの主要デ ジタル・チャネルとして電子商取引に肩を並べるようになる (「Multichannel Retailers Should Prepare for an E-Commerce Slowdown and an M-Commerce Take-off」参照)。

デバイス・メーカーとアプリケーション開発企業が利便性と機能性を高めながらセキュリティに対す るユーザー・ニーズを満たしていくことにより、ユーザーにとって必須のツールとしてのこれらデバ イスの重要性も高まる。これは特に若年層に当てはまる。モバイル取引とモバイル・コマースの関係 は、さらに動的で顕著なものになる。生まれたときからインターネットを通信、情報、トランザク ションのプラットフォームとして利用し、モバイル・デバイスを使いこなしてきた顧客は、常にオン ラインで、チャネルのタイプによる制約のないショッピング・エクスペリエンスをサービス・プロバ イダーと小売企業に期待するようになる。Apple Payをはじめとする最近の発表により、競合圧力が高 まり、消費者の行動の変化が加速するため、企業内購入担当者としての個人の期待レベルも高まる。

短期予測:

2015年には、モバイル・コマースが大幅に増加するとともに (Apple Payの登場や、GoogleによるNFC対 応Google Walletの普及促進など、競合各社による同種サービスの提供も増加要因の1つである)、モバイ ル・ペイメントに対する関心があらためて高まる。

推奨事項:

  • デジタル/モバイル・コマース・イニシアティブを推進している企業は、シームレスな購入エクスペリエンスを実現し、製品/サービスの調査と購入にモバイル・デバイスを用いる傾向を強めている消費者との関係を購入後も維持するために、部門横断型チーム(マーケティング、IT、販売、顧客サポート、法務など) の編成を促す活動に注力する。
  • モバイル・マーケティング・チームは、モバイル・コマースとモバイル・ペイメントに対する消費者の関心を高めるべく、モバイル・ウォレット (Apple PassbookやGoogle Walletなど) を活用する方法を調査する。

関連リサーチ:

「What the Growth in Mobile Commerce Means to Marketers」

「Multichannel Retailers Should Prepare for an E-Commerce Slowdown and an M-Commerce Take-off」

戦略的プランニングの仮説事項:2017年までに、デジタル・ビジネスモデルを成功に導いている企業 の70%が、顧客ニーズの変化に合わせてシフトできるようにデザインされた、意図的に不安定なプロセ スに依存するようになる。

分析:Julie Short、Elise Olding、Claudio Da Rold

主要な所見:

多くの企業がデジタル・ビジネス革新イニシアティブに着手しているか、または本格的に実行中である。ガートナーの予測によると、これらの活動の30%が成功を収める。こうした成功の理由は、4つの重要な差別化要因にある。

  • テクノロジをイネーブラとして利用する新ビジネスモデル
  • 「supermaneuverable (卓越した操作性)」なビジネス・プロセス (顧客ニーズの変化に合わせて変 化できる)
  • 標準化と変更可能なビジネス・プロセスの採用 (「意図的に不安定なプロセス」と呼ばれ、必 要に応じて生産的な方法で規模を調整し、機会をとらえることができるもの)
  • 組織の流動性 (大きな変化に直面した企業が容易かつシームレスに変化できるようにするもの)

市場への影響:

デジタル・ビジネス革新イニシアティブの導入を成功させた30%の企業 (備考2参照)に加わるには、ビジネス・リーダーとITリーダーが、準備の有無にかかわらず大胆なアクションを取り、ビジネスモデルを革新し、組織の動きを変更する必要がある。ビジネス部門とIT部門は、俊敏に行動し、変化に順応しなければならない。また、ビジネスの遂行方法を進んで革新することができ、単にデジタル・テクノロジを既存のビジネスモデルに応用するだけでなく、ビジネスモデルを抜本的に見直す必要があ る。ビジネスモデル、ビジネス・プロセス、テクノロジの視点から迅速に革新する用意を整え、進んで革新しなければならない。

急速なイノベーションに対応するために絶えず変更を続ける際は、バイモーダル(2つの流儀)アプローチが必要になる。バイモーダルとは、IT部門と他部門の両者が2つの異なるスピードで業務を遂行する必要があるという意味である。その1つは従来のITのコアを革新するスピードであり、もう1つはイノ ベーションに注力する際のスピードである。ITリーダーとビジネス・リーダーがデジタル・ビジネス時代のニーズに対応しようとする場合は、俊敏性を高めるために自部門を革新する必要がある。デジタル・ビジネスを革新するタイミングは限られているため、今すぐ革新する。

ビジネスモデルを革新した結果、一部のビジネスモデルを意図的に不安定にしなければならなくなる。「意図的に不安定なプロセス」とは、変化に対応できるように考えられたプロセスを指し、顧客ニーズの変化に合わせて動的に調整していくことができる。こうしたプロセスが必須である理由は、顧客ニーズの変化に合わせてシフトできる優れた俊敏性、適応性、卓越した操作性を兼ね備えているからである (備考3参照)。このような卓越した操作性のプロセスの背後には、より大きくより安定したプロセスがある。顧客とのインタラクションは予測不可能であり、より大きくより安定したプロセスを継続させるために、時宜に応じた意思決定が求められる。こうした顧客とのインタラクションをサポート できる上述のプロセスは、競争上の差別化要因となる。このようなプロセスは一般的に、競合他社が真似することはできない。

その一例は、プガチョフ・コブラ (備考4参照) の機動性、すなわちJターン (備考5参照) である。従来の 安定した航空機では、こうした動きは真似できない。硬直的なビジネス・プロセスの考え方を破壊して標準化と可変プロセスに至るさまざまな考え方に対応することを通して、デジタル・ビジネスのメリットを獲得することが極めて重要である。こうしたシフトの必要性は、ビジネス環境にモノを持ち 込むことで高まる。スマート・マシンをはじめとするモノがリアルタイム情報を他のマシンに提供し始めているため、企業がこうした情報を活用できるようにする変更に対応できるようビジネス・プロセスを設計する必要がある。新情報に応じて動的に変化できない安定した大規模プロセスでは、デジ タル・ビジネスのメリットを実現できない。

例えば、クラウドソーシングを採用している保険会社では、競合貸付シナリオなどの不安定なプロセスを採用していることがある。また、Airbnbなどのホスピタリティ・サービスでは、誰もが一覧を投稿してホテルと競合することができる。これらの例は、エンド・ツー・エンドのルーチン・プロセスに 従っているが、背後に隠れた関係を利用しており、可変性、変動性、変更可能性の高いステップを採用している。

意図的に不安定なプロセスは、企業と従業員がより流動的に変化に対応する能力の大幅なシフトを必要とする。より迅速に変化する能力では、「組織の流動性」というコンセプトが活用される。ビジネスモデル、プロセス、テクノロジ、人が混じり合うこの総合的なアプローチによって、デジタル・ビ ジネスの成功が促進される。

結論:デジタル・ビジネスの革新を成功させるには、顧客とのインタラクションのスタイルを刷新する作業を手始めとして、社内のビジネスモデルを革新し、組織の流動性を高めながら、主要なビジネス・モーメントに順応する鍵となる卓越した操作性のプロセスを実現すべく組織変更アプローチを採用する。これを実行する企業では、イノベーションと差別化が持続可能になる。

短期予測:

2015年末までに、グローバル企業の5%が、競争上の優位性をもたらす卓越した操作性のプロセスを定義する。

推奨事項:

  • ビジネスモデルを革新し、イノベーションのイネーブラとなるテクノロジの利用に注力する。
  • 顧客ニーズの変化に合わせてシフトできる俊敏性、適応性、変更可能性を備えた卓越した操作性のビジネス・プロセスを設計する。
  • 俊敏性と対応力が高く、説明責任を負いながら組織の流動性をサポートするチームを編成する。

関連リサーチ:

「Get Ready for Digital Business with the Digital Business Development Plan」

「Market Insight: Business Consultancies Must Shape-Not Merely Enable-Digital Business Transformation」

「組織の流動性によってデジタル・ビジネスへの態勢を整える」(APP-14-80、2014年8月5日付)

「Drive Innovation and Big Change Efforts With Try, Harvest, Amplify and Challenge」

「A New Architecture and Sourcing Strategy for Customer-Driven Services at Telenor」

戦略的プランニングの仮説事項:2017年までに、消費者製品への投資の50%が、カスタマー・エクスペリエンスのイノベーションに向けられる。

分析:Jake Sorofman

主要な所見:

  • ガートナーのリサーチによると、企業の89%は2016年までにカスタマー・エクスペリエンスが競合を支える最大の基礎となると考えている(4年前の時点では36%)。
  • ガートナーのリサーチによると、カスタマー・エクスペリエンスに関する自社能力が競合他社よりも優れていると考える企業は半数に満たない。ただし、3分の2は今後5年以内にこうした能力が業界最高レベルになるか、競合他社を大きく上回ると考えている。
  • ガートナーのリサーチによると、4分の3弱の企業は、この課題に対処すべく、2015年にカスタマー・エクスペリエンスに関するテクノロジ支出を増額する予定である。
  • Deloitteが4,047人の消費者と28の製品カテゴリにわたる350種のブランドを対象に実施した調査によると、3年連続でブランド・ロイヤリティが大きく落ち込んでいる。
  • Uber、Netflix、Zapposといったデジタル業界を破壊するベンダーは、消費者のネットワーク利用習慣との適合性が高いネイティブのデジタル・エクスペリエンスを武器として、古参ベンダーに挑戦している。
  • ガートナーが2014年にCEOを対象に実施した調査によると、現在のビジネス環境で最も緊急性の高い戦略目標は増収である。この増収目標をサポートするテクノロジ関連のビジネス遂行能力について最優先の課題を問う質問に対し、CEOはデジタル・マーケティングを挙げているが、僅差で第2位となったのがカスタマー・エクスペリエンスである。
  • CEOは、こうした増収の主な源泉が既存顧客になると予測している。ガートナーのリサーチによると、カスタマー・エクスペリエンスへの投資を推進する2大要因は顧客の維持 (82%) と既存顧客層の拡大 (79%) である。
  • McKinseyが2014年に全世界を対象に実施した調査によると、デジタル関連のすべての優先事項のうち、「顧客との関係構築」(実質的にはデジタル・カスタマー・エクスペリエンス) が優先順位と支出額の両方で「デジタル・ビジネスモデルのイノベーション」を抑えて第1位となっている。

市場への影響:

多くの業種では、熾烈な競争によって従来の製品やサービスが持っていた優位性がなくなり、カスタマー・エクスペリエンスが競争の新たな戦場になっている。これが最も顕著なのが耐久消費財市場で、検索を通じた価格情報や製品情報へのアクセスといった利便性により極端なコモディティ化を強いら れ、またさまざまなソーシャル・チャネルによってブランド・ロイヤリティの低下に見舞われている。現実として、新しい製品 (場合によっては新しいビジネスモデルまでも含む)のイノベーションに重点を置くことにより、競争上の優位性を維持できる期間が短くなり、数多くの競合他社と代替品が登場する。

さらに、Strategy&のレポートによると、回答者の46%は、そもそも発案とアイデアを商取引上の機会に転換する活動に関して自社はほとんど成功していないか、または平均レベルであると述べている。大半の企業にとって、持続可能なイノベーション・プロセスはまったく手の届かないものであり、遠大な目標となっている。

R&Dに対する投資を拡大しても、イノベーションを強化できるとは限らない。Booz & Co.のレポートによると、AppleとGoogleはグローバル・イノベーションのパフォーマンスで第1位と第2位であるが、R&D支出ではそれぞれ第43位と第12位である。この違いは何か。それは、エクスペリエンスのイノベーション、簡素化を目指す顧客指向のアプローチ、利便性、顧客と接触するすべての窓口における満足度である。

実のところ、製品のイノベーションを実現するには、コモディティ化を加速せざるを得ない。カスタマー・エクスペリエンスのイノベーションは永遠に続くものであり、これがブランド・ロイヤリティを維持する秘訣である。eConsultancyが最近実施した調査によると、企業の89%はブランド・ロイヤリ ティを高める必須の要件はカスタマー・エクスペリエンスであると考えている。

短期予測:

  • 2015年までに、既存の消費者製品の半数以上にネイティブのデジタル拡張機能が盛り込まれる。
  • 2016年までに、消費者製品を扱う企業の90%弱が最高顧客対応責任者を任命する。

推奨事項:

  • 拡大するユーザー層のパターンと嗜好を詳細に分析するペルソナ/エスノグラフィ (民族誌)関連リサーチを通じて、顧客を分析する活動に投資する。この活動の重点は、顧客が期待するようになった利便性と満足度を実現するエクスペリエンスのイノベーションとする。
  • まだ最高顧客対応責任者を任命していない場合は、任命することを検討する。最高顧客対応責任者は、複数チャネルにわたってエクスペリエンスのイノベーションを推進する責任と権限を一手に引き受けて掌握するポストである。
  • 従来の先入観や前提にとらわれずにエクスペリエンスのイノベーションを実現した例として、Uberなどのネイティブなデジタル破壊ベンダーに注目する。
  • 機能に注目して段階的にイノベーションを実現しようとする習慣を打破して、エクスペリエンスの再設計を行い、革新的なカスタマー・エクスペリエンスの実現に向けて大胆な手段を取る。その際は、製品に対する従来の投資をカスタマー・エクスペリエンスのイノベーションに振り向ける。

関連リサーチ:

「Agenda Overview for Customer Experience, 2014」

「Toolkit: A Marketer's Checklist to Guide Customer Experience Efforts」

「Use Personas to Drive Exceptional Customer Experiences」

「How to Design Customer Experiences Using Persona-Driven Buying Journeys」

「Beyond Net Promoter Score: The Evolution of Customer Experience Metrics」

「Sephora CMO: How Digital Became Core to Sephora's Brand, Culture and Customer Experience」

戦略的プランニングの仮説事項:2017年までに、耐久消費財を扱うE-Tailer(オンライン販売のみの小売企業)の20%近くが、3Dプリンティング(3DP)を使用してパーソナライズした製品を提供するようになる。

分析:Michael Shanler

主要な所見:

  • 耐久消費財メーカーは、「組み合わせ可能な」製品の提供から、多様な消費者ニーズに個別対応する「パーソナライズした」製品へのシフトを実現するテクノロジにますます注目する傾向にある。
  • メーカーは、新たな設計の可能性を実現すべく、3DPテクノロジをますます活用するようになっている。耐久消費財メーカーの大半は、既に3DPをプロトタイプ作成に利用しているかまたは評価しており、このテクノロジを拡張製造工程に導入し始めている。また、受注設計生産(ETO)プロセスをサポートするインフラストラクチャを構築している。
  • 2018年までに、ディスクリート製造企業の50%弱が、自社が販売/修理する製品のパーツの製造時に3DPを利用するようになる。
  • 2018年までに、3DP市場の規模が134億ドルを超える。
  • E-Tailerは、デジタル・ビジネス・チャネルを通じてポータル・ベースの顧客向けパーソナライゼーション機能を追加する用意を整えている。こうした移行をサポートすべく、IT部門とビジネス部門がバックオフィス機能を強化している。バックオフィス機能では、3Dモデリングのほか、CRM、ERP、製造システムの各テクノロジとインタフェースする中核的な製品ライフサイクル管理 (PLM) システムをサポートする。

市場への影響:

多くの製造テクノロジが製品の開発と組み立てを実現しているが、3DPテクノロジは状況を一変させる力を備えている。特に顕著なのが、概念を実体化するプロトタイプ作成工程、第1世代製品、少量生産方式である。今後数年間に、3DPテクノロジの進化と3DPサービスの普及により、平等な製造エコシステムが新たに登場する。このエコシステム内では、設計プロセスとデリバリ・プロセスを極めて柔軟なものにできる。その結果、ほとんどすべての企業がプロトタイプを作成し、採用して立ち上げたり、ETOプロセスを採用した製品を販売したりできる。

従来の製造プロセスとの比較において、3DPは既にスタートアップ企業においてインフラ・コストの削減に大きな効果を発揮している。小規模企業が3DP出力センターを利用すると、投資という観点から見た参入障壁が大きく低下する。大企業も、これらの出力センターを利用することで、新たな製品開発分野に事業を拡大できるが、それと同時に投資リスクを緩和しながらプロジェクト・コストと支出総額を削減できる。

消費者側では、より多くの製品機能をコントロールしたいというニーズが高まっているため、E-Tailer各社は従来の「組み合わせ可能な」製品(仕上げのバリエーションが多い冷凍庫や製氷器など)から3DPによって実現可能になった「パーソナライズされた」受注生産製品への移行がもたらすビジネスの可能性を認識するに至った。3DPテクノロジで実現したパーソナライズされた耐久消費財の例としては、各種の日用品が挙げられる。大手ブランドは、以下の製品を提供すべく、パイロットを開始しているか、またはデジタル・サプライチェーン内で提携関係を結んでいる。

  • アイウェア(各消費者の横顔の輪郭とスタイルに関する嗜好に合わせたもの)
  • ヘルメット、ブーツ、靴 (設計とフィット性をカスタマイズしたもの)
  • 自転車フレーム、スキー板、スケートボード、ハンティング/競技用火器(顧客の体型、身長、体重、股下、握力などに合わせて設計したもの)
  • ファッション小物、ハンドバッグ、貴金属ジュエリー(さまざまな素材を用いてオンデマンドでプリントしたもの)
  • 玩具 (受注生産、カスタマイズ、顧客がデザインするものなど)
  • 家具と室内装飾 (ウォール・パネル、額縁、照明器具)

メーカー各社がより設計エクスペリエンスに近い場所へ消費者を呼び込む能力を開発するため、耐久消費財のほぼすべてのカテゴリにおいて3DP対応のパーソナライゼーションが急激に増える。ただし、早期に対処すべき課題も存在する。こうした戦略を早期に策定する企業は、結局、自社のカテゴリ内 で市場を定義することになる。これを実現するためには、規格外の製品を受け入れる社風、フロントオフィスの新しい「コンシェルジュ」ビジネス機能、バックオフィスのITスキルおよび運用スキルが不可欠である。また、柔軟性に欠けるプロセス・オートメーションを超えたこれまでにない俊敏性が 求められるとともに、場合によってはまったく新しいビジネス・システムが必要となる可能性もある。また、ITリーダーが社内プロセスをエンド・ツー・エンドで更新し、発注、受注生産、納品に対応する必要がある。

「パーソナライズされた」製品を製造する際は、材料表 (BOM) を注文ごとに変えることも必要となるため、柔軟な製品ライフサイクル管理 (PLM) 中心型システムを導入しているE-TailerのCIOは、好スタートを切ってその分野をリードする存在になる。デジタル・パーツを追跡し、各工程の記録 (CoC)を維持しながらシステムとプロセスを検証することによって1回限りしか生産されない製品を提供するには、CEOが社内文化の変革を指揮する必要がある。また、ビジネス部門とIT部門のリーダーがイノベーションに関するプラクティスを受け入れることも必要である。一連のイノベーションに関与する大企業は、失敗リスクの緩和(早い段階で失敗して損害を最小限に抑えるなど)に対処できなければ、商業的な成功を収めて新たな価値を創出することはおぼつかない。

パーソナライズされた製品の提供をめぐる機会は多数存在する。

  • ソーシャル面から関与する設計イノベーション:顧客は、自ら起こしたイノベーションを大規模コミュニティ内でソーシャル化できるようになる。これにより、永続的な関与サイクル、消費者による導入、教育の改善が実現する。
  • 新たなサービス/サポート・モデル:新たな顧客向けインタフェースを使いやすいインタフェースでサポートする必要がある。また、顧客をサポートするサービスの強化が必要になる可能性もある。
  • ブランドをめぐる関係とロイヤリティ:消費者が、さらに親密度の高いインタラクションを好みのブランドと行うことができる。
  • サプライチェーン内インベントリの削減:これまでパーツの在庫を確保する必要があった企業は、施設と大規模な3DP出力センターを通じてパーツとアセンブリをオンデマンドでプリントすることができるようになっている。そのため、在庫と未使用インベントリを削減できる。
  • 斬新なカスタマー・エクスペリエンス:E-Tailerの注文ポータルと製品要求システムは、さらに高度な製品要求とカスタマイズに対応できるようになっている。これを楽しめるエクスペ リエンスに転換できる企業は、リピート注文を獲得できる。

短期予測:

2015年までに、耐久消費財を扱うE-Tailerの90%以上が、「パーソナライズした」製品を提供する新しいビジネスモデルをサポートするために、外部とのパートナーシップを積極的に求めるようになる。

推奨事項:

CIO、製品開発リーダー、ビジネス・パートナーは、以下を行う。

  • エンド・ツー・エンドの消費者エクスペリエンスを改善するために、パーソナライズされた製品の開発に向けて3DPテクノロジを活用するためのビジネス機会を評価する。
  • 「現状」と「将来像」(プロセス、スキル、テクノロジ) のギャップを評価する。必要な投資と、破壊的な新モデルに順応する自社の能力を判断する

関連リサーチ:

「Hype Cycle for 3D Printing, 2014」

「戦略的テクノロジのトレンド:3Dプリンティングが企業を変革する」(INF-14-102、2014年8月8日付)

「Predicts 2014: 3D Printing at the Inflection Point」

「Forecast: 3D Printers, Worldwide, 2013」

「Use the Gartner Business Model Framework to Determine the Impact of 3D Printing」

戦略的プランニングの仮説事項:2020年までに、ターゲット・メッセージングと屋内測位システム(IPS) を組み合わせて活用する小売企業の売り上げは、5%増加する。

分析:Bryan Taylor、Kelsie Welch

主要な所見

  • モバイル・デバイスの利用拡大によって開かれた大きなビジネス機会を有効活用するため、デジタル・マーケターは、モバイル広告と高度なアナリティクスにこれまで以上に注力している。
  • チャネルのセット(モバイルWeb、アプリケーション内、電子メール、ショート・メッセージ・サービス [SMS]のテキストなど)が多様化し、境界が曖昧になっているため、これらの活動においてコンテキストが担う役割がますます重要になっている。そのため、消費者の最近の購入実績や購入習慣、居住地、関心の対象などに基づく高度なターゲット広告を提供することが可能になっている。
  • 最近になって実行可能性が高まってきているのが屋内測位システム(IPS)である。衛星ではなく低消費電力のBluetoothビーコンとWi-Fiアクセス・ポイントを利用するIPSは、屋内のモバイル・デバイスの位置を数センチメートルの精度でピンポイントに特定できる。
  • IPSをサポートする新しいモバイル・デバイスによって、位置情報に基づくターゲット広告とメッセージが可能になるとともに、リアルタイムのマッピングによって店舗内の適切な場所だけでなく、具体的な商品へ誘導することが可能になる。

短期予測:

2016年までに、顧客の位置と店舗滞在時間に焦点を当てた小売企業からの引き合いが増加する。

2017年までに、大手小売企業10社のうち7社がIPSとモバイル・アプリケーションを併用して、店舗内の適切な売り場だけでなく、具体的な商品へ素早く誘導できるようになる。

推奨事項:

  • 小売企業は、今後3〜5年間にこれらのテクノロジを利用してターゲット広告を個別の顧客や顧客層に配信することで、売り上げ、マージン、顧客満足度、来店頻度を改善する機会を獲得する。リアルタイム・コンテキスト情報と高度なアナリティクスを併用し、顧客にリアルタイムに提供する最良のクーポンを判断できる。例えば、消費者がショッピング・モールに滞在している間に携帯電話やソーシャル・ネットワーク上の活動で共有されている居場所を利用すると、コンテキスト面から見て近隣の店舗に適したクーポンを生成できる。これをIPSと組み合わせると、こうしたクーポンを受け入れる顧客をリアルタイムに店舗や商品に誘導できる。
  • 顧客に対してリアルタイムにクーポンを提供することを検討している小売企業は、すべての対話チャネルにわたって良質な顧客データ、コンテキスト・アウェア型データ(居場所、最近の購入実績、購入履歴など)、顧客がクーポンを受け取って反応する手段を必要とする。クーポンの受け入れ率と行動変更率の上限は、デリバリ・システムのパフォーマンスとクーポンの妥当性に左右されるが、これらはカスタマー・エクスペリエンスにおいて重要な役割を担う。
  • 小売企業は、分類と行動分析を十分実施したと確信できない限り、コンテキスト・アウェア型の環境内で顧客向けにカスタマイズしたクーポンをリアルタイムに提供しようとしてはならない。顧客との関係構築につながる有意義で妥当なクーポンを提供するという目標を掲げても、提示タイミングが遅いかまたは対象者から「自分とは無関係」と見なされた場合、消費者がいら立ったり、機嫌を損ねたりする恐れがある。顧客の基本的な期待事項に沿った クーポンを提供することも重要である。例えば適切にパーソナライズしたクーポンをタイムリーに送信するだけでは不十分であり、顧客がクーポンを利用する時点で当該商品の在庫がなければならない。

根拠:

ガートナーが2013年第4四半期に実施した調査によると、現在では消費者の3人に2人はモバイル・デバイスを利用したショッピングを経験している。そのため、小売企業がデバイスを介して消費者にコンタクトして対話する機会も増加している。過去数年間、ショッピング・アプリケーションに自分の居 場所を通知する消費者が増加し続けている。2013年第4四半期の時点では、21%の消費者がモバイル・デバイスを介して小売企業に自分の居場所を通知している。

消費者は小売企業に情報を提示することに不安を感じなくなっているため、IPSとターゲット広告を通じて売り上げ、マージン、顧客満足度、来店頻度を改善する機会が増加している。小売企業は、リアルタイム・コンテキスト情報と高度なアナリティクスを組み合わせることによって、顧客にリアルタ イムに提供する「最良のクーポン」を判断できる。例えば、消費者がショッピング・モールに滞在している間に携帯電話やソーシャル・ネットワーク上の活動で共有されている居場所を利用すると、コンテキスト面から見て近隣の店舗に適したクーポンを生成できる。これをIPSと組み合わると、こうし たクーポンを受け入れる顧客をリアルタイムに店舗や商品に誘導できる。

これらのテクノロジを利用してターゲット広告を個別の顧客や顧客層に配信する手法はますます有望になっており、消費者もこうした広告を受け取ることにしだいに高い関心を持っているが、マルチチャネル環境がますます複雑化しているため、消費者のエクスペリエンスを損なうことなくターゲッ ト型のクーポンをリアルタイムに提供することが困難になっている。したがって、小売企業はこうしたクーポンの配信先候補となる消費者を選択的に特定する必要がある。同時に、クーポンの配信から売り上げまでの活動を一貫したものにしなければならない。

1〜2社の小売企業がコンテキストに対応したターゲット型クーポンの大規模配信に成功すると、コンテキスト対応クーポンの配信を試みるすべての小売企業の能力と配信に関する消費者の期待も高まる。

関連リサーチ:

「Survey Analysis: Mobile Real-Time, Personalized Offers Will Fail Without Transparency of Intent and Multichannel Consumer Insight」

「Hype Cycle for Retail Technologies, 2014」

「Innovation Insight: Indoor Location Technologies ? The Looming Battle Between Bluetooth, Wi-Fi and Other Wireless Technologies」

「How Mobile Will Affect IT Leaders Supporting Marketing Technologies」

「Indoor Location-Sensing Technologies Enable New Contextual Experiences」


備考1
不安定なプラットフォームの概略

F16ジェット戦闘機は、意図的な不安定性を利用した先行事例の1つである。クアッドコプタという無人機も、同じく不安定であり、飛行の安定性を維持するにはコントロール・ソフトウェアが必要である。これらのプラットフォームは不安定であるため、ソフトウェアでコントロールすると俊敏性が高 まる。これらはさらに容易に順応できる。デジタル・ビジネスを利用すると、本質的に不安定なビジ ネス・プロセスを吟味してビジネスの俊敏性と順応性を高める機会が生まれるが、これをカスタ マー・エクスペリエンスの改善に応用することになる。例えばクラウドソーシングでは、参加する群 衆の動きに合わせて変化するプロセスが必要になる。組織の流動性は、俊敏性と順応性に関するニー ズの高まりに関するものである。これらのプロセスは変化を念頭に設計されているため、「卓越した 操作性」と呼ばれることがある。デジタル化により、企業内ではさらに流動的な変化が強いられるため、順応できない企業は苦心することになる。

備考2
組織の成熟度

CIOは、自社が今後18カ月間に急速に成熟し、デジタル・ビジネス・イノベーションの分野で「特定市 場指向型」から「リーダー」に移行することを期待している。しかし、こうした期待事項は、ほとん ど非現実的であり、70%は失敗する可能性が高い (「BiModal IT and Adaptive Sourcing are Critical to Success in Rapid Digital Innovation」参照)。

備考3
卓越した操作性

『Sukhoi Test Pilot Explains "Supermaneuverability": Su-35S maneuvers point to combat capability』
(http://aviationweek.com/awin/sukhoi-test-pilot-explains-supermaneuverability )

備考4
プガチョフ・コブラ

スホーイ・コブラ ( http://en.wikipedia.org/wiki/Pugachev's_Cobra )

備考5
ヘルプスト機動

Jターンとも呼ばれる ( http://en.wikipedia.org/wiki/Herbst_maneuver )。




(監訳:亦賀 忠明) ※本レポートの無断転載を禁じます。


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