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ニュース・アナリシス

写真 NTTコミュニケーションズが、日本と海外で同社の回線を利用したバックアップ・サービスを6カ国8拠点に拡大

2013年5月10日
石橋 正彦
Note Number:NA-0013-0002

NTTコミュニケーションズは、日本/香港/米国/英国/シンガポール/マレーシア間でクラウド・サービスを提供している。今回、同社の自社回線を利用したデータのバックアップ・サービスの拠点を、クラウド展開に合わせて拡大したという内容を発表した。自社のシステムを、自前からクラウド・サービスへ切り替える企業は、NTTコミュニケーションズの「Global Data Backup」を利用して、海外拠点へのデータのレプリケーションを安価に構築することができる。

 
イベント

 2013年4月18日、NTTコミュニケーションズ (備考1参照、以下、NTT Com) は、2011年10月の「Global Cloud Vision」 の発表から約1年での進捗と事業戦略、およびサービスとしてのインフラストラクチャ (IaaS)/サービスとしてのプラットフォーム (PaaS) を中心とした「Biz ホスティング Enterprise Cloud」について説明を行った。その中で、災害用のデータ・バックアップのサービスを、NTT Comの国内 (関東、関西) にあるIaaSデータセンターから、海外 (米国2カ所/英国/シンガポール/マレーシア) のデータセンター (自社設備) に拡張したことを発表した。この「Global Data Backup」サービスでは、例えば日本と香港の間の約2,400kmで、NTT Comの自前のケーブルを利用でき、ネットワークの帯域も料金に応じて利用できる。通常時は、10Mbpsの固定料金 (500GBストレージを含む、月上限約13万円) が最低必要であり、バースト通信 (備考2参照) 発生時には、ネットワークの帯域を500Mbpsまで、分単位の追加料金 (月上限約131万円) で、契約者側がPortalを利用して拡張することが可能である。このサービスは、香港側のストレージを500GB〜4TBの契約 (月約45万円) など、100GB単位で拡張することが可能であり、回線料金は日本国内で契約している「Biz ホスティング Enterprise Cloud」サービスの仮想サーバの利用料金にオプションとして含まれる。また、データベースのライセンス料金も、月定額料金で利用することが可能である。
 

分析

 2011年3月に発生した東日本大震災以降、ガートナーでは、さまざまな企業の情報システム部門から、海外にデータのバックアップやセカンダリ・サイトを構築する際に「どのようなベンダー」が「海外に資産を持たないで済む安価なサービス」を提供しているかについて、問い合わせを受けている。これまで、ホット・サイト (備考3参照) であれば、IBM、HP、SunGuardなどが北米を中心にサービスを提供しているが、日本から海外への災害対策については、この10年間でIBM、HP、SunGuardのサービス実績はほとんどなかった。唯一、日本から海外へホット・サイトを構築できるサービスは、NTT Comの東京/米国バージニア州間 (約1万1,000km:2005年開始) のレプリケーション・サービス (Global Cluster) である。実際、このサービスは、セカンダリ・サイトの機器を事前に調達しなければならないなど、高価であり、費用対効果を得るのは難しかったといえる。また、ウォーム・サイト (備考4参照) としてAmazon Web Services (AWS) が海外では実績がある (国内でもIaaSとしての利用実績はある) が、日本国内の企業が災害対策用として海外へバックアップを取得した実績はほとんどなかった。これは、日本国内の企業において、海外へ接続する海底ケーブルの回線やサービス体系についての情報が不足していて、海外へのバックアップ取得に踏み切れなかったためと考えられる。

 海外へのバックアップ・サービス (AWSなど) は以前からあったが、NTT Comが今回提供を開始する海外への「Global Data Backup」は、海底ケーブルや回線の使用料金を細かく提示している点で魅力がある。さらに、その回線料金を既存の「Biz ホスティング Enterprise Cloud」の仮想サーバのオプションとして利用できる点でも費用対効果が得やすい。ただし、「Global Data Backup」では、NTT Comがまだ正式なウォーム・サイトのサービスとしての提供を開始していないため (今回の発表はコールド・サイトの位置付け)、香港側ではバックアップしか取っていない。そのため、標準サービスの範囲内では、東京で地震が発生した場合、即、香港側に切り替えるということはできない。NTT Comでは、今後、香港側へ切り替えるようなウォーム・サイトのサービスを開始するとしている。
 

推奨事項

災害対策として、セカンダリ・サイトを海外に所有したい企業の情報システム部門への推奨事項

 今回発表されたサービスには、災害時にセカンダリ・サイトへ切り替える「仮想サーバ」の契約がないため、香港側ではバックアップしか取っていない点に注意が必要である。とはいえ、海外にデータのバックアップを構築する企業は、次の2つのアプローチを取ることができる。

1. プライマリ・サイト、バックアップ・サービスともにNTT Comのサービスを使う場合
 ・プライマリ・サイトとしてNTT Comの「Biz ホスティング Enterprise Cloud」の仮想サーバを用いる (既存の業務を移行する) 必要がある。
 ・回線料金、ストレージ料金は、「Global Data Backup」の契約範囲に含まれる。

2. バックアップのみNTT Comを利用する場合
 ・「Global Data Backup」を利用せず、企業から直接、NTT Comの香港データセンターへデータをレプリケーションする。そのため、回線料金相当分が割高となる。
 

推奨リサーチ
 ・「ディザスタ・リカバリ用の遠隔地セカンダリ・サイトの可能性」(APP-07-67、2007年8月15日付)
 ・「北米におけるMSSPのマジック・クアドラント」(INF-12-16、2012年4月20日付)

備考1 NTTコミュニケーションズ
 1952年、日本電信電話公社設立。1985年に民営化され、1999年にNTTコミュニケーションズ (NTT Com) が誕生した。NTTグループの中で、国内、海外のネットワーク・ビジネスを中心に、「キャリア・クラウド」「マネージド・セキュリティ・サービス・プロバイダー (MSSP)」を展開している。

備考2 バースト通信
 信号の送出が一定速度ではなく、間欠的、不連続に行われる状態。「Global Data Backup」では、従来L2ネットワークを利用していたが、仮想化ネットワークを利用することにより帯域制御を行っている。

備考3 ホット・サイト
 プライマリ・サイトとセカンダリ・サイトに同等の機器およびソフトウェアのライセンスを購入し、短時間でフェールオーバーする構成。即、切り替え可能であるが、コストが高い。NTT Comの「Global Cluster」サービスなどがある。

備考4 ウォーム・サイト/コールド・サイト
 ウォーム・サイト:セカンダリ・サイトの機器をサービスとして共有利用し、通常のサービス料金を安価に抑える構成。即、切り替え不可で、切り替え行使日に利用マシンが決まる。サービス提供者が少ない。IBM Smarter Cloud Virtualized Server Recoveryなどがある。NTT Comでは、今後サービスを展開予定である。
 コールド・サイト:データの遠隔地保管 (オフライン保管) 、テープやストレージによる構成である。安価であるが、物理的に切り替え不可。NTT Comが今回発表した「Global Data Backup」、オージス総研 (リサーチノート、APP-07-67、2007年8月15日付「ディザスタ・リカバリ用の遠隔地セカンダリ・サイトの可能性」参照) は、2007年に大阪/沖縄間 (1,200km) のデータのバックアップ・サービスを開始している。

 

Topics: ネットワーク、バックアップ、ディザスタ・リカバリ、災害対策、グローバル

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