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SAMPLE RESEARCH

サンプル・リサーチ

CRMの8つの構成要素:概要

アプリケーション (APP) /APP-13-80
Research Note
E. Thompson
掲載日:2014年12月9日/発行日:2013年6月10日

本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2015年2月17日(火)に開催する 「カスタマー 360 サミット 2015」 のページを是非ご覧ください。(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます)


CRMイニシアティブでは、バランスの取れた戦略的な統合基盤に立ってプロジェクトに臨むことができる、実証済みのフレームワークが求められる。このようなフレームワークの適用により、CRMプロジェクトやCRMプログラムのリーダーは、全社的なCRMイニシアティブのメリットを最大化できるようになる。


要約


主要な課題

  • 多くの企業は、いまだにCRMを、テクノロジを配備するためのプロジェクトと見なしている。CRMプログラム/プロジェクト・リーダーは、CRMをテクノロジ戦略としてではなく、ビジネス戦略と見なす重要性について理解する必要がある。
  • CRMの要素を1つ以上見過ごしているCRMプロジェクト/プログラム・リーダーが非常に多い。200社以上の企業に聞き取り調査を実施したところ、8つの構成要素 (ビジョン、戦略、カスタマー・エクスペリエンス、組織的なコラボレーション、プロセス、情報/インサイト、テクノロジ、評価指標) のすべてに対処できているCRMリーダーは、一定の部分的な要素を重視しすぎるか、あるいはいくつかの要素をまったく見過ごしてしまっているリーダーに比べて、成功していることが分かった。
  • これらの構成要素の中で最大の課題となるのは、業務上の行動、成功のための評価指標、主要プロセスの定義を変革するために、社員の説得が必要となる対処を伴うものである。

推奨事項

  • ガートナーが示すCRMの8つの構成要素を活用し、このモデルを全面的に採用するか、自社に合わせて改良することで、全社的なCRMプログラムの有効性を高め、長期的な成功を拡大する。
  • 断片的なCRMアプローチは手早く効果が得られ、さまざまな事業部門に協力を求める政治的な難しさを回避できるため、相変わらず人気があるが、こうしたアプローチの先を見据えておく。
  • 8つの構成要素を、全社的なプロジェクトはもちろん、部門別/地域別のプロジェクトにも適用する。


戦略的プランニングの仮説事項

 2017年までに、全社的な規模で実施されるCRMイニシアティブはわずか25%である。

はじめに

 ガートナーでは、CRMを「顧客セグメントを中心に顧客満足度が向上する行動を推進し、顧客中心型のプロセスを実装することで形成される収益性、売り上げ、顧客満足度を最適化する成果をもたらすビジネス戦略」と定義している。

 CRMは本来、学術的な用語である。最初の研究は、1982年にテキサスA&M大学のLeonard Berry教授とエモリー大学のJagdish Sheth教授によって行われ、どちらでも「リレーションシップ・マーケティング」という名称が使用されていた。1983年、ハーバード・ビジネス・スクールのマーケティング理論の研究者であるTheodore Levitt氏が、マーケティングの範囲を個人的な取引から「消費者と生産者との関係のパーソナライゼーション」へと拡大させた。それによって、マーケティング、営業、顧客サービスにおけるインタラクションまでもが含まれるようになったため、その意味がさらに広くなった。学界では当初より、CRMから長期的な価値を最大限引き出すためには、企業が総力を結集し、全社規模でCRMに取り組む必要があると認識していた。

 しかし、1990年代の初期以降、実際のところCRMでは、営業、マーケティング、顧客サービスの各部門に特化したテクノロジを実装するプロジェクトとの関連が深まっていった。このような投資が行われるようになって20年以上が経過した今でも、全社でCRMに取り組むという課題に挑もうとする企業は20%未満である。CRMとは、企業が顧客の価値とロイヤリティをどのように管理したいかが分かる全社規模のイニシアティブである。その目標を達成するために、必要なすべての能力をそろえる術は、依然として希少である。確固たるビジョンと戦略に加え、組織的なコラボレーション、カスタマー・エクスペリエンス、プロセス、情報、テクノロジ、評価指標の領域における一連の補完的な作業が必要である。

 全社的なCRMは容易に実施できるものではない。顧客への絶え間ない取り組みを推進する経営視点のビジョンとリーダーシップが必要であり、そうでなければCRMは断片的なままとなる。CRMは、実行が困難であろうプロセス、文化、組織の変革を伴うため、テクノロジのサポートに関しては容易に見えるかもしれないが、実際はそうではない。テクノロジの担当者は、複数のチャネルを調整し、組織全域で単一の顧客ビューを構築するという大きな課題に対峙しなければならない。経営陣が全社的なCRMの必要性を認めたとしても、四半期ごとの売上目標と利益目標達成の要求によって、経済状況が厳しい場合は特に、CRMは、企業が直面する「最重要ではあるが、必ずしも喫緊ではない課題」になってしまう。そのため一般的には、状況が好転するまでの戦術的で手早い成果へと近視眼的に着目することになる。企業が全社的なCRMを実装しようとしない主な理由は、協力を得る際に発生する組織的な政治課題を克服できないといったものである。

 CRMを最近になって導入する企業から、投資は保証されるかと質問されることがしばしばある。企業はメリットの測定に苦戦している。その理由は、例えば営業支援と売上増の相関性を証明することが難しいからである。ほとんどの企業は概してメリットが蓄積するにつれて、それらを過小評価する。それでもごく一部の企業では、評価を適切に行い、どの程度自社がメリットを得て、カスタマー・エクスペリエンスがCRMからどの程度充実できるかを明確に示している。


分析

CRMの8つの構成要素を全面的に採用するか、自社向けに改良することで、CRMプログラムの有効性を高め、長期的な成功を拡大する

 ガートナーは2002年に、CRMイニシアティブに成功した数百社の企業を分析し、続いて「CRMの8つの構成要素」と呼ぶCRMフレームワーク、つまり図1のマップを作成した。8つの構成要素は、ガートナーの顧客から質問があった主な項目の分類に由来する。ガートナーのアナリストが気付いた点として、最も成功している企業は8つの各領域について自社が何を行っているかを明確に把握しているが、あまり成功していない企業は、自社が何を行っているかについて部分的な概要しか理解していないという状況がある。




図1  8つのCRM構成要素



出典:ガートナー (2013年2月)



 このフレームワークは、企業が全体像を描き、ビジネスケースを作成し、実装を計画する上で役立つように設計された。また、全社規模のCRMイニシアティブの改善に役立つように設計されたものではあるが、部門単位のCRMプロジェクト向けのチェックリストとしても利用可能である。

 このフレームワークを社内教育に使用し、CRMのビジョンと戦略の策定について議論を促すことができる。続いて、自社の現在のCRMに関する能力や必要な能力を評価するための基盤として使用し、現状や将来的な戦略の分析に役立てられる。本フレームワークを適用して、ガートナーは数々のケーススタディを発行しており、その中には、CRMをどのように行うべきかの実例として、ガートナーのCRM Excellence Awardの最終候補企業や受賞企業について書かれたものがいくつかある (「Gartner's Top 74 CRM Case Studies, Sorted by Industry, for 2011」参照)。

 8つの構成要素は、効果的なCRMイニシアティブの基本的な要素である。各要素の下には、相互に結び付く各種の機能がある。このフレームワークの主たる特徴は、企業側の要件と顧客側の要件の間でバランスを取り、それを維持する必要性を重視していることである。極めて多くのCRMイニシアティブが内向きの状況に陥っている。CRMの要点は、株主や利害関係者と顧客との互恵的な関係のために、両者にとっての価値のバランスを取ることである。

断片的CRMアプローチは手早く成果が得られ、事業部門に協力を求める難しさを回避できるため人気があるが、こうしたアプローチの先を見据えておく

ビジョン

 CRMのビジョンとは、顧客中心型のビジネスを目指す企業のあるべき姿である。CRMのビジョンを通じて、従業員、顧客、その他の利害関係者は、以下の点について合意する。

  • 当該企業にとってのCRMの定義と範囲
  • 関係を維持したい対象顧客
  • 当該企業からの価値提案
  • 当該企業がCRMに投資せざるを得ない理由
  • 全体的な企業戦略に対するCRMの重要性とメリット
  • 提供しようとするカスタマー・エクスペリエンスの性質

 ビジョンはまず、CRMとは何を意味するかについて合意することから始まる。つまりCRMの定義、範囲、企業にとっての価値、顧客とは何かである。上級管理職は、CRMとは何か、なぜ重要であるかを全従業員が理解できるように、こうした概要を2分以内で説明できる必要がある。このビジョンの中核として、全体的な顧客価値提案がある。顧客価値提案とは、顧客を引き付ける、さまざまな供給側の能力を独自に組み合わたものである。こうした価値提案は、対象顧客にとって魅力的な相応の企業価値に裏付けられ、かつ競合他社よりも明らかに突出した立場から作成されている必要がある。

 CRMのビジョンを明確化する責任は、明らかに経営上層部の誰かが担う。最も生産的な環境において経営上層部は、CRMが何を意味するかを理解し、新たなアイデアや作業形態を受け入れようとする。CRMのビジョンは、社内と顧客基盤の全域に広められ、受け入れられる必要がある。したがって、コンサルタントが提案する一般的な定義ではなく、当該企業にとって意味のある、自社独自のCRMの定義を持つことが有用である。ビジョンの適切な実施のために、経営上層部が、たとえ日常的な実施に関与しないとしても、総責任者としてビジョンのサポートに精神面でのリーダーシップを示すべきである (「The Eight Building Blocks of CRM: Vision」参照)。

戦略

 CRMの戦略をマーケティングと営業戦略に盛り込み、さらに他の業務領域においても指針を示す。CRMの戦略は、企業のビジネス戦略全般に沿ったものである必要があり、関係者に価値をどのようにもたらすかについての概要を示すものである。CRM戦略の役割とは、ビジョンをどのように達成するかを示すことである。最終的な目標は、企業にとっての財産である顧客基盤を形成し、維持することである。

 CRMの戦略は、以下を通じて作成される。

  • CRMイニシアティブの主要な担当者 (社内、社外) は誰か、戦略の実行者は誰かを特定する。
  • 顧客の価値、ロイヤリティ、満足度に関する自社の現状を検証する。
  • 顧客をセグメント化する。
  • 顧客の獲得、維持、開拓などの、顧客に関する目標を設定する。
  • 戦略の実行を監視する評価指標 (例:満足度、ロイヤリティ、コスト) を定義する。
  • 製品分野別のカスタマイズ、価格設定、コミュニケーションとコンタクト、チャネル、カスタマー・サービス、セグメント管理について戦略の概要を描く。
  • 他の業務戦略に指針を提供するために、必要な顧客インフラストラクチャ (スキル、組織、IT、分析、データなど) を特定する。

 詳細については「The Eight Building Blocks of CRM: Strategy」を参照されたい。

カスタマー・エクスペリエンス

 企業は、CRMから得られるメリットを正当化する必要がある。したがって、顧客が得られるメリットよりも、自社が得られるメリットを測定しなければならない。一般的に社内の従業員は自身が理解でき、影響を及ぼすことができる対象 (例:テクノロジ、顧客データ、プロセス、自社組織) に着目しがちである。こうしてCRMイニシアティブはしばしば内向きの取り組みとなり、皮肉にも顧客にほとんど価値をもたらさない。CRMの成功のためには企業と顧客の双方に価値を生む必要があることを考慮し忘れている。課題は、企業にとってのメリットと顧客のメリットのバランスを取り、過度な内向き指向を回避することである。

 顧客と対話することなく、顧客を理解しているように振る舞うことはばかげている。先進的な企業 (備考1参照) は、顧客視点の必要性を正式に規定する役職を設けており、顧客の声 (VoC プログラムを通じて、顧客の考え方が企業のトップにも届くようにしている。こうした取り組みはしばしば、最高顧客責任者、顧客擁護者、場合によってはカスタマー・エクスペリエンス担当の上級役員を任命することで遂行される。顧客中心ビジネスのさらなる実現に最終的に成功するために、企業は各種の進展状況について顧客に伝え、満足度レベルを定期的に監視し、カスタマー・エクスペリエンスが全社的に周知され、なおかつブランド価値と一致しているかを確認する必要がある (「The Eight Building Blocks of CRM: Customer Experience」参照)。

組織的なコラボレーション

 全社的なCRMでは通常、その一環として、社内プロセス、組織構造、報酬/奨励金、従業員のスキルや行動を変革しなければならず、これらの目標はいずれも容易に達成できるものではない。経営上層部が正規の変更管理プログラムを通じて、必要な変革を推進する必要がある。単に教育、伝達、研修ばかりでなく、従業員を参加させ、時には報酬/奨励金の改定、さらに強固な?数反対派がいる場合は変革の強行さえ行われる。

 企業の価値提案は、ある程度サプライヤーやビジネス・パートナーにも依存する。社内におけるCRMの最適化に加え、サプライヤーやビジネス・パートナーを巻き込むための取り組みも必要である (「The Eight Building Blocks of CRM: Organizational Collaboration」参照)。

プロセス

 企業の対顧客プロセスが適切に文書化されず、それらが顧客の要請に応じて頻繁に変更されることが多い。これはプロセスが俊敏であるともいえるが、同時に非効率的または断片的であるともいえる。結果として企業は、機能的に断片化されたプロセスのせいで、円滑な全体的プロセスを提供できず、顧客が不備を感じていても頻繁に見過ごすことになる。

 CRMにおいて、企業はビジネス・プロセスへの取り組みを刷新することをしばしば求められる。ビジネス・プロセスが顧客にどのように見られているかについて再考し、それらがより顧客中心となるよう、そしてより大きな価値を顧客と自社にもたらすように再編しなければならない。結果として、既存のプロセスをCRM戦略のビジネス目標に対応付けることが必要になり、効率性の推進のためにはプロセスを内から外へ (企業から顧客へ)、また顧客の意見を聞くためにはプロセスを外から内へ (顧客から企業へ) 変更することになる。すべてのプロセスが顧客にとって同様に重要であるわけではないため、どのプロセスが重要であるかを見極めることが、重要な出発点となる (「The Eight Building Blocks of CRM: Processes」参照)。

情報/インサイト

 顧客情報はCRMの鍵である。全社を通じてはもちろん、おそらくはビジネス・パートナーに対しても、適切なタイミングで情報を取得、保存、分析、配信、適用しなければならない。顧客情報は、顧客に関する知識と効果的なクロスチャネル顧客応対の基盤である。高品質な情報の実現には「舞台裏」での努力が必要である。大半の企業におけるCRM情報のための機能は貧弱である。なぜなら、数々の断片化されたデータベースとシステムを抱え、継続的なマスタ・データ管理戦略を持たないからである。

 よく論議の的となることは、まず顧客データ品質に着目して単一ビューを形成すべきか、それともプロセスをまず定義して次にプロセスのサポートに必要な情報を対応付けるべきかである。また最近では、外部から取得する、変化の激しいソーシャル・メディアやモバイル・デバイスの大量の非構造化データを、例えばビッグ・データへの取り組みの一部として取り入れるべきかが、新たに加わった課題となっている。

 顧客情報への戦略的な取り組みが、全社的CRMイニシアティブの開始時には必要である。企業は以下について判断すべきである。

  • 各種の顧客情報をどのソースから得るか。
  • 確固たるデータ・ガバナンスとデータ品質フレームワークをどのように確認/確立するか。
  • 適切な顧客インサイトをどこで、どのように生み出すか。
  • 企業にとっての「血流」となるような顧客情報とインサイトをどのように供給するか。

 この血流となる主要な基盤によって、業務用とアナリティクス用の単一顧客ビューが作成され、維持されることになる (「The Eight Building Blocks of CRM: Data and Information」参照)。

テクノロジ

 本フレームワークに従うならば、CRMはテクノロジ以上の要素を包含する。極めて小規模な企業の場合、特に顧客にかかわるプロセスと知識が誰かの頭の中にありさえすれば、CRMイニシアティブをテクノロジなしでも実現できる。テクノロジを利用することで、こうした小規模企業のような対応を大企業も行える。CRMアプリケーションの3分の2は、自社開発ではなく、購入されている。パッケージ・アプリケーションは、着実に自社開発のカスタム・アプリケーションに取って代わっている。ほとんどの中規模企業と大企業では、各部門の自立性を守り、しばしば社内の他部門を考慮することなくCRMテクノロジを購入するため、CRMのテクノロジ基盤が断片化されている。

 チャネルと事業部門をまたぐ統合を実現するために、アプリケーションの調達についての方針と標準を伴う、アーキテクチャに対する合意済みのアプローチが必要である。CRMアプリケーションを購入するにせよ自社開発するにせよ、さらにそれらがスイート、ベスト・オブ・ブリード、または何らかのハイブリッド方式のいずれであれ、統合が鍵となる。CRMアプリケーション以外との統合、例えば、財務システム、SCMソリューション、レガシー・ツール、そして往々にして生じるビジネス・パートナーのシステムとの統合も重要である (「Toolkit for Developing a Pace-Layered Approach to CRM Service」参照)。

 CRMアプリケーションの80%以上は実行系であり、つまり対顧客プロセスの処理を主体としている。CRMアプリケーションの約12%は分析系であり、例えば顧客のセグメンテーションやクロスセルに向けた顧客ニーズの予測などの処理を目的とする。残る8%未満がソーシャルCRMアプリケーションであり、顧客は相互に、またはサプライヤーとの間で協業的にコミュニケーションが行える。分析系CRMへの支出が実行系CRMに比べ急増しており、またソーシャルCRMは分析系CRMよりも急成長している (「The Eight Building Blocks of CRM: Technology」参照)。

評価指標

 企業は、顧客中心であろうとするならば、測定可能で具体的なCRM目標を設定し、指標を監視する必要がある。CRMの評価指標は、CRMイニシアティブを測定可能なビジネス価値に連結し、企業の支援者や関係者を巻き込む上で不可欠である。これらの指標は、成功の程度を測定するだけでなく、戦略や戦術の継続的な発展のためのフィードバックの仕組みにもなる。変更管理のツールとしての役割を果たし、また従業員向けの奨励策を構築するためにも不可欠である。

 CRMの評価指標は、企業のCRM戦略に沿っており、かつその評価に使用される必要がある (「The Eight Building Blocks of CRM: Metrics」参照)。評価指標を漠然と捉えてはならない。評価指標には、それぞれの目的や、経営上層部から現場の従業員に至る要員のうち誰が使用するかに応じて階層化が必要である。具体的には、全体的な目標に対応する上位の評価指標セット (ガートナーが見たところ平均で6項目) を設定し、それらをより詳細な一連の関連プロセスに結び付け、さらには数百もの日常的な業務指標に結び付ける。

 CRM評価指標を策定するに当たっては、以下の2つの主要な課題がある。

  • 階層間の接点を把握する。
  • CRMの成否に関する社内外の評価指標が過度に複雑になる、または単純になることを避ける。

どの要素から着手するか

 これら8つの構成要素は、参加者がこれらすべてに一度に着目できる、全体論的なアプローチになることを意図している。しかし、適切なCRMプログラムでは、一部の構成要素について、ほかの要素よりも早期に注力している傾向がある。

 最初にビジョンを確立し、CRMデータと情報の品質に早期に着手したCRMプロジェクト・マネージャーは、CRMの実装で大きな成功を収めることが多い。なぜなら、ビジョンによって戦略が推進され、その後にプログラムの残る部分を牽引する目標が設定されるからである。顧客データの責任、統制、品質にかかわる問題は、ほかの問題よりも解決に時間を要することが多いため、他に先んじてスタートを切る必要がある。どの時期にどの構成要素に注力するにせよ、反復的なアプローチを採用し、状況の変化に応じた再評価に前向きであることが最善である。個々のCRMプロジェクトの期間は3カ月から5年と多様であるが、平均すると1プロジェクト当たり17カ月を要する。2年を超えるプロジェクトについては、再評価を通じて当初の目標が変化していないことを確認すべきケースが多い。

推奨リサーチ

  • 「The Eight Building Blocks of CRM: Vision」
  • 「The Eight Building Blocks of CRM: Strategy」
  • 「The Eight Building Blocks of CRM: Customer Experience」
  • 「The Eight Building Blocks of CRM: Organizational Collaboration」
  • 「The Eight Building Blocks of CRM: Processes」
  • 「The Eight Building Blocks of CRM: Data and Information」
  • 「The Eight Building Blocks of CRM: Technology」
  • 「The Eight Building Blocks of CRM: Metrics」

備考1 ガートナーのCRM成熟度プロファイル・レベル

 ガートナーのCRM成熟度プロファイルには、以下の5つの成熟度レベルがある。

  • 先進的:顧客中心の能力によって自社を差別化し、同時にそうした能力の定義を自ら改める。
  • 最適化:顧客中心の能力を開発しているだけでなく、日常業務に活発に取り入れている。
  • 実践:基本的な顧客中心の能力を実践している。
  • 開発:一連の顧客中心の能力が初歩的に大枠で取り入れられている。
  • 認知:顧客中心の能力がわずかに見られる。


(監訳:川辺 謙介)



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