ガートナー ジャパン
メインメニュー ホーム リサーチ コンサルティング ベンチマーク エグゼクティブ プログラム イベント 会社情報 メインメニュー
SAMPLE RESEARCH

サンプル・リサーチ

データ・ディスカバリによるセルフサービスBIの実現に向けて
BICCをどのように進化させるか

アプリケーション (APP) /APP-14-65
Research Note
J. Parenteau
掲載日:2015年4月28日/発行日:2014年7月4日

本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2015年6月18(木)・19日(金)に開催する 「ガートナー ビジネス・インテリジェンス & アナリティクス サミット 2015」のページを是非ご覧ください。(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます)


企業において、個別ニーズに合致したセルフサービスのデータ・ディスカバリ・ツールが支持されており、一元的な、セマンティクス・レイヤを基盤とするビジネス・インテリジェンス・プラットフォームからの移行が検討されている。そのため、一貫性を維持し、混乱を回避するために、エンドユーザーへの権限委譲とガバナンスを均衡させる新たな方法を見いだせるよう、BIプログラムを適合させる必要がある。


要約


主要な課題

  • データ・ディスカバリ・ツールにより、従来のビジネス・インテリジェンス(BI)の主要な標準であるセマンティク・レイヤ方式が揺らいでいる組織が急増している。
  • データ・ディスカバリ・ベースのBIデリバリ・モデルにおいて、IT部門ユーザーおよび事業部門ユーザーの役割と責任を明確化することに、BIプログラムはこれまで苦戦している。
  • セルフサービスのデータ・ディスカバリに関して、事業部門ユーザーへの権限委譲とガバナンスの有効なバランスを見いだせているBIプログラムはわずかである。
  • ほとんどのBIコンピテンシ・センター(BICC)は、「トップダウン型」BI開発をサポートするために設置されたため、事業部門ユーザーによる「ボトムアップ型」開発をサポートし、統制するフレームワークを欠いている。

推奨事項

データ・ディスカバリ・ベースのセルフサービスを採用しようとするBIプログラム・リーダーに、以下を推奨する。

  • 事業部門ユーザーのコミュニティを区分けし、スキル・レベルに応じた権限や特権の付与に使用できるよう、一定のレベルに達していることの認定を含むトレーニング・プログラムを確立する。
  • (現在中央のBICCで機能している)データ統合とモデリングのスキルセットの一部を、分散化されたチームやワークグループに投入する。または、中央のリソースが乏しい場合は、分散的なビジネス・アナリストの役割が、より正式な人員によって満たされるよう、求人と育成を実施する。
  • BICC組織の役割を「門番」から、事業部門ユーザー主導のBI開発プロセスのライフサイクルで監視と調整の責任を担う「航空管制官」に移行する。
  • 事業部門発信型BIコンテンツのエコシステムの統制と管理、およびユーザー・コミュニティ内の協業促進にとって有用なツールやテクノロジに投資する。


目次



図目次



はじめに

これまでBIプログラム・リーダーは、事業部門ユーザーにBIコンテンツを提供するに当たり、IT部門に依存して企業データウェアハウス(EDW)を開発し、セマンティクス・レイヤ・ベースのレポーティング・ツールを実装してきた。この従来のBIデリバリ・モデルにおけるBICCの役割とは、IT部門主体の開発チームから事業部門のエンドユーザーへのBIコンテンツ配信を促進するために、IT部門および 事業部門間の協業を支援することである。多くの点で、BICCは、この一元的なBIデリバリ・モデルにおいて、用意されたコンテンツをエンドユーザーに利用させ、BIの入出力をデータ管理の観点から統制することで、門番的な役割を果たしている。一元的なEDWの上部のセマンティクス・レイヤによって、「真実の唯一の源」を形成し、データの取得/統合/クレンジング/保管/情報発信に関連する ガバナンスの責任をIT部門と中央のBICCチームに委ねることで、結果の整合性が推進される。このアプローチは、ガバナンスの観点からIT部門のニーズを満たしているが、一般的に、複雑で変化するニーズに事業部門ユーザーが対応するために必要とする柔軟性と俊敏性を欠いている。また、アナリティクス機能のスペクトラム(「アナリティクス機能のポートフォリオを拡充せよ」APP-14-33、2014年4月4日付参照)における記述的なアナリティクスの側に近く、要件収集とコンテンツ配信を重視する、レポート中心の考え方の一因にもなっており、BIの潜在的なメリットやビジネスへの影響を制限している。

こうした要因が相まって、事業部門ユーザーの中に従来のBIの代替手段を模索しようとする動機が形成されており、そこにデータ・ディスカバリ・ツールが新たな機会を提供している。多くの企業で、個々の事業部門がデータ・ディスカバリ・ツールを自組織で、つまりIT部門とBIプログラムの権限外で導入しているため、自社の現行のBI戦略とデリバリ・プラットフォームの有効性について疑問を感 じる企業が増えている。BIリーダーは、従来のプラットフォームの代替手段や補完手段としてデータ・ディスカバリを検証し始めようとしているが、ユーザーによるいっそうの採用やビジネス・インパクトに対する期待が、一元的な制御を手放す危惧に相殺され、葛藤を生んでいる。多くの場合、最終的にBIリーダーは自らのプログラム内でデータ・ディスカバリ機能を実装しようとするが、かなり 多くの制約と機能制限を設けるため、潜在的なメリットは完全に価値を失う。データ・ディスカバリに成功するためには、IT部門のリーダーと事業部門のリーダーの密接な連携が必要であり、また協業的な作業を通じて、堅牢なセルフサービス機能でユーザーに権限を委譲するとともに、適切なレベルのガバナンスと制御によって均衡を取る枠組みを確立することが必要である。事業部門ユーザーがBI コンテンツの主たる作成者ならびにソリューション開発者となるモデルをサポートするために、BICCは、新たな戦略を策定するよう進化し、BIプログラムの以下の3つのコア要素にわたって、プログラムの変革を実施する必要がある。

  1. プロセス
  2. テクノロジ

データ・ディスカバリの人気の高まりは、大半の業務環境で生じているテクノロジの「民主化」という、より大きな背景の中で捉えられるべきである。デジタル・リテラシの向上に促され、従業員や各組織が、中央のIT部門の制御外でITリソースを調達し、運用している。しばしば「陰のIT部門」と呼ばれる現象である。またユーザーへの権限委譲の動きは、例えば、アプリケーション、デバイス、さらにはより高度なアナリティクス・ツールについてさえ「個人所有物の業務利用(Bring Your Own)」をサポートするという、業務環境におけるコンシューマライゼーションのさらなる進行にもつながっている。この従業員主導テクノロジという構想は、ガートナーのエンゲージメント・イニシアティブ(消費者指向のスタイルやサービスを戦略的に受け入れることで、より俊敏で熱心な従業員を奨励する、IT部門主導の取り組み)において探求されている。エンゲージメント・イニシアティブは、適切に実施されれば、ソーシャル化とモバイル化の進んだ、アクセス性の良い、データ主導の業務環境をもたらす。


分析

人:セルフサービスの確固たる基盤を築くために、事業部門ユーザーのトレーニングに注力する

従来のセマンティクス・レイヤに基づくBIモデルの場合、事業部門ユーザーは通常、中央のIT部門のデリバリ・チームが用意したコンテンツを利用するため、基本的なツールのトレーニング以外の正式な教育は最小限しか受けていないことが多い。BIプログラムにおいて事業部門ユーザーのトレーニングが見落とされることもよくある。なぜなら、こうしたモデルにおけるセルフサービス対応のレベル は限定的で、セマンティクス・レイヤを通じたドラッグ・アンド・ドロップ方式のアドホック・レポーティングや、IT部門が作成するパラメータ付きレポートやダッシュボードでの双方向作業に限られるからである。データ・ディスカバリ機能が企業に導入されることで、供給者(IT部門)/消費者(事業部門)型のモデルから、事業部門ユーザーがコンテンツの主たる作成者になるモデルへ、力学が変化 する。したがって、成功のためには、事業部門コミュニティ内に堅牢なナレッジ・ベースを作成することにあらためて注力する必要がある。BIコンテンツの作成におけるこうした変化に伴う明白なメリットとは、事業部門ユーザーが、ビジネスの変化の速度に応じた俊敏性をもって自らソリューションの設計と構築を行うための自律性を獲得すると、通常はBIツールを進んで受け入れ、採用するよう になることである。一方で、こうした有意なメリットは、相応のトレーニングを受けていない事業部門ユーザーがデータ・ディスカバリ・プラットフォームの強力な機能を活用しようとすることでもたらされるリスクによって、潜在的に弱められている。データ・ディスカバリと利用可能なすべてのセルフサービス機能によって完全なメリットを得るためには、ユーザーは、誤った使用による影響を徹 底的に理解し、事業部門によって共同で所有されているBIコンテンツに対し、責任を負う必要がある。

成功のための基盤として、責任を持ってセルフサービスの力を生かせる事業部門ユーザーのコミュニティを形成するために、まずトレーニング・プログラムを作成する(「Use Incentives to Bolster BI Adoption and Advance Program Maturity」参照)。一定のレベルに達していると認定する制度をトレーニング・プログラム内に組み込むことで、事業部門ユーザーの集団を区分けし、各ユーザー層に役割と責任を割り振る必要がある。所定の作業でユーザーを支援するために、事業部門における特定の高度なスキル(例:データ統合やモデリング)の有無に応じて、IT部門や中核的なBICCから、一部の事業部門へ、一時的にリソースを投入する必要があると考えられる。理想としては、トレーニング・プログラムによって最終的に、高度なスキルに関して自己解決できる事業部門ユーザーを養成し、ひいてはITリソースへの依存を軽減する。できれば各事業領域にBI実務者レベルの認定取得者を配置し、その領域特有の高度なニーズに対処し、さらに中核的なBICC組織や、他の領域に配置されたBI実務者に対する一元的な窓口の役割を担わせる。認定レベル、およびそれらに対応する権利と権限の例を図1に概説する。



図1. 認定レベルに基づくユーザー区分け表の例


出典:ガートナー (2013年12月)
* 表をクリックすると拡大表示します。



このレベル別認定システムは、データ・ディスカバリ・ツール・ユーザーのトレーニングやスキルセットを分類するためのものであり、アナリティクスやレポーティングのコンテンツ自体を保証するために推奨される階層システムと混同してはならない。ユーザー認定は、本リサーチノートのプロセスの項で概説するコンテンツ・ライフサイクル管理手順と併せて使用すべきであり、コンテンツ・ライフサイクル管理手順は、分析のコンテンツを試作段階、限定的実稼働段階、完全実稼働段階の3つに階層化したコンテンツ認証システムの拡張版である(この考え方は「How to Deliver Self-Service Business Intelligence」で初めて紹介したものである)。この階層別コンテンツ認証システムの目的とは、関係者に対し、閲覧した情報についてどの程度の合意や質的な保証が存在するかを分かるようにすることである。以下に、例を挙げる。

  • データ・ディスカバリ・ツールによって作成された、試作段階に属する保存画面にアクセスするユーザーは、この情報がまだ合意や妥当性確認に至っていないことを理解すべきである。
  • 限定的実稼働段階に属する情報にアクセスした場合、その情報は合意に至っており、ワークグループや部門内においてビジネス利用の妥当性が確認されていると見なすことができる。言うなれば、あるスプレッドシートがあるビジネス部門においてミッション・クリティカルなアプリケーションであると位置付けられる仕組みと似ている。
  • 最上層の完全実稼働段階から引き出した情報は、いずれも全社内および社外での利用を完全に認められていると見なすことができる。

各ユーザー認定レベルに付属する権限委譲レベルを割り当てる際に使用される基準は、IT部門と事業部門が協業的な作業を通じて定めることが重要である。トレーニング・プログラムの詳細や認定レベルの数は、企業によってさまざまであり、企業の規模、複雑さ、成熟度などの要素に左右される。しかし、どの企業も、データ・ディスカバリに基づくデリバリ・モデルの基盤となる、精鋭のBIユー ザー・コミュニティを形成しようとする目標は同じである。


プロセス:BIコンテンツのライフサイクルを管理するプロセスを確立する

ほとんどのBICCはエンドユーザーのレポート要求を管理するプロセスを備えているが、事業部門ユーザー発信型のBIコンテンツの作成/妥当性確認/昇格/管理を進めるために活用できるプロセス・フロー手順を確立しているBICCは少ない。これは大半のBIプログラムにおける重大な欠陥であり、この欠陥には、BICCにおいて、データ・ディスカバリの全側面について役割と責任の概要を明示するフ レームワークを、協業を通じて作成することで対処可能である。このフレームワーク作成のための重要な前提条件は、ユーザー・コミュニティを、適性と全体的なBIコンピテンシに基づいて区分けできることであり、そうした区分けはBIトレーニング・プログラムの下で認定レベルによって確定される。図2に示すように、こうしたことは、BIコンテンツの作成と管理に携わる各局面のプロセスに役割と責任を割り振る上で、必要不可欠な基本概念である。



図2. データ・ディスカバリ・コンテンツ作成プロセス・ライフサイクル


出典:ガートナー (2013年12月)
* 表をクリックすると拡大表示します。



作成

データ・ディスカバリを通じてセルフサービス機能を導入する際に、多くの企業が犯す一般的な誤りとは、データの統合や分析に必要な適性がすべてのユーザーに本質的に備わっていると見なすことである。データ・ディスカバリ・ツールはしばしば、時期尚早に幅広い事業部門ユーザーに提供されており、データ品質やシステムへの影響にかかわる潜在的なリスクを知らない初心者によって、実稼働 環境内で直接使用されている。こうした状況に対する安全策として、BICCは、所定の基本的なトレーニングの履修や認定レベルの取得を通じて、ユーザーにBI公認データ・ディスカバリ・ツールの支給を許可するプロセスを設ける必要がある。ただし、どのデータ・ディスカバリ・ツールも同じというわけではなく、必要とされるユーザーの素養もさまざまであることに留意する必要がある。データ統合プロセスが「チャート・ウィザード」タイプの操作に簡易化されているものもあり、そうした場合、ユーザーは、ウィザード主導GUIの所定の手順に沿って作業を進められる。一方で、SQLステートメントの記述にかかわる素養レベルや、個々のデータセットの結合方法に関する深い理解が求められるものもある。認定されたばかりのユーザー向けに基本的なツールを導入する際は、選択したツールの複雑さに応じて、個人向けの機能限定版を支給する、またはアクセスをテスト環境や「サンドボックス」環境に制限するなどのオプションを検討すべきである。企業によっては、全面的なアクセスやオーサリング機能の許可に先立ち、新規ユーザーに対し、一定期間、あるいは他の条件が満たされる(例えば、上位の認定レベルの取得)までの期間、試用期間を課すことを決めている。使用する環境やユーザーの認定レベルにかかわりなく、事業部門ユーザーが作成するすべてのBIコンテンツは「個人用」と見なし、妥当性確認プロセスに示される基準を満たすまでは、全面的に信頼すべきではない。

BICCはツールやデータ・ガバナンスの領域における視野を拡大する必要があるが、おおかたの場合、事業部門の自己管理をかなり当てにしなければならない。自己管理と事業部門の説明責任という考え方は成功に不可欠であり、事業部門コミュニティ内に高度なBI適性と意識を育てる重要性が増し、各事業分野におけるBI実務職の育成が強化される。事業部門リーダーは、このモデルに沿わずに作成さ れたコンテンツはいずれも認められず使用されないという期待値を設定することで、データ・ディスカバリの成功において主要な役割を果たす。これにより、未許可のユーザーはデータ・ディスカバリ・ツールのパーソナル版を自力でダウンロードすることを思いとどまる。なぜなら、自分が作成するどのコンテンツも「信頼性なし」と扱われ、正規コンテンツ認証プロセスの妥当性確認基準を満たすことはないからである。各意思決定者が、与えられたコンテンツについて検証前に「BIとしての信頼性があるか」を問う文化が持続すれば、未許可のコンテンツが作成されるリスクは、排除されないとしても、最小限にはなる。BICCが事業部門リーダーと協力し、こうした文化の変化に影響を及ぼすことができれば、ソース・データへの権利の撤回などの管理処分を用いた強制という選択肢を回避できる。

妥当性確認

妥当性確認プロセスの焦点は、認定ユーザーが許可されたデータ・ディスカバリ・ツールを活用してコンテンツを作成しているか、そして記録システム(例:EDW)から取得した主要指標が、事業部門ユーザーによる操作を経た後、基準となる指標と照合できるかを確認することである。例えば、ユーザーがEDWのデータを、スプレッドシートに保存した個人的なデータに統合しようとして、誤って間 違った列と結合してしまうことがある。あるいは個人的なデータ・ソースの行が欠けている、または重複しているために、結果を過小/過大評価していることもある。妥当性確認プロセスは、面倒なプロセスである必要はないが、妥当性を適切に確認したと結論付ける「信頼性あり」のラベルに意味があるように、一定の厳格さを伴う必要がある。比較的単純なコンテンツに関しては、記録システムを ソースとする一連のパラメータ付きレポートをBICCにおいて発行し、維持するとともに、認定ユーザーが結果について自ら妥当性確認を行う際にこれらを活用できるようにしてもよい。妥当性確認を自身で行うオプションを利用できる認定レベルに到達していないユーザーは、権限のあるユーザーに働きかけ、妥当性確認プロセスに協力してもらう必要がある。比較的複雑なコンテンツの場合、IT担 当者または上位の認定レベルに達している事業部門ユーザーが、他のユーザーが作成したコンテンツの妥当性を確認し、認証するように、権限委譲が行われている必要がある。ソリューションの複雑さのレベル(例えば、連結の数や統合されるソースの種類)を判定する基準は、BICCが決定すべきであり、これらの基準を使用して、個々の事例がどのプロセス・フローに従うべきかを統制する必要がある。コミュニティ方式によるコンテンツの妥当性確認と認証は、事業部門ユーザー・コミュニティに、環境内の全体的なBI品質を維持するための説明責任を割り当てる効果的な方法である。妥当性確認プロセスの終了時、各ソリューションがまだ個人用と見なされていても、そこから抽出される情報やインサイトは信頼できると考えられ、適宜伝達される場合がある。ワークグループや全社向けの配信へと昇格するBIコンテンツについては、昇格プロセスにおいて追加の妥当性確認手順が必要であり、ソリューションの、データ整合性以外の追加的な側面について確認を行う。

昇格

事業部門ユーザーが作成するたいていのBIコンテンツは、一時的な効力で特定のビジネス問題の解決に利用されるが、中にはワークグループまたは全社レベルの価値を有するソリューションもあるため、より広範囲の配布向けに昇格させるプロセスを設ける必要がある。例えば、事業部門ユーザーが、強化されたデータセットやアナリティクス・ビューを生成するために、新しい外部データ・ソースを導入して社内のデータと統合しようとする場合である。昇格プロセスは、前述のデータ中心的な妥当性確認手順を拡張しようとするものであり、本来の背景を超え、幅広いユーザー基盤で利用されることについて全般的な有効性を判定するために、ソリューション設計全体を評価する必要がある。昇格プロセスの結果、ビジネス・プロセスを統合しようとする、あるいは精度、可用性、安定性の確かさが求められる詳細な分析に当該ソリューションを使用しようとする他のエンドユーザー向けに、実用レベルのソリューションが利用可能になる。全般的なソリューションの検証に加え、昇格プロセスの一環として、セキュリティを考慮し、実装する必要がある。なぜなら、部門単位と全社的なソリューションのカテゴリを区別する主要な制御になるからである。個人用から共用へと昇格が検討される各 ソリューションに対する妥当性確認プロセスの厳しさは、意図する配布範囲によって左右され得る。例えば、部門単位の利用のみを意図するソリューションは、全社的利用を意図するソリューションに比べるとやや厳格さに劣る検証規約に従う。社外利用者に向けて展開されるソリューションについては、サービス・レベル合意(SLA)と可用性の観点において、社内利用向けに構築されたソリューショ ンとは要件が異なる場合があるため、特に注意を払い、厳格になる必要がある。共有BIコンテンツのエコシステムを管理する正式な権限を持つBICC内の専任チームが、昇格プロセスと必要な妥当性確認を全面的に運営すべきである。このチームは、IT部門のテクニカル・エキスパートと、最高レベルのユーザー認定を取得した事業部門ユーザー・コミュニティのメンバーで構成する必要がある。

管理

ユーザーが作成したソリューションが、一般利用向けに提供可能な地位へと昇格する状況においては、該当する役割や義務を伴うコンテンツに対する責任について考慮しなければならない。一般公開するソリューションの実稼働管理について概説したガイドラインを、BICCにおいて策定する必要がある。場合によっては、企業において、昇格プロセスの一環として、責任を事業部門ユーザーからIT部門へ移行することが必要になる場合がある。また、継続的な保守や実稼働環境での責任を、事業部門の責任者に委ねたい場合もある。いずれにしても、BICCは依然として、BIコンテンツ全域と作成ライフサイクルにかかわるすべての関連プロセスについて、監視と制御を保持する必要がある。これはソリューション全域で一貫性を確保し、また重複する複数のソリューションが作成されることでデータが不必要に複製され、既存のコンテンツがあまり再利用されないという事態を回避する上で重要である。データ・ディスカバリの実装において、BICCにはBIコンテンツの多様な環境を管理する責任があり、航空管制官に似た役割を担う必要があることは明らかである。


テクノロジ:テクノロジを活用し、ユーザーによって維持されるBIコンテンツ・ネットワークを形成する

一元的に管理されたセマンティクス・レイヤ(エンドユーザーにとっての単一の入り口)とは対照的に、データ・ディスカバリ・モデルにおいては、個々のユーザーが作成したソリューションのネットワークが形成され、一元的に定められた入り口はなく、ユーザーにとって利用可能な多くのソリューション候補がある。BICCとITサポート分野が注力すべき最も基本的なことは、コンテンツ管理や一般的な協業に関して、新たな戦略とフレームワークを協力して構築することある。データ・ディスカバリが効率的かつ効果的であるために、人とプロセスの変革は、こうした環境の管理に役立つ新たな技術やツールへの投資によって全面的に実現される必要がある。事業部門ユーザーは、どの公開コンテンツが既に存在し、利用可能であるかを知っていれば、単に既存のソリューションを活用すればよいため、既に作成されているものを再作成しなくてよい。ユーザーによって維持されるBIコンテンツ・ネットワークのサポートに必要な中核的な機能の1つは、他のユーザーによって既に公開されている既存のソリューションを、ユーザーが閲覧し、検索できるようにすることである。事業部門ユーザー・コミュニティの威力や、データ・ディスカバリで実現される集合的なインサイトを徹底的に活用する上で、基本的な検索のみでは不十分である。プラットフォーム上において、事業部門ユーザーが個人的な情報(例:インサイト、コメント、メタデータ、コンテンツの格付け)を投稿でき、それらが検索結果の生成時に活用されるようにする必要がある。例えば、ユーザーが供給するメタデータやインサイトを使用して、利用可能なコンテンツの関連度を評価したり、当該ユーザーにとって関心があるとみられる関連する検索結果を提供したりできる。さらに、検索結果にエンドユーザーによるコンテンツ評価を1〜5の星印で表示することで、ユーザーが、一般公開されているBIコンテンツを自身のユースケースに使用すべきかどうかを判断する際に考慮すべき追加的な変数を提供することもできる。個人用と一般用のコンテンツが共存する環境(例えば、すべてのコンテンツ作成に対し共有の一元的サーバが使用されている環境)の場合、プラットフォームにおいて、コンテンツ・タイプを分類し、コンテンツの信頼性の有無を「透かし」機能を利用して警告できる必要がある。

データ・ディスカバリ・ツールには、コンテンツ作成や協業機能において幅広い選択肢がある点に留意されたい。中には比較的容易に使用できるものもある。場合によっては、比較的複雑なツールの方が使いやすいツールよりも革新的な威力をもたらすため、評価と選定において、評価対象の機能を、BIプログラムの目標や期待に照らして、包括的に検証する必要がある。データ・ディスカバリ・ツー ルの評価と選定のプロセスにおいて、IT部門の要件は満たすものの、事業部門コミュニティの需要や能力に合わないツールが選択されないよう、事業部門ユーザーを大いに関与させるべきである。BICCの役割とは、データ・ディスカバリに必要な人とプロセスの変革に合致する技術的なフレームワークについて戦略を策定することであり、それは企業によってさまざまである。例えば、コンテンツ管理 機能がデータ・ディスカバリ・ツールを決定する上で主要な要素であり、必須機能として評価される場合がある。一方で、事業部門の機能要件に最も合致するデータ・ディスカバリ・ツールを中心に、対応する環境を構築しようと決断する企業もある。どちらのシナリオにおいても、エンドユーザー・ツールの選定にとどまらず、集合的なBIコンテンツ・ネットワークの管理に必要なすべての種類の機 能にわたる、包括的な技術戦略を策定すべきである。



推奨リサーチ

  • 「Use the Engagement Initiative to Respond to Critical Changes in the Workplace」
  • 「Use Incentives to Bolster BI Adoption and Advance Program Maturity」
  • 「Create a Business Intelligence Competency Center Built for Self-Service」
  • 「How to Deliver Self-Service Business Intelligence」
  • 「アナリティクス機能のポートフォリオを拡充せよ」(APP-14-33、2014年4月4日付)


(監訳:堀内 秀明)


APP: APP-14-65 (G00258598)
※本レポートの無断転載を禁じます。


←INDEXに戻る

 

gartner.com
TOP OF PAGE
Copyright