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SAMPLE RESEARCH

サンプル・リサーチ

現在のサーバ・ベンダーは10年後、生き残っているか

インフラストラクチャ (INF)/INF-14-94
Research Note
G. Weiss
掲載日:2015年3月17日/発行日:2014年7月18日

本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2015年5月26(火)〜28日(木)に開催する 「ガートナー ITインフラストラクチャ & データセンター サミット 2015」 のページを是非ご覧ください。(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます)


今後5年間に、現在利用中のサーバ・ベンダーのうち少なくとも1社は実質上市場競争から脱 落し、今日予想し得ない新しいベンダー関係が自社のインフラストラクチャに生じる可能性は相当に高い。本リサーチノートでは、I&Oリーダーがそのようなリスクを最小限に抑える 方法について論じる。


要約

主要な所見

  • 2011年には上位4〜5社の従来型サーバ・ベンダーが出荷数全体の75%を占めたが、現在、その割合は63%に低下している。
  • 現在、ベンダーが提供しているハードウェアはマージン低下の圧力にさらされている。そのため、ベンダーはマージンを維持しようと実装コストの掛かるコンバージド・インフラストラクチャやファブリック・インフラストラクチャを通じて、ソフトウェア管理の付加価値を高めざるを得なくなっている。
  • 相手先ブランド設計製造業者(ODM)とホワイトボックス・ベンダーが、超大規模データセンターとWebスケールのワークロードに進出し始めている。これらは、グローバル・ビジネスを手掛ける大企業での適用が主であるが、データセンター予算の制約を緩和するといった観点でも、低コストかつコモディティ化のレベルを上げることがあらゆる場所で求められている。
  • 2013年にガートナーが行ったデータセンター・コンファレンスでのサンプル調査によると、「2017年までに従来のOEM企業はローエンド・コモディティである1〜2ソケットのx86サーバ事業から撤退する」と考える企業は25%近くに達していた。


推奨事項

  • 「防衛型」(P: Protector)、「進化的破壊型」(E: Evolutionary Disrupter)、「革新的破壊型」(R: Revolutionary Disrupter) 別に、現行の自社とベンダー関係のリストを作成する。2017年までに従 来型サーバのOEM企業のうち、少なくとも1社はサーバ・ハードウェア事業の一部から撤退すると想定して、複数ベンダーからの調達戦略を計画する。
  • タイプA企業 (早期採用者)またはタイプB企業(主流の採用者)のIT部門は(つまり、高度な技術によって競争力を得るためにリスクを冒す意志がある場合は)、さまざまな技術(コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、付随するソフトウェア管理)について、少なくとも1社の破壊型に分類されるベンダーから、6〜9カ月ごとにデモの提示を受けて定期的な情報収集を行う。
  • 防衛型に対しては、破壊的なロードマップがあればそれを明らかにするよう要求する。ユーザー企業のCIOなどのリーダーは、独自の知的所有権または買収や提携によってベンダーの安住の地さえも破壊するようなビジョンの有無について、ベンダーと議論できる機会を定期的につくる。
  • ガートナーのハイプ・サイクルとマーケット・クロックを、本リサーチノートで説明したPERフレームワークと組み合わせて、自社システムのROIと俊敏性の改善に一層取り組む。


戦略的プランニングの仮説事項

2017年までに、標準的なボリューム・ゾーンであるx86サーバの5台に1台はセルフビルド/相手先ブランド設計製造業者(ODM)/ホワイトボックス・ベンダー製になる。インターネット企業の超大規模データセンターやサービス・プロバイダー、タイプAのグローバル企業が、この種のベンダー需要の90%を占めるようになる。



分析

破壊の定義

技術進化のペースは変化し、IT部門に対するビジネス部門の要求は利用可能なIT帯域幅とリソースを圧倒するような巨大な力の渦を生み出している。ビジネス・ユーザーは、モバイル機器に対応したサービスを期待している。一方で、IT部門は、新たなサービス・プロバイダー主導型のクラウド・インフラストラクチャがもたらすITデータセンターの圧力に直面している。

ガートナーは、仮想化によるインフラストラクチャの融合レベルの向上や、高度な自動化とオーケストレーションへの継続的進化の推進要因とギャップについて、リサーチノート「コンバージド・インフラストラクチャ:理想か近視眼的か」INF-14-87、2014年6月30日付の中で説明している。本リサーチノートでは、サーバの観点から、この技術サプライヤーの発展の影響について取り上げる。ガートナーは、テクノロジ・サプライヤーを、防衛型 (P)、進化的破壊型 (E)、革新的破壊型 (R) という3種に分類している (備考1参照)。

防衛型

防衛型、すなわち従来のサーバ市場における主たるサプライヤーは、一般に、IT支出の最大シェアを占める定評あるサーバ・ベンダーである。そのサポートとサービス、信頼性、対応している地域、長期的に顧客との関係性を結ぶ能力がある。これらすべてが、財務的/技術的安定性を重視するビジネスモデルに貢献している。防衛型は現行のサプライヤーでもあるため、その他のプレーヤーにとっては現在の市場における攻撃の的であり、さらなる市場機会を奪取する対象として、最も分かりやすい標的となっている。

進化的破壊型

この種のサプライヤーは、シェアを狙って既に部分的に市場参入しているか、またはこれまでは分野外であったはずの新興ベンダーである。市場参入の目的は、技術革新の導入やコスト削減などの破壊的な影響によって既存市場の力の均衡を崩すことである。そのために陳腐化を加速したり、パフォーマンス、コスト、信頼性のメリットを検証しようというIT部門の意欲を高めるような方法を採用したりする。進化的破壊型は必ずしもレガシー全体を投げ捨てようとはせず、むしろ、俊敏性によってさらなるブランド力、信頼性、サービスを確立しようとしている。しかし、これは限定的で、対象となるユーザーを絞り込んだ販売およびマーケティングによらずにはその経済活動を維持できない。このような新規参入組の一部はブランドを確立しているものの、限られた地域以外ではほとんど知られていないか、または特定分野に限られている。

革新的破壊型

この種のサプライヤーは、従来型サーバ・ベンダーのビジネスモデルを覆そうとする傾向がある。また、ブランドの認知度と評判を高めながら製品を販売し、運用コストを抑えることで製品の価格を引き下げるが、ユーザー企業には専門知識が必要とされ、購買者との関係性を最小限に抑える可能性がある。企業存続性といった面でのリスク以外には、文字どおり失うものは何もなく、もくろみが的中すればすべてを手に入れることができる。オープンソースのような既存のコミュニティ・プロジェクトを活用することもある (図1参照)。




図1  破壊型モデル:市場競争上の防衛と破壊のダイナミクス



出典:ガートナー (2014年2月)

*図をクリックすると拡大表示します。




図1で示されるように、主たる競争勢力は右から左へと波及する。ただし、長期的なビジネスの持続可能性を確立している従来型サーバ・ベンダーは、こうした競争によって自らの存在が脅かされる事態を察知すると、競合他社の技術と戦術を買収するか、または取り込むことが多い。したがって、防衛型と進化的破壊型の間の矢印は双方向になる。従来型サーバ・ベンダーは、自社改革を断行して選択した市場セグメントで進化的破壊型になる場合もある(ただし、いわば家宝のような現在の市場機会を捨てることはめったにない)。また、当初は進化的破壊型であったベンダーが、時が経つにつれて本市場に安住し、従来型のサプライヤーとなって防衛型の地位を獲得する場合もある(例えば、ブレード・サーバ市場でのCiscoがこれに当てはまる)。タイプBおよびCの企業は、投資リスクを最小限に抑えた安全運用を好むため、防衛型に魅力を感じ、こうしたベンダーと関係構築する可能性が高い。一方、タイプA企業および一部のタイプB企業は、低コスト、新たな技術とサービス提供の利点、市場での競争優位性を高めつつある破壊型に魅力を感じる場合が多い(備考2参照)。2013年にガートナーが行ったデータセンター・コンファレンスでのサンプル調査によると、「2017年までに、従来のOEM企業はローエンド・コモディティである1〜2ソケットのx86サーバ事業から撤退する」と考える企業が25%近くに達していた (根拠1参照)。



サプライヤーの破壊的傾向を把握するためのPERフレームワークの活用

IT調達に携わるビジネス部門と技術部門の戦略担当者は、市場の変化に直面したサプライヤーが絶えず自社改革を行う俊敏性と意欲を備えているかを注視しておく必要がある。機敏で適応力のあるサプライヤーとの共同作業を通して長期的な関係性と最新の技術提供が保証され、クラウド・コンピューティングのようなIT業界の進歩に絶えず歩調を合わせることができるのは、IT部門にとってむしろ良いことである。さらに、多くのOEMハードウェア・サプライヤーは、下請けのエコシステムを作り出すことによって、エンド・ツー・エンドのサービスを単独で提供する場合よりも強固な関係性を実現している。

サプライヤーが自社ビジネスモデルを破壊する傾向を測定する際は、表1に示したようにブレード、マルチノード、コンバージド・インフラストラクチャ、仮想化、ソフトウェア・デファインド・ネットワーク(SDN)、ストレージなどのサブカテゴリ別に、各サプライヤーのPERの傾向を捉え、一覧表を作成することが望ましい。




表1  PERベンダー・フレームワーク



出典:ガートナー (2014年2月)

*図をクリックすると拡大表示します。




結論

システムの投資判断を行うITリーダーは、それぞれの調達部門が維持している従来型サーバ・ベンダーとのパートナー関係に影響を及ぼす市場の破壊的な動きをより深く認識する必要がある。多くのITリーダーは、このような影響をつぶさに追跡していない(根拠2参照)。意思決定者においては、以下を注視することを推奨する。

  1. 従来型サプライヤーが破壊的影響および市場破壊を体現するベンダーにどのように反応するか
  2. これらのベンダーのマージンにどのような影響をもたらすか
  3. ベンダーのマージンにどのようなマイナスの影響があるか
  4. ベンダーはどのように付加価値を高め、低下するマージンを下支えするか
  5. どのタイプの破壊型サプライヤーがどの時期にIT部門にとって最も重要になるか

上記5つのアジェンダは、ガートナーの「注目ベンダー」「マジック・クアドラント」「SWOT」「ハイプ・サイクル」「ベンダー評価」などのリサーチでも継続的に取り上げる予定である。



推奨リサーチ

  • 「サーバ・テクノロジのハイプ・サイクル:2013年」(INF-14-06、2014年1月31日付)
  • 「サーバ・テクノロジのITマーケット・クロック:2013年」(INF-14-07、2014年1月31日付)
  • 「ガートナーのハイプ・サイクルとは:2012年版」(ITM-13-15、2013年4月5日付)
  • 「Cool Vendors in the Server Market, 2013」
  • 「Agenda Overview for Data Center Dynamics, 2014」


根拠

  1. ガートナーは2013年12月に開催したデータセンター・コンファレンスにおいて投票形式の調査を行い、データセンターの近代化に関するセッションの参加者に対して、「2017年に、従来型OEMがローエンド・コモディティであるx86サーバ事業 (1〜2ソケット・サーバ)を継続していると思うか」 と質問した。回答者の71%は「そう思う」、24%は「そうは思わない」、5%は「わからない」と答えた。
  2. 2013年12月に開催したデータセンター・コンファレンスにおける別の調査で、データセンターの近代化に関するセッションの参加者に対して、「今後3年以内に、自社のサーバ・ビジネスがどの程度非従来型サーバ・ベンダーに移行するか」と質問した。その結果を表2に示す。



表2  サーバ調達の移行



出典:ガートナー (2014年2月)



備考1
防衛型、進化的破壊型、革命的破壊型

防衛型は、ユーザーのサーバ移行期間中に市場シェア、収益、マージン、大規模インストール・ベースを積極的に守ることに注力する。

進化的破壊型は、市場を破壊することでシェアを得たいと考えているが、場合によっては既得権益を得ている現在の市場を守る必要もある。

革命的破壊型は、斬新で新しいビジネスモデルを採用して市場に浸透し、現状を破壊したいと考えている。



備考2
タイプA、B、Cの企業

ガートナーではタイプA、B、Cの企業を次のように定義している。

  • タイプA:早期採用によって得られるメリットと引き換えに早期採用に付随するリスクを受け入れる備えができている企業。一般に、他の企業タイプよりも技術的に洗練されていることが多い。
  • タイプB:新規テクノロジ採用に伴うリスクが小さくなり、新規テクノロジ導入実績が確立されれば素早くタイプA企業に追随する傾向のある企業。
  • タイプC:新規テクノロジ採用のリスクを嫌い、成果達成指向が比較的弱く、熟慮に基づいてリスクを最小化しようとするため、そのテクノロジが主流の採用に至るまで待つ傾向のある企業。


(監訳:青山 浩子、亦賀 忠明)



INF: INF-14-94 (G00259789)
※本レポートの無断転載を禁じます。

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