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SAMPLE RESEARCH

サンプル・リサーチ

デジタル・ビジネスは現実のものになっている

インフラストラクチャ (INF) /INF-15-97
Research Note
J. Lopez
掲載日:2015年9月7日/発行日:2015年7月10日

本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2015年10月28(水)〜30日(金)に開催する 「Gartner Symposium/ITxpo 2015」のページを是非ご覧ください。(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます)


デジタル・ビジネスは、現実のものになっている。ガートナーが実施したデジタル・ビジネスに関する基礎調査によると、企業は今すぐデジタル・ビジネスへの転身に向けて行動を開始する必要がある。CIOから見ると、これはリーダーシップ、資金調達、テクノロジ、人材に影響を及ぼすものであり、本リサーチノートではこれらの点を解説する。


要約


主要な所見

  • デジタル・ビジネスは、現実のものになっている。企業リーダーの22%が「何らかの形態でデ ジタル・ビジネスを遂行中である」と述べており、ITに対する投資が増加している。
  • デジタル・ビジネスは、拡大中である。企業の50%は24カ月以内に、83%は3〜5年以内に、デ ジタル・ビジネスに転身する意向であるため、企業内の個人には強いストレスがかかる。
  • デジタル・ビジネスの最優先事項は成長であるため、CIOとIT部門に対する注目度が高まる。

推奨事項

CIOは、以下の作業を実施する。

  • デジタル・ビジネスに対応するフレームワークを今すぐ積極的に開発することにより、デジタル・ビジネス戦略に関するCEOの質問に回答する準備を整える。
  • デジタル・ビジネス開発で指揮を執る役割に備える。自身が影響力を発揮できる分野を最良の形で特定するために、自社に関する知識のレベルを高める。
  • デジタル・ビジネス・テクノロジのコンポーネントを確実に予算に織り込む。
  • デジタル・ビジネスに対抗する新たなプラットフォームに自身のチームが確実に対応できるよう、チームのスキルを評価する。モバイル、ソーシャル、クラウド、インフォメーション、モノのインターネット(IoT)には、テクノロジ面の課題だけでなくビジネス面の課題も存在 する。


目次



図目次



戦略的プランニングの仮説事項

2020年までに、企業の75%はデジタル・ビジネスに転身するか、またはそのための準備を整える。


分析

デジタル・ビジネスは、既に現実のものになっており、拡大中でもある。この2つの見解は、ガートナーが2014年にビジネス部門とIT部門の幹部を対象に実施したデジタル・ビジネスに関する調査の結論として得られたものである。ガートナーは、テクノロジ面のブレークスルーによって大きな変化が進んでいる時代において、ビジネス・リーダー、CIO、ITリーダーが状況を最もよく理解できるよう支援するために、また実行可能なアドバイスを提示するために、いくつかの質問を用意し、回答を依頼した。質問は、以下のものであった。



  1. デジタル・ビジネスに関して自社は現在どのような位置付けにあるか。自社はWebベース・ビ ジネス、E-Business、デジタル・マーケティング・ビジネスのいずれに該当するか。どのよう な位置付けを目指し、どの程度の期間で目標を達成したいか。
  2. デジタル・ビジネスにどのような影響を期待しているか。どのような機会、課題、価値を期待しているか。
  3. 社内でデジタル・ビジネスを担当している (今後担当する) のは誰か。
  4. デジタル・ビジネスをどのように構築するか。必要になるコンピテンシと設計仕様はどのようなものであり、必要になるテクノロジ投資はどの程度か。

ガートナーが2014年に実施したデジタル・ビジネスに関する基礎調査に回答した企業の22%の経営幹部 は、「何らかの形態でデジタル・ビジネスを遂行中である」と述べている。これらの経営幹部の半数は、 自社が「2016年末までにデジタル・ビジネスに転身できる見込みである」と回答している。これらは、 ガートナーがビジネス・リーダーとITリーダーを対象に実施した第1回のデジタル・ビジネス調査にお ける重要なメッセージである。この結果は、デジタル・ビジネスの急速な台頭とデジタル・ビジネス への移行に関するシナリオを示している。また、妥当性の喪失や破産を回避するために、企業がデジ タル・ビジネスへの移行を宣言するという図式を描いている。

しかし、デジタル・ビジネスへの転身を目指す企業の経営幹部は、全員このミッションで成功を収め るのであろうか。多くの企業が計画している変革は、非常に困難なものであるため、大幅に長期化す るであろう。調査で確認された高い意欲は、 (どちらかと言えば) 意向を力強く宣言するものである。 意向を実現するためには、経営陣が時間を割いて注目する必要がある。企業がデジタル・ビジネスに 転身すべく投資を進めるに従い、こうした状況が多くの市場の成長を後押しする。

デジタル・ビジネスに関して自社は現在どのような位置付けにあるか

デジタル・ビジネスの発展パスは、アナログ・ビジネス、Webベース・ビジネス、E-Business、デジタル・マーケティング・ビジネスからデジタル・ビジネスへ移行するプロセスを表現したものである(図1参照)。回答のうち最も多かった(41%)のは、デジタル・マーケティングである。当面は、「デジタル」という単語や「デジタル・ビジネス」という用語を目にしたビジネス・リーダーの多くが、それをデジタル・マーケティングの同義語と見なすと考えておくとよい。



図1. デジタル・ビジネスに向けた活動


出典:ガートナー (2015年3月)
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要約すると、本調査結果では、回答企業の1%が自社をアナログ・ビジネス、24%がWebベース・ビジネス、12%がE-Business、41%がデジタル・マーケティング、22%がデジタル・ビジネスと位置付けている (図2参照)。



図2. 企業の現状

出典:ガートナー (2015年3月)


現在、インターネットは価値ネットワークの指標となっているため、企業はインターネットをどのように業務に利用しているかによって自社を位置付けることができる。また、多くの企業は、現時点で拡大と発展を続けているIoTを自社の価値ネットワークにつなぐことがどの程度有益かを確認できる。しかし、Facebook、Amazon、Snapchat、LinkedInといったインターネット専業企業の台頭を踏まえると、これは目新しいことではない。目新しいのは、人、ビジネス、モノが織りなすデジタルの世界にある新たな様式や振る舞いである。

デジタル・ビジネスにどのような影響、機会、課題、価値を期待しているか


「デジタル・ビジネス」と銘打たれたイニシアティブへの期待事項は、同様にビジネスに関する期待事項を指す。ガートナーは、問題だけでなく機会も理解すべく努めた。

ガートナーは本調査において、「今後5年間に、自社のビジネス、マーケティング、収益、成長にデジタル・ビジネスの台頭が及ぼす影響はどの程度大きくなると思うか」と尋ねた。回答は意味深いものであり、現時点の影響を評価するために、肯定的な評価と非常に肯定的な評価をまとめて集計した (図3参照)。



図3. デジタル・ビジネスの影響



出典:ガートナー (2015年3月)
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この結果は、回答者が所属する企業のビジネス・ストーリーを物語っている。具体的に言えば、デジタル・ビジネスに対する注力が、企業の健全性を評価する複数の評価指標において、極めて重要な要素になるというストーリーである。また、評価指標への好ましい影響を期待する企業の場合、デジタル・ビジネスを立ち上げて転身する緊急性が高いことを強調している。

デジタル・ビジネスの推進に緊急性があり、期待事項が確立されている場合、期待事項を実現する際の課題はどのようなものになるか。これは、調査の質問文を正確に引用すると、「新たな増収機会の確保と業務の効率化に向けて自社にデジタル・ビジネスを導入し、進展させる際の最大の課題は何か」である。回答から浮かび上がってきた主な課題を以下に示す。



  1. 人材/リーダーシップ/社内文化:これは、CEOと取締役会を対象にした調査など、ガートナーが実施した多数の調査において優先事項として浮上している。
  2. 予算/コスト面の制約:ガートナーの調査によると、回答企業は「デジタル・ビジネスのコストが、コスト全体の大きな部分を占める」と予測している。この数値は、コスト・ベース全体の5%という低い値から、25〜49%までにわたっている。実際の数値がどのような値になるかは今後評価することになるが、この回答も企業の意向を示すものである。
  3. 戦略/プランニング:この懸念材料の根本について調査したところ、経営幹部が競争上の圧 力、規制面の圧力、適切な選択、長期ビジョンの明瞭度などの間でバランスを取ろうとして いることが判明した。
  4. テクノロジ関連:ここでの懸念材料の核心は、テクノロジの急速な変化、インフラストラクチャが受ける影響、導入済みテクノロジとレガシー・プロセスの限界である。
  5. ビジネスモデル:調査の時点でデジタル・ビジネスに関して経営幹部が抱えていた主な問題は、現行ビジネスモデルに取り込むリスク、デジタル・ビジネス環境の変化に順応するリスク、プロセスの設計と開発に対するリスクである。

社内でデジタル・ビジネスを担当している (今後担当する) のは誰か


デジタル・ビジネスを担当している (今後担当する) のは誰か。これは、調査で実際に提示した質問文 を引用すると、「現在、社内でデジタル・ビジネスの指揮を担当している役職を重要性の高い順に3つ 選択せよ」である。この質問に対する回答は、今回の調査では比較的明瞭であった (図4参照)。





図4. デジタル・ビジネスを担当している役職



出典:ガートナー (2015年3月)
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この結果が興味深いのは、最高デジタル責任者(CDO)が第10位、デジタル・ビジネス担当バイスプレジデントが第11位、最高データ責任者が第12位となっている点である。これらの役職に関する調査結果を取得したのは今回が最初であるため、ガートナーが期待する役職、つまりCDOが増える兆候はまだ確認できない。ただし、多くの企業が「CIOとCTOが最上位に位置している」と回答したことは明らかである。CDOの地位をめぐり、社内の他の役職が争っている。

これまで要求されていなかったビジネス部門の期待事項に正式に対応する必要のあるCIOから見ると、これはCIOに対して高い期待レベルが設定されていることを意味する。CIOはおそらく、CIOから転身したCEOからの「少なくともCEOと同じレベルでビジネスを理解せよ」というアドバイスに従う可能性が高い。

デジタル・ビジネスをどのように構築するか。必要になるコンピテンシと設計仕様はどのようなものであり、必要になるテクノロジ投資はどの程度か


まず、本調査の対象となったデジタル・ビジネス・リーダーの期待事項に注目する。図5を見ると、回 答企業は、好業績を達成するためのビジネス・タスクを期待していることが分かる。



図5. デジタル・ビジネスで期待されている成果



出典:ガートナー (2015年3月)
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最初の2つ (「デジタル・ビジネス環境におけるビジネス戦略の開発」と「ビジネス・プロセスのイノ ベーション」)は、デジタル・ビジネスで必要になる変革の範囲とスピードを明らかにするものであるため、重要であり、3つ目の回答「テクノロジによって競争上の優位を強化する方法の理解」に重要な要素として組み込まれている。ここでは、戦略開発、組織変革、変更管理におけるコンピテンシのほか、リソースをめぐって現行業務を遂行しているビジネス部門とイノベーションが競合する、バイモーダルな (2つの流儀の) 組織を管理する能力が必要になる。

ガートナーは、続いてデジタル・ビジネスの設計に関する質問を行った。その際に、ビジネスのさまざまな分野を探る多数の特徴を列挙した (図6参照)。



図6. デジタル・ビジネス設計の特徴



出典:ガートナー (2015年3月)
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「現在デジタル・マーケティングを実施中」と回答した企業の割合 (44%)を踏まえると、デジタル・ビジネスの設計時にデジタル・マーケティング能力が重要であることは驚くに値しない。Target、ソニー、Anthemといった有名企業で発生した大規模な個人情報の不正流出を受けて、セキュリティとリスクが注目を浴びている。こうした企業の事例は、安全な企業はもはや存在しないことを表している。当面は、設計時におけるセキュリティとリスク対策の優先順位が高い状態が続く。また、デジタル・ビジネスで実現する製品/サービスのイノベーションは、設計時の重要な要因として僅差の第3位となっている。ガートナーは、人、ビジネス、モノの実態と影響が最優先事項になるに従い、こうした設計基準が今後変化すると予測している。

本調査で判明したことは何か。デジタル・ビジネスのビジネスケースを作成しているCIOから見ると、多くの企業では、デジタル・ビジネスを目指す方向に既に動いているか、または現実のものになりつつあることが明白である。また、デジタル・ビジネスを目指す企業の数を踏まえると、そこには広大な可能性があるため、ライバル企業の行動に対する警戒度を高める必要が生じる。さらに、現在は、新たなルールと新たなスキルを利用して新たな環境を創出している最中であることも、調査から判明している。こうした環境は独自のリスクを招くが、今回の調査では回答企業が「リスク」という言葉を「機会」と見なしているように見受けられる。



推奨リサーチ

  • 「Seize the Moment: Driving Digital Business Into 2015」
  • 「Agenda Overview for Digital Business, 2015」
  • 「『デジタル・ビジネスの発展パス』でデジタル・ビジネスに備えよ」
    (APP-15-24、2015年2月25日付)
  • 「The 2014 Gartner CEO and Senior Executive Survey: What the Executive Focus on Growth and Digital Business Means for Supply Chain Organizations」
  • 「Digital Workplace Organizational Change Imperatives」
  • 「デジタル・ビジネスで成功を収めるための6つの重要なステップ」(ITM-15-12、2015年4月20日付)
  • 「自社に今、デジタル・ビジネス戦略が必要かを見極める第一歩」(ITM-14-14、2014年8月8日付)
  • 「Talent on the Digital Frontier: The Stakes Rise in Digital Business」

用語

デジタル・マーケティング
ガートナーの定義では、デジタル・マーケティングとは、ソーシャル、モバイル、アナリティクス、ビッグ・データといった主要なテクノロジで実現する手法のセットであり、インフルエンサーかつ買い手である人々と企業が動的な会話を交わせるようにするものである。最終的な目標は、顧客をターゲットに定め、引き付けて引き留めることである。

デジタル・ビジネス
ガートナーの定義では、デジタル・ビジネスとは、人と企業をつなぐだけでなく、人、ビジネス、モノ (能動的なプレーヤーとして機能し、ビジネス価値に貢献する物理オブジェクト) をつなぐことで収益と効率性を高める新たなビジネス設計を創造する活動である。これらのオブジェクトには、センサ・デバイス、資産追跡デバイス、スマート・マシン、スマート・グリッド、3Dプリンタとロボット、スマート・シティと配達サービス用ドローンが含まれることがある。

根拠

ガートナーは、2014年3月から6月にかけて全世界の顧客(365社)を対象に実施した調査を根拠に、本リサーチノートを執筆している。この調査の目的は、企業と団体がデジタル・ビジネスの新たな機会をどの程度理解し、特定して利用しているかを評価することであった。デジタル・マーケティングの手法を利用中、または何らかの形態でデジタル・ビジネスを導入済み(または現在導入中)の企業を対象にした調査を、オンラインと電話を通じて実施した。

調査対象企業は全地域から選び、2012年の年間売り上げが2億5,000万ドル以上であり、製造、小売、行政、医療、銀行、保険、通信/メディア・サービスの各業種の1つに該当することを条件とした。

合計365社の回答者の所在地は、米国:203人、英国:52人、ドイツ:50人、オーストラリア:51人、その他である。回答企業とのインタビューでは、社内のデジタル・ビジネス関連の活動への関与状況を聴取した。

本調査の内容は、経営幹部向け市場を調査しているガートナーのアナリストが共同で作成したものであり、ガートナーのResearch Data and Analyticsチームがレビュー、検証、実施を担当している。



(監訳:鈴木 雅喜)


INF: INF-15-97 (G00269535)
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