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SAMPLE RESEARCH

サンプル・リサーチ

2014年、CEOの決意:デジタル・ビジネスに取り組むのは今

ITマネジメント (ITM)/ITM-14-15
Research Note
M. Raskino
掲載日:2014年9月30日/発行日:2014年8月8日

本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2014年10月28日(火)〜30日(木)に開催する 「Gartner Symposium/ITxpo 2014」 のページを是非ご覧ください。(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます)


デジタル・ビジネスを確実に成長させるために、CEOは、CIOの職務範囲を超えるテクノロジ関連の事業方針を決定する必要がある。イノベーションと投資は、競争優位につながる戦略的変化にとって欠かせない。



要約


主要な所見

  • CEOは、テクノロジが可能にするビジネス成長に対して、急速に関心を寄せるようになってきた。これは、過去2年間のガートナーのCEOサーベイの結果から明らかである。
  • 「言うは易く行うは難し」:CEOはテクノロジについて進歩的な発言をしているが、CIOの予算に変化は見られない。デジタル・ビジネスの確実な進歩には、新たな投資と経営陣の関心が必要である。
  • CEOは、テクノロジ関連の競争優位を確立したリーダーがいると高く評価できる企業を、成功モデルとして認めている。

推奨事項

  • 経営陣がデジタルの範囲と管理に関する新たなゾーンを策定し、それに合意できるよう支援する。
  • 新規参入者によるデジタルの混乱を阻止するために、業界内での協働を推進する。
  • CIOにリソースを提供して、従来のITを実施する「CIO代行」のポジションを設けさせる。
  • 自信を持って文化をリードし、デジタル・ビジネスの機会を勝ち取るために、社内で倫理に関する議論を深める。
  • デジタル・ビジネスの変革を加速するために、新たな投資を行う。

分析

2014年にCEOは、よりテクノロジ企業らしく考え、よりテクノロジ企業に近づけるよう、自社を率いることに注力すべきである。なぜならば、数年以内に、あらゆる産業はデジタル・ビジネスへの対応能力(ケイパビリティ)によって左右されるようになるからである。デジタル・ビジネスでは先駆者が有利になることが多く、早期追随者も極めて迅速に動くことが求められるため、早急に行動を起こすべきである。新しいビジネス・ツールや能力は、成熟に至るまでに時間を要するが、効果的に管理をしていけば、すぐに競争優位という形で見返りをもたらすようになる。

テクノロジ企業とは何か、また、なぜCEOはテクノロジ企業を志向すべきなのか。テクノロジ企業という言葉は、ほとんどその意味を考えることなく使われており、ビジネス関連の記事の中ではAmazon、LinkedIn、Googleなどの企業を表すものとして用いられている。Amazonは、IBM、HP、Ciscoなどの従来の意味でのテクノロジ企業ではない。Amazonの主な収入源は小売りであり、LinkedInの主な収入源は採用サービスであり、Googleでは90%以上が広告収入である。このような企業は、多くの場合、テクノロジの進歩を最先端レベルのリスク・リターンで自ら直接取り入れることによって従来型の産業の未来を変えている。主な従来型企業のCEOも、これに対応している。例えば、StarbucksのCEOは自社の デジタル戦略について定期的にコメントしており、TescoのCEOもテクノロジ企業になる必要性を述べている。Walmart、Westfield、McDonald'sなどは、デジタル・イノベーション・センターを米国カリフォルニア州に設けている。

Googleの自動運転車の実験を受け、どの自動車会社のCEOも「自律走行車の開発はいつか」という質問に対して、考え抜いた本気の答えを持たざるを得なくなった。また、既に一般公開されているAmazonのドローン(無人航空機)を使った配送実験により、荷物の配送や宅配ピザなどに関わる業界のCEOは、つい最近までSFのシナリオにすぎなかったことを積極的に調査しなければならなくなった。

今後10年間に、ITおよびデジタル・テクノロジは、製品/サービスの見直しによって、すべての産業の根幹を破壊すると考えられる。ビジネス・モデルの外枠のみを刷新するE-Businessの時代は終わろうとしている。そして、真のデジタル・ビジネスのイノベーションが始まっている。

デジタル・ビジネスとは、物理的な世界とデジタルの世界の境界を曖昧にすることにより、新たなビジネス・デザインを創造することである。接続された「人」「ビジネス」「モノ」の前例のない融合を実現し、それにより新しい収益の機会を生み出している。


所見


CEOは、テクノロジが可能にするビジネス成長に対して、急速に関心を寄せるようになってきた

ガートナーの最新のCEOサーベイでは、IT関連の変化は、2014年におけるCEOの5大ビジネス緊急課題の1つとなった。テクノロジは、ビジネス戦略の在り方を変える外部のマクロ動向の3位にランク付けされた。新興市場が、一点勝負を懸ける先としてはあまり見通しがよくない中で、CEOは新たな成長の機会を求めているとガートナーは考えている。デジタルは注目されるテーマであり、投資家は、CEOがデジタル化への道を進むことを望んでいる。


CEOはテクノロジについて進歩的な発言をしているが、CIOの予算にはほとんど変化が見られない

2014年、ITとデジタル・テクノロジに対する投資へのCEOの注目度は高まった。また、バックオフィス的な管理/コスト削減ツールとしてではなく、フロントオフィス、すなわち収益をもたらし、成長を支えることにテクノロジを使用することへの注目が顕著となっている。四半期報告書、アニュアル・レポートやそれにかかわるコミュニケーションの中で、CEOが自社のストーリーにテクノロジやデジタルに関するコメントを加えることが非常に多くなっている。しかしながら、ガートナーのCIOサーベイによると、IT予算は平均でわずか0.2%しか増えておらず、つまりほとんど増えていないことが分かる。この資金をうまく使えば、デジタル・マーケティングの効果を高めることはできるかもしれない。しかし、モバイル対応、クラウド接続、スマート・センサ、データ・サイエンス仕様の製品/サービスといった、急速に進化する世界にスムーズに移行することはできない。新たな投資が行われない理由の1つとして、CIOがテクノロジ・リソースを社内の業務効率に関する目標に重点的に用いる傾向が強いことが挙げられる。今後は、より多くのテクノロジをビジネス成長に積極活用していくことが求められる。したがって、テクノロジ関連のプロジェクトが、デジタル製品のイノベーションやデジタル・マーケティングにおけるカスタマー・エクスペリエンスの改善に直接結び付くことをCIOが示せる場合に限って、投資を増やすべきである。

AmazonやGoogleなどの有力企業は、社内のイノベーションや買収を通じて、利益を自社の中核となる能力にしっかりと再投資している。しかしながら、過去10年間、従来型の企業の多くは、テクノロジに十分な投資をせずに他の(今では色あせている)成長ベクトルに投資してきた。このままでは、この不均衡は競争上の危険を招く。CEOは、テクノロジに対し、より「リスクオン」な姿勢で向き合うべきである。


CEOは、テクノロジ関連の競争優位を確立したと評価できる企業名を挙げている

ガートナーの調査では、競争優位のために高度なITやデジタル・テクノロジを利用していると評価できる企業名を挙げられるCEOが増えていることも明らかになっている。そのような企業として、インターネット時代の企業であるAmazon、Google、楽天などが挙げられているが、19世紀に創業したGE、P&Gなどの企業も含まれている。デジタル・ビジネスの将来には、新旧問わずいずれの企業にもチャンスがある。

実際、どのCEOも自社を正しい方向に導くことができる。Angela Ahrendts氏はBurberry(1856年創業)をデジタル・マーケティングによって救済することで、Lorillard (1760年創業) のMurray Kessler氏は米国のタバコ産業を電子タバコへ移行させることで、Frederic Rose氏はTechnicolor(1917年創業)をデジタル時代の企業として再定義することで、これを実証している。


2014年、CEOの5つの決意

進行中のデジタル・ビジネスにおける変化の背後にある根本原因やマクロ動向を分析した結果、ガートナーはCEOが2014年に検討すべき、変革に向けた5つの決意を提示する。これらはすべての営利企業に当てはまる。これらのいくつかを既に行っているか年内に行わない限り、行動しないことが自社の将来にリスクを招く。


経営陣がデジタルの範囲と管理に関する新たなゾーンを策定し、それに合意できるようにする

デジタルは水のようにあらゆる場所に入り込む。マーケティングだけでなく、事業のほとんどの領域に侵入し、つくり変えていく。最高デジタル責任者(CDO)を場合によっては外部から採用することで、デジタル戦略/変革の加速を促すことができる。しかし、新たな指導者が1人ですべてを解決することはできない。問題は、デジタルの変革のためには新しい高度な能力が要求される一方、一部の者の関与を減らしていくという点である。こうした調整には、既存の部門間の境界やリーダーシップの説明責任の検証が必要になる場合が多い。15年前にインターネットが重要なビジネス・ツールとなった際の「Webサイトの所有者は誰か」をめぐる不透明感を思い出し、次のラウンドは解決が大幅に難しくな ると考えるべきである。

リーダーシップ・チームは新たなテリトリを策定し、探索することになる。例えば、自社の物理的な製品がセンサ対応でインターネットに接続された場合、その製品の耐用期間内に顧客が期待するであろう継続的なデジタル・サービスを管理するのは誰の仕事になるのか。それらのサービスの価格設定を行い、収益を管理するのは誰の仕事になるのか。製品を使用する顧客から得られる貴重なデータを収益化するのは誰の仕事になるのか。デジタル・ビジネスの探究を効率的かつ効果的に行うためには、このような質問に対し、迅速かつ友好的に、そしてできれば最初に回答しておく必要がある。今後のデジタル空間をリーダーシップ・チームが探る方法として、社内の恨み、駆け引き、人員削減を伴うものは好ましくないであろう。

新たな責任を明確にすることは、チームが先に進む上で重要なことである。積極行動主義は報われるはずである。曖昧さを解消し、相違があれば迅速に解決する支援をすることで、チームが前に進めるようにする。川や山脈のような「自然発生的」な境界線を探す。歴史的に見ても、地図上ににわかに引かれた人工的な直線は、決まって国境の役目を果たさなくなるものである。それに対し、単純で明白な自然発生の境界は持続する。ネット接続車両とそのデジタル・サービスに関する責任を例に挙げれば、自然な境界は、車両の物理的な部分に関することはチーフ・エンジニア、車両以外に関することはCIOとすることができる。


推奨事項

  • 新たなデジタル・ビジネス活動ごとに、リーダーシップ・チーム会議で話し合う時間を確保する。
  • 責任の所在、説明責任の所在について、チームに見解の不一致を許さない。
  • インプットの権利が誰にあり、決定権が誰にあるか、明白な合意を得ることに重点を置く。
  • イノベーションだけではなく、業務のスケール・アップに対する責任範囲を最初から明確にする。企業には、失敗に終わったデジタル構想のプレゼン資料が山のようにある。

新規参入者によるデジタルの混乱を阻止するために、業界内の協働を推進する

1〜2社の非常に大きなプレーヤーが、デジタルによる業界の再編に向けたアンカー役となる管理ポジションを定義、構成するための財源、市場での影響力、ブランド力を持っている場合もある。例えば、モバイル・ウォレット、代替決済、キャッシュレス社会といった動向が加速する中、MasterCardとVisa は、非常に強力な責務を持ったポジションからのスタートとなる。General Motorsほどの体力と規模を持つ企業は、2012年に同社が実施したように、ITの90%を自社内で行い、今後10年間のイノベーションのために独自のデジタル・ビジネス・プラットフォームを構築することができる。

しかしながら、より細分化された業界が増えていくと考えられ、独自の新たな業界プラットフォームを構築する能力を持たない企業も多い。こうした業界の一部では、協働によってこれを実現する方法を考えるか、テクノロジを持った新規参入企業にそれを「実現される」リスクを負うことになる。多くの場合、これは業界全体にとって不利なことである。電子書籍の参入により、書籍出版社が自らの運命に対する支配力を既にどれだけ失ったかを考える必要がある。Apple、Amazon、Googleは、新たな電子産業プラットフォームの構築に関して、大きな発言力を得ている。これらの企業は、顧客の価値提案、価格設定、知的財産権(IP)、バリューチェーンへの貢献者間での収益の相対的な分配などを定義してきた。業界内の協働を理想主義的なものと見なすべきではない。むしろ純粋に実用主義的なものである。音楽業界と書籍業界を見れば、業界が行動しないことがどのような痛みにつながるかは明らかである。


推奨事項

  • 業界フォーラムでの議論を進める。例えば、デジタルによる変革に関する座談会を設け、進行役を務める。
  • 従来の競合他社と懸念を率直に議論する。新興デジタル企業に黙って参入させない。
  • 主な投資家に変革の必要性を語り、そこにあるリスク・リターン・モデルを暗示する。
  • 将来のクラウド・ベースの業界プラットフォームへの協働および共同出資のためのコンソーシアム (共同事業体) を検討する。

言うまでもなく、CEOは、談合の事実またはそのような疑義が生じることのないよう、同業他社との協働に先立って十分な法的助言を得ることを忘れてはならない。また、ガートナーは、これまでのさまざまな歴史に鑑み、協働という発想や、コンソーシアムを組むという提案に対し尻込みするビジネス・リーダーが多いことも承知している。しかし、例えば、モバイル決済アプリのようにうまくいっているケースもある。基礎レイヤとなる業界プラットフォームを構築し、その上で競争的差別化が行われるようにする方が、テクノロジを持つ1〜2社の新規参入企業に業界全体の支配権を明け渡し、条件を指図されるよりましである。共通の深刻な敵は、考えもしなかった協力関係を生む。


従来のITを「CIO代行」に委ね、CIOがデジタルに集中できるようにする

デジタル・ビジネスへの変革において、企業は、アルゴリズム的にインテリジェントな、またはロボットによる、オンラインの、クラウドに接続された製品 (しばしばそれはモバイルで管理または消費される)を提供することを求められる。ビッグ・データの収集、データ・サイエンスの適用を学び、それらを用いて異なる種類のデータ主導型の意思決定文化を実現する必要がある。それによって事業にもたらされる構造的変化を乗り越えなければならない。これは、顧客やプロバイダーと協働で行う必要がある。一方、IT部門では、CIOは、ERPの統合、共有型サービス、社内のIT配賦などの、一見するとより重要に思える問題に取り組んでいる。

デジタルの未来を導くには、CIOの力が必要である。デジタル責任者を傍らに採用したとしても、新しく緊密なパートナーシップを促進するための「念入りな」IT作業の量に対応するためには、CIOの大きな関与が必要である。しかし、CIOの従来の本業である日々のIT管理は、簡単に消滅しない。コストが厳しく管理され、動きが遅く、リスクを最小化する漸進的な改善による昔ながらのITの世界と、起業家的/創造的リスクを負う、動きが速く最先端のデジタルの世界という両方において同時に能力を発揮できる、極めて有能な人物がいる可能性もある。しかし、CIOが両方の世界の課題をこなす個人的能力と膨大な時間を管理するスキルを備えていたとしても、リーダーシップ・チームの残りのメンバーが受け入れない可能性が高い。

CIOは、チームの半分に対して、資金のない従来のIT変革の要求を遅らせ拒否する「ミスター・ノー」でありながら、同時に事業の一部をより迅速かつ熱心にデジタル・ビジネス・テリトリへと推進しようとする人物であることはできない。2つの顔を持つCIOは、集団から攻撃され、傷つけられることになる。別の人物に交代しても、同じことが繰り返される。

CIOが、既存のITの厳しい管理を維持しながら、今後数年間に必要となるイノベーションによる変革を推し進め実現させる。これを可能にする簡単で明白な方法がある。それは委譲することである。CIOは、今日行っている従来型のバックオフィス的なIT管理作業の大部分を、誰かに委譲する必要がある。


推奨事項

  • CIOがこの起こり得るジレンマに気付き、理解できるように導く。
  • CIOにCIO代行の役割を設けさせる。肩書はITオペレーション担当バイスプレジデントまたは最高テクノロジ責任者 (CTO) などが考えられる。
  • 人事部門の責任者に、社内の候補者の評価と社外の候補者探しの協力を求める。
  • 人員数または役割の追加、ならびにパッケージの充実をCFOと共に承認する。

自信を持って文化をリードし、デジタル・ビジネスの機会を勝ち取るために、社内で倫理に関する議論を深める

デジタル・ビジネスによって、自社の価値や倫理を試すような多くの問題が新たに引き起こされるであろう。問題は、いろいろなことを調査しても、人々が善悪についてどう判断するかを知るだけで終わってしまうことである。その例として、インターネットとクラウドで可能となった大量の匿名の医療データがある。製薬会社が、ある母集団における新薬の効果を理解するのに役立てるならば良いことであるかもしれないが、保険会社が、この母集団の一部を健康保険の対象から除外することになるとすれば、あまり良いことではない。個人の立場としては「できるからといってすべきとは限らない」と思う場面が多数あるかもしれない。自分の考えを確認するための簡単なテストを以下に示す。

  • 自社の従業員が、デジタル眼鏡を使用して顧客の顔を認識し、Webから取り込んだその顧客の個人情報を重ねて表示することを容認できるか。
  • 荷物を配送するドローンが500回中1回墜落するとする。そして落下するドローンに当たった人が重傷を負う可能性が1,000回中1回あるという場合、これは容認されるか。
  • 電子タバコのデバイスが、モバイル上のソーシャル・アプリに接続し、桃や風船ガムなどのフレーバーを提案し、一部の人のニコチン依存を招く。これは容認されるか。
  • ドローンが撮影した、空中からの解像度10cmの調査データが提供された。人の姿や、裏庭での彼らの個人的な活動がはっきりと見える。そのようなデータを使用すべきか。
  • 一般診療の患者とのやりとりの75%を人工知能技術で代用できる可能性があるが、医療行為は非人間的なものになる。高齢者はこれを嫌っている。それでも行うべきか。

変化のスピードはあまりにも速く、規制当局や立法者はそれに付いていくすべを知らない。デジタル・ビジネスという「Wild West(未開の地)」で事業を行うに当たり、自社の文化にあるデフォルトのアプローチ・スタイルはどれになるであろうか。

  • 現時点で合法でありさえすれば何でも構わない。
  • 合法でありさえすれば何でも構わないし、恐らく今後もそうあり続けると考える。
  • 合法である必要はあるが、ブランドと評判への影響も考える必要がある。
  • 他の倫理的/道徳的境界線を設けている。

確かに倫理は新しい問題ではないが、デジタル・ビジネスによって従来問題にならなかった領域が明らかになる傾向にあり、それはかなり頻繁に起きる。自社が「正しい行動」とは何かを当然知っており、それについて合意できると想定してはならない。Googleでさえ、この分野における複雑さが増していると感じている。最近の記事でEric Schmidt氏は、「邪悪なことはしない (Don’t Be Evil)」という同社のポリシーに関して、「邪悪なこと」かどうかは同社の共同創業者Sergey Brin氏が決めると解釈されるようになったと述べている (『What Is 'Evil' to Google?』 http://www.theatlantic.com/technology/archive/ 2013/10/what-is-evil-to-google/280573/参照)。Googleは、最近、外部の相談役を含む倫理委員会を設置した。


推奨事項

  • リーダーシップ会議で倫理に関する手短な議論を定期的に推進する。例えば休憩時間中などでもよい。
  • 他業種に関するものも含めたビジネス・ニュースの例を使って、チームに予行練習をさせる。
  • 起こり得る倫理的ジレンマのシナリオを予測、探究するために、倫理小委員会を検討する。
  • 新たな/いつもと違う倫理的不確実性について、可能な限り早い時点で上層部に認知させるために報告を上げてよい/上げるべきであることを、経営システム全体が確実に理解するようにする。
  • リーダーシップ・チームの1人を、ライン部門管理者が挙げる日々の問題を扱う「頼れる」人物に指名しておく。少なくとも年に1回は交代する。
  • 現在コンプライアンスを担当しているリーダーの役割を拡張することを検討する。

デジタル・ビジネスの変革を加速するために、新たな投資を行う

Amazonが現在世界的に最も有力な小売りプレーヤーとなったことを疑う向きはほとんどないであろう。しかし、2013年に業績が予測に届かず、その根本原因が事業における利益の再投資のペースにあるとされた際、同社の株価は再び下落した。Amazonはデジタル・リーダーシップとしての自らのポジションを維持し、2桁の高い成長率を成し遂げるべくスケール・アップするために、多額の投資を行う必要がある。

これに対し、予想される成長率が低い、より従来型の成熟した企業は、ことによると10年間、収益から毎年同じ割合をテクノロジに費やすことに慣れきっている。実際には、この企業はこの間、テクノロジに掛ける費用を減らしている可能性がかなり高い。

しかし、企業がデジタル時代に移行すると何が起きるであろうか。業界内に新たに生まれる「デジタルな何か」から得られる成長のスピードの方がはるかに速い場合が多い。しかし、それを獲得し、維持するには新たなツールや対応能力への投資が必要である。ビジネス・リーダーは、この決定と向き合う必要がある。マクロ経済と政治的安定のリスクがビジネス環境を支配していた数年前には、遅れは許された。しかし、ビジネスと消費者の信頼が高まる中、CEOは今、行動する必要がある。さらなる遅れは事業の後退を招きかねない。デジタル・ビジネスにおいては、先駆者は実際に成功へのアドバンテージを握ることが多い (例えば、iTunes以前には本格的な合法オンライン音楽サービスは存在し なかった)。しかし、早期追随者として参加しようとする場合であっても、高い能力を持つデジタル・タレントが極端に不足しているため、遅れが高くつく可能性がある。


推奨事項

  • 2014年には、ビジネス・テクノロジとデジタル・ビジネスへの投資を大幅に増やす。
  • 新たな投資の75%は、収益を拡大するために、製品の差別化にデジタル・テクノロジを適用するプロジェクト、またはカスタマー・エクスペリエンスをその他の方法で改善するプロジェクトにのみ割り当てる。
  • 人材が必要な重点分野への人員の割り当てを増やす。
  • 投資計画の一環として、新興のテクノロジ企業の買収を真剣に検討する。それに充てる資金は次のように調達する。
    • 金融危機から自社を守るために設けられた留保金の額を減らす。
    • 古い、廃れたビジネス・スタイルのために従来割り当てられてきた投資の行き先を変える(例えば、小売業者は新規店舗向けの土地への投資をE-Commerceに移す)。
  • ビジネスが非常に困難な状況にあり、投資資金の調達が不可能な場合、別の方法がある。ベンチャー・キャピタルが行うように、最低限の存続能力がある製品の立ち上げを、独立系に近い別の事業体として設立する方法である。


推奨リサーチ

  • 「CEO Advisory: Chief Executive Information and Technology Resolutions, 2013」
  • 「CEOs and CIOs Must Co-design the C-Suite for Digital Leadership」
  • 「Let's Get Digital: A Template for Digital Business Strategy」
  • 「CEO Advisory: Three Changes You Can Make to the Way IT Innovation Is Framed」
  • 「CIO New Year's Resolutions, 2014」



(監訳:山野井 聡)
ITM: ITM-14-15


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