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SAMPLE RESEARCH

サンプル・リサーチ

I&Oビジネス・バリュー・ダッシュボードを完成する方法

インフラストラクチャ (INF) /INF-14-85
Research Note
C. Fletcher, J. Brooks, R. Naegle
掲載日:2015年5月12日/発行日:2014年6月30日

本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2015年5月26(火)〜28日(木)に開催する 「ガートナー ITインフラストラクチャ & データセンター サミット 2015」のページを是非ご覧ください。(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます)


I &Oリーダーは、自身が提供するビジネス価値を伝達する革新的な方法を必要としている。I &O部門のリーダーは、活動が業績に及ぼす影響をBVDとして示す必要がある。BVDの活動を成功させるには、文書化を明確に行い、反復的な改善を実施し、ツール利用に対して好機を逃さずにアプローチする必要がある。


要約


主要な課題

  • 現時点で、ビジネス・バリュー・ダッシュボード(BVD)の評価基準として必要になる主な データは存在しないか、または入手困難である。
  • 評価基準とデータ・ニーズはビジネス・ニーズに歩調を合わせて増大するため、BVDには時間とスキルを持続的に投じる必要がある。
  • ダッシュボード・テクノロジは利用できる選択肢が多い上、テクノロジの制約も分かりにくく、BVDをサポートする際にどれを拡張/入手すべきかを判断するのが困難な場合がある。

推奨事項

  • BVD評価基準を提示する際に必要なデータと分析手法を決定して文書化する。
  • 手作業で作成したBVDについて、予定している対象者のサブセットによるベータ・テストを行い、フィードバックを盛り込む。
  • 好機を逃さずにBVDツールを選択し、導入して進化させる。


目次



図目次



戦略的プランニングの仮説事項

2017年末までに、成熟度がレベル3のインフラストラクチャとオペレーション(I&O)部門の50%以上は、価値を社内のビジネス顧客に通知する主な手段としてビジネス・バリュー・ダッシュボード(BVD)を利用するようになる(現時点の10%未満から大幅に増加)。


はじめに

I&O部門は、投資減少の流れを食い止めるべく、自身が提供するビジネス価値を明確に定義して誘引力のある形で通知する革新的な手段を探し続けている。ガートナーは、これを実行する機会としてI&O BVDという概念を提示している(「I&O Value Takes Center Stage With the Business Value Dashboard」参照)。ガートナーのリサーチノートは、経営陣から正当に支持され、ビジネス部門と共同で適切な目標を決定するために初期段階で必要になる重要なステップを概説している (「First Steps in Building an I&O Business Value Dashboard」参照)。現時点では、BVDの開発を一歩先に進め、I&Oが業績に及ぼす影響を示す発展的なビジネス価値評価基準のセットを提示する際に必要になる、持続可能な構成と柔軟なプロセスを定義する必要がある。

図1に、I&O部門がBVDの開発と提示で成功を収める際に必要なステップを示す。左寄りの2つのステップについては、「First Steps in Building an I&O Business Value Dashboard」を参照されたい。本リサーチノートでは、残りの3ステップについて解説する。



図1. I&O BVD開発の5つのステップ


出典:ガートナー (2014年3月)
* 表をクリックすると拡大表示します。



分析

I&O BVDプロセスの最初の2ステップに対処する際は、「First Steps in Building an I&O Business Value Dashboard」を参照されたい。



BVD評価基準の提示に必要なデータと分析手法を決定して文書化する

誤解:BVD評価基準を提示する際に必要なデータと分析手法は、十分理解され、今後も変化しないものとして存在する。

新ルール:BVDの評価基準は、ビジネス部門の優先事項の変化と歩調を合わせて変化する。したがって、データ、データ収集、分析に関する要件も常に変化する。

本プロセスの最初の2ステップで収集した質問と評価基準のセットに基づき、基本的なビジネス価値の評価式 (図2参照) を用いてデータ/分析要件を判断する。



図2. 基本的なビジネス価値評価式


出典:ガートナー (2014年3月)
* 表をクリックすると拡大表示します。



最初の2ステップでは、質問を優先するアプローチを採用しているため、既存のデータやツールが抱えている制約にとらわれることなく重要な質問への回答に注力できる。ただし、必要なデータを収集して処理する方法を正確に特定するという重要な作業が残っている。とはいえ、既存のデータ・ソースを利用しないのではなく、I&O部門とビジネス部門(LOB)の利害関係者が重要と判断したものは利用する。

業績評価の場合、必要なデータを判断することは容易であることが多い。こうした評価基準は既に何らかの形で計算され、多くの場合はスプレッドシートやプレゼンテーション・ファイルで提示されている可能性が高いからである。その場合でも、こうしたデータを収集して分析する方法を理解して文書化し、データ自体の発生頻度と性質を理解すると同時に、ツールの選定後にデータの収集と分析を自動化する機会を特定することが重要である。

適切なI&Oパフォーマンス・データの収集は、ツール数の多寡にかかわらず、収集するデータが不足するということは通常ないため、多くの場合より困難になる。さらに悪いことに、そうしたデータの大半はビジネス部門から見た妥当性が「水準以下」であり(「Demonstrate I&O Value Through Business-Focused Metrics」参照)、現状ではオペレーション・ニーズのみに有益である。エンドユーザー・エクスペリエンス、他の定性データ、トランザクションの可視性を確保するには、監視への追加投資が必要になる場合がある。これは、これらの評価基準が業績に及ぼす影響の方が理解しやすいことが多い ためである。可能な場合は、利用するデータ・ソースを任意のI&O評価基準に関して実際的な範囲内で絞ることが最善である。例えば、トランザクションの成功率とスピードに関する情報は、いずれも単一のアプリケーション・パフォーマンス監視(APM)ツールから入手できる。これは、他のデータを利用できる場合でも同様である。これにより、評価基準の結果の一貫性と比較可能性が次第に高まる。

レポート機能とデータ・エクスポート機能は、ツールによって大きく異なる場合があるため、監視 ツールからデータを入手する要件を定義する必要がある。一部のツール(特に最新のツールセット)は、さまざまな手法(API、PDF、スプレッドシート/CSV[カンマ区切りデータ]など)を介してデータを提供するが、中にはエクスポート機能を直接提供しないツールもある。

評価基準を定義したら、ビジネス価値を評価する基準の持続可能性を維持するために、決定済みデータ要件と、データの収集/分析に採用した手法を文書化することが重要である。この文書化作業では、各ステップを余すところなく列挙する必要はないが、少なくともデータのタイプ、ソース、保存場所、オーナー、評価サイクル、分析に採用した手法やツールを記述する (図3参照)。



図3. ビジネス価値の評価基準に関するデータ収集作業の文書化



出典:ガートナー (2014年3月)
* 表をクリックすると拡大表示します。



この文書は、定期業績レビュー・サイクルに沿って定期的にレビューと更新を行う。



手作業で作成したBVDについて、予定されている対象者のサブセットによるベータ・テストを行い、フィードバックを盛り込む


誤解:プランニングと設計を十分行った場合、テストは不要である。BVDは、最初から本稼働に利用できる対話型アプリケーションとして完成させる必要がある。

新ルール:BVDの開発は反復的なプロセスであり、成果物が絶えず進化してユーザーの期待とニーズに応える。

最高のBVDとは理想的な成果物ではなく、ビジネス・ニーズの理解が深まり、質問の対象が絞り込ま れて、ビジネス部門がメリットの拡大を認識し、スキルが改善して、データとアナリティクスが強化されるに従って、完成度を高める評価基準のセットである。大半の企業では、どれほどプランニングと準備を行っても、ビジネス価値の評価基準を開発/改善するプロセスから得られる教訓にはかなわない。重要な考慮事項は、ビジネス価値の評価基準とアプローチばかりでなく、そうした評価基準を評価し提示する際に利用する環境と手法も変化することである。

十分に準備してビジネス部門の利害関係者から同意を取り付けたからといって、自部門とユーザー部門がすべての質問(あるいは当初の「適切な質問」)を最初から特定していると考えるのは誤りである。逆に、得られた結果と、当初の段階で採用して今後も定期的に利用する分析手法では、ビジネス部門が探し求めている最終的なビジネス価値を提供できないと考える。さらに、反復的に改善してチューニングする準備をしておく必要がある。

優れた設計を施したビジネス価値評価基準は、I&Oの評価基準をビジネス部門のパフォーマンス目標に直接対応付ける。小規模な環境から着手して、1つのビジネス部門をターゲットに定め、優先順位の高い一連のニーズに取り組む(「ケーススタディ」の項を参照)。定期的な対話を通じて、自部門が通知しようとしているものとビジネス部門が重視しているものを擦り合わせる。

次に、評価基準を開発し、データを収集して所見を報告する。何らかのものを定義して開発する方を優先する。成果を手にしたら、ビジネス部門の利害関係者の協力を得て、改善できるものと改善すべきものを洗い出す。評価基準が主要な利害関係者の期待事項に沿っているか否かを判断する。手法、質問、計算式/アナリティクス、データを必要に応じて調整し、ビジネス部門の期待事項に応える。

ガートナーは、ビジネス価値をターゲットにしたイニシアティブのうち、初回に成功を収めるものがほとんど存在しないことを確認している。したがって、柔軟に新たなニーズと状況に対処する(根拠1参照)。例えば、パッケージ商品のメーカーは、大規模な市場調査を行っているにもかかわらず、完璧なスナック菓子を製造すべく、顧客と共同で原材料の組み合わせを何度もテストしている。そして、発売後も商品を絶えず改良している。

これと同様に、アジャイル開発チームは関連する顧客要件の洗い出しと顧客要件の変化の予測に注力することになる。また、開発における重要な信条として、迅速な反復と受け入れテストを提唱する。このプロセスを「ベータ・テスト」と見なす。つまり、BVDの「ゴールデン・マスタ」の初回リリースに先立ち、フィードバックを盛り込む機会であるが、ゴールデン・マスタ自体もリリース以降定期的に更新される。



好機を逃さずにBVDツールを選択し、導入して進化させる


誤解:BVDを実現するには、独自の専用パッケージ・アプリケーションが新たに必要になる。

新ルール:BVDの評価基準は、広範なレポーティング/ダッシュボード機能を備えた任意のツールで提供されるため、好機を逃さずツールを選択すべきである。

I&Oリーダーにとって、BVDを開発するツールの潜在的な選択肢は多数存在する。BVDイニシアティブ は進化するよう体系的に設計されているため、選択したツールも進化させるべきである。I&Oリーダーは、既に多数のITオペレーション管理(ITOM)ツールを社内に展開して、ビジネス・ユーザーをサポートするI&O機能の管理と監視を行っていることが多い。スキルとツールがBVDプログラムのサポートに必要なレポーティング/ダッシュボード機能を備えているか否かを判断する際に、それらに対するこれまでの投資を可能な限り活用することは、理にかなっている。I&Oリーダーは、既存の選択肢から着手すると、初回に巨額の資金を投じることなくBVDについて学習し、社内でBVDを開発することができる。

ただし、I&Oリーダーが利用できるツールの大半は、主にパフォーマンスと生産性に関する報告と評価基準の作成をターゲットにしたものである。一方、BVDのターゲットはビジネス価値の評価基準であり、戦術面のオペレーション評価基準については集約、隠蔽、破棄のいずれかを行う。事実、コスト(「1連 絡先当たりのコスト」など)を扱う出来合いのレポートでさえも、「1ユーザー当たりのITコスト」などの価値評価基準と混同されることがある。前者が単にIT部門から見たコストを示しているのに対し、後者は最終的に価値を判断するエンドユーザーに対する支出額を示している。

ITオペレーション・ツールのベンダーは自社システムの改善を続けており、今後、製品の使いやすさの改善への注力度を高め、生産性とパフォーマンスに関する現行の評価基準に加えて価値ベースの評価基準を提供すべく一層注力すると、ガートナーは予測している。取引中のベンダーにコンタクトして、自社のBVD活動に貢献するタイプの評価基準の提供を目的とした、製品改善に関係するベンダーのロードマップと戦略を確認する(ベンダーのサポート能力を評価する際にベンダーに問うビジネス価値評価基準の例については備考1を参照)。

最終的に、I&Oリーダーは自社の活動を具体的な形でサポートするために、I&O BVDソリューションを追求するという選択が可能である (I&O BVDベンダーの例は備考2を参照)。これらのツールは、個別のITOMソースから入手したデータをまとめ、価値評価基準とダッシュボードをまとめて解析することで、ビジネス部門に対するI&O部門の貢献内容をエンドユーザーと経営陣が理解できるようにすることに注力している。



ケーススタディ

本ケーススタディでは、主要な経営幹部から支持を取り付ける初回の作業を経て、回答すべき最良の質問を判断し、理想的な提示形式を開発するBVD環境の例を提示する。

あるワイヤレス・サービス・プロバイダーは、最近になって、以下に示す2つの進行中のプロジェクトを統合する機会を見いだした。

  • ITオペレーション・アナリティクス(ITOA)ツールの概念実証(POC)評価
  • 初回のBVDイニシアティブ

IT部門とビジネス部門の主な幹部からBVDイニシアティブに関する支持を取り付け、ビジネス部門の主要チームと共同で目標を協議したところ、プロビジョニング・アプリケーションのパフォーマンスが年間売り上げに及ぼす影響をより理解することが、優先順位の首位に急浮昇した。BVDチームのメンバーが回答しようとしていた最も重要な質問は、「プロビジョニング・アプリケーションのパフォーマンスは年間売り上げに影響するか。影響する場合、どのような影響があるか」というものであった。

この質問に適切な評価基準でうまく回答した後、アプリケーションやその基礎を構成するインフラストラクチャに改善を加えると売り上げにどう影響するかを評価する際に、この評価基準を引き続き利用できるというアイデアが浮かんだ。

BVDの評価基準を提示する際に必要なデータと分析手法を決定して文書化する作業では、ビジネス部 門の利害関係者が利用しているビジネス・インテリジェンス(BI)システムから適切なデータと評価基準を入手すると、かなり簡潔になることが直ちに明らかになった。これらは、既に定期的に生成されていたからである。しかし、最適なI&Oデータの入手は難題である。大半の企業と同様、問題は必要なデータを入手できるか否かではなく、必要なデータを入手する難易度はどの程度かである。I&Oチームは、将来行うITOAツールのPOC評価に関して適切な競合ユースケースを必要としていたため、プロビジョニング・アプリケーションを監視してBVDの評価基準にBIデータを盛り込むことをPOCの重要な作業に位置付けた。図4に、成果物である文書の概要を示す。



図4. ビジネス価値評価基準のデータ・ソースに関する文書の例



出典:ガートナー (2014年3月)
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ITOAツールは、この評価基準に関して最適なトランザクション可視性をうまく収集できることが判明したため、引き続きBVDイニシアティブに利用されている。



推奨リサーチ

  • 「First Steps in Building an I&O Business Value Dashboard」
  • 「I&O Value Takes Center Stage With the Business Value Dashboard」
  • 「The I&O Organization Must Prove Its Value Through Solid Metrics」
  • 「Demonstrate I&O Value Through Business-Focused Metrics」

根拠

  1. ガートナーのアナリストは、過去18カ月間の評価基準プログラムについて顧客と500回以上にわたって議論している。その結果、初回評価基準イニシアティブでの成功は最小限であることが明らかになっている。また、これらのイニシアティブではI&O部門のパフォーマンス評価基準がターゲットになる例が多いことも判明している。

備考1

ビジネス価値評価基準の例

  • 実際の支出額
  • 売り上げに対する貢献度
  • 常勤社員 (FTE) 1人当たりの売り上げ
  • IT投資
  • 1ユーザー当たりのITコスト
  • 生産高への影響
  • インシデント1件当たりのコスト
  • 問題1件当たりのコスト
  • リスク

備考2

I&O BVDベンダー

  • Edge Technologies
  • eMite
  • Execview
  • Netuitive
  • Northcraft Analytics
  • PureShare
  • Vyom Labs
  • Xtraction Solutions


(監訳:亦賀 忠明)


APP: INF-14-85 (G00258032)
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