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SAMPLE RESEARCH

サンプル・リサーチ

2014年の展望:日本における新たなテクノロジの実用化に向けた情報活用の新たな課題

アプリケーション (APP) /APP-14-13
Research Note
K. Shiga, K. Kawabe, H. Horiuchi
掲載日:2014年9月2日/発行日:2014年2月20日

本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2014年10月28日(火)〜30日(木)に開催する 「Gartner Symposium/ITxpo 2014」 のページを是非ご覧ください。(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます)


日本におけるCRM、クラウド型電子メール、ビッグ・データといった領域では、新たなテクノロジが話題先行から実装の時期を迎えており、新たな課題を抱えつつある。


要約


主要な所見

  • 情報活用領域におけるクラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグ・データ関連の新たなテクノロジは、ビジネスにおけるワークスタイル、消費者のライフスタイル、顧客との取引形態に着実に影響を与えており、さらなる課題も見えてきた。
  • CRMなどの情報活用領域においては、アプリケーションの調達の多様化、分析スキルを持った企業の登場など、外部リソースの充実が進み選択肢は増えているが、ビジネス現場で利用部門が個別に契約する傾向があり、全社レベルでの情報戦略に支障を来す恐れが生じている。
  • コミュニケーション/コラボレーションの領域では、クラウド型電子メール・サービスをはじめとする外部リソースの充実とその理解は進んでいるが、特にグローバル対応を要件とする大企業にとっては、その選択肢が特定の2社の製品・サービスに限られる傾向が出てきた。
  • ビッグ・データの領域では、話題先行から理解が進み、効果の期待できるユースケースが徐々に確立しつつあり、そのようなユースケースを自社のビジネス・プロセスに含む企業とそうではない企業との間で期待値への温度差が生まれつつある。

推奨事項

  • 新たなテクノロジ・トレンドが自社のどのような領域のビジネス価値に結び付くのか、どのような問題を解決できるのかを吟味する。
  • 社外のリソースが自社のビジネス目的に適合した製品やサービスであるかを見極め、自社にどのようなビジネス効果をもたらすかを見極める。
  • 新たなテクノロジによってビジネス現場で起きている急激な変化に対応するためには、ビジネス部門とIT部門が個々に動くのではなく、問題点を共有し、協業体制により解決を図る。


目次

戦略的プランニングの仮説事項

分析

    要旨

    戦略的プランニングの仮説事項



戦略的プランニングの仮説事項

2014 年から2017 年にかけて開始される新規CRMプロジェクトのうち、従来のシステム・インテグ レーション (SI) ベンダーが主役とならないプロジェクトが過半数となる

2017年までに従業員数規模2,000人以上の日本企業の60%が、パブリック・クラウドの電子メール・サービスを採用し、そのうち大部分がMicrosoft かGoogle のサービスを採用する。

2017年までに、新たなデータソースやテクノロジを利用することによってビジネス効果が期待できる領域が明確になる一方で、日本のメディアやベンダーが「ビッグ・データ」という言葉を利用することはほとんどなくなる。


分析

要旨

本リサーチノートは、2014年の日本におけるビジネス・インテリジェンス (BI) と情報活用領域における展望(2017年に向けて予想される変化の方向性)のうち、主要なものについて紹介するものである。2014年の本領域に関する調査は、「CRM」「ソーシャル・ソフトウェアとコラボレーション」「アナリティクスとBI」という3つの領域にフォーカスして進めており、本リサーチノートでは、各調査領域から、最も影響が大きいと考えられる展望を1つずつ選択し、紹介する。

クラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグ・データといったテクノロジはますます充実しており、われわれのワークスタイル、ライフスタイル、顧客と企業の関係に与える影響は、着実に新たな段階を迎えつつある。CRMの領域では、技術の進化が激しく、クラウド・サービスなどの新たな外部リソースに頼る傾向が強くなったことから、それらの活用がIT部門のあずかり知らぬところで利用部門主導 で進み、全社的な情報戦略を困難にする状況も生み出しており、利用部門とIT部門との整合性がクローズアップされている。電子メールやコラボレーションの領域ではクラウド・サービスのメリット、デメリットへの理解が進み、順調に普及が進んでいるが、一方で寡占化の危険性もはらむなど、新たな課題を抱えるようになった。アナリティクスとBIの領域でも、これまで話題先行であったビッグ・ データへの理解が進み、自社の課題解決に資すると考える企業とそうでない企業とで判断が分かれてきており、新たな局面を迎えている。


戦略的プランニングの仮説事項

戦略的プランニングの仮説事項: 2014年から2017年にかけて開始される新規CRMプロジェクトのうち、従来のSIベンダーが主役とならないプロジェクトが過半数となる。

分析:川辺 謙介

主要な所見:

  • コンタクトセンターや営業支援など、従来のCRMアプリケーションは成熟度を高めているが、それと同時に海外などの新規市場を含めた顧客獲得や顧客維持に対する要求もいっそう高まっており、多くのユーザー企業においては、より発展的なCRMへの課題が残されている。
  • ソーシャル・メディアやモバイル・デバイスを含む新たなデジタル・チャネルを活用したマーケティングの取り組み、さらにはOffline to Online (O2O)と呼ばれるようなリアル・チャネルを含むチャネル間の連携を支援するテクノロジ/アプリケーションの導入や関連サービスが求められるようになっているが、SIベンダーの多くはこの変化に対して抜本的に対処できていない。
  • このような新たな切り口で臨むべきCRMプロジェクトにおいて、必要とされるテクノロジ/アプリケーションおよび関連サービスのプロバイダーとして、従来のSIベンダーだけでなく、Web制作会社、コンサルティング・ファーム、広告代理店など、さまざまなジャンルのプレーヤーが台頭するようになってきており、相互に連携する動きが加速している。
  • サービスとしてのソフトウェア(SaaS)などのクラウド型サービスの普及は、多くのCRM関連プロジェクトにおいて案件の小型化、低価格化、迅速化に寄与しているが、同時にエンドユーザー部門との直接取引の増大など、全社的な視点での戦略的なCRMの推進を阻む要因に もなっている。

市場への影響:

デジタル・デバイス/チャネルの世界規模での普及により、一般消費者の生活スタイルのみならず、ビジネスにおけるワークスタイルや取引形態までもが大きく変容しており、今後数年間はこの傾向が続くものとみられる。競争が激化する市場においては特に、ビジネスと顧客の関係に甚大な影響を及ぼしており(「顧客情報革命がもたらすビジネス・インパクト」APP-13-143、2013年9月30日付参照)、顧客を中心に位置付けたビジネス戦略の推進と、それを支えるテクノロジの活用が必要不可欠となっている。デジタルの強みは正確さとスピード、さらには追跡可能性にあるといえるが、同時にテクノロジの進展も目覚ましく、激しい変化に適応し得る迅速かつ高品質な顧客サービスや、一貫したカスタマー・エクスペリエンスを提供したり、海外市場などの未知の顧客開拓にも威力を発揮すべく適切なアプリケーションの導入を実現したりするためには、相応に高度な知識と技術が必要とされる。

一方、従来のCRMアプリケーションは、コンタクトセンターや営業支援のように、特定の顧客接点における社内業務の効率性の向上に重点を置いたものであった。そのため、上述のような顧客中心的な取り組みへの対応が難しく、できたとしても多額の投資あるいは長期的な開発を余儀なくされることが多かった。SaaSに代表されるクラウド・コンピューティングの成熟と普及が、CRMアプリケーショ ンの初期コストの削減や迅速な導入を実現するなど、一定の役割を果たしてはいるが、特定のチャネルにおけるソリューションが中心であることに変わりはなく、情報システム部門を介することなく、利用部門が独自にSaaSベンダーと直接契約するなど個別最適な取り組みが助長され、むしろ企業レベルでの戦略的なアプリケーション構築が難しくなったという側面もある。

ガートナーでは、CRMを「顧客セグメントを中心に顧客満足度が向上する行動を推進し、顧客中心型のプロセスを実装することで形成される収益性、売り上げ、顧客満足度を最適化する成果をもたらすビジネス戦略」と定義しているが(「CRMの8つの構成要素:概要」APP-13-80、2013年6月10日付参照)、これを支えるCRMアプリケーションは、これらの課題を解決できるものでなければならない。あるいは「CRM(アプリケーション)とは何か」という問題の根本に立ち返った計画が必要となる企業や、CRMという言葉にとらわれずに必要な戦略やアプリケーションを模索しようとする企業も出てくるであろう。

このような新たな要求に応えるべく、一部のSIベンダーの中には自社が提供するCRMアプリケーションの新たな付加価値を訴求しようとする動きもあるが、同時に顧客向けWebサイト構築/運営やマーケティング・ソリューション、顧客分析といった、これまでSIビジネスがあまり注力していなかった領域に専門性を持つプレーヤーが注目されるようになってきており、さらには、各分野で専門的なスキルを持つベンダー同士が連携する動きも活発になっている。

また、ユーザー企業内部においても、組織構成やスキル習得に関する新たな課題が表面化している。その典型例として、Webサイトやモバイル端末、ソーシャル・メディアから得られる情報を基にした顧客行動を理解し、その上で必要なアクションを提案し実行する能力の習得が挙げられるが、従来の個別の組織単位ではなく顧客目線で必要なアクションを提起し、そのために部門間を調整し、必要な予算を確保するといった業務などは、ベンダーに完全に委ねることが難しい性質のものである。このような背景から、新規CRMプロジェクトの開始に当たっては、従来とは異なる新たなスキル・セットを持つリーダーが求められるようになっている。

したがって、今後始まるCRMプロジェクトにはさまざまな形態が考えられる。

まず、これまでCRMアプリケーションを担ってきた情報システム部門のITリーダーは、従来のSIベンダーとその取引方法にこだわることなく、SIベンダーやその他関連プレーヤーの動きを敏感に察知し、全社最適の視点で必要なソリューションを導入する能力が求められるようになる。新たなCRMプロジェクトのリーダーは、情報システム部門からだけでなく、業務部門の経験者から選抜されたり、外 部から招へいされたりすることもあろう。いずれの場合においても、CRMプロジェクトを成功させるためにはCRMの8つの構成要素をバランス良く推進することが肝要であり、必要なテクノロジやスキルを適切なタイミングで調達できる能力が求められる。

推奨事項:

CRMプロジェクトのリーダーや、関係する情報システム部門のITリーダーは以下に留意する。

  • 多くのステークホルダーが合意できるCRMビジョンと戦略を明文化し、企業全体からの視点でCRMへの投資を推進する。
  • 単一の特定ベンダーのみに依存しない。自社に必要なスキルとソリューションを模索するに当たり、従来のSIベンダーだけでなく、中小規模の専門ベンダーや顧客分析サービス・プロバイダー、Web制作会社やコンサルティング・ファームなど、幅広い取引先との交流を図る。各企業が主催するセミナーやユーザー・グループ会への積極的な参加はその端緒となるであろう。
  • Webサイトやソーシャル・メディア、モバイル向けアプリケーションなどの利用が発展していくと、顧客データや在庫データなどの基幹システムとの密な連携が求められるようになる。このような各顧客接点に求められるビジネス要求を理解し、迅速かつ柔軟なシステム連携の実現に向けた計画を立てる。

関連リサーチ:

「CRMの8つの構成要素:概要」(APP-13-80、2013年6月10日付)

「顧客情報革命がもたらすビジネス・インパクト」(APP-13-143、2013年9月30日付)

「IT部門とマーケティング部門が連携するためのベスト・プラクティス:ガートナーのワークショップにおける所見」(APP-13-170、2013年11月25日付)



戦略的プランニングの仮説事項:2017年までに従業員数規模2,000人以上の日本企業の60%が、パブリック・クラウドの電子メール・サービスを採用し、そのうち大部分がMicrosoftかGoogleのサービスを採用する。

分析:志賀 嘉津士

主要な所見:

  • ガートナーITデマンド・リサーチによると、従業員数規模2,000人以上の日本企業の中でパブリック・クラウド型の電子メール・サービスを何らかの形で採用している企業は、2012年5月時点で9.3%であったが、2013年同時期には18.8%に増加している。
  • ガートナーITデマンド・リサーチによると、従業員数規模2,000人以上の日本企業の中で、電子メールを「すべて自社所有にすべき」とする企業が17.0%から21.4%に増加し、「すべて外部サービスにすべき」とする企業も24.5%から28.6%に増加している。一方で、部門の業務の特徴に応じて適材適所でパブリック・クラウド型と自社運用型とを組み合わせる「混合型の電子メール・システムにすべき」と考える企業は、2012年は56.6%であったが、2013年には47.6%に減少している。
  • 金融機関など比較的情報セキュリティに敏感な業種では、クラウド型の電子メール・サービスを敬遠する傾向が強まっている一方で、サービス、流通、小売などを含む消費者向け (B2C)系の業種では、電子メールをすべて外部サービスにすべきという意向が高まっている。
  • 従業員数規模2,000人以上のガートナーの顧客企業との対話によると、パブリック・クラウド型の電子メールの導入を検討している企業の9割以上は、MicrosoftかGoogleのサービスに絞り込んでいる。

市場への影響:

従業員数規模2,000人以上の日本企業の中で、パブリック・クラウド型の電子メール・サービスを何らかの形で採用している企業は2013年には加速的に増加した。しかし、おおむね2割を占めると想定されるアーリー・アダプター層による採用は一巡したため、2014年以降の増加率は落ち着くが、拡大基調であることには変わりない。

2013年における推進要因としては、まず第一にサードパーティの成長が挙げられる。標準機能だけでは不足する機能をアドオン・ソフトウェアやテンプレートなどで補う方策が整備されたことや、特に大企業向けに他のシステムとのインテグレーションを提供するシステム・インテグレーターも経験を積んで成長した。また、価格競争激化に加え、ソフトバンクモバイル、KDDI、NTTドコモといった通 信3社がMicrosoftのOffice 365やGoogle Apps for Businessの販売権を取得し、テクノロジ・パートナーとも提携し、自社のネットワークとスマートフォン/タブレット端末を統合販売するモデルを作り上げたことも推進要因となった。こういったことから、この領域ではMicrosoftとGoogleの2社による寡占化の恐れも出てきた。

そうなると、日本の大企業にとっては米国系のプロバイダーしか選択肢がなくなるが、2013年夏の「スノーデン事件」で明らかになった、米国系のプロバイダーによる米国政府への情報提供の協力が自社に及ぼす影響を精査しなければならない。また、MicrosoftやGoogleと競合する日本国内の電子メール・サービス・ベンダーは、特定の特性を持つ(セキュリティに慎重な)業種や企業を対象とした自社運用型のビジネスにのみ注力したり、中規模市場で大手プロバイダーにはまねのできないきめ細かなサービスに注力するようになる。

推奨事項:

ユーザー企業向け:

  • 大企業がクラウド型の電子メール・サービスを導入する場合、この市場が既に米国系2社(MicrosoftとGoogle)の寡占状態に入りつつあり、今後さらにその状況が強まる傾向にあることを認識する。そして、この2社のいずれかを選定した場合、ベンダー・ロックインを覚悟で要件のカバー率を上げるべきか、またはベンダー・ロックインを回避する対策をとるべきか、慎重に吟味する。
  • ここに来て通信系有力リセラーの参入もあったことから、パブリック・クラウド型の電子メール・サービスの導入を検討するユーザー企業は、それぞれのサービスにおいてリセラーやパートナーが提供するアドオン・ソフトウェアやサービス、サポート体制の充実度などを含め、総合的な視点でプロバイダーを評価する。
  • 少数ベンダーの寡占状況の悪影響を回避できるよう、カスタマイズは最小限にとどめ、他社製品への容易な移行性を確保する。
  • 米国系のパブリック・クラウド・ベンダーが、本国法により米国政府に情報提供を行っていることが明らかになっているが、どこまで自社のビジネスに影響があるかについて契約時に説明を求める。

国内プロバイダー向け:

  • 一部の大企業市場と中堅・中小規模市場のニーズや利用形態は多様であるため、国内プロバイダーはこの場に注力し、外資系プロバイダーにはないサービス・メニューや、データセンターの開示や立ち入り調査を認めるなどのきめ細かい対応により、安心感につながる特徴を出す。

関連リサーチ:

「ツールキット:SaaSメール/コラボレーション・システム導入の判断基準とプロバイダー/リセラー絞り込みのためのチェックリスト」(BIIM-13-05、2013年8月15日付)

(下記のレポートを参照するには、ITデマンド・リサーチのサービスをご購入いただく必要があります)

「サーベイ・アナリシス:日本におけるクラウド型グループウェアの利用動向」
(DMCS/DMSS/DMVC-JA-DP-1313、2013年11月15日付)



戦略的プランニングの仮説事項:2017年までに、新たなデータソースやテクノロジを利用することによってビジネス効果が期待できる領域が明確になる一方で、日本のメディアやベンダーが「ビッグ・データ」という言葉を利用することはほとんどなくなる。

分析:堀内 秀明

主要な所見:

  • 過半数の企業は、ビッグ・データに対して「いわゆるITのバズワード」であると一歩引いた立場を引き続き取っている。
  • 日本国内におけるインターネットの検索キーワードとして、ビッグ・データは、2011年以降急速に注目度を増したが、2013年7月をピークに停滞傾向にある。
  • 国内のベンダー各社は、2013年を通じてさまざまな企業と実施してきた、ビッグ・データ関連ソリューションの概念実証(POC)の経験に基づき、提案のテーマを絞り込み始めている。

市場への影響:

ビッグ・データに関するベンダーからの発表やマスメディアの記事は、2011年以降急速に増加してきており、2013年12月現在、ビッグ・データという言葉の露出度は、極めて高い状況にある。大半のITリーダーがビッグ・データは「いわゆるITのバズワードである」と一歩引いた立場を取ってはいるものの、経営者層からは「わが社のビッグ・データ対応はどうなっているのか」というような質問が投 げかけられることも少なからずあると同時に、「ビッグ・データ対応」という名目であれば、比較的容易に予算を獲得できるという話すら耳にしたこともある。

しかし、これまで繰り返し指摘してきたとおり、ビッグ・データという言葉は、非常に曖昧かつ相対的なものであり、検討すべき具体的なテクノロジ、データ、方法論やアプローチが確立しているわけではない。そのため、企業がビッグ・データへの対応を進める上では、独自にデータ利用のシナリオを見いだし、効果を検証し、ビジネスの現場に定着させるという一連のプラクティスが必要となる。 しかし、多くの企業にとって、独自のデータ利用シナリオを見いだすことすら容易ではなく、具体的な行動を起こすことが困難になっている。ビッグ・データをビジネス機会と捉えるベンダー各社は、このような状況を打破すべく、ビッグ・データの可能性を探りたいというユーザー企業と2013年を通じて多数のPOCを実施し、ビジネス上の効果が得られそうなユースケースを見極め始めている。具体 的には、一般消費者向けにサービスや商品を提供する企業におけるマーケティング活動の強化や、設備や機器全般における予防保守の実現などが、有望なユースケースとして期待されている。

このようなユースケースが多数見いだされていく過程において、多様な関連用語やコンセプトを包含するアンブレラ・タームとしてビッグ・データという言葉が利用される頻度も徐々に低下し、2015年には半減、2017年にはほとんど使われなくなっていくものと考えられる。

メディアとベンダーの双方におけるビッグ・データという言葉の利用の激減により、「ビッグ・データ対応」というような曖昧な名目で新規プロジェクトを立ち上げたものの、自社におけるデータ利活用の新たなプラクティスが2015年時点で確立できていないといった企業では、データ利活用に対する経営者層の注目度が低下し、データ利活用に対するネガティブな印象が強まる恐れがある。

推奨事項:

  • 何がビッグ・データなのかと考える前に、どのような意思決定が可能になれば、自社の売り上げや利益の増大に直接貢献することができるのかを検討する。その後に、そのような意思決定がデータによって強化可能か、またそのようなデータが入手可能かを吟味する。
  • 実質的なビジネス効果が見込まれるデータ利用の新たなユースケースのアイデアがある場合、大きな投資を決断する前に、実際に効果が得られるかどうかを、ビジネス部門を巻き込み確認する。
  • 新たなユースケースのアイデアがない場合、ベンダー各社がビッグ・データ関連ソリューションを立ち上げるために、多くの投資と先行企業との多数のPOCを2013年を通じて実施してきているため、自社に展開できそうなソリューションの有無をあらためて確認し、自社における取り組みの参考とする。

関連リサーチ:

「企業のデータ活用力を強化するためにIT部門が今行うべき4つの取り組み」
(APP-13-103、2013年7月10日付)

「サーベイ・アナリシス:2013年のビッグ・データはハイプの背後に実際の計画がある」
(APP-13-175、2013年12月5日付)



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