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SAMPLE RESEARCH

サンプル・リサーチ

クラウド/オンプレミスのハイブリッドERP環境で統合を管理する際のベスト・プラクティス

アプリケーション (APP) /APP-13-125
Research Note
N. Rayner
掲載日:2014年1月21日/発行日:2013年8月23日

本リサーチ分析レポートのテーマに関心をお持ちの方は、2014年3月10日(月)・11日(火)に開催する 「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション & アーキテクチャ サミット 2014」 のページを是非ご覧ください。(イベント終了後も開催実績としてご覧いただけます)

 

クラウドの魅力により、多くの企業がオンプレミスERPを補強するクラウド・ベース・アプリケーションを採用し、ERPのコア要素をクラウドへと移行させている。CIOとERPリーダーは、こうしたハイブリッドERP環境を想定した統合戦略を準備する必要がある。

要約

主要な課題

    ● 力の結節 (Nexus of Forces) により、オンプレミスのERPアプリケーションと共存し、統合する必要があるクラウド・ベースのビジネス・アプリケーションの採用が推進されている。このようなERPのハイブリッド化は、クラウド・アプリケーションを部門単位で購入することにより、事前の警告なく生じることがある。

    ● CIOとアプリケーション・リーダーは、ハイブリッドERP環境について計画するために現在のERP戦略を再検討する必要がある。単一のベンダー、単一の製品戦略を追求することはほとんど不可能である。

    ● ハイブリッドERP環境における統合では、既存の統合テクノロジの選択を再検討しなければならない。クラウド・アプリケーションの統合テクノロジ (およびベンダー・ロードマップ) は発展し、変化しているため、これは困難な取り組みとなる。
推奨事項
CIOとERPリーダーは、以下のことを行う。
    ● 今後5年間のハイブリッドERPシナリオを定義する (主にクラウド拡張機能を伴うオンプレミスのコアERP、オンプレミス/クラウドの拡張機能とフィーダ・システムを組み合わせたクラウド/オンプレミスのコアERP、クラウド・アプリケーションとオンプレミス・アプリケーションの可変的なポートフォリオ)。

    ● ビジネス・アプリケーション・ベンダーによって提供されるクラウド・サービス統合 (CSI) 機能、追加コスト、ロードマップを理解する。また、既存の統合ベンダーのCSI機能を注視する。

    ● 5年単位の自社のハイブリッドERPシナリオに基づいて、CSIへのアプローチを定義する。

    ● CSIをどのように接続テクノロジ戦略に組み込むかを特定するために、ペース・レイヤリング・アプリケーション戦略を活用する。

はじめに
ERPを単一ベンダーから調達されるエンド・ツー・エンドの統合プロセス・スイートと見なす従来の考え方は、過去10年間プレッシャーにさらされ続けてきた。なぜなら、多くの企業がERPを維持するコストと複雑性に直面し、ベンダー主導のアップグレード・サイクルへの対応にも苦心していたためである。クラウド・ベースのビジネス・アプリケーションの登場によって、このプレッシャーは過去5年間でさらに増大した。ERPリーダーは現在、タレント・マネジメント (Oracle Taleo Cloud Services、SuccessFactors)、E-Procurement (Ariba、Coupa)、出張/経費管理 (Concur、Infor) などの分野での新興のクラウド・ベンダーによってERPフットプリントの大きな要素が課題に直面し、置き換えられつつあることを確認している。過去2〜3年には、NetSuite、Plex Systems、Workdayといったベンダーが、財務、製造、業務、人事などのERPのコア分野で、中規模および大規模の企業にとって存続力のある企業となった。大手ベンダーも、ハイブリッドERPに関して存在感を示している。SAPは、独自のクラウド・オファリング (SAP Cloud for Travelなど) を開発し、クラウド・ベースのコア財務アプリケーションとしてERPスイートであるSAP Business ByDesignの財務モジュールを販売している。また、SAPは、SuccessFactorsとAribaの両社を買収した。Oracleは、ERPのコア要素 (クラウド・ベースの財務および人材管理 [HCM]) として、または他のERPソリューションとの共存モードによって、Oracle Fusion Applicationsをクラウドで提供している。また、OracleはTaleoを買収した。

このような発展は、ERPが現在のモノリシックなソリューションから、自律的で可変的に組み合わせられる個別のコンポーネントへと長期的に移行していく一環である (「Hype Cycle for ERP, 2012」参照)。しかし、こうしたERPアプリケーションの将来的な状態が成熟するまでには、5〜10年かかる。その間に企業は、一部の機能コンポーネントがクラウド・サービスとして提供され、その他のコンポーネントがオンプレミスで維持/管理されるハイブリッドERP環境の管理に直面する。これにより、新しい統合上の課題が生じる。また、ユーザーがIT部門に連絡せずにクラウド・ベースの業務用ソリューションの利用契約を結ぶため、多くのCIOやERPリーダーは不意を突かれることになる。

CIOとERPリーダーは、「混沌とした」新しい世代のクラウド統合に困惑することがないように、ERP環境のハイブリッド化を想定しておく必要がある。以下のベスト・プラクティスは、現在実行しておくべき行動を理解するために役立つものである。


分析

今後5年間のハイブリッドERPシナリオを定義する
CIOとERPリーダーは、自社のERP戦略を直ちに再検討し、今後5年間にERP環境がどのようになるかを定義する必要がある。次の3パターンのハイブリッド・シナリオが考えられる。
    1. オンプレミスのコアERPとクラウド・ベースの拡張機能:ERPのほとんどはオンプレミスにとどまるが、タレント・マネジメント、買掛請求自動化、出張/経費管理といった一部の分野は、クラウド・アプリケーションによって補強される可能性がある。このシナリオの場合、クラウド・アプリケーションの数は比較的少ないままであり、既存のオンプレミスERPアプリケーションがアプリケーション・ポートフォリオの大半を占める。

    2. オンプレミス/クラウドの拡張機能とERPフィーダ・システムを組み合わせたクラウド/オンプレミスのコアERP:コアERP要素の一部 (中核的な財務アプリケーション、人事/福利厚生管理、製造/オペレーションなど) は、クラウドに移行済みか、または今後2〜3年間にクラウドに移行する。このクラウドとオンプレミスによるコアERPの組み合わせは、(上記のシナリオ1のように) クラウド・ベースの可能性があるベスト・イン・クラスのソリューションによって補強され、ほとんどがオンプレミスと思われる既存のフィーダ・システム (備考1参照) と統合する必要もある。

    3. クラウド・アプリケーションとオンプレミス・アプリケーションの可変的なポートフォリオ:ERP戦略によって、クラウド・アプリケーションの採用を増やすことができるが、オンプレミスに残るアプリケーションとクラウドに移行するアプリケーションの間には、明確な境界線が引かれていない。(一部のクラウド業務用アプリケーションが既に使用されている可能性があるが) この段階で特定のアプリケーションとベンダーに関する明確な決定は下されていない。このシナリオ下にある企業は、クラウドに移行するアプリケーションとその順序を必ずしも定義しない「クラウド・ファースト」戦略を取ると述べることが多い。
オンプレミスのみのアプローチを追求する企業は、少数となる。この場合、統合要件は変わらない。しかし、安定した状態にあると考えている企業も、今後5年間に (特にユーザーから) ハイブリッドERPモデルの採用を求めるプレッシャーにさらされることを想定すべきである。

上記のシナリオは、企業のアプリケーション統合戦略に影響を及ぼすため、重要である。すべてのシナリオにCSIがかかわってくる (ガートナーではCSIの定義を、「個別に設計されたクラウド・サービスとオンプレミス・システムの連携を実現するために必要な一連のベスト・プラクティス」としている)。多くの場合、ハイブリッドERP環境には、CSIに対する戦略的アプローチがない。これは、ビジネス・ユーザーが、IT部門に連絡することなく、クラウド・ベースのビジネス・アプリケーションの利用契約を結んでいるためである。例えば、クラウド・ベースのタレント・マネジメント実装の約35%は、オンプレミスのコアERPアプリケーションと正式に統合されていないとガートナーでは推計している (その代わりに、ユーザーが手動でデータを入力し直している)。CIOとERPリーダーは、ハイブリッドERPでCSIに対するより戦略的なアプローチが必要であることを示すために、この状況を生かすべきである。

ビジネス・アプリケーション・ベンダーが提供する統合機能、追加コスト、ロードマップを理解する
さまざまなハイブリッドERPシナリオでCSIにアプローチする方法を決定する前に、利用可能な統合テクノロジの範囲を事前に特定しなければならない。すべてのビジネス・アプリケーション・ベンダーは、そのソリューションの一環として広範な統合機能を提供している。CSIをサポートするには、ビジネス・アプリケーション・ベンダーが提供しているオプションを理解することが重要である。一般的に、オプションは次のカテゴリに分類される。
    データのインポート/エクスポート:ファイル転送または単純なバッチ・ロード・プロセスを使用して、アプリケーションとの間で特定のデータを抽出/インポートできるパラメータ駆動型の機能である。例えば、ほとんどのERP財務アプリケーションは、(通常は、.csvファイルまたはExcelスプレッドシートとして) 何らかの形式の仕訳インポート/エクスポート機能を備えている。これにより、ユーザーはIT部門のサポートをほとんどまたはまったく受けずに、比較的単純なツールを使用して、少量のデータ転送を実行できる。こうした機能は、単純なマスタ・データ転送 (コストセンターまたは従業員のリストなど) も実行でき、初期データ・ロードに使用されることがある。

    アプリケーションとプロセスに固有のコネクタ:多くのビジネス・アプリケーション・ベンダーは、特定のアプリケーション間でマスタ・データとトランザクション・データを転送するポイント・ツー・ポイント・コネクタを提供している。また、2つのシステム間でプロセスを実行できるように、エンド・ツー・エンドのプロセスがサポートされている場合もある。これらのコネクタは、ベンダー、または (場合によっては) システム・インテグレーター・パートナーによって構築/提供される。このようなコネクタはERP環境で一般的であったが、現在は「クラウドストリーム」として提供されるケースが増えている。クラウドストリームは、ユーザー部門が購入し、セルフサービス・モードで配備、構成、実行できるパッケージ・クラウド・サービスとして、適切に定義された統合要件を実装する。例として、OracleのTalent Coexistenceクラウドストリームがある。これは、Oracle Fusion HCMアプリケーションの要素と、OracleのE-Business Suite、PeopleSoft、JD Edwardsのオンプレミス実装間の統合を実現する。

    ミドルウェア・ベースの統合:幅広いミドルウェア・プラットフォーム・オファリングの一部として、独自の統合ミドルウェアを提供しているビジネス・アプリケーション・ベンダーもある。ユーザーは、ミドルウェア・プラットフォームによって独自のアプリケーション間の統合を構築できる。NetSuiteやWorkdayなどのクラウド・アプリケーション・ベンダーは、サービスとしてのソフトウェア (SaaS) の一部として、サービスとしての統合プラットフォーム (iPaaS) を提供している (「What IT Leaders Need to Know About Integration PaaS for Cloud Services Integration (and More)」参照)。一方、SAPは、Hana Cloud PlatformにiPaaS機能を組み込んでいる。
サードパーティのミドルウェアおよびiPaaSとビジネス・アプリケーション・ベンダーを比較して評価する必要があるため、当該ベンダーが上記すべての分野で提供している機能を理解することが重要である。既存の統合ベンダーはビジネス・アプリケーション・ベンダーが提供する機能に対して代替機能を提供する可能性があるため、そうしたベンダーのロードマップを注視すべきである。

また、ビジネス・アプリケーション・ベンダーのポートフォリオはますますクラウドへと移行しているため、統合機能も変化している。したがって、ビジネス・アプリケーション・ベンダーの今後のロードマップも理解しなければならない。例えば、SAPは当初、クラウド・ベースのSuccessFactors BizX SuiteとSAP ERP HCMをリンクするためにファイル抽出機能とオンプレミス・コネクタを提供していた。現在では、オンプレミスのSAP NetWeaver Process Orchestrationミドルウェア機能を使用したプロセス統合シナリオも提供している。さらに2013年には、間もなくリリースされるSAP Hana Cloud Integration iPaaSの一環として、クラウドストリーム統合とより広範なiPaaS機能をロールアウトする。CIOやERPリーダーにとっては選択肢の範囲が変化し続けるため、ビジネス・アプリケーション・ベンダーの統合機能を採用するかどうかの判断や、時期の決定が困難になる。例えば、SuccessFactorsは、SAPによって買収される前にDell Boomiを使用して複数のクラウドストリームを実装していた。SAPは、これらのクラウドストリームのサポートを継続する一方、ネイティブの統合プラットフォームでもクラウドストリームを提供する (オンプレミスのSAP NetWeaver Process Integrationと間もなくリリースされるSAP Hana Cloud Integrationの両方)。また、これらによって追加のライセンス料が生じる可能性があるため、CIOやERPリーダーは、既存ライセンスの対象となる機能が存在する場合は、それを特定しなければならない。

5年間のハイブリッドERPシナリオに基づくCSIアプローチの定義
ERPのハイブリッド化によって、既存のアプリケーション統合戦略はさらに複雑になる。ビジネス部門は、IT部門に連絡することなく、特定のビジネス課題に対するERP固有のアドオンまたはベスト・イン・クラスのソリューションのいずれかとしてクラウド・アプリケーションのライセンスを取得するため、多くの場合、この複雑性は前置きなく生じる。したがって、CSIに関して、現在および将来のアプリケーション統合戦略に対するハイブリッドERPの影響を想定することが重要である。ガートナーでは、CSIの主要な課題を特定している (「What IT Leaders Need to Know About Cloud Services Integration: Proactively Address the Challenge」参照)。各ハイブリッドERPシナリオに対して、それらの課題から得た教訓を生かす必要がある。

シナリオ1 (オンプレミスのコアERPとクラウド・ベース拡張機能) は、クラウドと「地上」の間のCSIである。このCSIにおいて、「地上」のオンプレミス・アプリケーションはハブであり、クラウドの拡張機能はスポークである。一般に、このシナリオの統合上の課題は比較的単純であり、ガートナーでは次のアプローチを推奨している。
    ● 少数のクラウド・アプリケーション (一般に5つ未満) を伴うオンプレミスのコアERP:データのインポート/エクスポート、オンプレミス・コネクタ、クラウドストリームのいずれかによって、ポイント・ツー・ポイント統合を活用する。バッチ・データ転送ではなく、よりプロセス指向の統合が必要な場合は、コネクタ/クラウドストリームの使用が望ましい場合がある。クラウド・アプリケーションをさまざまなベンダーから調達し、ERPベンダーが特定のコネクタを提供していない場合は、クラウド・ベンダーのクラウドストリームを使用することが望ましい。いかなる作業も伴わずに、パッケージ・クラウドストリームがすぐに動作すると想定すべきではない。パッケージ・クラウドストリームの完成度は70〜80%である場合が多く、時には50%程度にとどまることもある。したがって、パッケージ・クラウドストリームの利用を決定する場合は、そのパッケージ化された統合機能で自社の要件をすべて満たすために、どのように予算を計上するか把握していなければならない。

    ● 多数のクラウド・アプリケーション (一般に5つ以上) を伴うオンプレミスERP:このケースでは、より戦略的なアプローチが必要である。ポイント・ツー・ポイント統合は、短期的にはうまくいく可能性があるが、アプリケーションの数が増えるにつれて、さまざまなインタフェースをサポートするコストと複雑性が増大する。この場合は、オンプレミス統合ミドルウェア、または可能であればiPaaSの使用を検討する。一般に、オンプレミスに重心を残すのであれば、オンプレミス統合ミドルウェアを使用することが妥当である (特にERPベンダーのミドルウェアを使用する場合)。しかし、オンプレミスのコアERPに複数のクラウド・アプリケーションを統合する戦略的な方法として、iPaaSは検討に値する。企業で既に採用している可能性があるサードパーティiPaaSとともに、ERPベンダーのiPaaSオファリングを評価すべきである。複数のクラウド・アプリケーションが同じPaaSを使用している場合は、クラウド・アプリケーション・ベンダーのiPaaSも実行可能なオプションとなり得る。オンプレミス・ミドルウェア (すべてのオンプレミス統合を調整する) に対するクラウド「ゲートウェイ」として、iPaaSの使用を検討することもできる。コアERPのハブがオンプレミスに残る一方、クラウド・ベースのスポーク・アプリケーションの数が増加する可能性が高い場合は、このアプローチが妥当である。

    また、ハイブリッド統合のアプローチを検討することもできる。このアプローチでは、統合要件が複雑ではない場合に、クラウド・アプリケーションとの少数のポイント・ツー・ポイント統合を引き続き利用する (オンプレミスのERP財務アプリケーションとクラウド・ベースの買掛請求自動化ソリューションのリンクなど)。しかし、クラウド・アプリケーションがERPベンダーによって提供される場合は、より複雑な統合に対してミドルウェア/iPaaSを使用する。

シナリオ2 (オンプレミス/クラウドの拡張機能とERPフィーダ・システムを組み合わせたクラウド/オンプレミスのコアERP) は、クラウド間と地上とのCSIが必要であるため、より複雑である。なぜなら、一部のハブ・アプリケーションがクラウドにあり、クラウド・ベースのスポーク・システムと統合する必要がある一方で、そのクラウド・ハブ・アプリケーションは、オンプレミスのハブ・アプリケーションとも統合しなければならないからである。例えば、ある企業では、クラウド・ベースのタレント・マネジメント・アプリケーションとコア人事システムを利用しているが、財務アプリケーションはオンプレミスに残っているとする。この場合、タレント・マネジメント・アプリケーション (クラウド) は人事アプリケーションと統合する必要があり、その上で人事アプリケーションはオンプレミスの財務アプリケーション (地上) と統合する必要がある。このシナリオではその他の統合も必要だが、明確なハブ・アプリケーションがないために、CSIの観点では統合がより困難になる。

シナリオ2では、複数のクラウド・アプリケーションとオンプレミス・アプリケーションを扱う可能性があるために、iPaaSが論理的で戦略的なアプローチだと思われることがある。しかし、この方法では課題が生じる恐れがある。財務または人事など、ERPのコア・コンポーネントをクラウドに移行した後に、クラウド・アプリケーションは、コアERPにデータを供給するスポークではなく、統合のためのハブへと変化する。この結果、クラウド・ハブのコアERPシステムにリンクしているクラウド・ベースのスポーク・アプリケーションの一部に加えて、地上ベースのシステムもコアERPシステムにデータを供給することから、クラウド間と地上との統合が複雑になる。この状況は、多くのレガシーおよび他のオンプレミス・フィーダ・システムを備えている場合がある財務アプリケーションに、特に当てはまる。WorkdayやNetSuiteなどのクラウドERPアプリケーションのベンダーは幅広いPaaSオファリングの一部としてiPaaSを提供しており、戦略的アプローチを提供する候補企業となり得る。しかし、これらはDell BoomiやIBM WebSphere CastIron LiveなどのサードパーティiPaaSソリューションとも比較すべきである。

ハブ・クラウド・アプリケーションを経由するトランザクションとデータの量は、iPaaSの利用を決定する際に重要な要素となる。特定のクラウドERPシステムが企業内の大部分のトランザクション・データを処理する場合、当該ベンダーのiPaaS (提供されている場合) を利用することが強く推奨される。しかし、iPaaSオファリングは一般的に大容量の統合シナリオには使用されない点に注意されたい。したがって、そのiPaaSがトランザクション量を処理できることを確認するために、既存の顧客事例をチェックし、必要に応じてパイロット・テストを実施する。

シナリオ3 (クラウド・アプリケーションとオンプレミス・アプリケーションの可変的なポートフォリオ) では、明確に優勢なハブ・アプリケーション (クラウド、オンプレミスのいずれか) がないため、特定のERPベンダーのオンプレミス統合ミドルウェアまたはiPaaSに対して戦略的にコミットすることは賢明ではない。この場合、理想的には、オンプレミス機能とiPaaS機能の両方を提供しているベンダーのサードパーティ・ミドルウェアを使用するのが妥当なことがある。これにより、アプリケーション・ポートフォリオが変化するにつれて、統合機能のバランスを変えることができる。このシナリオでは、クラウド・サービス・ブローカー (CSB) の統合仲介サービスの利用も検討する価値がある。しかし、このようなプロバイダーの利用はまだ成熟過程にある (「Hype Cycle for Cloud Services Brokerage, 2012」参照)。また、(ニッチ・ベンダーや専業ベンダーによる多数のクラウド・ビジネス・アプリケーションがあるため) CSBが、展開され得るすべてのクラウド・アプリケーションに対して、「すぐに利用可能な」サービスを提供する可能性は低い。したがって、このオプションはコストがかさむ場合がある。一方で、自社のIT部門がクラウド間およびクラウドと地上との複雑な統合シナリオについて豊富な専門知識を持っていない場合は、このオプションが妥当なこともある。

CSIを接続テクノロジ戦略に組み込む方法を特定するために、ペース・レイヤリング・アプリケーション戦略を活用する
ハイブリッドERPの環境において、クラウド・ベース・アプリケーションは、当初はしばしば差別化と革新を支援するために展開され、時間の経過に伴って、より多くの記録システムがクラウドへと移行される。CIOとERPリーダーは、この移行の管理を支援するために、ペース・レイヤによるアプリケーション戦略を採用する必要がある。また、CSIの課題に対処することは、レイヤ間の「接続テクノロジ」に組み込まれるアプリケーション・アーキテクチャの主要な部分を占めなければならない (リサーチノート、APP-11-82、2011年8月10日付「 ペース・レイヤに対応したアプリケーション戦略のための接続テクノロジ」参照)。ペース・レイヤリングの観点から、上述したCSIのベスト・プラクティスを検討することが重要である。例えば、単純なポイント・ツー・ポイント統合は、オンプレミスのERP記録システムとクラウド・ベースの革新システムを統合するために最適な短期的アプローチとなり得る。なぜなら、統合要件が明確に定義されず、革新システムは存続期間が比較的短くなる可能性があるからである。しかし、オンプレミスの記録システム (コア財務アプリケーションなど) とクラウド・ベースの記録システム (人事など) の統合では、明確に定義され、比較的安定した統合要件があり、堅牢な統合が要求される (このため、ミドルウェアまたはiPaaSによるアプローチの方が適している可能性が高い)。複数のレイヤにわたってさまざまな統合レベルをサポートするために、異なるスタイルが必要になることから、この場合はペース・レイヤでハイブリッドERPアプリケーション・ポートフォリオを確実に分類し、各レイヤでCSIアプローチを調整すべきである。


推奨リサーチ
・ 「What IT Leaders Need to Know About Integration PaaS for Cloud Services Integration (and More)」
・ 「What IT Leaders Need to Know About Cloud Services Integration: Proactively Address the Challenge」
・ 「自社のアプリケーション統合プロジェクトに適切な基本アプローチを特定する方法」(APP-12-88、2012年8月24日付)
・ 「ペース・レイヤに対応したアプリケーション戦略のための接続テクノロジ」(APP-11-82、2011年8月10日付)
・ 「Refresh Your Practices, Governance and Technologies to Tackle Cloud Services Integration」

備考1 ERPフィーダ・システム
ERPフィーダ・システムとは、コアERPモジュールにデータを「フィード (供給)」するトランザクション・システムである。例えば、契約管理および請求システムでは、ERPシステムの売掛金モジュールに供給する顧客請求書が生成される (これにより、総勘定元帳の財務記録が更新される)。ERPフィーダ・システムは、ERPシステムの境界外にあり、通常は専門家向けのベスト・イン・クラス・システムまたは社内開発システムである。

(監訳:本好 宏次)
APP: APP-13-125


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