ガートナー ジャパン
メインメニュー ホーム リサーチ コンサルティング ベンチマーク エグゼクティブ プログラム イベント 会社情報 メインメニュー
SAMPLE RESEARCH

サンプル・リサーチ

SAPで成功するためのペース・レイヤリング・アプローチ

アプリケーション (APP) /APP-13-178
Research Note
C. Hardcastle, D. Prior
掲載日:2014年2月4日/発行日:2013年12月13日

本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2014年3月10日(月)・11日(火)に開催する 「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション & アーキテクチャ サミット 2014」 のページを是非ご覧ください。(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます)

 

SAPを実装している多くの企業は、「ベスト・オブSAP」戦略、すなわちSAPベースの統合ソリューション戦略を採用している。ビジネスの焦点が差別化と革新をもたらす機能へと移行するに従って、ガートナーによるペース・レイヤリングのアプローチは、SAP中心のIT部門がこうしたビジネスのニーズに応えるためにアプリケーション戦略を改善し、実行する上で有益である。

要約

影響

  • SAP中心の戦略のみですべてのビジネス機能やITをサポートすることは困難であり、ビジネスの俊敏性や競争上の地位を妨げることになりかねない。
  • 差別化や革新をもたらす機能を無秩序に提供し、展開することは、結果的にITのコスト増や複雑化につながる。
  • 接続テクノロジを伴わないアプリケーションのペース・レイヤリング戦略は、差別化のための統合されたビジネス機能をもたらさない。

推奨事項

  • SAPの境界線を定義するアプリケーションのペース・レイヤリング戦略を策定する。
  • SAP ERP中心の組織、方法、プロセス、ツールを差別化システムと革新システムに適応させる。
  • SAPの記録システム・レイヤが効果的で、事業部門の期待どおりに機能していることを確認する。すべてのレイヤを通じて効果的でバランスの取れたガバナンスを実施する。
  • レイヤ間におけるソリューションのインタラクションを実現し、真の差別化機能を提供するソリューションを開発するために、接続テクノロジを実装する。

分析

IT部門は、テクノロジの活用により、安全でコスト効率に優れた環境で持続可能な差別化を確立し、革新的なビジネス・プロセスを推進するビジネス・アプリケーション戦略を、事業部門との密接な協力の下に策定しなければならない。CIOとITアプリケーション・リーダーは、こうしたニーズにスピードと俊敏性をもって対応しなければならない重圧を感じている。ガートナーによるアプリケーションのペース・レイヤリング戦略は、記録システム、差別化システム、革新システムという3つのレイヤに対処することで、リーダーの成功を支援する (備考1参照)。どの部分を差別化すべきか、そして当該機能をどのように提供するかについて、企業は賢明に対応できなくてはならない。

SAPの強みは統合にあると見なされることが多い。このことは、暗黙的にせよ明示的にせよ、多くの企業がベスト・オブSAP戦略 (SAPソリューションがビジネス要件を満たすデフォルトの選択肢とされる) を採用する主な理由である (図1参照)。将来的にSAP Business SuiteをHana上で運用するという選択肢が登場したため、企業はベスト・オブSAPのアプローチの影響をさらに受ける可能性がある。Hana内におけるリアルタイム分析を有効なビジネス・メリットと考える企業は、なおさらである。



図1 ベスト・オブSAP戦略におけるペース・レイヤの例

出典:ガートナー (2013年5月)



すべての企業がベスト・オブSAP戦略を追求しているわけではない。多くの企業は、SAPライセンス・モデルの複雑さという問題に直面し、SAP新製品の多くを高額であると感じている。また、20以上の統合された実稼働システムから成るSAPシステム環境を運用している企業であれば、運用上の問題を経験することもある。こうした企業はベスト・イン・クラス (かつては「ベスト・オブ・ブリード」と呼ばれていた) 戦略をあえて追求し、SAP導入の範囲を制限している (図2参照)。


図2 ベスト・イン・クラス戦略におけるペース・レイヤの例

出典:ガートナー (2013年5月)



中〜大規模の企業顧客とガートナーが行った対話を通じて、基本的な3つのアプローチが浮かび上がった。各アプローチと推奨される対策を以下に示す。
  1. 完全なベスト・オブSAP戦略: 全レイヤのソリューションを明確に描写する必要がある。SAPによる買収、クラウド・ベース・ソリューション、SAPプラットフォーム上のカスタム開発を含め、同社のロードマップやポートフォリオを慎重に精査しながら、新たな要件に関するSAPベースのソリューションの評価に着手する。SAPベースの選択肢によってビジネス・ニーズを満たせない場合には、他のベンダーやカスタム開発を検討する。

  2. SAP封じ込め戦略:SAPの展開を記録システムに限定する。他のペース・レイヤにおける新しいビジネス要件については、SAP以外のソリューションだけで対応する。

  3. ほぼベスト・イン・クラスの戦略: 一部の新しいSAPソリューションを限定的に配備する。


いずれの場合も、新たなソリューションの購入に当たっては、おそらく通常のビジネスにおける投資収益率 (ROI) 評価を経ることになる。ただし、既存のSAPライセンスと追加されるソリューションの価格設定によって、企業のアプリケーション戦略の定義とは矛盾する選択肢がさらに持ち上がる。例えば、多くの企業は、当初は使用しないSAPソフトウェアのライセンスを保有していることに気付いている。後日、さらなるビジネス・ニーズが確認されたときに、より簡易な統合ポイントを得られるという動機から、未使用であったSAPソリューションを活用しようとする (あるいは値引きされた新ソリューションを購入しようとする) 動きもあるとみられる。評価時には、ビジネス・ニーズ、複雑性、総合保有コスト (TCO) を慎重に検討すべきである。


アプリケーションのペース・レイヤリング戦略への移行によって、多くの企業は大きな変化に直面しかねない。数年にわたってSAPの記録システムを中心に投資や施策を行ってきた場合には、なおさらである。

企業におけるアプローチの選択に最も影響するとみられる動向として、以下がある。
  • コアの最適化:記録システムにおける複雑性の緩和や実装/運用コストの削減
  • 差別化のための最適化:迅速で俊敏な競争上の差別化に向けたビジネス上の意欲と圧力
  • 戦略的な要素のための最適化:マクロの動向による影響 (例:モバイル、アナリティクス、クラウド)
  • SAP活用の最適化:SAPロードマップ (例:Hana、クラウド、買収)


大多数の企業にとって最善のアプローチとは、ベスト・イン・クラスに移行し、差別化のために新しいSAPソリューションを限定的に配備し、接続テクノロジを活用することである (図3参照)。



図3 SAP環境のアプリケーション・ペース・レイヤリングにおける影響と主要推奨事項

出典:ガートナー (2013年5月)



影響と推奨事項


SAP中心の戦略のみですべてのビジネス機能やITをサポートすることは困難であり、ビジネスの俊敏性や競争上の地位を妨げることになりかねない
事業部門の関係者は、浮上するニーズに対するIT部門の即応力不足や、画一的なアプローチにいら立ちを募らせている。こうしたことは往々にして、IT部門の関与や明示的な戦略を伴わない (特にクラウド・ベースの) シャドー・ソリューションの購入につながる。アプリケーションとアプリケーション投資を階層化するペース・レイヤリング戦略は、事業部門を啓蒙し、支援する優れた手段になる (「Systems of Differentiation: Building Applications That Provide Competitive Advantage」および「ビジネス革新を加速するアプリケーションのペース・レイヤリング戦略」APP-12-29、2012年3月30日付参照)。ほとんどの企業においてSAPは、アプリケーション戦略の基盤となる要素として、標準化されたプロセス、データ、情報を少なくとも記録システム・レイヤで提供し続けることになりそうである。企業とアプリケーション戦略の成熟における重要な一歩とは、差別化と革新のニーズのために、SAPソリューション、SAPエコシステム・パートナーのソリューション、そして他の (SAP以外の) 専門ベンダーのソリューションやカスタム開発のソリューションを検討しなければならない場合がある点を認識することである。

ここ数年間にSAPが行った買収 (例:SuccessFactors、Ariba)、戦略的な開発 (例:Hana)、SAPエコシステムの拡大 (例:SAP Mobile Platformなどの機能を活用した、パートナーによる新たな開発) のために、SAP採用の選択肢はこれまでになく多様化しており、意思決定はSAPか、SAP以外かといった二者択一的なものではなくなっている。HanaベースのSAP Business Suiteの発表は、新たな処理能力によって、差別化と革新につながる高度なビジネス機能が提供され得ることを示した1つの例である (「SAPユーザーに大きな影響を及ぼすSAPのBusiness Suite on Hana」APP-13-73、2013年5月24日付参照)。

SAPが社内の支配的なアプリケーションである環境においては、IT部門がたいてい組織、スキル、プロセス、支援ツールやテクノロジをSAP中心にしているが、それは結果的に複雑で非効率なIT運用モデルになる。SAP中心の例とは、アプリケーション部門の中心を占めるSAP Competency Center、大量のSAPアウトソーシング、高度なウォーターフォール方式のSAP ERPを中心とした手法、細分化された開発とコンフィギュレーションのプロセス、広範なテストとコントロールのメカニズム、数週単位ではなく数年単位で計画されるリスク回避とプロジェクトなどである。これらのいずれも、ITの俊敏性や新たなビジネス要件への即応性を阻害しかねない。


推奨事項:


  • SAPの境界線を定義するアプリケーションのペース・レイヤリング戦略を策定する。そのために、IT部門とITリーダーは以下のような対策を主導する。

    -アプリケーションのペース・レイヤリング戦略の概念を事業部門に浸透させる。企業は、ベスト・オブSAPとベスト・イン・クラスというSAP活用法の両極の間で、自社にとって好ましい立場を判断しなければならない。

    - SAPはSAP Business Suiteを最終到達点としてきた従来の戦略を変更しているため、同社のロードマップと変化するソリューションのポートフォリオを把握する。IT部門は、SAPの戦略、開発、エコシステムの最新情報を把握し、それらの評価を新たなライセンス購入時に行い、SAPの戦略に対する時代遅れの理解によって窮地に陥らないようにする。

  • 今日の環境を明確に把握するために、SAPエンタプライズ・アプリケーションとSAP以外のエンタプライズ・アプリケーションを3つのペース・レイヤに対応付ける (「Use Gartner's Pace Layer Business Domain Toolkits to Diagram Current and Plan Future Applications」参照)。「Toolkit: Application Fitness and Value Review」では、アプリケーションのペース・レイヤリング戦略を策定し、体系的に維持していくための詳細なプロセス、指示事項、テンプレートを示している。

  • SAP記録システム中心の組織、方法、プロセス、ツールを、(SAPまたはSAP以外のソリューションのいずれであれ) 差別化システムと革新システムに適応させる。ペース・レイヤに対応付けられた環境の運用モデルを再開発するために、IT部門は以下を行う。

    - 差別化レイヤと革新レイヤをサポートするために必要なIT部門の体制、スキル、能力について検証する (「Pace-Layered Application Strategy and IT Organizational Design: How to Structure the Application Team for Success」参照)。IT部門は、スイート・ベースの大規模なSAP組織となる場合もあれば、クラウド・ソリューション (例:SuccessFactors、クラウドの人的資本管理 [HCM]) や、重要不可欠な接続テクノロジ (備考2参照) の統合/開発 (例:統合プラットフォーム、ビジネス・プロセス管理スイート [BPMS] ツール) といった分野の能力によって差別化された組織となる場合もある。スタッフの配属やソーシングは、企業がベスト・オブSAPとベスト・イン・クラスの間のどこに自社を位置付けるかに大いに影響を受ける。

    - ITの手法、プロセス、ツールに関して、既存のものを変更したり、新しく用意したりする場合の要件を判断する。この結果、何らかの要件が排除されることはまれであるが、追加される可能性はある (例:大規模なSAPパッケージ・プロジェクト向けのウォーターフォール方式を維持しつつ、アジャイル・カスタム開発向けのスクラム手法を追加する)。新しい支援ツールも必要になる可能性がある (例:アプリケーション・パフォーマンス・モニタリング・ツール、SAP Solution Manager)。


差別化や革新をもたらす機能を無秩序に提供し、展開することは、結果的にITのコスト増や複雑化につながる
暗黙的なベスト・オブSAP戦略と暗黙的なベスト・イン・クラス戦略の間で揺れ動く状況では、結果的にアプリケーション投資のコントロールを失わないために、管理された計画と実行が必要である。無秩序なアプリケーションの展開によって膨張したアプリケーション・ポートフォリオを管理する負荷が増すと、SAP環境のコストと複雑性が増大する可能性がある。複雑性はビジネスの俊敏性にとって障壁になりかねない。適切で成熟したSAP環境におけるガバナンスは、一般的に厳格な規則が定められており、しばしば過剰なほど官僚主義的に感じられる。革新を促進するために、企業は時にベンチャー企業家のような手法で運営されることがある。つまり、個人や小さなチームがアイデアを提案し、小規模な会議体で出資を検討した上で、そのアイデアが検討を経て企画化される。その後、全体的なアプリケーション環境、サポート要件、長期的な保有コストに及ぼす影響が必ずしも完全に把握されないまま、対応するポイント・ソリューションが実稼働環境に投じられる。


推奨事項:

  • SAPの記録システム・レイヤが効果的で、事業部門の期待どおりに機能していることを確認する (「Use the Right Tools to Measure the Effectiveness of Your SAP Systems」参照)。ほとんどの場合、SAPの記録システム・レイヤによる堅牢な基盤の確立は、差別化システムや革新システムに着手する前に達成すべき基本的な手順であり、差別化/革新システムを記録システム・レイヤに統合する場合は特にそうである。堅牢な基盤を確保するためには、以下に挙げるいくつかの手順を踏まなければならない。

    - 必要に応じて、SAPインスタンスの最適化または統合を完了する。堅牢な基盤を確保することは、必然的にビジネスとITの大幅な変更を伴う大規模プロジェクトになるからである (「How to Streamline SAP Instance Consolidation Projects」参照)。

    - 付加価値のないSAPのカスタマイズを排除するか、他の方法に置き換える。差別化と無縁のビジネス・プロセスや機能には、標準のSAP機能を採用するようにし、該当するビジネス・プロセスも変更する。

    - 記録システムの最適化に役立つ場合は、標準のSAP製品やSAP Enhancement Packageを使用する。SAPの新しい標準Business Process Analyticsツールも、既製の主要パフォーマンス指標 (KPI) を活用して潜在的なエラーや効率性の改善を特定できるため、コア・ビジネス・プロセスの改善に役立つ (「Have You Discovered the SAP Solution Manager 'Crown Jewels'?」参照)。

    - 適切な保守と開発のプロセスを実装する。SAPの記録システム・レイヤには継続的な安定性を確保するために堅牢なプロセスが必要であり、差別化システムと革新システムには、より俊敏なプロセスが必要である (「Optimizing Your SAP Change Management Process」および「Application Maintenance Challenges of Complex SAP Landscapes」参照)。

    - 安定した基盤をサポートするために、外部サービス・プロバイダーとのSAPソーシング契約を発展させる。

  • すべてのレイヤを通じて効果的でバランスの取れたガバナンスを実施する。アプリケーションのペース・レイヤリング戦略は、ビジネス機能に対してどのソリューションを展開すべきかを示す参照モデルとする。差別化や革新のニーズについては、この戦略が遵守される限り、(記録システムよりも) 緩やかなガバナンスを採用することもできる (「Pace-Layered Application Strategy for Governance and Change Management」参照)。


接続テクノロジを伴わないアプリケーションのペース・レイヤリング戦略は、差別化のための統合されたビジネス機能をもたらさない
SAPの境界線を定めるアプリケーションのペース・レイヤリング戦略が明確に定義され、遵守されていることや、接続テクノロジをどのように実装し、維持しているかは、俊敏性とコントロールを得て、不必要な複雑性を制限するための鍵である。SAPスイートが支配的な多くの企業では、プロセスとデータの整合性を確保するためにスイートに依存してきた。ポイント間インタフェースの拡散がもたらす複雑性が、結果として膨大なテスト、エラーのリスク、ひいては俊敏性の欠如につながっているという事例がある。こうしたことは、各プロジェクトが、接続テクノロジ向けの共通インフラストラクチャとしてではなく、個別に出資されている場合に顕著である。

SAP NetWeaver Process IntegrationやSAP以外の他の統合プラットフォーム (「体系的なアプリケーション統合プロジェクト向けアプリケーション・インフラストラクチャのマジック・クアドラント」APP-13-11、2013年1月25日付参照) などの重量級の統合ツールは、安定したアプリケーションの体系的な統合に最適である (例えばSAPの記録システム・ソリューションを、SAP以外の記録システムや場合によっては差別化システムに統合する)。一方、より俊敏であまり複雑ではない統合ツールは、SAPと動的な革新システム (クラウド・ベース・アプリケーション) の統合に適した選択肢である。

IT部門は、SAPのパッケージ・ソリューションによって、あるいはサードパーティの一般商用 (COTS) パッケージ製品によってでさえ、差別化機能を提供することはできない。差別化というその定義のとおり、(多数の企業向けに作成/展開される) パッケージ・ソリューションの大半は、差別化ソリューションを作成するためのプラットフォームにしかならない。ビジネスに俊敏性やスピードが求められる中で、ITがそのニーズに応えるためには、プラットフォーム、ツール、アプローチを拡張し、新たなソリューションを創造しなければならない。差別化システムのレイヤでは、これを実現するさまざまな選択肢が利用可能である。IT部門にとっての課題は、事業部門にとって最も効果的な選択を下すことである。企業はおそらくそれぞれ独自の選択を下すことになる。


推奨事項:

  • レイヤ間におけるソリューションのインタラクションを実現し、プロセスとデータの整合性を維持するための接続テクノロジを選択する。アプリケーションのペース・レイヤリング戦略の実施に必須とされる接続テクノロジの多くは、既に社内で活用されている場合があるが、それらの実装やガバナンスを以下のように発展させる。

    - SAPのアプリケーション戦略に重点的に取り組んでいる企業の場合、SAPと他のアプリケーションを統合するテクノロジとして、商業的にもスキルの観点からもNetWeaverが説得力のある明白な選択肢となる。SAPのミドルウェアとアプリケーションの運用に共通のスキルを活用できることが主な理由である。しかし、SAPをデフォルトの選択肢としないアプリケーションのペース・レイヤリング戦略においては、統合関連のスキルがより重視される。

    - 二重の統合プラットフォーム・アプローチを検討すべきである。つまり、大容量のSAPと記録システムの統合には重量級の統合プラットフォームを使用し、SAPをより俊敏で動的な差別化システムや革新システムと統合する際にはより軽量な統合プラットフォームを使用する。SAP中心の環境向けには、SAP NetWeaver Gatewayが軽量なソリューションになる。開発プラットフォームとしてのSAP Hanaでは、SAPとクラウド・ベース・ソリューションの統合を目的とするソリューションによって、アプリケーション統合におけるSAPの能力をさらに拡張することが可能になる。プロセスとデータの統合を組み込んだSAP Hanaのクラウド統合オファリングを評価する。

    - アプリケーション統合ソリューションを評価するIT部門は、ある統合プラットフォームから別のプラットフォームへ移行する経済的なビジネスケースの実現という課題に対し、安定したソリューションと俊敏なソリューションという統合ニーズの双方のバランスを調整する。

  • 真の差別化機能を提供するソリューションを開発するための接続テクノロジを評価するとともに、IT部門は以下を行う。

    - ビジネスの競争と勝利に必要な差別化機能を理解するために、事業部門に集中的に関与する。IT部門は、差別化のアプローチをどこに展開することが最善かを判断しなければならない。

    - Hana開発プラットフォームを基盤とする、分析アプリケーション向けのメモリ・ベース・システムの独自開発を検討する (例:グローバルなサプライチェーン最適化)。

    - アプリケーションと人間にまたがるワークフローの調整を通じて、プロセスのギャップを埋め、いっそうの差別化を実現するために、BPMS (Business Rules Managementを含むSAP NetWeaver BPM、またはサードパーティ・ソリューション) の採用を検討する (「Liberate Your Business Processes From Your ERP With BPM for Agility」参照)。

    - SAPの記録システム機能を生かしつつ、コモディティ機能を独自の方法で組み込んだコンポジット・アプリケーションを開発するために、SAP NetWeaver Process Orchestrationまたはサードパーティ・ツールの採用を検討する。



推奨リサーチ

  • 「ペース・レイヤに対応したアプリケーション戦略への着手法」(APP-11-81、2011年8月10日付)
  • 「ペース・レイヤリングをERP戦略に適用する」(APP-12-69、2012年7月10日付)
  • 「Best Practices for Implementing a Pace-Layered Application Strategy」
  • 「ペース・レイヤによるSAP ERP投資のビジネス価値向上」(APP-11-99、2011年10月7日付)

備考1 アプリケーションのペース・レイヤ
ガートナーが定めるアプリケーションのペース・レイヤは、以下の3層から成る。
  • 記録システム:中核的なトランザクション処理をサポートし、企業の重要なマスタ・データを管理する、成熟度の高いパッケージ型アプリケーションや自社製のレガシー・システム。プロセスが既に確立され、ほとんどの企業で共通しているため、変更のペースが遅く、また法規制上の要件が適用される場合が多い。
  • 差別化システム:企業固有のプロセスや業界固有の機能を実現するアプリケーション。ライフサイクルは中程度 (1〜3年) であるが、頻繁に再構成して、ビジネス・プラクティスや顧客要件の変化に対応する必要がある。
  • 革新システム:新たなビジネス要件や機会に対処するために特別に構築される新規アプリケーション。一般的にプロジェクトのライフサイクルは短く (最大12カ月)、部門単位または社外のリソースと消費者向けテクノロジが使用される。
備考2 接続テクノロジ
接続テクノロジは、アプリケーションのペース・レイヤリング戦略において3つのレイヤ間のインタラクションを実現する。接続テクノロジは一般的に、アプリケーションを連結したり、アプリケーションの価値を高める手段を企業に提供したり、現行ポートフォリオを基盤として新たな機能を生み出したりするツールである。接続テクノロジに含まれる一般的なテクノロジとしては、ビジネス・インテリジェンス、企業パフォーマンス管理、企業情報管理、SOAなどが挙げられる (「SOA Enables a Pace-Layered Approach to Applications」参照)。


(監訳:本好 宏次)
APP: APP-13-178


※本レポートの無断転載を禁じます。

←INDEXに戻る

 

gartner.com
TOP OF PAGE
Copyright